The Biscats、ロカビリー純度100%のフェス開催「ロカビリーブームを今の時代に起こさなくちゃいけない」

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The Biscats初の主催イベント<ROCKABILLY FESTIVAL 2022>が2月8日(火)渋谷club asiaにて開催された。到着したレポートをお届けする。

◆ライブ写真

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BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘であり、2020年代に新しいロカビリームーヴメントを起こすべく奔走中のMisaki率いるハイブリッド・ロカビリーバンド、The Biscatsが初の主催イベント<ROCKABILLY FESTIVAL 2022>(以下ロカフェス)をロカビリーの日である2月8日に開催した。

記念すべきロカフェス初回の会場となった渋谷club asiaには、ロカビリーファッションに身を包んだ老若男女が集結。開演前からロビーに出店されていたロカビリーショップで買い物をしたり、DJたちによるゴキゲンなロカビリーナンバーに酔いしれたりと、他ではなかなか味わえないロカビリー純度100%の空間を堪能していた。そんなオーディエンスの前に登場した主催者・The Biscatsの面々と進行役を務めるロカビリー芸人・TAIGA(The Biscats「Sweet Jukebox」のMVにコラボ出演、昨年末の全国ツアー東京公演でも共演している)が開会宣言を行うと、これから毎年2月8日に開催されるロカフェスの歴史がいよいよ幕を開ける。


トップバッターは飾ったのは、親戚だけで構成されたオールディーズダンスチーム・Good Spirits。オリジナル曲はもちろん、映画『ブルース・ブラザーズ』でもお馴染み「Shake A Tail Feather」や親交深いJohnny Pandora(ジョニー パンドラ)の「Crying for the Moon」、メンバーである久米浩司(BLACK CATS/MAGIC)も観ている空間でBLACK CATS「夢のビックマシン」等々の名曲群をあらゆるジャンルのダンスパフォーマンスでお届けし、会場をポップに明るく盛り上げていく。


続いて登場した、90年代の日本のロカビリーブームを牽引したMAGICのサウンドメーカー・山口憲一と二代目ベーシスト・高橋琢実を擁するロカビリーとオールディーズのミクスチャーバンド・THE BRAND NEW FIFTIESは、軽快さと重厚さを併せ持つ、熟練されたテクニカルな演奏とRaynaの迫力ある女性ボーカルで「THAT IS ROCK&ROLL」に始まり、ロカビリーファンでなくとも誰もが知るポップ&ロッククラシック「THE LOCOMOTION」「SHOUT」のカバーに至るまで圧巻のステージを披露し、これにオーディエンスも熱狂。

そして、YouTubeに公開された「Dance on the Road」の音源とシルエットのイラスト以外の事前情報が一切なかった、謎の4人組ロカビリーバンド・THE KING CATSが遂に登場。その実態は、Misakiの父親でもある伝説のドラマー・久米浩司や、The Biscatsの楽曲のほとんどを作曲し、山下智久「抱いてセニョリータ」や中森明菜、郷ひろみ、宇都宮隆など錚々たるアーティストへの楽曲提供でも知られる真崎修(Osamu Masaki)など伝説のロカビリーキングたちが集結したバンドであった。


「こんばんは、THE KING CATSです。今夜がデビューです」と全員大ベテランながら新人バンドとして立ち振る舞う彼ら。しかし、その歌声と演奏からは歴史を重ねたロカビリー愛が溢れており、それでいてロカビリーを擬人化したかのようなクールさも円熟しており、誰もをそのライブにどっぷりと魅了。なお、THE KING CATSは今後も活動を継続。YouTubeに動画を公開したり、年に1度はこのロカフェスでライブをお届けすると発表し、応援のロカビリーファンを歓喜させていた。




そんな偉大なる先輩ミュージシャンたちのバトンを受け、ロカフェスの大トリとして登場したThe Biscatsは、これまでのどのライブよりも気合いの入った面持ちで「Teddy Boy」「lingering scent」「sweet drive」と序盤からキレッキレのエモーショナルな演奏と歌声を響かせ、新時代のロカビリーシーンを牽引していくバンドとしての覚悟すら感じさせた。「ド平日の火曜日ですよ。信じられるか、この光景を!」と客席を見ながら大興奮のMisaki。「2月8日、ロカビリーの日にすごく拘っているので、ド平日だろうが、何だろうがね、開催日を変えることができない。だから悩んだりもしたんですけど、ロカビリーブームをさ、今の時代に起こさなくちゃいけないという想いで今日は踏み切りました!(その結果、大勢のファンが集まってくれて)本当によかったです!」


その後も「Sweet Jukebox」をGood Spiritsのダンスと共にラブリーに披露したり、昨年末の全国ツアー東京公演以来の共演となるTAIGAの歌ネタ「おまえ誰だよロックンロール」を生演奏で再びコラボしたり(前回以上に手応えを感じている様子のTAIGAの表情が印象的だった)と、エンターテインメント性溢れるライブでオーディエンスを扇情。そして、Misaki(Vocal)、Kenji(Guiter)、Suke(W.Bass)にサポートメンバーのダイヤ・ピアノ・サンタ(Keyboard)、奥村大爆発(Drums)とブギーに乗せてメンバー紹介した後は、最後の畳み掛けとして「take away」「ハートのエース」「Hot and Cool」とキラーチューンを連発! ロカビリーの魅力を余すことなく体現し、記念すべきロカフェス初回の幕を大盛況の中で締め括った。

すべてのアクト終了後、その合間でフロアをゴキゲンなナンバーで沸かし続けたDJ陣(DJ Ryuta、DJ RAW-HIDE、DJ AKIRA、DJ COBRA)含む出演者全員をステージに呼び込んだのだが、その誰もが満面の笑みを浮かべており、ロカフェスが持つホープフルなムードを物語っていた。この日は新しいロカビリームーヴメントを起こす為の大きな一歩になったと言えよう。次回は、2023年2月8日に開催。それまでに日本のロカビリーシーンがどのような成長を遂げていくのかも含め、実に楽しみだ。


なお、The Biscatsは、4月1日に結成3周年記念イベントを開催することも決定。詳細は後日報告されるそうだが、Misakiいわく「ライブだけじゃなく、みんなと一緒に何かやったりとか、一緒に写真撮ったりとか、そういう楽しいイベントを考えているので、4月1日は空けといてくれると嬉しいです」とのことなので、こちらにもぜひ注目してほしい。

取材&文◎平賀哲雄
撮影◎AI TERADA

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