【インタビュー】moon drop、様々な曲で手を繋ぐ描写が印象的なアルバム『この掌がまだ君を覚えている』

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■記憶って身体の感覚的な部分で覚えていることが多い
■「誰かの忘れかけた記憶を呼び起こせるように」という意味を込めた


――今回のアルバムのタイトルは『この掌がまだ君を覚えている』です。様々な曲で手を繋ぐ描写をしているのも印象的です。「水色とセーラー服」は《今、君の手を握って》。「Uとピュア」は《うざったいくらい手を繋ごう》、「モーニングトースト」は《ポケットに忍ばせた 右と左の手と手》って歌っているじゃないですか。

浜口:全然意識していなかったです(笑)。いま言われて、初めて気づきました。このタイトルは知哉が決めたんですけど、後付けなんです。記憶って身体の感覚的な部分で覚えていることが多いですし、「誰かの忘れかけた記憶を呼び起こせるように」っていう意味を込めたのがこのタイトルです。

――坂さんは手を繋ぐ描写が様々な曲で出てくるのに気づいて、このタイトルを提案したんですか?

坂:気づいていなかったです。アルバムタイトルが最後まで決まらなくて、「それっぽいのは何だろう?」って。

浜口:でも、手を繋ぐ描写が多いのは確かですね。「そういうことだったんだな」って、今思いました。


――手を繋ぐことも含めて、印象的な描写が各曲に盛り込まれていますね。「寝ても覚めても」や「君と夜風」のようなまっすぐな愛情表現も、moon dropの真骨頂だと思いました。

浜口:シンプルで温かいイメージの曲が僕も好きなんです。「寝ても覚めても」に関しては、SUNNYさんに「90年代っぽい懐かしい感じのものにしたいです」とお伝えしました。moon dropらしい1曲だと自分でも思います。

――「寝ても覚めても」は、高まる恋心に完全に生活が左右されている様が伝わってきます。浜口さんもこういうタイプ?

浜口:そう……ですね。はい(笑)。

坂:ライブのMCでそういう様子を感じることがある(笑)。



――(笑)。「君と夜風」はバンドサウンドとしてもかっこいいですし、《君が泣いた夜に初めて 心の中まで分かったような気がした》というフレーズが目を引きます。

浜口:これは前回のミニアルバムのシークレットトラックに弾き語りとして入れた曲をバンドアレンジして完成しました。

坂:「君と夜風」は「ストレートなギターロックをやろう」っていうイメージで作っていきました。

――「リタ」、すごくいいですね。何気ない日々の幸福が伝わってきます。

浜口:僕、生活感がある曲が好きなんです。



――「モーニングトースト」も、生活感が漂っています。

坂:僕はこういう曲に飛雄也っぽさを感じるんです。「Uとピュア」「リタ」「モーニングトースト」は、まさにそうですね。

浜口:どの曲もそうですけど、歌詞に関しては自然に出てきた言葉なんですよね。基本的に難しい言葉は使わないようにしています。自分らしい言葉で歌いたいので。

――恋人と別れて、いろんなものが変わって見える様を描いた「ゆれる」も日常の風景を感じる曲です。部屋でギターを弾いているみたいな生活音が入っていますが、これは?

浜口:あの音はスマホで録ったんです。ごはん休憩の時に雑にiPhoneを置いて、みんなに適当に過ごしてもらった時の音がそのまま入っています。家にいる時の「曲作ろうかな?」っていうくらいの雰囲気を出したかったので。


▲清水琢聖(Gt)

――こういう日常感の一方で、恋愛のダークな側面も時には描きますよね? 「この雪に紛れて」や「doubt girl」は、そういう要素を感じました。

浜口:「この雪に紛れて」は大人っぽい切なさがあると思います。

――《全て見せてくれるような 訳じゃなかったし いつでも 二番目のままで》という部分で、どういう恋愛なのか察しました。

浜口:「この雪に紛れて」は難しかったです。こういうのは僕よりももう少し年上の人の恋愛像という感じなので。

坂:初めて弾き語りで聴かせてもらった時に今までになかった感じのものがあったので、びっくりしました。バンドアレンジに関してもじっくりと考えた曲です。

――ロマンチックなサウンドと歌詞の内容が対照的ですよね。

浜口:SUNNYさんがいろいろな音を加えてくださって完成したんですけど、自分のやりたい音楽にまた一歩近づけた感覚がありましたね。

――「doubt girl」は、男女の口論がそのまま曲になっていますよね?

浜口:はい。戦っていますねえ(笑)。バンドマンが聴いたら、いろいろ思うところがある曲なのかも。

坂:うちのドラムの一樹が、すごく共感していました(笑)。

浜口:バンドマンに限らず、いろんな人にあることでしょうね。こういう曲も作れましたし、様々なことを今後に活かしていきたいと思っています。

――moon dropの曲は、カラオケでも歌われているみたいですよ。「僕といた方がいいんじゃない」「リタ」「この雪に紛れて」「水色とセーラー服」「寝ても覚めても」がよく歌われているようです。

浜口:カラオケで歌っていただけているのは嬉しいですね。

――友達とカラオケに行った時に、「歌ってよ」って言われたことあります?

浜口:はい(笑)。嬉しさもありつつ照れくささもあるっていう感じなんですけど。


▲原一樹(Dr)

――今回のアルバムの曲以外では「僕といた方がいいんじゃない」が人気みたいです。歌いたい人に何かアドバイスは?

浜口:Aメロが結構落ち着いたトーンなので、口先だけで歌うというか。勢いよくっていうよりも言葉がはっきりとわかるようにすれば、ちゃんと歌えるはずです。そして、サビは思う存分声を出してください……という感じです。

――カラオケボックスで隣の部屋からmoon dropの曲が聞こえてくることも、今後あるかもしれないですよ。

坂:いいですね! そういうことがあったら絶対に嬉しいです。

――好きなバンドの曲をカラオケで歌うのって楽しいですよね。

浜口:僕もback numberの曲をよく歌っていました。最近、インスタのDMで「カラオケで「寝ても覚めても」を歌いました!」とか来るので、どんどん歌っていただきたいですね。

――坂さんも「moon dropの曲歌ってよ!」って頼まれることがあるかもしれないですよ。

坂:それはちょっと照れくさいなあ。

――ボーカル以外のメンバーが「歌ってよ!」って頼まれることは、よくあるらしいです。

坂:そうなんですか? 本物じゃないのに……。

――本物ではあるでしょ。メンバーなんですから。

坂:そうなんですけど(笑)。

――(笑)。今後の活動に関しては、2月から始まるツアーですね。

浜口:はい。ライブにもぜひ来ていただきたいです。ライブに来たお客さんから「イメージ変わりました」って言われることが結構多いんですよ。ライブでしか絶対に聴けない音があると思うので、そういうところを楽しんでいただきたいですね。

坂:全国を回るので、各地で全力のライブをお届けしたいです。

浜口:ツアーファイナルは東名阪でワンマンライブ。初のワンマンなので過去最長時間のステージになるでしょうね。アルバムの新曲も全部やるんじゃないかと。過去の曲は各地で変えつつ、違うセットリストにしたいです。どの公演も最高のものにする自信があるので、会場に足を運んでいただきたいです。

取材・文:田中大

リリース情報

1st Full Album『この掌がまだ君を覚えている』
配信URL:https://moondrop.lnk.to/konotenohira
2022年1月19日(水)リリース
完全生産限定盤[CD+GOODS]:NZS-876/\4,400(tax in)
通常盤[CD only]:NCS-992/\2,970(tax in)

【収録曲】
1.水色とセーラー服
2.ラストラブレター
3.寝ても覚めても
4.Uとピュア
5.この雪に紛れて
6.リタ
7.doubt girl
8.君と夜風
9.四月が君をさらってしまう前に
10.モーニングトースト
11.ゆれる
12.オレンジ
13.ex.ガールフレンド
(M12,13:ボーナストラック)

【完全生産限定盤商品仕様】
・デジパック仕様
・ボーナストラック2曲収録
・グッズ付属:手のひらサイズアクリルチャーム(ミラー付き) *サイズ:直径70mm

ライブ・イベント情報

<moon drop 1st Full Album「この掌がまだ君を覚えている」Release Tour 2022「あの街ラブストーリー」>

2022/02/14 (Mon) 名古屋CLUB ROCK'N'ROLL *開催延期
2022/02/15 (Tue) 北堀江club vijon *開催延期
2022/02/17 (Thu) 下北沢Daisy Bar *開催延期
2022/02/18 (Fri) 群馬CLUB FLEEZ *開催延期
2022/02/20 (Sun) 松本ALECX
2022/02/27 (Sun) 神戸太陽と虎
2022/03/03 (Thu) 千葉LOOK
2022/03/06 (Sun) 仙台RIPPLE
2022/03/11 (Fri) 福岡OP's
2022/03/18 (Fri) 岡山CRAZYMAMA 2nd Room
2022/03/19 (Sat) 京都MOJO
2022/03/21 (Mon) 静岡UMBER
2022/03/26 (Sat) 四日市CLUB CHAOS
2022/03/27 (Sun) 高松TOONICE
2022/04/02 (Sat) 新潟CLUB RIVERST
2022/04/03 (Sun) 金沢vanvan V4
2022/04/10 (Sun) 名古屋Electric Lady Land
2022/04/17 (Sun) 梅田Shangri-la
2022/05/01 (Sun) 渋谷CLUB QUATTRO

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