【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第11回ゲスト:佐々木亮介 [a flood of circle]

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■世界が不安定なのは
■以前から一緒ですからね

──バンドでの曲作りは、ASHにとって何年ぶりぐらいですか?

ASH:10年以上ぶりかな。

佐々木:もともとはどういうバンドをやっていたんですか?

ASH:パンク/ラウド系とかヒップホップとか、いろんなバンドをやってたんです。でも上手くいかなくて、そのバンドは解散して。

佐々木:えっ(笑)!? その後はなぜソロでやろうと思ったんですか?

ASH:いろんなバンドを転々として、全部のバンドがブレイクアップ(解散)しちゃう。で、誰からも声が掛からなくなって、そのタイミングで音楽をやめようと思ったんですけどね。でも、その後のことを何も思い描けなかったし、だから鬱々とした日々を過ごしていたんです。そうして気づいたら曲を作っていた。その曲がきっかけでいろんな運命的な出会いも起こって。「曲がいいからプリプロをやってみよう」って言ってくれるアレンジャーと出会ったり。それで再び音楽をやるならバンドじゃなくてソロかなと。だって“バンドって俺に向いてないな”と思ったからね。入ったらブッ壊れるんだから。


佐々木:バンドクラッシャーだから(笑)? いや、周りが悪いのかもしれないけど。

ASH:俺、やるとなったらグワッと入り込んでやっちゃうので、ほかのメンバーと温度差はあったかもしれないです。

佐々木:デビュー前の時期? それはモチベーションを保つのが難しい頃ですよね。だったら本気の度合いが違ったというだけで、ASHくんは全然悪くない。

ASH:いや、若い頃はオブラートに包んで話す、という術を知らなかったし(苦笑)。ストレートに言って嫌われるんなら、それはそれで、みたいな感じだったから。

佐々木:そりゃ、確かにソロやりますよ。だってついてこれるメンバーが周りにいないんだから。

ASH:そうそう。でもマジで人間不信にもなって。バンドの解散が続いて、苦笑いと愛想笑いも覚え始めて。

佐々木:ある意味、めっちゃいい曲が書けそうな時期だったわけですね。自分と向き合う時間が長いわけだから。

ASH:ヘイトソングばっかり書いてました、あの時期は。でも本気でソロをやると決めたら、いろんな人達が協力してくれて、ありがたいことにデビューもさせてもらって。そして、さっきも言ったように、ソロで続けてきたひとつの目標として、ZeppTokyoのステージにワンマンで立ちたいというのがあって、そこへは去年到達した。一方で、これもさっき言ったように、ずっとソロを続けながら、自分の中でくすぶっていたものがあったんですよね。“この人とならバンドやりたいな”とか“こういう感じだったらバンドやりたいな”とか、ソロをやりながらも沸々とバンドへの気持ちが湧いてきていた。それでメンバーひとりひとりに「あのさ、俺とバンドやらない?」って電話掛けたりして。

佐々木:ストーリーがありますね、それ。

ASH:コロナ禍になって、この先、不安定な世界ではあるけども……それでもバンドとして。

佐々木:でも世界が不安定なのは、前から一緒ですからね。

ASH:この前のライブでも佐々木くんはそう言ってたじゃないですか。俺、すごいパンチラインだなと思って。そう、世界はずっと不安定なんですよね。


佐々木:でも素晴らしいじゃないですか。見つけたんですね、やっと。

ASH:うん、信頼できる仲間が見つかって、みんなで行こうって。それでASH DA HEROはバンドになったんですよ。

佐々木:なるほどね、やっぱりエモいっすね。バンド時代があって、ソロがあって、またバンドに帰還するっていうASH DA HEROのストーリー。めちゃくちゃおもしろいですよ。

ASH:俺、あきらめの悪い男なんですよ(笑)。

佐々木:お、『SLAM DUNK』の三井寿タイプ(笑)?

ASH:そう。俺、自分のあきらめの悪さを世界一にしたいなと思ってて。だから何回、フラれても行くんすよ。a flood of circleと対バンしたいってことも含めて(笑)。

──バンドマジックってあるじゃないですか。a flood of circleはメンバーチェンジも何度かしていますけど、メンツが変わるたびに、バンドマジックもいろいろ経験してきました?

佐々木:メンバーが変わるたびに“0”からですね。去年、アルバム『伝説の夜を君と』をリリースしたんですけど、同じメンバーで3枚のアルバムを作ったのは初めてだったんですよ。それがすげー嬉しくて。積み上げてきたものがあるなって感じたから。そういう意味でも、ASH DA HERO、楽しみですよね。“0”からバンドが始まって、これから何が起こるのかって。それに名前が変わらないのがいい。同じ名前でバンドになったというのは、パワーアップバージョンって感じがするから。これまでのファンの方々も受け入れやすそうですし、いいストーリーだなと思いますね。

ASH:みんながワクワクするような活動していきたいですね。


──佐々木さんは2017年からソロ活動も始めたじゃないですか。どういう思考やマインドでソロを?

佐々木:バンドって、リハして、ライブして、レコーディングする。それしかやることがないので。他の暇な日に違うものを作るよって感じです(笑)。曲を作るのもライブやるのも好きだから。

ASH:ソロでやっている曲は、a flood of circleの楽曲とは全然違うじゃないですか。意図しているものってなにかあるんですか? 気持ちいい曲ってのが基本なんだろうけど。

佐々木:やりたいことを思いついたら、それをなるべくやるって感じで。誰かにエスコートしてもらってやってるわけじゃないですからね。本当にしたいと思ったことは、我慢したくないんで。ソロの曲はぶっちゃけ、自分で作りたいトラックを作って歌を乗せているだけ。今のレーベルやスタッフがそれに賛同してくれてるんで、外に向けて発表することができるっていう。もし誰も協力してくれないんだったら、自分で勝手にサウンドクラウドに上げてた感じ(笑)。

ASH:いいな、そういうスタンス(笑)。確かにバンドでやっているものとは別に、曲を作りたくなる気持ちは分かる気がする。

佐々木:けっこう楽しいですよ。メンバーがいるからできることもあるし、一人だけのアイデアで、誰かとコラボレートするのも楽しいし。バンドやっている時間以外、例えばYouTubeを使って宣伝みたいなことをやってもいいわけじゃないですか? でもその時間も音楽をやりたいってことなんですよね。

ASH:ミュージシャンですからね。

佐々木:それにソロで失敗してもいいかなって思っているんで。恥をかいたほうが次が良くなるから、一生懸命に失敗しにいってるという(笑)。

ASH:そのマインドが歌詞に出てますよね。a flood of circleのアルバム『伝説の夜を君と』はマジで名盤だと思うんです。15年続けてきて、まだこんなにいい曲をいっぱい書くのかって。「白状」を聴いたとき、マジで涙腺がヤバかった。“俺のことを歌っているんじゃないか?”って思ったくらい食らいました。あの歌詞に描かれているような瞬間ってあるんですよね。だから、この15年間、楽しいことやいいことだけじゃなかったんだろうなって。内情を吐露じゃないけど、深い苦悩も何もかも、ありのまま描かれている気がして。あの曲はめちゃくちゃ大好き。

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