【コラム】milet、大舞台で証明した歌声と音楽をひもとくAL『visions』

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東京オリンピックで歌唱した「愛の讃歌」や、2年連続出場となった『NHK 紅白歌合戦』などの大舞台で証明されたように、今、miletの歌声と音楽は多くの人から求められている。2月2日にリリースされた2ndアルバム『visions』では、実に15曲中9曲がタイアップソング。しかも、ドラマや映画の主題歌から、スポーツや朝の情報番組のテーマソングなど、そのコラボ先は驚きの幅広さだ。全15曲、収録時間57分という大ボリュームの『visions』から、miletの世界をひもといてみたい。

2019年に『inside you EP』でデビューし、翌年1stアルバム『eyes』でいきなりオリコンウィークリーランキング1位を獲得。早くも日本を代表するシンガーソングライターとなったmilet。注目を集めたのは、日本人離れしたグルーヴ感を持った圧倒的な歌唱力とソングライティングのセンスだ。幼少期からフルートの演奏を通してクラシックに親しみ、思春期をカナダで過ごしてグローバルな価値観を持つ彼女は、クラシックとポップス、日本語と英語といった真逆の要素を巧みに繋ぎ合わせて歌いあげる。

『eyes』は、そんなmiletの個性を掘り下げるように、ONE OK ROCKのToruや、MAN WITH A MISSIONのKamikaze Boy、BOOM BOOM SATELLITES/THE SPELLBOUNDの中野雅之らがプロデュース・編曲等で参加し、多彩なサウンドが詰まった1作になった。

▲アルバム『visions』初回生産限定盤A

それから今作『visions』までの1年8ヶ月、世界はコロナ禍に突入し、milet自身もツアーの中止を経験。エンターテインメントの持つ意味、歌う理由と向き合わざるを得なかった一方で、タイアップというかたちでmiletの歌は拡がっていった。その刺激から、内省的な面が多かった歌詞も、楽曲の方向性も、どんどん外へ向かって開かれ、その変化がニューアルバム『visions』に結実している。前作をはるかに凌ぐ楽曲の多彩さだ。


前述したように、タイアップ曲だけでもその振り幅がすごい。NHKウィンタースポーツテーマソングとして北京オリンピックを盛り上げた「Fly High」は、広い空に突き抜けていくような爽快感と力強さに満ちた1曲。ドラマチックなアレンジに負けないのびやかな歌声と、《その一歩で変われる どんな風が吹いても》というポジティブな詞が胸にしみる。

かと思えば、milet自身も原作漫画のファンだったという映画『賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』に書き下ろした「checkmate」は、突き放すような歌声がクールな印象のエレクトロ・ナンバーだ。MVでは重心を低く構えて髪を振り乱して歌うなど、アグレッシヴな側面を見せている。

そして、ドラマ『ハコヅメ』主題歌である「Ordinary days」では、全編日本語詞のポップソングに挑戦。力強いビートに乗せて《どんな日も きっと輝くんだ/この手を ずっと離さないよ》というストレートなメッセージを表現してみせた。


デビュー曲「inside you」を手掛けたONE OK ROCKのToruと再びタッグを組んだ「One Reason」は、話題の劇場アニメ『鹿の王 ユナと約束の旅』の主題歌。繊細なウィスパーヴォイスからハイトーンまで使い分け、物語を包み込む温かな歌声を響かせている。

これでも、あくまでタイアップ曲の一部抜粋。作品やテーマに導かれるようにmiletがさまざまなアプローチに挑戦し、自身の音楽を進化させてきたのがわかるはずだ。

と、既発曲のインパクトが先行しそうなところだが、今作の聴き所はむしろアルバム曲にこそある。無二の個性をJ-POPシーンの第一線で磨き上げたうえで、改めて彼女自身のルーツや嗜好ががっつり反映された意欲的な楽曲が揃っているのだ。もし、miletをいわゆる「バラードを歌いあげる系実力派シンガー」だと思っている人がいたら、完全にイメージを覆されることだろう。

▲アルバム『visions』初回生産限定盤B

まずアルバムの幕開けを飾る「SEVENTH HEAVEN」から、軸となるのは躍動的なダンスビート。それを乗りこなす軽やかな声とフロウは完全に洋楽テイストでありながら、しっかりと日本語のニュアンスも取り込んでいるのが彼女ならではだ。リリックに《m-i-l-e-t I’m with》と自分の名前を盛り込む遊び心も楽しい。

鍵盤のリフとハンドクラップで始まる「Outsider」では、低音ボイスを効かせてブラックなグルーヴを体現。ガールクラッシュにも通じるようなパワフルさが新鮮な1曲に仕上がっている。

さらに、ヒップホップ/R&Bシーンで活躍するボーカリストiriと競演した「jam」も必聴。iriのハスキーボイスに対してmiletが高音パートを担当し、グルーヴィーなふたりの声が自由に絡み合うのがたまらなく心地良い。また、ピアノの弾き語りで始まる「Loved By You」「邂逅」では、柔らかでナチュラルな歌声にじっくり浸ることができる。

たとえるなら、アリアナ・グランデのような踊らせるポップス要素もありつつ、オリヴィア・ロドリゴのようなピュアな繊細さにも通じる、柔軟な表現力。さまざまな海外のトレンドの要素とリンクしながら、培ってきたクラシックの素養とJ-POPの良さを掛け合わせ、すべてを楽しんでいるmiletの好奇心を堪能してほしい。

現在、1月から始まった2度目の全国ホールツアー<milet live tour “visions” 2022>の真っ最中であるmilet。
聴き手へ届けたい想いを詰め込み、一緒に盛り上がれるダンサブルな楽曲も増えた『visions』は、ライヴでオーディエンスとともに共有して完成する作品とも言える。ツアーを経て、ますます飛躍していくに違いないmiletの「この先」が楽しみだ。

文◎後藤寛子


2ndアルバム『visions』

発売中
・初回生産限定盤A(SECL-2690~2691)¥4,950(tax in) CD+Blu-ray Disc
・初回生産限定盤B(SECL-2692~2693)¥3,850(tax in) CD+DVD
・通常盤(SECL-2694) ¥3,190(tax in) CD Only

<CD収録曲>
01. SEVENTH HEAVEN
02. Fly High
(NHKウィンタースポーツテーマソング)
03. Outsider
04. checkmate
(「映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」主題歌)
05. Who I Am
(テレビ朝日系 木曜ドラマ『七人の秘書』主題歌)
06. Loved By You
07. On the Edge
(WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争』CMソング)
08. Shed a light
(ECCジュニア「届け想い篇」 CMソング)
09. 邂逅
10. jam with iri
11. Come Here (Session1)
12. The Hardest
(テレビ朝日系 木曜ドラマ『七人の秘書』主題歌)
13. Wake Me Up
(テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」テーマ曲)
14. Ordinary days
(日本テレビ系水曜ドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」主題歌)
15. One Reason
(映画「鹿の王 ユナと約束の旅」主題歌

<Blu-ray・DVD収録内容>
・milet 2nd anniversary live“You & I”※初回生産限定盤Aのみ
・Music Video集 ※初回生産限定盤A・B共通

▲アルバム『visions』通常盤

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