【インタビュー】海蔵亮太、New AL『コトダマ』でシンガーからソングライターへと急激に進化

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叶えたい思いは、言葉にすればきっと叶う。きっと届く。カラオケ世界大会(KWC)二年連続チャンピオン、デビュー4年、レコード大賞新人賞、昨年は「サイコパスのうた」でバズった海蔵亮太、渾身のニューアルバム『コトダマ』が今ここにある。今回は収録曲の大半で作詞作曲を手掛け、シンガーからソングライターへと急激に進化する成長過程が、バラエティに富んだ楽曲のすべてに詰め込まれている。天性の歌声に加え、言葉とメロディで底知れぬ才能を発揮し始めた海蔵亮太、今年もやはり注目だ。

■サウンドのイメージ的には狭い空間で少ない楽器で
■1曲1曲に没入してもらえるような曲をいっぱい作りたい


――今年は1月にライブアルバムが配信リリースされて、2月にはフルアルバムも出て。幸先いいですね。

海蔵亮太(以下、海蔵):そうですね。世の中的にはなかなか動きにくい状況ではあるんですけど、応援してくださる人に届けられるコンテンツが増えてうれしいです。

――プロフィールを見ていて気付いたんですけど、海蔵さん、毎年一つずつ夢を叶えているんですよ。

海蔵:そうですか?(笑)

――2016年にカラオケ世界大会(KWC)男性部門優勝、17年にはデュエット部門優勝、18年にメジャーデビュー、19年はレコード大賞新人賞、20年は大竹しのぶさんとデュエット曲「ありがとうって気づいていてね」が出て、21年は「サイコパスのうた」がバズる。毎年夢が一つずつ叶っているなあと感じますけど、自分ではどうですか。

海蔵:僕的には、自分でこうしたいああしたいというよりは、時の流れに身を任せていたら毎年何かしら起こっているみたいな、そんな人生なので。そこに対して楽しめる自分がいるのは、良かったなというふうには思いますね。

――良い言葉ですね。楽しめる自分。

海蔵:いろんなことが起きても、その状況を楽しんでいる自分がずっといるので。そういう意味では、今年も何か面白いことが起こったらいいなとは思っています。

――今年は何が起こりそうですか。

海蔵:去年がちょっと特殊だったので、「脱・サイコパス」と思える活動をしつつも、あらためて「こいつサイコパスだな」と思われていいかなという(笑)。そういう年ではありますね。

――そして『コトダマ』というアルバムが今手元にあります。曲調のバリエーションもすごくたくさんあって、海蔵さんの作詞作曲も一気に増えました。どんなイメージで作ったアルバムですか?

海蔵:大きなテーマとしては、シンプルな音楽を作りたいということで、自分の言葉で伝えるということも含めて、サウンドのイメージ的には狭い空間で少ない楽器で、1曲1曲に没入してもらえるような曲をいっぱい作りたいと思っていました。

――狭い空間にしたいと思う、何かきっかけがあった?

海蔵:やっぱりここ近年、会いたい人にも会えなかったりとか、自分の活動範囲も規模が小さくなって家で過ごすことも増えたので、たぶんそういうところが影響してるのかなと思いますね。壮大な曲を作るよりは狭い空間の曲を作りたいなと、自然に思うようになりました。


▲『コトダマ』【TYPE-A】(CD+DVD)


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――1曲目、海蔵さん作詞の「会いたい会えない」。今はもう会えない人への気持ちを綴ったバラード、これは実話に基づいたものと聞いています。どんなことがあったんですか。

海蔵:僕が中学生ぐらいの時に、同級生の友達が病気で亡くなってしまったんです。もう十数年前の話なんですけど、未だに心残りで、それを何らかの形で昇華したいと思って作った曲です。その子とは同じ野球のクラブチームで、彼がキャプテン。みんなを明るくするムードメーカーで仲が良かったんですけど、両親の仕事の都合で海外に行くことになって。「頑張ってね」みたいな感じであっさり別れてしまったんですけど、向こうで病気になってしまって、友達と一緒に手紙を送って励ましたんですけど、数か月後に亡くなってしまった。別れ際にもっと彼に対して気持ちを伝えたらよかったなという後悔と、十代の自分の身近に死があることを実感できなかったので、すごく落ち込んでしまったんです。もっと伝えたかったなとか、自分自身を責めてしまうことがその時すごく多くて、結局それが大人になった今でも続いているんですね。今回作詞作曲を何曲かトライしてみようという話になった時に、その子のための曲の作ろうと思って、言いたいことはたくさんあるんですけど、伝えたい思いを書きすぎると終わりが見えないと思ったので、シンプルに伝えたい言葉だけを伝えることをテーマに作った曲です。



――きっと、心の中の思いをそのまま吐き出すだけだと、生々しすぎるというか、個人的になりすぎることもあると思うんですけど、この歌は普遍的な表現にもなっている。何か一つ乗り越える壁があったんじゃないかと推測します。

海蔵:その経験はもちろん自分の中にずっとあるんですけど、あまり深く思い出したくない経験ではあるので。あらためてそれを見つめ直して言葉に起こすという作業は、何て言うのか、自分で自分の心を手術している感覚でした。書きながら、一緒に野球をやっていた頃を思い出して、僕はすごいヘタだったんですけど、すごく親切に「こうしたほうがいいよ」って教えてくれたり、そういう思い出がバーッと出てきたので。ちょっと時間はかかったような気はします。

――今のコロナの時期に、それに似たような思いをした方もいるだろうと思うので。この歌は響くだろうなと思います。

海蔵:僕の周りにも、実際にコロナで亡くなってしまった人もいるので。身近な人の突然の死に対して、こちら側がどうとらえていいのか、難しいところではあるんですけど、僕の一つの解決法としては、こういうふうに曲に書いて、少しでも多くの人に「僕もこういう気持ちでいるよ」ということをわかってもらえたらうれしいなというふうには思います。

――このアルバムは、そんなふうに、エモーショナルに始まりますが。2、3、4曲目あたりはアップテンポの曲調が続いて、また雰囲気が変わる。3曲目の海蔵さん作詞「君を好きになることが どんな罪になるって言うの?」は、リズミックな曲調ですけど、どこか激しさや陰りがありますね。歌詞もかなり意味深というか、どういう相手なんだろう?って想像させる歌になっていて。

海蔵:この曲は、僕自身が音楽を通して出会えた人がたくさんいるんですが、その中のある一人の友達と話している時に出てきたエピソードがもとになっています。好きになっちゃいけない相手を好きになった時のもどかしい気持ちを、すごく熱弁してもらった時があって。僕はそこまでの経験がなくて、好きになっちゃいけない相手ならやめておこうという気持ちなんですけど、理性を超えちゃうぐらいの友達の話を聞いて、ちょっとかっこいいなと思ったんですね。そういう生き方が。それを思い描きながら曲を書きました。

――そういう歌詞が、情熱的なラテンっぽいギターとリズムによく似合ってます。

海蔵:怒りではないですけど、思いのたけをぶつけている感じを、ギタリストの方におしゃれに表現していただいて。すごくかっこいい曲になりました。

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