【インタビュー】川崎鷹也、「Be yourself」聴いてくれる人、応援してくれる人を良い意味で裏切りたいんです

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「魔法の絨毯」のヒット以降、楽曲や歌声はもちろん、様々なメディア出演時に見せる気さくなキャラクターで、すっかりお茶の間にも浸透したシンガーソングライター川崎鷹也。彼の2022年第1弾楽曲「Be youself」が1月21日にリリースされた。同曲はTVドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』の書き下ろし主題歌で、カラオケDAMでも配信が開始されている。初のTVドラマ主題歌に、彼はどのように向き合っていったのだろうか。今回のインタビューでは「Be youself」から紐解く現在の彼のモードと、昨年リリースされたフルアルバム『カレンダー』以降から2月の彼の活動にフォーカスした。

■できるって言っちゃったしやるしかない!
■そんなシチュエーションが自分にとってはバネになるのかも


――2022年第1弾リリースの「Be yourself」はTVドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』の書き下ろし主題歌。川崎さんにとって初のドラマ主題歌です。ご自分の楽曲がTVドラマで流れるというのはいかがですか?

川崎鷹也(以下、川崎):家で妻と一緒に初回を観ていたんですけど、ドラマの物語に集中しすぎて最初流れていることに気付きませんでした(笑)。“あ、今流れてない!?”って、あとでもう1回観ました(笑)。自分がリアルタイムで観ているドラマに自分の曲が流れているのは、まだまだ不思議だけどすごくうれしいですし、ありがたいです。ドラマの世界観を反映させて書いた曲でもあるので、実際に観てドラマと合った曲が作れて良かったなと思いましたね。

――「Be yourself」と昨年12月にリリースされた『カレンダー』の制作時期は同時期くらいでしょうか?

川崎:いや、『カレンダー』が全部終わったあとですね。年末だったと思うなあ……。“よいお年を!”と言ってレコーディングのメンバーと別れた記憶があるとマネージャーが言っていました(笑)。相変わらずものすごく短い制作期間でできた曲ではありますね。

――ドラマの校了前の脚本をご覧になり、ドラマの製作チームと打ち合わせのうえ完成させた楽曲とのことで。

川崎:平凡な主人公がイケメンだらけの学校に紛れ込んでしまうというのは、逆境からのスタートだと思ったんですよね。それでまず“もし自分がこの主人公の立場ならどうするんだろうか?”と考えたんです。かっこよさで勝負できないなら自分らしさや個性を前面に出せばいいけど、自分らしさとはなんぞや……?と。僕自身まだ自分らしさというものをわかっていないんですよ。

――と言いますと?

川崎:どういう曲が求められているとか、こういう曲を書けばいいとかがわからない。その時その時に書きたい曲を書き続けているんですよね。自分らしさが出てくるのは声や歌へのパッションかな? 自分が歌いたいように歌えば自分らしくなるんじゃないかな? と思う反面、それがイコール自分らしさかというとちょっと違う気がするし。その“川崎鷹也らしさ”を具体的にそれを言葉にするのが難しい。でも自分らしさを探して、もがくことに意味があるし、その瞬間は素敵で輝いているんじゃないかと思ったんです。


――それをテーマに曲を書き進めていかれたと。

川崎:それでまず3曲くらい書いて、でもなんとなくどれもどうなんだろうなあ……という感じがして。それを事務所やレーベルのスタッフさんに聴いてもらったら、やっぱりみんなからもどうなんだろうなあ……という空気が出ていて。それで“わかった! 新しいの書くから30分ちょうだい!”とその場で書いたのが「Be yourself」なんですよね。

――前回のインタビューで話していただいた、「カレンダー」が生まれた経緯と似ていますね。

川崎:ほんとですね(笑)。曲は余裕を持って書きたいんですけど、余裕があると書けないんだろうな。“やばい! どうしよう! でもできるって言っちゃったしやるしかない!”みたいなシチュエーションが自分にとっては焚きつけられるというか、バネになるのかもしれないですね。

――ドラマの主人公の“入学と同時に逆境からのスタート”というのは、ヴォーカリストを目指して音楽の専門学校に入った川崎さんとも重なると思いました。

川崎:そうなんですよね。それこそ僕はただヴォーカリストになりたくて音楽の専門学校に入ったから、入学当初はギターも弾けなかったし曲も作れなかった。だから周りはみんなすごくて自分だけは凡人だという感覚はすごくわかって。でも細田佳央太さん演じる主人公の池田龍馬はひたむきで真面目で真摯で、とにかくまっすぐなんです。あの頃の俺はあんなにひたむきにやれていたのかなあ……。龍馬と状況は似ているけど、だいぶやさぐれていた気がします(笑)。

――いやいや(笑)。歌詞には《理想》という言葉があったり、学生時代の気持ちや夢を追いかけていたときの感覚も反映されていたりと、『カレンダー』に収録されている楽曲と通ずるものも多いと思います。

川崎:『カレンダー』のすぐあとに制作に取り掛かったので、シンガーソングライターとして今書けるものがそういうテーマだったんだと思います。実際、ここ1、2年が自分の追いかけていた理想に近づけた年でもあったので――もちろんまだまだ道半ばなんですけど。2022~2023年はまたここから一歩踏み出していけそうだなと思っているので、それが曲作りには反映されているのかなと思いますね。


――ドラマの世界観を踏襲しつつも、『カレンダー』で発信していた思いをギュッと凝縮させて明確にした曲かもしれませんね。

川崎:ああ、そうかもしれない。ネガティヴな気持ちも描いているけれど、最終的にはポジティヴというか。“いろいろ悩むことはあるけど、まあ大丈夫っしょ!”というマインドですね(笑)。

――「Be yourself」は、川崎さんがもともとお持ちの思いが軸になっていると同時に、ものすごくざっくりとした言い方をすると“川崎鷹也らしくない曲調”だとは思って。

川崎:うんうん。はい。

――だからこそサビの《どれだけ悩んでみても 自分らしさは分からない/それでもただ強く生きていく/答えは後から見つかるさ 答えは後から見つけるさ》という歌詞に説得力も生まれるのかなと。

川崎:ドラマの主題歌だからドラマありきの曲でもあって。だからこそ新しいアイディアが入れられたと思います。僕のエゴにならないように、ドラマにどんなふうに花を添えられるか、“こんなシーンに流れるのかなあ”みたいに想像しながら書きました。アレンジを宮田“レフティ”リョウさんにお願いしたのも、自分とはまったく違うところで活躍する方だったのが大きいですね。

――川崎さんの弾き語りデモを宮田さんがアレンジして、楽曲の雰囲気もだいぶ変わったのでしょうか?

川崎:変わりましたね。ピアノならではのおしゃれなコードを当ててくださったり、洋楽っぽい雰囲気にしてくださったり、“イントロで引き付けたい”というチームの意向を汲んでインパクトのあるイントロをつけてくださったり。それらは僕の頭のなかにはなかった部分ですし、それを演奏メンバーで練り上げていったので、みんなで遊びながら作った感覚でしたね。



――こういうグルーヴィな後ろノリの楽曲は、川崎さんのルーツにあるものなのでしょうか?

川崎:うーん、どうなんでしょう……? 僕、自分のルーツをよくわかっていないんですよ。

――川崎さんはリスペクトするアーティストさんはたくさんいらっしゃるけれど、それがルーツかと言われるとちょっと違うっぽいですよね。

川崎:よくほかのアーティストのみなさんがおっしゃっている“○○さんに影響を受けて音楽を始めました”や“○○さんの音楽を小さいころからずっと聴いてきました”みたいなものは僕にはないんですよね。でもいろんな音楽を聴いていたんです。洋楽邦楽問わずポップスも、弾き語りも、バンドも、ブラックミュージックも、アニソンも、ニコニコ動画系も……ほとんどの音楽を通っているんです。歌い手になりたい時期もあったし。インターネットにアップする技術と機材がなかったので、歌い手の夢は一瞬でついえましたけど(笑)。

――影響を受けるほどの音楽に出会う前に、“歌いたい”という欲求が芽生えて、そこに突き動かされていった?

川崎:ああ、そうかもしれない。“この人みたいな曲を作りたい”や“この人みたいな歌を歌いたい”の前に、まず“自分が歌いたい”が先だったかなあ……。歌うことが好きで、歌うために東京に出てきて、専門学校の曲を作る授業をきっかけに曲を書き始めて今に至る。僕にはルーツがないのかも。

――それは“川崎さんの人生が川崎さんの音楽のルーツ”ということでは?

川崎:めちゃくちゃかっこいい言い方してくれますね(笑)。たしかに誰かの真似をしようと思ったことはないかも。だから最初は大変だったんですよ。お手本がない状態で始まってるからか、どんな曲を作ればいいのかわからなくて。

――だから専門学校ではやさぐれていたのかもしれませんね(笑)。

川崎:あははは。でもライヴハウスでライヴをするようになって、そこで出会った仲間たちのステージを見て自分の歌いたいことが浮かんできたり、“こんなブレスの使い方をするんだ。自分がやってみたらどうなるかな”と取り入れてみたり。そういうものが少しずつ自分を作っていった部分もあるのかな。「Be yourself」の歌い方の感じは、清水翔太さん、AIさん、玉置浩二さんを聴いてきた影響も出ている気がしますね。

――これまでいろんなアレンジャーさんとタッグを組んでいる川崎さんにとって、宮田さんはどんなアレンジャーさんでしたか?

川崎:データのやり取りをしながらアレンジを詰めることが多いんですけど、レフティさんとはまずスタジオでお会いしたんですよね。そこで弾き語りのデモを聴いてもらって、レフティさんがすぐ1コーラスくらいのアレンジを作ってくれて。そこからみんなで作っていったので、1~2時間で出来たんです。だから過去最速かも。

――宮田さんはアレンジャーさんでもありステージに立つ方でもあるので、天性の感覚が生きる環境が合うのかもしれないですね。

川崎:レフティさんはすごくいい意味で子どもっぽい人なんです。シンプルに音が大好きだから、良い曲にするためにいろんなことを試したい。“あのときに聴いたあの音が使えるかも”や“あのときのあの場所の空気感をこの曲で使えるかも”みたいに、アイディアやワクワクをどんどん音楽にしていける人。だからすごく感覚的で、センスに溢れたアレンジ制作でしたね。僕も“こういうアレンジだったらこういう歌い方ができたらいいな”とチャレンジができました。

――ラスサビの前のDメロは、宮田さんとの共作だそうですね。川崎さんには新鮮なメロディでした。

川崎:“こんなこともできるんだぞ!”と見せたいのもありましたね。……たぶん、僕は今までやってきたイメージを壊したいタイプなんですよ(笑)。“こういう人なんだろうな”と思われたらそれを壊したくなるので、“良い人そう”と言われるとダメなところを見せたくなります(笑)。聴いてくれる人、応援してくれる人をいい意味で裏切りたいんです。「Be yourself」はそれができた1曲になったと思いますね。

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