【インタビュー】川崎鷹也、「Be yourself」聴いてくれる人、応援してくれる人を良い意味で裏切りたいんです

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■子どもが“べびちゅ”と言うと周りにパッと笑顔が生まれる
■響きもいいし言いやすいし。いいですよね


――新しい挑戦というと、東阪で開催された『カレンダー』のリリースツアーは、バンドセットでのライヴが主体になっていました。どうやら学びの多いツアーだったようで。

川崎:弾き語りだと自分のそのときの気分で好きなようにテンポを変えられるし、ライヴではそのスタイルで今までやってきていたので、いつもより自分に制約が掛かった部分はあったんですけど、それ以上に仲間とひとつの音を作り上げるバンドの良さを感じられましたね。演奏力のあるメンバーなので、歌にじっくり集中できたぶん歌力が出たかな。あと、みんなリハでやらないアドリブをめっちゃやってくるんですよ(笑)。バックバンドでもなくサポートプレイヤーでもなく、バンドメンバーとしてステージを組めたんですよね。盛り上がってきたらドラムのフレーズも変わっていって、それに俺が気付いて振り返ってみたらめっちゃ笑っていて――すごく楽しいライヴでした。

――ひとりとバンド、それぞれの良さがあるのはライヴでも制作でも共通しているのでしょうね。

川崎:そうですね。それも自分には“アコースティックギターの弾き語り”という軸があって、そこを変えるつもりはないから、できることなのかなと思います。『カレンダー』のツアーでも弾き語りのセクションは作って、本来の姿も見せるようにしました。だから東京も大阪も歌で始める「カレンダー」を1曲目にしたんです。真っ暗な空間に時計の秒針が響きわたったあと僕のブレスで始まるという演出で、めっちゃ緊張しましたけど。あの始まり方で空気が締まったし、素敵な演出を組んでくださったと思います。逆に「魔法の絨毯」は弾き語りで披露する機会が多かったので、違うエッセンスで披露したくてバンドアレンジにして。でもじつは、もっとジャジーなバンドアレンジを組んでいたんです(笑)。

――ジャジーな「魔法の絨毯」とは、ものすごい裏切り。

川崎:新しい「魔法の絨毯」を見せたい気持ちが強すぎて、バンドメンバーとスタジオで専門学校生みたいに“これイケてない!?”なんて話しながらアレンジをしていたら、だいぶ行き過ぎちゃいましたね(笑)。「魔法の絨毯」を聴きに来る人も多いだろうからもうちょっと落ち着こう、ということでライヴで披露したアレンジが生まれました(笑)。

――しっかりお客さんと目を合わせて歌う姿も印象的でした。

川崎:ライヴはコミュニケーションだと思うんですよ。気持ちをちゃんと届けないと、お客さんの前でライヴをやる意味がない。サービス精神とかではなく、一人ひとりの目を見て歌いたい。“今この瞬間をあなただけに歌っている!”を、会場にいる全員にやりたいんです。人それぞれに人生があるなかで、せめてこの1秒は僕からあなたに届ける時間にさせてほしい――そんなふうに思いながらステージに立っています。

――ベビー向けTV番組『シナぷしゅ』の2月の歌「べびちゅ」も、川崎さんには新しいアプローチのヴォーカルだと思いました。

川崎:あははは、ちょっと声のレンジを上げつつ、優しく歌いました。アレンジャーのこじろうさんとパーカッションのふくちょうさんと赤ちゃん用のおもちゃをレコーディングに使って、遊びながらレコーディングしたんです。めちゃくちゃ夜中に大人たちで(笑)。


――“べびちゅ”という言葉はどこから出てきたのでしょう?

川崎:うちの子どもが、なぜかてんとう虫のことを“べびちゅ”と呼ぶんですよ。食べさせている赤ちゃん用のヨーグルトにてんとう虫が描かれていて、それを見て“べびちゅ!”って。どこからそんなことになったのかわかんないんですけど、そこから“べびちゅ”が我が家に浸透していったんですね。そんなときに『シナぷしゅ』のオファーをいただいて。もともと観ていた番組でしたし、番組の担当の方からも“川崎さんのお子さんが喜ぶ曲を書いていただきたい”と言っていただいたので、その言葉のとおりの曲を書きました。最後に入ってる“べびちゅ”という子どもの声もうちの子です(笑)。

――わあ、とっても素敵!

川崎:子どもの前にマイクをセットして、僕の後ろで奥さんが絵本のてんとう虫を指さして“これは?”と訊いたら“べびちゅ”と答えてくれました(笑)。1歳半で初レコーディング、めちゃくちゃハイレゾで録りました(笑)。

――かわいい響きの言葉だなと思ったら、お子さまがご自分でたどり着いた言葉だったとは。腑に落ちました。

川崎:響きもいいし、言いやすいし。いいですよね。絶賛イヤイヤ期の真っ最中なので、ママ以外は受け付けなくて、僕がごはんを食べさせようとするとそれをひっくり返したりするんですよ。“だめでしょ!”と言ったら、唐突に“べびちゅ”とか言うんですよね。そうするとなんだかふわっとした空気になって。

――歌詞のとおり《まほうのことば》ですね。

川崎:慌てて“いや、今はべびちゅじゃない!”なんて言っています(笑)。子どもが“べびちゅ”と言うと、周りにパッと笑顔が生まれるというか。その感じを「べびちゅ」には反映させています。子育ては大変だし、へこむことも多いと思うんです。でも1年後2年後は良い思い出になると思うんですよね。それを含めて楽しめたら――今はなかなか楽しめてはいないけれど(笑)、楽しめるようにしたいなって。だから「べびちゅ」を聴いてくれたみなさんも、笑顔になってくれたらいいなと思います。

――當山みれいさんへ楽曲提供なさった「雨の音」も、當山さんの持つムードに寄り添った制作をなさっているので、また新しい面が見られました。

川崎:當山さんは歌がうまいし、リズムの乗り方も日本人離れしていて、ああいう歌い方ができたら楽しいだろうなあ……と前々から思っていたミュージシャンで。だから“當山さんが歌うならこういう曲がいいなあ”というイメージを膨らませていきました。

――女性目線の楽曲を作るとき、どんな感覚で作るのでしょう?

川崎:女性になったつもりでめっちゃ妄想しますね(笑)。こういう相手がいて、こういう振られ方をして、こんなふうに大泣きしてお揃いのマグカップを割って……みたいに。女性の切なさや嫉妬から生まれる色気、強がりみたいなものを當山さんに歌っていただけたらなと思って作ったのが「雨の音」ですね。

――川崎さんのお書きになる女性目線の曲は、あくまで“ひとりの女性の恋物語”なのが特徴的な気がします。ちょっとニュアンスを伝えるのが難しいんですけど、女性目線だけど女性性を濃く抽出した楽曲ではないというか。

川崎:ああ、それはあるかも。もともと僕は人付き合いをするときに男性女性でカテゴライズして考えたりしないし……あと奥さんがものすごく男性的な強さを持っている人なんですよ。ほんと強いんですよねえ~……。でもそんな彼女にも弱さがあるんです。それを近くで見ているから、僕が描く女性目線の楽曲の主人公でも、“いつもは強がっているけれど、ひとりでいると涙を流す”みたいなところを描きたくなるのかもしれませんね。


――「Be yourself」も「べびちゅ」も「雨の音」も、川崎さんの人付き合いにおけるスタンスがよく表れているのかなと思いました。自分らしさはわからないかもしれないけど、ご自分の軸を持っているから、いろんな人と楽しんで楽曲制作ができるんだろうなと。

川崎:良いところを探したり、この人にしか持っていない部分を見つけたりするのが好きだし、そこから学ぶことも多いし、それを受けて成長していきたいなあと思うんです。人との出会いで生まれてきた曲ばかりだし、スタッフさんやレコーディングチームみんなで、本気でぶつかってきたから生まれるものばかりで。ほんと、周りに助けてもらってばかりなんです。

――2022年は裏切りの年になりそうですね。

川崎:まだまだ発表できてないこれからのことも裏切りの連続だと思いますね(笑)。チームで会議してるとき、すごく楽しいですよ。やったことがないことに挑戦したり、想像できることには手を出さなかったり。今年もたくさん遊びます!

取材・文:沖さやこ

リリース情報

「Be yourself」
配信中
https://takayakawasaki.lnk.to/beyourselfPu
https://takayakawasaki.lnk.to/beyourselfAW

ライブ・イベント情報

<凱旋弾き語りライブ“TOUCH”>
2022/3/23(水)
WWW X (東京都)
スマチケ 抽選先行販売
受付期間:2022/2/21(月)12:00~2022/2/27(日)23:59
先着★一般発売
受付期間:2022/3/8(火)12:00~2022/3/22(火)23:59

2022/5/28(土)
那須塩原市黒磯文化会館 大ホール (栃木県)
先着一般発売
受付期間:2022/4/2(土)10:00~2022/5/24(火)18:00

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