【ライヴレポート】DEZERT、<CHIAKI Birthday Live「透明人間」>で「あんたらの代弁者にはなれないけど、一緒に悩もう」

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DEZERTのフロントマン千秋の誕生日当日となる3月2日、Spotify O-EASTにて<CHIAKI Birthday Live「透明人間」>が開催された。DEZERTとしての2022年初のライヴであり、おめでたい日のライヴということもあり、熱気溢れる、記憶に深く刻まれる一夜となった。今後につながる特別な夜となった同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆DEZERT 画像

生命たちがそれぞれに蠢動しだす季節を迎えた中、今年もまた“彼”の誕生日がやってきた。梅が方々で咲きだし、花粉も飛び始めて、だんだんと新しい季節の始まりが感じられるようになって来た、ある春先の一夜。

DEZERTがこのたびO-EASTにて開催した<CHIAKI Birthday Live「透明人間」>は、まさにタイトルどおりフロントマンである千秋の誕生日を記念した特別なものとなっていたのである。ちなみに、昨年はバンド名義ではなく<一ノ瀬千秋 単独公演~ひとりじゃできないもん!2021 ~ゲストミュージシャン:DEZERTな皆様>というかたちで、ソロ名義でのステージが展開され、メンバーは敢えてのバックバンド扱いとなっていたのだが、今年は来たる3月23日にニューシングル『再教育』の発売や、3月29日からは渋谷CLUB QUATTROより始まる<DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”>が控えているほか、このライヴ自体がDEZERTとしては今年初のライヴとなったこともあるのか、実質的には千秋のことを祝うバースデーパーティであるだけでなく、今後に向けてのスタートアップ的な内容になっていたようにも見受けられた次第だ。


「さぁ、“今日”を始めようか。生きてるか?東京! 久しぶりだな。僕たちも精一杯生きて帰るから、思いきり生きて帰ってくれよ」──千秋

この千秋の言葉を受けてまず場内に向けて放たれたのは、昨今であればライヴの最後を飾ることが多かった彼らにとっての真摯なる所信表明チューン「TODAY」。気付けば何時の頃からか、千秋はライヴの場でオーディエンスに向けて「生きてるか?」という言葉をことあるごとに投げ掛けるようになっていた気がするのだが、カオスなコロナ禍が始まり、それさえ終息しない中で世界情勢が一層の混迷状態に突入してしまった今、ここでの「生きてるか?」という率直な問い掛けや、「TODAY」で聴けた“生きててよかった そう思える夜をずっと探してる”という歌詞が、やたらと何時も以上に胸に響いてきてしまったのは筆者だけだろうか。


そして、結果論からいくとこの夜のライヴについては、それこそ生きているからこそ感じられる感覚や感情というものを、さまざまな瞬間から存分に味わえる場面に満ちあふれていたとも言えよう。たとえば、3曲目に演奏されたライヴ初披露の新曲「インビジブルビリーヴァー」は、今回のライヴタイトル「透明人間」の引用元となるものであり、3月23日発売予定のニューシングル『再教育』に収録される1曲になるものの、なにしろ演奏が始まった瞬間からその場に発生した“圧”がタダゴトではなかった。

バンドが渾然一体となって打ち出してくる音像しかり、千秋のエモみ全開なヴォーカリゼイションといい、この閉塞し迷走する時代の空気感を撃破するようなダイナミズムが、そこにはありありと息づいていたと断言出来る。なお、この「インビジブルビリーヴァー」に関しては2月末よりYouTube公式チャンネルにてドラマー・SORAの制作したというリリックビデオが先行公開されているので、未見の方はぜひ一見されたし。

そんなバンドとしての烈しい面を凝縮した最新曲がお披露目された一方、この夜のライヴでは、Miyakoがアコースティックギターを手にして美しい旋律を聴かせてくれた「I'm sorry」や、DEZERTの擁する繊細で叙情的な表情を投影した「「遭難」」などが本編中盤あたりで供されたりもしつつ、佳境に向けては各メンバーのプチソロを組み込んだ「デザートの楽しいマーチ」をはじめとして、彼らのライヴにおける鉄板曲たちがこれでもかと揃い踏みすることに。


「あのね。僕は昔、なんと「ありがとう」が言えなかった人間だったんですよ。頑張っても「Thank you」が精一杯で(苦笑)。だけど、この2年くらいかな。亡くなった方、消えちまったやつが初めて自分の周りで出て来たわけ。友だちしかり、尊敬する人しかり。まだ、おじいちゃんおばあちゃんもご存命な中でそれは初めてのことでさ。そうなった時、「ありがとう」っていう言葉を適当に出来ないなっていう気持ちになってきました」──千秋

なるほど、やはり。千秋が昨今ライヴの際に「生きてるか?」と口にするようになった背景には、明確に転機となる出来事があったということだったらしい。

「そこから「丁寧に生きよう」っていうのが2018年の『TODAY』(アルバム)から始まって。自分たちは全然バンドとしてもまだまだだし、歌だって上手くないけど、それでもDEZERTの音楽でひとりでも多くの人を救いたいなぁ、って思ってた時期もありました。(中略)でも、いろいろ考えたらそんなんじゃ誰も救えねぇんだよな。救う気でいちゃ駄目だ、そうじゃなくて俺は俺自身を救わなくちゃいけないんだ、ということにあらためて気付きました。だから…要は何が言いたいかっていうと、多分DEZERTってみんなと一緒に悩んでいくバンドなんじゃないかなぁ、と。今日は誕生日だし、今年の初ライヴだから、ここでそれを決意表明として言っておきます。あんたらの代弁者にはなれないけど、一緒に悩もう。そして、この歌はあんたらと一緒にもっと育てていきたいんで最後に付き合ってください!」──千秋

ここで歌われたのは、昨年発表された音源『RAINBOW』に収録されていた寛容なる愛とこの世の真理を描いた「ミザリィレインボウ」だ。“銃声が鳴り止まなくても 歴史に押しつぶされそうでも 今夜なら優しくなれる気がしてんだ” “違いを赦して 違いを愛して 互いを照らしてくれ レインボウ”という歌詞たちを力強く歌いあげながら、曲間で「俺は綺麗事を歌うよ。汚いことも歌うよ!」と叫んだ千秋。その姿からは彼がいかにアーティスト・表現者として、その時に何が最も必要なのかを的確に把握することが出来る逸材であるのか、ということを再確認することが出来た。彼がこの時代に誕生してきたことは、おそらく必然だったのだろう。


しかし、そうした感慨にふけっていると一転してアンコールでは、<CHIAKI Birthday Live「透明人間」>ならではということで、千秋およびメンバーのお気に入り曲カバー大会が始まるはこびとなり、まずここで1曲目として選ばれていたのは、ELLEGARDENが20年前に発表した名曲「風の日」。千秋のみならずSORAも熱いエルレフリークであるとのことで、演奏が終わったタイミングではELLEGARDENのフロントマン・細美武士がよくステージ上で見せるポーズを、ふたりが嬉々としながら真似ていたのもなかなか微笑ましい一幕であった。

また、この後には昨年に引き続いて元・ペンタゴンの眠花をゲストベーシストに迎え、Sacchanはキーボードを弾き、Miyakoが再びアコースティックギターを操りながら「Honesty」(ビリー・ジョエル)と「Breath」(2005年発表のKinKi Kidsのアルバム『H album -H・A・N・D-』収録曲えあり、シンガーソングライター・河口恭吾が提供した堂本剛のソロ曲)が客席へと届けられ、集ったファンは普段のDEZERTのライヴとは全く異なるレアな味わいを堪能することになったに違いない。

加えて、最後にはSORAがギタリストとしてステージ下手に立ち、サポートドラマー静岡のJoeyが参加するかたちでhide with Spread Beaverの「ROCKET DIVE」と、本来の4人編成に戻ったうえでの突然なサプライズとなった「doze.」(こちらはDEZERTのオリジナル曲)で、アンコールだからこそのブチ上がり感がハジけた場内は、おおいに盛り上がったのだった。


かくして、千秋の誕生であり、今年初のライヴにして、シングル『再教育』の発売を控えた中での本公演<CHIAKI Birthday Live「透明人間」>は、もちろんDEZERTにとって良い景気づけになったはず。3月29日の渋谷CLUB QUATTRO公演から始まる<DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”>と、6月18日に決定しているDEZERTにとって初の日比谷野外大音楽堂ライヴは当然ながら要注目となる。生命たちがそれぞれに蠢動しだす季節を迎えた中、ここからさらに大きく躍動していくDEZERTが、ファンと共に悩みながらもたゆまず邁進していく日々に、どうか光あれ。

来たる3月23日にはニューシングル『再教育』の発売を控えているDEZERT。さらに3月29日より始まる7大都市ツアー<DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”>のチケットが3月12日(土)から一般発売スタートとなる。いよいよ2022年怒涛のDEZERTイヤーの開幕である。

取材・文◎杉江由紀
撮影◎上原俊

■<CHIAKI Birthday Live「透明人間」>2022年3月2日(水)@Spotify O-EASTセットリスト

01. TODAY
02. Thirsty?
03. インビジブルビリーヴァー
04. 「殺意」
05. Hello
06. カメレオン
07. 殺されちゃう
08. 包丁の正しい使い方~実行編~
09. 「教育」
10. I'm sorry
11. 「遭難」
12. MONSTER
13. デザートの楽しいマーチ
14. Your Song
15. 「遺書。」
16. 「君の子宮を触る」
17. ミザリィレインボウ
encore
en1. 風の日 (ELLEGARDEN)
en2. Honesty (Billy Joel)
en3. Breath (堂本剛)
en4. ROCKET DIVE (hide with Spread Beaver)
en5. doze. (DEZERT)



■シングル「再教育」

2022年3月23日(水)発売


【初回限定盤(CD+DVD)】DCCL-242〜243 3,500円(税込)
・初回盤仕様ジャケットデザイン
・トレーディングカードゲーム3枚入り(ランダム封入 ※トレーディングカードゲームの絵柄は選べません)
・特典DVD:<DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?->2021年7月23日@Zepp Haneda公演および10月16日@恵比寿LIQUIDROOM公演から7曲収録
▼DVD収録内容
7月23日 Zepp Haneda:1.「絶蘭」 2.さくらの詩 3.神経と重力
10月16日 恵比寿LIQUIDROOMDVD1.「絶蘭」 2.殺されちゃう 3.MONSTER 4.デザートの楽しいマーチ


【通常盤(CD)】DCCL-244 1,500円(税込)
・トレーディングカードゲーム1枚入り(初回プレスのみ。ランダム封入 ※トレーディングカードゲームの絵柄は選べません)
※トレーディングカードゲーム名:DEZERTバトルカードvol.2〜再教育の輪〜(全10種類)

▼収録曲 ※初回限定盤 / 通常盤共通
1. 再教育
2. インビジブルビリーヴァー
3. ミスターショットガンガール
※その他の詳細は後日改めて

■<DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”>

3月29日(火) SHIBUYA CLUB QUATTRO
open17:45 / start18:30 ※スタンディング
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888
4月02日(土) 仙台Rensa
open17:00 / start17:30 ※座席あり
(問)EDWARD LIVE 022-266-7555
4月09日(土) 福岡DRUM LOGOS
open16:45 / start17:30 ※スタンディング
(問)BEA 092-712-4221
4月10日(日) 広島LIVE VANQUISH
open17:00 / start17:30 ※スタンディング
(問)YUMEBANCHI 082-249-3571
4月23日(土) 札幌cube garden
open17:00 / start17:30 ※座席あり
(問)WESS info@wess.co.jp
4月24日(日) 札幌cube garden
open16:30 / start17:00 ※座席あり
(問)WESS info@wess.co.jp
4月30日(土) なんばHatch
open16:30 / start17:30 ※座席あり
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
5月01日(日) 名古屋DIAMOND HALL
open16:30 / start17:30 ※スタンディング
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
▼チケット
前売¥6,000(税込・全自由)
※入場時ドリンク代別途必要
※入場整理番号付き
※営利目的の転売禁止
※未就学児童入場不可
一般発売:3月12日(土)〜
・イープラス https://eplus.jp/dezert/2022/ ※全公演受付URL共通
・ローソンチケット https://l-tike.com/search/?keyword=DEZERT
 ※3月29日(火)SHIBUYA CLUB QUATTRO、4月9日(土)福岡DRUM LOGOSのみ
・チケットぴあ https://t.pia.jp/pia/search_all.do?kw=DEZERT
 ※3月29日(火)SHIBUYA CLUB QUATTRO、4月9日(土)福岡DRUM LOGOSのみ

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