【ライブレポート】植田真梨恵、2年ぶり<Lazward Piano>に祈り「健康でいてくれたら。それだけです」

ツイート

植田真梨恵が2月15日の大阪・川口基督教会公演を皮切りに3月4日の東京 キリスト品川教会 礼拝堂ファイナルまで、全5ヵ所全7公演の<live of LAZWARD piano “blue morning, blues”>を開催した。同ツアーの東京公演より3月3日のキリスト品川教会 礼拝堂の模様をお届けしたい。

◆植田真梨恵 画像

植田真梨恵の歌とアコースティックギター、そして西村広文のピアノ。コンセプトライブツアー<Lazward Piano>がこの冬も開催された。ライブハウスやレストランバー、歴史的建造物や劇場などさまざまな会場で行なってきた<Lazward Piano>だが、今回は、「heartbreaker」ミュージックビデオの撮影地にもなった大阪・川口基督教会からツアーがスタート。福岡は九州キリスト教会館 礼拝堂、愛媛は松山教会、北海道は時計台ホール、そして東京2DAYSはキリスト品川教会 礼拝堂が舞台となった。



憂鬱な平日の朝を歌うブルーズをテーマに<live of LAZWARD piano “blue morning, blues”>と題した今回のツアー。教会という、静かに日常や人々に寄り添う場所は、そのテーマにぴったりだ。ライブはいずれも平日夜に行なわれたが、学校や仕事、毎日のルーティーンから束の間離れて、この場所に身を浸す時間はとても愛おしい。開演前に、オーセンティックなブルーズやソウルが流れる心地よさも、普段の<Lazward Piano>のストイックさやスリリングな緊張感とはまた違う、普段着の感覚だ。

ライブは「ひねもす」「眠れぬ夜に」でエモーショナルにスタートした。礼拝堂の天井高11メートルという空間に、ピアノの音色が柔らかに溶け、植田真梨恵のハイトーンのボーカルやビブラートが舞い上がっていく。ここに「よるのさんぽ」が続いて、深く永遠のようで、淡く儚い幻想のようでもある夜の時をエネルギッシュにプレイすると、観客からは大きな手拍子が起こる。弾むようなバイブレーションが会場を包み込むなかで演奏した昨年リリースの配信シングル「あいにゆくまち」は、どこかゴスペル的な響きをも醸す。今回の<Lazward Piano>は、ステージも客席も一体となって空気を揺らしていくライブだということを、冒頭の4曲で体感させた。



「本日は<live of LAZWARD piano “blue morning, blues”>へようこそお越しくださいました」──植田真梨恵

こう改めて挨拶した植田は、ようやくこのライブを届けられることができた喜びを伝え、そしてこのツアーに向けて書いたという新曲を紹介した。「恥ずかしい」と名付けられたその曲は、「私なりのブルーズで、歌うのに勇気がいる曲」だという。心の中身をひっくり返してさらけ出しながら、強くなりたい思いを綴った歌を、ピアノのシンプルな伴奏で伝える。西村のピアノは今回、とても控えめでもある。<Lazward Piano>の基調となる世界観やリリシズム、ある種の格式のようなものを生んできたピアノは、この<blue morning, blues>では歌に寄り添い、相槌を打つように会話する。歌が引き立つようなバランスだ。美しく情緒的な「Bloomin’」などはさらに繊細な歌心が冴えるものとなった。



中盤では2020年にリリースした3rdアルバム『ハートブレイカー』からの3曲「小さな恋の誓い」「WHAT’s」「鍵穴」が、<blue morning, blues>バージョンへと塗り替えられた。『ハートブレイカー』は植田真梨恵のこれまでのアルバムのなかでもよりアレンジのタッチが多彩な作品で、それぞれの曲が濃い世界観を持っているが、ピアノ、アコースティックギター、歌というミニマムな形になっても、その個性の強さは変わらない。

そして改めて、このアルバムの底にゆるりと流れている憂いや哀愁は特別なものでもドラマティックなものでもなく、なにげない日々にも通底するものなのだとも感じる。ほろ苦い妙味として、人生を味わい深くしてくれるエッセンスなのだと、その歌が心に滑り込んでくる。


「いろんな<Lazward Piano>を皆さんにお見せできたらいいなと思います」──植田真梨恵

そう笑顔を見せた植田は、「寒いので、風邪を引かないように。みなさんが健康でいてくれたらと思います。それだけです」と語りかけると後半へと突入。インディーズ時代の曲と最新アルバム『ハートブレイカー』の曲が混じり合うセットリストで、静謐さから感情を劇的に爆発させる「白い月」のダイナミズムや、アコースティックギターを爽快に刻んで風を巻き起こしていく「IN TO」、そして「世界の終わり」ではマイクを手にとってステージを歩き、客席へと降りる階段でより観客の近くで伸びやかにボーカルを響かせて、会場との一体感を強くする。



ラストの曲は「憂うべき」。明るいトーンが滲んだピアノの和音がシンプルで美しい。音楽を分かち合っているこの時間を慈しむように、たっぷりと歌い上げた植田真梨恵、そして西村広文という2人に、観客は大きな拍手を送った。

アンコールでは、4月に再び<live of LAZWARD piano“blue morning, blues”Specila Edition!>と題して、東京COTTON CLUB、大阪Billboard live OSAKA公演を開催することを発表した。教会という場所での一体感とはまた違った形にはなるかもしれないが、ブルーな朝の気分をほぐし、またこんな日々も悪くないと平熱の日常を分かち合っていけるようなライブになるのではないかと思う。


取材・文◎吉羽さおり
撮影◎小村まき/笠原嗣空

■<live of LAZWARD piano “blue morning, blues”>2022年3月3日(木)@東京・キリスト品川教会 礼拝堂SETLIST

01. ひねもす
02. 眠れぬ夜に
03. よるのさんぽ
04. あいにゆくまち
05. 恥ずかしい
06. hanamoge
07. Stranger
08. Bloomin'
09. 小さな恋の誓い
10. WHAT's
11. 鍵穴
12. ロマンティカ
13. FRIDAY
14. ザクロの実
15. 優しい悪魔
16. 白い月
17. きえるみたい
18. IN TO
19. 世界の終わり
20. 憂うべき
encoreen1. hanamoge

■<live of LAZWARD piano “blue morning, blues” Special Edition!>

4月21日(木) 東京 COTTON CLUB
・1st Stage:open17:00 / start18:00
・2nd Stage:open19:45 / start20:30
4月22日(金) 東京 COTTON CLUB
・1st Stage:open17:00 / start18:00
・2nd Stage:open19:45 / start20:30
4月30日(土) 大阪 Billboard Live OSAKA
・1st Stage:open14:00 / start15:00
・2nd Stage:open17:00 / start18:00

この記事をツイート

この記事の関連情報