【インタビュー】永田雄介(ハードオフ久留米国分店)、「普通に会えない人と演奏できたらうれしいですね」

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YouTubeやTikTok、TwitterなどSNSを騒がせている“ザ・楽器人”がいる。中古品リユース販売業“ハードオフ”の久留米国分店の統括店長・永田雄介だ。「ハードオフ店員がジャンク品で〜〜を全力演奏」のタイトル通り、自店に並ぶいわゆるジャンク品を使い、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボードを自在に演奏し、果ては撮影、編集もひとりで行うという強者だ。そんな永田の楽器愛について聞いてみよう。

◆永田雄介(ハードオフ久留米国分店) 関連動画&画像


■実は、歌いたいから
■しょうがなくギターを弾いている

──そもそも「ハードオフ店員がジャンク品で〜〜を全力演奏」の動画をアップし始めたきっかけは?

永田 4〜5年前ですが、僕は今のお店ではなくて、福岡県のハードオフ筑後店にいたんです。そのときに初めて投稿したんです。お店がオープンしたばかりで名前を知ってもらいたいという一心で、ジャンク品を使ってYouTubeに投稿してみようと……。

──それからシリーズ化していったと?

永田 最初はX JAPANの「紅」をジャンク品だけで演奏した動画を上げたんですが、それは全然(PV数は)伸びなかったんです。そういうわけでその動画は1年くらい放置してました。1年後に何十万再生ってなってるのに気づいて……(笑)、またやってみようかなと。それからは月一くらいで動画をアップし始めましたわけなんです。

──永田さんの原点について伺いたいのですが、どういうところから音楽を聴き始めたんですか?

永田 今34歳なんですが、小学校5年生くらいのときーー1998年くらいーーにGLAYさんを知ったのが最初ですね。「誘惑」とか発売されたころで、かっこいいなと思って、そこからアルバムを買ってGLAYにハマって……その当時流行ってたL'Arc-en-Ciel、LUNA SEA、HIDEさん、今僕が動画を上げているような曲辺りを順々に聴いていった感じですね。そのころから音楽を真剣に聴き始めたんです。

──楽器に触ったのはその後ですか?

永田 楽器は中学校の1〜2年だったと思います。当時は二人組の“19”が流行ってて。で、音楽室で先輩がアコギで19を弾いてたんです。それがすごくかっこよくて……自分もそれをやりたいと思って、家にあった親のアコギで、“歌本”を買ってコードだけ覚えていったのが最初ですね。なので最初の楽器はギターなんです。

──最初に自分で買った楽器はなんでしょうか? その楽器にはどんな思い出がありますか?

永田 初めて購入したのはBusker’sの黒いストラトキャスターでした。新品のセットで1万円前後くらいだったかと思います。その後7年くらい使用していました。最終的にはスプレーで布袋さんのような柄になってました。

──ギター以外にもいろいろと演奏してらっしゃいますね?

永田 基本はズーッとギターなんですけど、ピアノは卓上キーボードというかファミリー・キーボードみたいなので遊んでたり、ベースはギターの延長な感じで弾き始めて、ドラムも友達が持っていて叩かせてもらったり……ホントにその程度の技術なんです。そういう流れで基本リズム隊は自分で演奏するようになりましたね。

──中でもボーカルが尋常じゃないくらいお上手だと思うんですが……。

永田 歌うのが好きなんです。全く自己流ではあるんですが、歌いたいからしょうがなくギターを弾いているというか(笑)。ボイトレとかプロっぽい練習はしたくことがなくて、自分ではカラオケレベルだと思ってるんですけど……。

■ジャンク品というのは
■ハードオフの特徴

──一度東京に出られていたそうですね?

永田 19歳のときにプロミュージシャンになりたいと思って上京して。そのときはバンドやったり弾き語りしたりしてました。

──その後福岡に戻る。

永田 25歳くらいでプロの道を諦めて……もともと地元が福岡だったし、東京にいる必要もないので帰ってきました。そこからハードオフにアルバイトで入社したわけなんです。

──久留米国分店は特に楽器に力を入れているんでしょうか?

永田 九州では一番量があると思います。ハードオフでは取り扱ってるジャンルはどこも同じなんですが、ジャンルごとの物量とか品揃えは店長の裁量なんです。このお店はもともと楽器好きな店長が続いて、結果楽器を多く集めているお店になりました。普通の店舗の何倍かはあると思います。
──動画では、壊れかけの楽器が多いのですが、大量に仕入れして修理して販売しているのですか?

永田 うちは買取のお店なので、すべてお客様が持ってきたものです。その中でもジャンク品というのはハードオフの特徴で、壊れたまま安く販売します。例えば中古で5,000円のエレキギターなら、ジャンク品だと2,000円くらい。それを直せる方は直していただくか、(ほかのギターを直すために)パーツ取るだけでもその値段以上になったりするので、それ用に買う方もいらっしゃいますね。あとうちは修理工場も併設しているので、自分で直して販売することもあります。

──お客様はどんな方が多いですか?

永田 この辺りでも楽器の量は一番あるので、やっぱりバンドをやってる方、40〜50代の音楽好きな方はかなりいらっしゃります。

──SNSに動画を上げて会社の方、周りの方からの反応は?

永田 最初は店長でもなく、実は内緒でやってたんですよ。そんなに見られると思ってなくて……。何十万再生になってくると会社の人もさすがに気づいて、「これ、君だよね?」と(笑)。コメント欄もいい感じの意見が大半だったので、このまま続けてみたらと。それからは会社公認でやらせてもらってます。

──ほかのハードオフ支店からうちもやりたいなんて声はないですか? 

永田 一切ないですね。うちのチャンネルがかなり伸びてるのでやりづらいんじゃないかと(笑)。


──ちなみにいっくん(ELT)とのコラボ映像がアップされていましたがあれはどういう経緯で?

永田 いっくんさんがハードオフの公式アンバサダーなんです。KICK THE CAN CREWのMCUさんなど“ハードオフファミリー”ということでホームページで掲載させていただいてまして……実は一般人なんですが、僕も公式アンバサダーになっています(笑)。その兼ね合いでコラボしませんかということになって、いっくんさん側が「紅」をやりたいということで、うちはELTさんの曲をということで、制作した動画なんです。



▲レコーディングの使用機材。(上から)Macbook Pro (13-inch,Mid 2012)……ディスクドライブ故障/コンデンサマイク AKG C4000B……踏まれている/インターフェース Focusrite Scarlett Solo……ヘッドホン端子故障。マイクは動画によって違うがPCとインターフェースは毎回これを使っているそうだ。

──動画は宅録で、映像はそれぞれ撮って重ねている?

永田 そうですね。ジャンク品を使って楽器ごとに先に演奏して宅録して、映像がそれぞれ撮って重ねて……パフォーマンスするMVみたいな感じですね。
──宅録で音を足したりはしてますか? 

永田 足すことはあまりないですね。基本は自分の演奏だけです。ギター、ベース、ドラム、ボーカル、キーボードーーシンセだといろいろな音が入っているのでーーくらいあれば大体できるので、それくらいですけど。ちなみに録音機材も全部ジャンク品で、マイクとか……例えばコンデンサー・マイクとか踏み潰されているものがあるんですが音は拾うのでそのまま使ったり、僕はGarageBandを使うんですが音録りしているMacintoshもCDが読み込まないMacBookだったり。

──とにかくすべてジャンク品?

永田 そうですね。動画編集だけは自分のMacBookですが。基本すべてジャンク品です。

──撮影用のカメラもですか?

永田 撮影は基本APPLE iPhoneです。合成部分はiPhoneで、ひとりひとりのシーンはデジタル一眼レフを使用してます。

──すべて完全にひとりでやられている。

永田 自分で録音ボタンを押して録画ボタン押して、自分で止めて(笑)。

──動画をどういう人に見てほしいですか?

永田 僕の好きなGLAYさんですね(笑)! 一度HISASHIさんがリツイートしてくれたんですが、まだ距離が近くなったとは思えないですね。YOSHIKIさんもリツイートしれくたので、やってたら何か可能性はあるのかなと思っています。

──これからもコンスタントに演奏動画を上げていくそうですが、こういうことをやりたいとかありますか?

永田 基本的には1ヶ月に一度のペースでひたすら演奏動画を上げていきますが、先日のいっくんさんのように今までではありえないコラボができたので、そういうコラボ動画を制作してみたい。自分のファン心理で、普通に会えない人と演奏できたら、単純に自分がうれしいですね(笑)。

◆ハードオフ久留米国分店
◆永田 ハードオフ久留米国分店 YouTube
◆ハードオフ久留米国分店 Twitter
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