【インタビュー】Solmo、音楽的なスリルが詰まった深みと広がりのある歌の世界『ざわめきとヴィジョン』

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Solmoは2017年に結成された熊本出身のスリーピースのオルタナティヴロックバンドである。倉原悠佑(Ba/Vo/Syn)の提示する自由奔放なイメージや世界観を、多彩な表現力を持つ古木公洋(Gt)、高度なテクニックと自由な発想を備えた多田強志(Dr)とによって、オリジナリティーあふれる自在なバンドサウンドとして見事に具現化している。2021年12月17日リリースの1stEP『ざわめきとヴィジョン』は、聴き手の想像力を刺激する素晴らしい作品となった。コロナの時代にリンクするメッセージ性を感じとることもできるが、理屈が先行する作品ではない。大胆にして繊細。音楽的なスリルが詰まった深みと広がりのある歌の世界は魅力的だ。バンド結成からリリースまで時間がかかったのは、彼らが妥協することなく理想の音楽を追究し続けていることの証しだろう。音楽に向かう彼らの姿勢も素晴らしい。1人でも多くの人に知ってほしいバンドの登場だ。

■「Punishment」の内省的な要素がSolmoらしさを表している
■その方向性で舵を切って制作していこうと判断しました


――Solmoというバンドの成り立ちを教えてください。

倉原悠佑・Ba/Vo/Syn(以下、倉原):3人それぞれに熊本で音楽活動をしていまして、知り合ったのは15年位前なんです。その当時から、僕と多田くんが一緒に活動したり、僕とキーくん(古木)が違う場所でプレイしたりという接点がありました。

多田強志・Dr(以下、多田):倉原と私とはお互いに高校生の頃からそれぞれのバンド活動をやっていたので、面識はあったんです。それから歳月が流れ、3人が初めて一緒に活動をし始めたのが2017年です。倉原が個人として曲をしたためていたものをバンドサウンドという形にしたいと考えて、この3人が集まりました。そして2018年に何曲か形になり始めたころに、Solmoというバンド名をつけて活動を始めたというのがおおまかな経緯です。

――倉原さんの作った歌を形にするには、この3人によるバンドサウンドがふさわしかったということなのですか?

倉原:そうですね。僕の書いている曲の雰囲気をしっかり察知してくれる人を探すような作業でした。キーくん(古木公洋)と多田くんが柔軟に音楽として汲み取って対応してくれて、自分のサウンドのキャラクターにも合っていたので、一緒にやれたらおもしろいなあと考えたところからSolmoがスタートしました。

――古木さんはどうして参加することにしたのですか?

古木公洋・Gt(以下、古木):倉原くんの作る曲は非常に複雑な感じで1つ1つの音の使い方にもこだわりがあるので、どうギターを入れるか、いつも悩みながら演奏しているんですが、それだけにやりがいがあります。倉原くんが頭の中で思い描いている曲をなんとか自分のギターで表現できればと思いながらやっています。自分が目立つということではなくて、いかに曲に溶け込めるかがSolmoのギタープレイのキモですね。

――自分のプレイを主張するよりも、音楽表現を重視するところもいいですよね。

倉原:バンドって音だけじゃなくて、人としての相性も必要だと感じています。キーくんも多田くんも僕の作りたいものを理解してくれますし、リスペクトできる2人なんですね。人間性という部分でも必然的な集まりだったと思います。

――初登場ということもあり、メンバー3人の人間性についてもふれられたらと思っています。それぞれの性格を他のメンバーから説明していただけますか?

倉原:キーくんは付き合いが長いこともあり、実の兄みたいな人。メチャクチャ柔らかくて、僕のワガママをうまくあしらってくれる、とてもいいお兄さんです(笑)。多田くんはストイックで、自分ができることのパーフェクトを求めて、自分のプレイのクオリティをどんどん上げていけるドラマー。僕はボーッとしているところがあって、多田くんとはまったくタイプが違うだけに、多田くんの“突き詰めていけるところ”を本当に尊敬しています。

――多田さんから見た倉原さんと古木さんは?

多田:クリエイティブな部分を大きく担っているのは彼なので、倉原をリーダー、バンドの顔として立てています。彼が作った曲に対して、私とキーくんがアンサーをする形でSolmoの楽曲ができあがる流れがありますね。曲作りは彼に一任しているんですが、バンドを動かす外向きの活動は私が補ったりしています(笑)。彼が作ったものを、私が世に出す役割を担っているのかなと。それぞれの役割がはっきりしているところが、このバンドのいいところでもあると思っています。

――確かに、お互いが補い合えるのはバンドだからこそですよね。

多田:そうですね。倉原は天の邪鬼なところがある男なんですが、その特質を私が良い感じにまとめつつ、ギターのキーくんが一歩引いたところから見守っているという構図がSolmoです(笑)。

――古木さんは見守り役なんですね。

古木:見守りというか、保護者です(笑)。

倉原:2人にはとても感謝しています(笑)。

――古木さんから見た倉原さんと多田さんは?

古木:倉原くんとは彼が10代のころからの付き合いなので、長いんですよ。彼のやりたい音楽は以前から遠目で見ていました。なかなか他の人とうまくいかずに衝突している様子もたくさん見てきました。彼はこだわりが強くて、うまく立ち回れないところのある、相当に不器用な男です(笑)。その彼をどう花開かせていくかということですね。多田くんと知り合ったのはSolmoを結成するちょっと前です。その頃のイメージは正確無比な鬼テクドラマーでした。もちろんそのテクニックはSolmoの音源でも存分に活かされていて、正確なプレイをしてくれる信頼のおけるドラマーです。多田君は人との接し方もしっかりしているので、バンドにとって非常に助かる存在です(笑)。

――Solmoというバンド名はどんなところからつけたのですか?

倉原:この3人でやろうって決めた日にバンド名を考えようということになって、いろいろ候補が出たんですが、その中でも意味がないものを、完全に語感で選んだのがSolmoでした。ロゴを見た時にも、“o”が2つ入っていることで、少し丸みがあるところも気に入りました。いろんな音楽を自分たちで表現できるという意味では、“柔軟性”を意識したところはありますね。語感も見た目も適度に柔らかくていいかなって。

――確かに。直線的なのは“l”だけですもんね。

倉原:そうですね。“l”のところで、微妙にソリッドさを表現しているかもしれません(笑)。

――スリーピースという形態だったのは?

多田:シンセやキーボードを入れようかと検討した時期もあったんです。しかし、倉原のシンセに対する音のこだわりが強すぎる部分もあり、体現できる人を探すよりも、倉原が自分で入れてライブの時には同期させるほうが早いだろうとの結論に達しました。カットアンドトライはしたのですが、見つからず、倉原の音のイメージを体現してくれる存在が表れない限りは、3人でやっていこうということになりました。


――Solmoの結成が2017年で、1stEP『ざわめきとヴィジョン』のリリースが2021年12月です。リリースまで時間があいていますが、このタイミングだったのは?

倉原:結成した当初はスムーズに動けない状況がありました。2021年に入ったくらいに、今のコロナの時代を踏まえて、ライブメインよりも制作メインでやっていこうというバンドの方向性を確立できたんですね。それで制作中の曲を完成させて発表しようということになり、リリースにこぎつけたのが2021年12月だったということです。

――EPを作る上では何かイメージしていたことはありますか?

倉原:以前に出した配信シングルの曲で、今回のEPに採用したのは「Punishment」1曲だけなんですが、「Punishment」のイメージに肉付けしていく構成を意識したところはありました。「Punishment」という曲の持っている内省的な要素が、その時点でのSolmoらしさを表していると感じたので、その方向性で舵を切って制作していくのがいいだろうと判断しました。

――1曲目の「Palace」はバンドの生命力あふれる演奏が見事な曲です。想像力を刺激される曲でもありますが、どんなところから生まれたのですか?

倉原:バンドで最初に作った曲で、アレンジをいろいろ試しながら作った曲です。かなり作りこんだので、リリースまで時間がかかってしまいました。



――バンドで最初に作った曲が1stEPの1曲目に入るのはふさわしいといえそうですね。

倉原:そうですね。詞の世界はちょっと攻撃的なんです。1stEPに入っている曲全般に言えることなんですが、現代社会に対する風刺の部分もあります。「Palace」はそういう世界の中で「じゃあ、お前ならどうする?」と問う曲を抽象的な表現で描きました。サウンドは少し尖った部分を作ろうと考えていました。なので、Solmoの“l”の部分が出た曲ですね(笑)。その部分を表現するために、多田くんにすべてをぶち壊してもらおうと思って、「好きにやって」とお願いしました(笑)。ギターのシーケンスのフレーズは曲の核になる部分のメロディなので、キーくんとじっくり作り込みました。

――古木さんはギターのフレーズを作っていくのはどうでしたか?

古木:ギターのシーケンスフレーズが曲の核になっていることを意識しながら弾いていました。そして間奏に入ったとこでは、すべてをぶち壊すという(笑)。

――クールさと熱さの要素が共存している曲だなと感じました。

倉原:ソウルの部分は、なんやかんやロックなんですよ。

――ドラムに関してはいかがでしたか?

多田:Solmoとしての最初の挑戦的な曲だったんですが、「ドラムソロを16小節、好きに叩いてほしい」という倉原くんの要望が非常に負担になったのを覚えています(笑)。ドラムソロは結果的には自分の人生を表現するイメージで叩きました。好きなことを好きなだけやるけれど、きちんとしなければいけないところは、きちんとしようというか、曲を壊そうとしつつも、曲の根幹は壊さないみたいなイメージ。基本フレーズのキメだけは手数の中に入れて、曲のノリは崩さないようにしようと、半年ぐらいかけて考えました。

倉原:リリースが遅くなるはずだよね(笑)。

――歌詞に関してもうかがいたいです。“Palace”とはどんな場所を象徴しているのでしょうか?

倉原:空想上の建物ですね。EPのジャケットも“Palace”の絵を描こうかとも考えたのですが、みんなの頭の中で勝手に思い描いてほしかったので、明確な形としては示さないようにしました。

――ジャケットも音楽と同様にいろいろなイメージが広がっていくところが、とてもクリエイティブですね。曲の中に“from the top of the cloud”(雲の頂から)というフレーズがありますが、熊本出身のバンドということもあってか、阿蘇山の頂き近くから、雲を見下ろしている光景が勝手に浮かんできました。

倉原:そうやって自由にイメージしてもらえるのはうれしいです。勝手な聴き方をしてもらいたいバンドなので。

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