【考察コラム】謎に包まれた新ボーイズグループ「ODDLORE」とは?

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「ODDLORE」というボーイズグループをご存知だろうか。見た目、性格、家庭環境、学歴、出自、性などにコンプレックスを抱えているメンバーがスカウトによって集められ結成されたグループで、メンバーはKOYA、RION、RYUICHIRO、RIKITO、JOSH、YUIの6人からなる。


◆ミュージックビデオ

さらにODDLOREは、ももいろクローバーZ、ドレスコーズ、FNCYなどが所属するEVIL LINE RECORDSと、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』や超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』などを手掛けるDazedがタッグを組んだプロジェクトでもある。

ODDLORE公式ホームページを見るとこんな文章が書かれている。

   ◆   ◆   ◆

立ち行かないことばかりの人生に鬱屈とした想いが募っていく。
世界中のどこにも、本当の自分を理解してくれている人はいない。
終わりのない悪い夢のような、この日常から抜け出せたのなら、
どんなに素晴らしい景色が見られるのだろうか。
それぞれの孤独を抱いて6人は目を瞑った。

   ◆   ◆   ◆

プロローグのようなこの文章を読むと、今後のプロジェクトを通じて6人それぞれが抱えるコンプレックスや個性が徐々に明らかにされていくのではないかと予想される。現在、華やかな経歴を持ってデビューするボーイズグループが少なくない中、全く新しいタイプのボーイズグループとなりそうだ。そして、多種多様な悩みを持つ現代人、自分が何者なのかと悩む若者などに寄り添い、象徴するようなグループになっていくのではないだろうか。しかし、現時点で彼らに関する情報はほぼ開示されていない。音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク –Division Rap Battle-』のように、徐々に明かされていく情報を組み合わせ考察していく面白さも味わえそうだ。

そんなODDLOREは2月18日に「Hazed Reality」、25日に「Lucid Dream」という2つの楽曲をリリースし、デビューを果たしている。この2曲は「現実」と「夢」という対極な世界が表現されおり、楽曲の雰囲気も全く異なっている。グループを違った角度から切り取り、多面性を表しているというわけだ。


「Hazed Reality」では、暗い現実を夢と思い込み、現実と夢の狭間を行き来するような不思議な世界観が味わえる。歌詞を見ても現実と夢の区別が曖昧になっているような印象だ。例えば、“ひとつだけ掬い上げた灯に触れて 鳩尾に響かせる What am I ?”、“逃げる程近づく痛みを払いのけるように また夢に沈む never rise”の部分などがわかりやすいだろう。さらに、自分が何者なのかまだ受け止めきれていないような現実への悩みや葛藤も感じられる。

「Lucid Dream」は、「明晰夢」というタイトルの和訳通り、理想の自分を夢想した世界が描かれているように見える。歌詞もストレートで挑戦的な強い言葉が使われており、「Hazed Reality」とは真逆の自信に満ち溢れたようなメンバー一人ひとりの思いが書かれている。一方で、サビでは“出来るならずっとこの場所にいたい”という言葉からも想像できるように、この場所が「明晰夢」の世界と自覚し、現実ではないと気付いている様子も見て取れる。

そして、各曲のリリース日に合わせて公式YouTubeチャンネルにミュージックビデオも公開されている。このミュージックビデオが非常にシンボリックに楽曲の世界観を表している。そして考察しがいも抜群だ。



まずは「Hazed Reality」から見てみよう。ミュージックビデオをひと通り見て一番印象に残るのは、メンバーが入っている巨大なガラスショーケースだろう。ショーケースの中に窮屈そうに閉じこもっていたり、もがいていたりするメンバーの姿を見ると、ショーケースの中が苦しい現実だと想像できる。一方でショーケースの外でパフォーマンスするメンバーを見ると、歪んでいたり、動きが鈍くなっていたり、背景が非現実的な世界になっていたりする。これはショーケースの外が夢で、夢の中のあの独特の荒唐無稽な感覚を表しているのではないだろうか。

ここで、ODDLOREが多種多様な悩みを持つ現代人を象徴している、という仮説を思い出してもらいたい。歌詞の“Authority Blood Sex Family Looks Sense”のシーンではメンバーの顔のパーツがコラージュされている。口が3つになって左にズレていたり、どこか怒りを含んだような表情の目が付け加えられていたりするのだが、これは人間誰しもが持つ二面性、多面性を表しているようにも見えてくる。

次に印象的なのは、シーンのループだ。顔のパーツがコラージュされているシーン然り、ミュージックビデオ全体で同じ場面がループしているシーンが多い。さらに最後のリップシーンではメンバーが雨に打たれているのだが、よく見ると雨粒が重力に逆らい上に上がっていっている。メンバーがショーケースの中の現実世界にいるのだろうが、ショーケースの外では上に向かって雨が降るという、現実ではありえないことが起こっている。また、この雨の逆再生以降、これまでのシーンが走馬灯のように早回しで逆再生され、ポピー畑が燃え広がる前のシーンでMVが終了する。
ここでも現実と夢の狭間を行き来するような不思議な世界が表現されている。



次に「Lucid Dream」。明晰夢を実際に見たことがある方はわかると思うが、明晰夢では夢の世界の自分を思い通りにコントロールできる。そのやりたい放題の世界での無敵感がこのミュージックビデオにも表れている。例えば、まるで足を踏み鳴らし挑発するようなダンスを踊っているサビの部分などは象徴的だろう。

そして、途中、無表情のマネキンのようなメンバーに結晶らしきものが張り付いているシーンがある。それに注目して見ると、曲が終わりに向かうにつれてその結晶が砕けていることがわかる。これは夢の中では、抱えているコンプレックスに囚われないということを象徴しているように思える。

一方各メンバーが椅子に座っているシーンが度々出てくるが、メンバーはうつむき加減で暗い空間にいるため表情が見えない。まるで、理想の自分と現実の自分とのギャップに打ちひしがれているようにも見えてくる。


ちなみに、メンバーのソロラップパートの後ろに映っている映像にも注目だ。鮮やかな3Dグラフィックが背後のLEDモニターに映し出されているが、メンバーそれぞれ異なる特徴的な映像が印象に残る。これはメンバーが抱えるコンプレックスとなにかつながりがあるのかもしれない。


そして、「Hazed Reality」と「Lucid Dream」の2つのミュージックビデオに共通して登場しているのがショーケースとポピー。白いポピーの花言葉には「眠り」や「忘却」という意味があり、ここにも夢や現実につながるキーワードが隠されている。「Hazed Reality」の終盤ではショーケースの外に多くのポピーが咲き誇るシーンがあり、そこが眠りの中、つまり夢であることが表されている。一方「Lucid Dream」ではショーケースの中にポピーがあり、現実では眠りについているとも推測できる。しかし2つとも最後にポピーが燃えている。つまり眠りから覚めて、ODDLOREというグループが覚醒したことが表されているとも取れるのではないだろうか。

現状公開されている情報からの考察ゆえ、デビュー曲2曲に関してもまだまだ謎に包まれている部分は多い。この先次々と新たな情報や作品が発信されるとのことだが、その情報を元に「Hazed Reality」と「Lucid Dream」に立ち返ってみると新たな事実が見えてくるのではないだろうか。この先彼らがどんな作品を発信するのか、どんなストーリーを見せてくれるのか。考察を楽しみながら、次の一手を心待ちにしたい。

文◎高橋梓

「Lucid Dream」

作詞:Amon Hayashi
作曲:maeshima soshi・KOUDAI IWATSUBO・Amon Hayashi
編曲:maeshima soshi

各種音楽配信サービスはこちら:https://oddlore.lnk.to/2ndsg

「Hazed Reality」

作詞:弥之助 (from AFRO PARKER)
作曲・編曲:横山 克
配信中
各種音楽配信サービスはこちら:https://oddlore.lnk.to/1stsg

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