【コラム】Mrs. GREEN APPLE、フェーズ2開幕 “フェーズ1の延長ではない”
またしても、突然だった──3月14日、午前9時。東京・渋谷で、JR渋谷駅ハチ公口大型看板と渋谷スクランブル交差点の大型ビジョンがジャックされ、フェーズ2開幕にともなう新ロゴをいきなり発表。その日からカウントダウンが始まると、3月18日午後9時、これまたいきなり、フェーズ2の開幕を宣言。そのファンファーレとも言うべき、1年8ヵ月ぶりの新曲「ニュー・マイ・ノーマル」ミュージックビデオが公開、即、デジタル配信リリースされた。
◆Mrs. GREEN APPLE 動画 / 画像
2022年春のミセス再始動は昨年夏には告知されており、ファンはみな、今か今かとソワソワしていたタイミングだったに違いない。そうは言っても、ここまで一気に“こと”が動くとは想像していなかった。だからこそ、3月18日以降に公式から怒涛のごとく発表された“幸せな情報過多”に喜びが追い付かず、嬉しい悲鳴をあげている人は少なくないだろう。そこでまず一度、現在(3月27日)までに公にされた情報を整理しておこう。
・3月18日、フェーズ2開幕
・新曲「ニュー・マイ・ノーマル」MV公開&デジタルリリース
・大森元貴、ファンクラブブログを更新~「休止について」
・Instagramのメンバー個人アカウントを開設
・4月01日、『ミュージック・ステーション』出演決定
・7月08日、ミニアルバムリリース決定
・7月08日、一夜限りのアリーナ公演開催
・8月20日、<SUMMER SONIC 2022>出演決定
既にこれだけの事柄が告知されており、新しいニュースは今後、まだまだ増えていくに違いない。まさに“お祭り騒ぎ”状態だが、ミセスの本質は、やはり音楽そのもの。新曲「ニュー・マイ・ノーマル」ミュージックビデオは、公開一週間後の3月27日時点で既に200万回再生を記録。この数字は、単に再始動が喜ばれているだけでなく、楽曲そのものがリスナーから広く支持を集めている証だ。そこで本コラムでは、フェーズ2の開幕にあたり、彼らが発信した「ニュー・マイ・ノーマル」にフォーカスを当て、深層を探ってみたい。
▲デジタルシングル「ニュー・マイ・ノーマル」ジャケット
まず、タイトル。“ニュー・ノーマル”という言葉自体は、コロナ禍のように社会に大きな変化が生じた際、それが終わった後に元の状態に戻るのではなく、新たな常識が定着することを意味するキーワード。いわゆる“新しい日常”だ。そこにミセスは“マイ”と付け加えた。
フェーズ1を完結させたミセスは、活動休止中に大きな変化を迎えた。そこには、事前には想定されていなかったメンバー2人の脱退という残念な出来事も含まれるが、ポジティヴな面でも、フロントマンの大森元貴はこの期間に積極的なソロ活動を展開し、ソングライティング力を大きく拡張させる音楽性と表現力を手に入れた。そして若井滉斗と藤澤涼架もミュージシャンとして、地力を蓄えた1年8ヵ月だったと言える。そう、遂に始まった彼らのフェーズ2は、どこまで本人たちが意図していたかどうかは分からないが、明らかにフェーズ1の延長ではなく、「ニュー・マイ・ノーマル」、つまりミセスの新たな日常がいよいよ始まったことを意味している。
その新曲で歌われている内容はというと、これは歌詞を綴った大森からの“手紙”のように思えてならない。今の自分の気持ち、活動休止中に考えていたこと、ファンへ伝えたいこと、若井と藤澤へのメッセージ、そしてバンドを去っていった2人への想い。そのすべてをメロディに乗せることで、バンドのひとつのヒストリーを成す物語を作り上げている。その一言一句を拾い上げ、その行間を読み解こうとすればキリがないが、中でもひときわ筆者の耳に残った言葉が、“いつもあなたに伝えたくても/言葉に出来ない私です”の一節だった。
ミュージシャンは大きくわけて、“感情を言葉で明確に言い表せるタイプ”と、“言い表せられないからこそ音楽を作っているのだというタイプ”に分けられる。その比率は、あくまでも筆者の肌感覚ではあるが、2:8あるいは1:9くらいで、後者のタイプが大多数だと思われる。だが大森は、きっと前者、つまり言葉できちんと感情を伝えられるタイプだと筆者は認識している。その彼が、「言葉に出来ない」という想い、感情、伝えたかった気持ち。それを想像すると、フェーズ1の5年間、そして活動を休止した1年8ヵ月間に、大森が何を考え、感じたのか、その喜怒哀楽の重みが、より深く沁みてくる。
そんな“手紙”の文面を、前向きに、明るい未来に目を向けながら華やかにリスナーに届けてくれるのが、新生ミセスのアンサンブルだ。大きなブレスから始まる大森の歌は表現力も音域も大きく拡張されており、若井のギターは、時に音楽を支え、時に音楽を牽引し、まさしく言葉にならない気持ちの抑揚を描いている。そして藤澤はさまざまな音色で楽曲を彩りつつ、歌の背景の景色を滑らかに移ろわせていく。そんな若井と藤澤が交互にプレイするソロパートも聴きどころだし、大森のファルセットやサビでの転調、まるで演劇の舞台でシーンが変わるようにアレンジが展開してく構成など、音楽的にも非常によく練られた楽曲だが、新生ミセスという目線で一番強く感じたのは、音の説得力だ。
これまでミセスの楽曲は、鮮やかなサウンドが幾重にもレイヤーされているカラフルさが大きな魅力だった。その魅力は変わらずに、新曲ではさらに、それを構成するサウンドに、より一層磨きがかけられているように感じる。分かりやすく例えるならば、見た目で楽しませるインスタ映えが魅力のスイーツが、見た目の印象は大きく変わらず、しかし使われているクリームがものすごく濃厚となり、フルーツがより美味しく甘いものに変わったかのような、そんな“旨味”を新曲に感じた。もっと別の言い方をするならば、同じ時速100kmのスピードで車を走らせていても、軽自動車で出すギリギリのスピード感ではなく、エンジンの排気量が大きい高級車に乗っているかのような余裕のあるスピード感。このように、大森のボーカル、若井のギター、藤澤のキーボードに安定感が増している。これこそが、1年8ヵ月間という歳月を彼らが必要とした意味なのだろう。
そして公開されたMVも、これまた凝りに凝った内容となっており、いかにも彼ららしい細かな演出が画面いっぱいに散りばめられている。意味深な表現も多数見受けられ、それらが何を意味しているのか、ファンの間では、早速SNS等でさまざまな謎解きや考察が行われている。
まず目を引くのが、曲の冒頭から大森が手にしている黄色いガーベラ。花言葉は“希望” “常に前進”といったポジティヴなもので、さらにカラーが黄色となると“究極の愛”となる。そして、デビュー記念日の7月8日を彷彿とさせる“7時8分”を指している壁掛け時計、ラスサビで演奏パフォーマンスを披露するシーンでは、バックのグリーンパネルに脱退した2人の元メンバーの名前と彼らに対するメッセージを忍ばせるなど、明確に目で確認でき、はっきりと理解できるものだけでも、この曲に対する3人のさまざまな想いが伝わってくるようだ。そして、フェーズ2という新たなるスタートで大森が手にしているギターは、彼がアマチュア時代から愛用するフェンダー・テレキャスター。大森が高校1年生の時、若井と一緒に楽器店に行き、そこで購入したというギターだ。これもまた、特に初期からのファンにはグッとくるポイントだろう。
しかし、謎解きという点では、もっと大きな謎が残っている。大森は活動休止中のインタビューで、「誤解を恐れずに言えば、いい意味でも悪い意味でも“フェーズ2”って、ものすごく期待を裏切るものになると思うんです」「日本人は、すごく不得意なものが始まると思うんですけどね(笑)」といった意味深な発言を繰り返してきた。しかし新曲「ニュー・マイ・ノーマル」は、まさしく大多数のファンが待ち望んでいた、いかにもミセスといった理想像そのものだった。
……となると、「ファンの期待を裏切るもの」とは一体何なのだろう? 「日本人に不得意なもの」の正体とは? フェーズ2が始まれば明らかになると思っていたことが、余計に謎が深まってしまった。ミセスのフェーズ2がこの先、一体どういう展開を見せるのだろうか。こうやって彼らは、まだまだ僕らをワクワクさせ、ドキドキと楽しませてくれるのであった。
取材・文◎布施雄一郎
■Digital Single「ニュー・マイ・ノーマル」
https://lnk.to/mga_nmn
■ミニアルバム
【完全生産限定盤CD+DVD+GOODS】UPCH-29432 ¥6,600(税込)
【初回限定盤CD+DVD】UPCH-29433 ¥2,530(税込)
【通常盤CD】UPCH-20620 ¥1,980(税込)
▼完全生産限定盤GOODS
(1) ビッグシルエットTシャツ (ワンサイズ)
(2) Highloop スマホストラップ&ステッカーセット (ステッカー7種)
▼完全生産限定盤 / 初回限定盤特典DVD
・「ニュー・マイ・ノーマル」 Music Video (Album Edition)
・フェーズ2開幕への歩みを追ったドキュメント映像
ほか収録予定
■チェーン別オリジナル特典■
・ユニバーサルミュージックストア: 告知ポスター[B2]&クリアファイル[B5]
・タワーレコード:ポスタータワーレコードver.[B2]
・HMV:ポスターHMV ver.[B2]
・TSUTAYA:ポスター TSUTAYA ver.[B2]
・セブンネット:モバイルスタンドキーホルダー
・楽天:アクリルキーホルダー
・Amazon:メガジャケ
・応援店特典:ポストカード
※応援店特典は、オリジナル特典が付く店舗、オンラインショップは対象外となります。
※特典は先着となり数に限りがございます。
※一部、特典の取り扱いのない店舗がございます。予約の際にご確認ください。
■<ぴあアリーナMM公演>
開場17:30 / 開演19:00
▼チケット
全席指定¥9,200(前売・税込)
※詳細はオフィシャルサイトでご確認ください。
【「Ringo Jam会員限定」チケット最速先行受付(抽選)】
2022年7月8日(金)発売のミニアルバムを予約購入したオフィシャルファンクラブ「Ringo Jam」会員限定でチケット最速先行受付(抽選)に申し込みができます。
詳細:https://www.universal-music.co.jp/mrsgreenapple/newmynormal/
申込受付期間:2022年3月18日(金)21:00 〜4月17日(日)23:59
※申込時にチケットぴあ会員登録(無料)が必要となります。
■シリアルナンバー施策対象店 / 予約期間■
▼オンラインショップ
予約期間:2022年3月18日(金)21:00〜
※予約終了日はショップによって異なります。詳しくは各ショップページにてご確認ください。
・UNIVERSAL MUSIC STORE
・Amazon
・タワーレコード
・HMV
・TSUTAYA
・セブンネット
・楽天
▼店舗
予約期間:2022年3月28日(月)〜4月17日(日)
※店舗毎にシリアルナンバー用紙の数に限りがございます。
・タワーレコード(全店)
・HMV (HMV Records Shopは除く)
・TSUTAYA (一部店舗のみ)
■抽選結果発表:2022年4月23日(土)18:00〜(予定)
(問)ユニバーサル ミュージック カスタマー・サービスセンター
TEL:0570-044-088 (月〜金 10:00〜18:00 ※祝/祭日をのぞく)
メール:http://www.universal-music.co.jp/faq/
※メールでの問い合わせの場合、返信までに時間がかかる可能性がございます。
■テレビ朝日系『ミュージックステーション 春のレジェンド曲3時間SP』
Mrs. GREEN APPLE出演決定
※演奏曲「ニュー・マイ・ノーマル」「インフェルノ」
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