【インタビュー】工藤晴香「宇宙って未知の世界だから魅力的に感じちゃう。見上げたら絶対にあるものだし」

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工藤晴香1stフルアルバム『流星列車』がリリースされた。全曲工藤晴香が作詞を担当し、まるで旅をしているかのような気持ちになる全12曲。最後はちょっぴり切なさもあるが、とても前向きで終わるアルバムになっている。難易度の高い楽曲を表情豊かに歌い上げていく工藤晴香のボーカルも圧巻だ。5月4日はライブの開催も決定しているので、ぜひアルバムを聴き込んで参加してほしい。

■自分の名義で活動をしているので
■自分の言葉で伝えたい


──1stフルアルバム『流星列車』がリリースされました。今回も全曲作詞となりますね。

工藤晴香(以下、工藤):フルアルバムは出したいとはずっと思っていて、それを出すからには全部新しい曲で行きたいという考えはありました。大変なことも分かっていたんですけど、やるからにはちゃんとやりたいと思ったんです。

──シングル曲もありますが、ほぼ新曲ですからね。最初からコンセプトを立てて作っていったのでしょうか?

工藤:最初からテーマを決めたいとは思っていたのですが、そのコンセプトがなかなか決まらずどうしようかなと思っていた中、詞を書いていたんです。わりと最初の段階で「旅立ち」ができたときに、良い歌詞ができたと思って、この曲をベースにアルバムを作っていこうというのが決まったんです。


▲『流星列車』【初回限定盤】


▲『流星列車』【通常盤】

──列車というのはキーワードになっていった気がしますが、アルバムタイトルも最初に付けて?

工藤:アルバムタイトルは最後に付けました。実は曲名も最後に付けているんですよ。「旅立ち」というタイトルも、アルバム曲が全部できてから決めたんです。

──歌詞のテーマとかは、作曲の平地孝次さんには伝えるのですか?

工藤:アルバムを作るときに、バラードや展開が目まぐるしい曲など、こういう曲を作ってほしいですというオーダーを平地さんに投げているので、歌詞のテーマなどは伝えてはいないんです。なので、まずデモができて、いただいたものから歌詞を書いていく感じになります。ただ、最後に収録されている「Tread this Earth」に関しては、早い段階でデモが来ていたんで。でも、“良い曲過ぎてまだ歌詞は書けない!”と、レコーディングを一番最後にしてもらいました。なので、デモが届いて3ヶ月くらい書けなくて放置している曲もありましたね(笑)。

──声優の仕事もしながら、歌詞は自分ひとりで書くのは大変かと思いますが、それでも書くのは、やはり歌詞を書くのが好きだからですか? それとも自分の言葉を歌いたいからですか?

工藤:やっぱり自分が書いたものを歌いたいという気持ちが強いです。そのほうが歌いやすいと思いますし。ほかの方が書いた歌詞を歌うこともありますけど、せっかく自分の名義で活動をしているので、それならば自分の言葉で伝えたいという思いがあるんだと思います。

──1人で書く利点でもあるんですけど、曲同士のつながりがあるように感じたんですよね。

工藤:そうですね。ライブのために先に作った曲ですけど、「Cry for the Moon」と「Under the Sun」、そこから一番最後の「Tread this Earth」はつながりを意識して書いています。タイトルも、地球と月と太陽ですし。

──出会って分かれて、それぞれの道を歩き出すという流れを感じますが、主人公的にもつながっている感じがしますね。

工藤:一応つながってはいるんですけど、曲単体でも聴けるようにしたかったので、そこは考えて書いていました。「Under the Sun」の主人公は羽ばたけているんですけど、「Cry for the Moon」では羽ばたかないんです。ずっとその場所にとどまっている。でもそれでいいという曲なんですけど、そこから動き出して、最後の曲で、離れ離れだけど、月と太陽がお互い共に歩いているという感じにしました。

──「Scar」も内容的にはリンクするのかなと思いました。

工藤:そこも確かにつながっていますよね。わりと「Cry for the Moon」の続編という感じで書いています。

──そうやって考察できるアルバムだし、それは1人で書いているからこそなんだろうなと思いました。違う曲で同じ歌詞が入っていたりするのも面白いですし。

工藤:結構それはやっていますね。「Cry for the Moon」で英語で歌っているところを、「Under the Sun」では日本語で言っていたり……。

──他の曲とのつながりとかも独自で考えたら面白いかもしれない。ちなみに激しい曲が多かったのは、ライブを意識しているからですか?

工藤:そうですね。ライブも意識しているし、私自身がラウド寄りのサウンドが好きというのもあって、多めになっています。



──全曲を振り返っていただきたいのですが、まずコンセプトのきっかけとなった「旅立ち」ですが。

工藤:始まりなんですけど、実は曲の中で一度終着駅に辿り着いているんです。でも、言いたかったことは最後に集約されていて、終着駅だけどそこからまた始められるし、それを終点と決めるのも自分自身だということなんです。まだまだ可能性はあるし、旅は続いていく。答えなんてないよっていう。

──アレンジ的にもその思いは込められていて、後半で曲がまた始まったみたいな感じになりますよね。

工藤:そうなんです。終わったと思いきや、またエモーショナルに始まっていくんです。

──「Cry for the Moon」はリード曲で、“ないものねだり”みたいな意味もある言葉なんですね。これはアニメ主題歌でもいいのではないか、くらいの強い楽曲でした。

工藤:今までの曲も、わりとアニメの主題歌意識で曲を書いているんですよ(笑)。この曲は、ソロデビューしてから初のライブで初披露した曲なんです。コロナ禍の状況だったので、2年目にライブがやっとできたんですけど、そこでサプライズで披露しました。ポジティブな曲が多い中で、渇きというか、絶望というと悲しすぎるんですが、満たされない想いや承認欲求……そういう虚しさを書いてみたいと思ったんです。


──曲の構成もカオスだったので、歌詞にもすごく合っていますよね。続く「Utopia」でも、まったく勢いを緩める気はないなという感じでした。

工藤:これはタイトルのまま“楽園へ”ということです。行きたい場所について書いている感じなんですけど、もともと宇宙が好きで、宇宙に行く曲を書いていくうちに、こんなふうになってしまったという(笑)。

──聴いたときに、銀河鉄道999のような光景が思い浮かびました。

工藤:わりと全体のテーマでは意識しました。そんな中でそれぞれが思い描く楽園があるんだろうなということで、私の中での楽園はこう!っていう感じです。その先に何があるかは分からないけど、がむしゃらに突き進むみたいな感じだし、〈嫌いな人にお別れを〉と歌っているから、私の嫌いな人は、ここにはいないんでしょうね(笑)。

──「Supernatural」はライブ曲ですね。

工藤:昨年9月のライブで初披露したので、完全にライブ仕様で書いています。初披露なのにすごく盛り上がったんですよ。新曲ってノリも分からないじゃないですか。でもサウンドがめちゃめちゃ分かりやすくライブ映えするのでノッてくださって。歌っていても最高に楽しいので、ライブでも歌い続ける曲なんだろうなと思います。

──「HOPE」で、やっとミドルテンポの曲が来ました。

工藤:歌詞は全部日本語なんですけど、洋楽っぽい曲です。バラードやミドルバラードは英語少なめでいきたいということは平地さんに言っていて、日本語に当てはめやすいメロディにしてもらっています。アップテンポな曲は裏のリズムだったりすることが多いので、日本語があまりハマらなかったりして、それで英語を混ぜているというのもあるので。

──この曲は、青春っぽい感じと、情景が見える感じがしました。

工藤:ありがとうございます! バラードでは特に情景が見える歌詞にしようと思っているんです。情景が浮かばないままスローテンポの曲を聴いているのってしんどいと思うんです。まったく想像ができない小説を読まされているみたいな感じ(笑)。なので純文学過ぎないようにしたい、分かりやすさを大事にしたいとは思っていました。

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