【インタビュー】酒村ゆっけ、「期待と楽しみと可能性で、どんどん創作欲が膨らんでいる」

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とにかく美味しそうにお酒を飲む姿と独特のワードセンスが光る語り口で人気のYouTubeチャンネルは、現在登録者数70万人を突破。エッセーや小説も高い評価を得ているクリエイターの「酒村ゆっけ、」が、今年1月にアーティストデビューを果たした。3月には1st EP『ほろよいミッドナイト』をリリースし、4月にはツアーも開催。「期待と楽しみと可能性で、どんどん創作欲が膨らんでいる」という彼女に、自身が作詞を手掛けているEPについてはもちろん、これまでの経緯や音楽活動における抱負などを聞いた。

■唯一無二の言葉を作って広げてみんなが使ってくれているのは嬉しい
■自分の中の根幹ではあるので「ネオ無職」は広げていきたいですね


──いろんな肩書きをお持ちの酒村ゆっけ、さんですが、普段自己紹介をお願いされたらどんな風にお答えになっているんですか?

酒村ゆっけ、:基本的には「読める酒テロ動画を日々出しています」とお答えすることが多いですね。「酒テロクリエイター」とか「作家」とお答えすることもあります。

──どの入り口から入るかによって、ゆっけ、さんに対するイメージも違うでしょうね。

酒村ゆっけ、:そうですね。いろいろと活動させていただいているので、人によっては捉え方が全然違うのかもしれないと思います。

──もともとは映画会社に勤めていて、退職されたのが転機になったそうですね。

酒村ゆっけ、:会社を辞めなかったらSNS活動などもしなかったと思うので、そこがいちばんの大きな転機だったのかなと個人的にも思っています。もともと映画が好きで、大学時代は自主映画制作サークルに入っていました。何か作るとかそういうガチな感じではなくお遊びサークルみたいな感じでしたけど。卒業後は映画の会社に入ったんですが、自分は好きな映画を見て良いと思った作品を紹介するみたいなことが好きなのであって、単純に映画だからという理由で入ったところとのギャップが生まれてしまったんです。自分の好きな映画以外も扱わなくてはいけないとか、こうしたいと思うことがあっても、会社なのでなかなか意見が通りにくかったりとかして。映画を好きなままでいたいし、より自分なりの方法で広めたりしたいなという思いもあったので、なんとなく「まだ若いし、新卒だからなんとかなるでしょ」っていうことで早々に退職してしまいました。

──その場所で好転するのを待つよりも、自分で何か新しいことをやってしまおうみたいな?

酒村ゆっけ、:新しいことを何かやろうっていうような明確な意思を持って辞めたというわけではなく、単純に、このままだと映画が嫌いになっちゃうかもなっていうのが大きいですね。どちらかと言えば、会社に入って集団とか組織で動くのが昔から苦手だったんです。一匹狼で、自分だけで動きたいなと思って、辞めてからは自分なりの発信方法──レビューとか、文章を書くのは好きだったから何かやろうかなと思い、趣味で今の活動に繋がるようなことを始めました。

──お酒が好きで、文章を書くのが好きで、発信するのが好き。自分の好きなことを連動させた結果なんですね。

酒村ゆっけ、:そうですね。自分の好きなことと得意なことを、興味本位というか趣味程度で、時間が有り余っていたのでなんとなく始めたら、評価していただけることが増えて、自分もそれが楽しくて、今も続けているという流れです。

──先ほどの肩書きの話ではないですが、「ネオ無職」という言葉も生まれましたよね。

酒村ゆっけ、:最初の頃は「ネオ無職」としてやらせていただいていたんですが、最近はいろいろと活動させていただくことが多くなっちゃったので、むやみやたらに使ってもいいのかなと思いながらなんですけど(笑)。使う頻度は下がっちゃいましたが、自分の中の根幹ではあるので「ネオ無職」は広げていきたいですね。

──そんな風に自分なりのワードを作ったり、キーワードを探したりするのは日頃から意識的にされているんですか?

酒村ゆっけ、:はい。書くことがいちばん得意というか軸として活動をしているし、「ネオ無職」しかり、文化の発信じゃないですが、唯一無二の言葉を作ってそれを広げて、みんなが使ってくれているのは嬉しいなっていうのもあるので。そんなにたくさん語録があるわけではないですが、キーワードや文章、言葉を創作することを日頃から取り入れて、世界観を維持しています。


──今年1月には「ほろよいミッドナイト」と「アルコールは魔法だね」の配信が始まり、3月に4曲入り1st EP『ほろよいミッドナイト』もリリース。アーティストという新たな顔も生まれたわけですが、皆さんからの反響はいかがですか?

酒村ゆっけ、:これまでの私を知っている人からすると、結構ギャップ──まぁ、新たな一面を感じている人が多いのかなと思っていて。もともと音楽が好きで、歌詞にインスパイアを受けたりしていることも認識はしてくれていると思うんです。でも歌う側になるというか、表に出るというか、視聴者さんと実際に会える機会がライブで増えたので実在しているんだと驚いている方が多いのかなって思ってます。ノンフィクションです。

──ゆっけ、さん自身は、アーティストになるということで意識としての違いを感じたりしていますか?

酒村ゆっけ、:一度ライブをやらせてもらったんですが、そこに立つまでは画面の中だったのでなんとなく延長線な感じがしていたんです。でも舞台に立つと一気に、もっと勉強というか、このステージでもっと面白いことできないかなぁとワクワクなシンキングタイムに突入しました。

──目の前にお客さんがいるということが火をつけたみたいな?

酒村ゆっけ、:そうですね。やっぱり表現するのが好きなので、自分にしかできない世界観をどうやったら音楽の中で見つけられるのかなっていうのを最近はよく考えるようにもなりました。

──そういうことを考えている時って、興奮しません?

酒村ゆっけ、:期待と楽しみと可能性で、どんどん創作欲が膨らんできます。現実的にできるかどうかはわからないけど、そういうクリエイティブが好きなので生きがいを感じるところではあります。

──今回のデビューのきっかけは、YouTubeでの活動が繋いだご縁みたいなことですか?

酒村ゆっけ、:YouTubeというよりも「酒村ゆっけ、」としての活動ですね。その文脈で知り合った方々と一緒に音楽を始めるっていうきっかけを与えてくださった感じです。もともと音楽が好きで、歌詞からインスパイアを受けていて、動画でもそういう言葉の力をパロディーで入れさせていただいたりする中で、音楽活動というのもいいんじゃないかっていう話になって。気づいたら、という感じです。

──ちなみにゆっけ、さんはどんな音楽を聴いて育ったんですか?

酒村ゆっけ、:アニメとかが好きで、その中でもニコニコ動画の世代だったのでボーカロイドを聴いていました。プロの方もそうですが、一般の方とかみんなで音楽を作り上げていって、「初音ミク」という等身大の歌姫を作り上げる──。そういうのを見て来たので、やっぱりそこから音楽が好きになった感じでしたね。ボーカロイドで見せてくれた音楽は、物語があると思うんです。1本の短い映画を見ているようなものが多かったんですよね。そういうところにすごく惹かれて、中学から高校くらいまではボーカロイドばかり聴いていました。MVとの親和性もあったのかなと思うんですが、映画みたいだなって思いながら。歌詞を「いいな」と思うようになったのは大学時代からでした。

──大学時代は、軽音楽部にも入っていたそうですね。

酒村ゆっけ、:軽音サークルにいました。最初はギターをやろうかなと思っていたんですが、覚えられなくて苦しい思いをしたのでギターはやめて。

──じゃあ、ギターはその後に弾き始めたんですか?

酒村ゆっけ、:ギターは今も一応持ってはいるんですが、Dコードぐらいしか鳴らしてないです(笑)。

──でも「ジャーン!」と鳴らせるだけで、ステージ映えしますよね。

酒村ゆっけ、:そうなんですかね(笑)。逆に「これしか弾けない」っていうシュールなところも世界観構築になるのかなって、勝手に良い方向に捉えています。でもギターのプロたちが周りにはいっぱいいそうなので、これからもうちょっと覚えるべく、いろいろ教えてもらえたらなって思っています。

──ではボーカルの面はどうですか?普段のナレーションもすごく魅力的で、声優さんのような声だなと思っていました。

酒村ゆっけ、:授業でプレゼンなどをした時に「声優みたいだね」って教授に言われたような記憶はあるんですが、自分自身はそんなに気にしていないです。とりあえず突っ掛からずにスラスラ読めることに快感を感じるので、声に関してはそれくらいですかね。ボイストレーニングなどもやっていないです。お酒を飲んでちょっと酔っ払っていた方が良い感じに歌えるんじゃないかなって思うので、ボイトレは飲酒することです(笑)。

──カラオケも、飲みながらの方が歌えたりしますしね(笑)。

酒村ゆっけ、:歌いやすいですよね。音程がどうなってるかとかはよくわからないですが、歌っている本人は楽しいなって思います(笑)。

──カラオケではどんな曲を歌います?

酒村ゆっけ、:カラオケに行く時は大体居酒屋が閉まった後とかだから、テンションが上がるヤバイTシャツ屋さんとか、(JITTERIN'JINNの)「プレゼント」とか。お酒がよく回る歌として大学時代から仕込まれて来たので、カラオケではそういうみんなで楽しめる歌を歌うことが多いですね。

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