きゃない、初ツアー＜東京大阪二股編＞ファイナルで「今が幸せです」

きゃないが自身初のツアー＜きゃない LIVE TOUR 2022「東京大阪二股編」-関西弁も可愛いんやけど標準語かて素敵やん？-＞を開催した。同ツアーより4月8日の渋谷Spotify O-EASTファイナル公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆きゃない 画像

TikTokに投稿したオリジナル曲「イヌ」の路上ライブ動画が即時 200 万回再生を記録するなど、2022年の飛躍が期待されるシンガーソングライターがきゃないだ。2021年12月に初のフルバンドワンマンライブを実施。それから約4ヵ月後、自身二度目となるフルバンド形態にて行われる自身初のツアーが＜きゃないLIVE TOUR 2022 東京大阪二股編＞となる。



定刻通り、暗転したステージにエレキギターを肩にかけたきゃないの姿がステージに浮かび上がると「革命」からライブがスタート。リズミカルなドラムをきっかけに「エトセトラ」と続くが、1曲目からギターの弦が切れてしまうというハプニングが発生。ギターを持たずにハンドマイクで客席を煽りながらステージを駆け回ったきゃないは、そこからスタンドマイクで「一等星」を連続披露して会場のボルテージを徐々に上げていく。

「この大きな会場が嬉しくもあったが、新しい壁を目の前に提示された気持ちです。僕だけじゃなく皆さんも一緒の気持ちで、僕と同じ目線で楽しんで喜んでほしいし、一緒に進んでほしい」──きゃない

「ハプニング、大好き」と最初のMCでギターの弦が切れてしまったという思わぬアクシデントに触れながらも、こうメッセージを発した。そして5月には楽曲リリースを予定していることを発表し、リズミカルなドラムインからその「紫陽花」を演奏した。



さらに、ピアノのイントロから始まったのは、きゃないを代表する曲のひとつ「イヌ」だ。優しく温かい歌声に観客は耳を傾け、続くミドルバラード「花火」でアコースティックギターの美しい音色が鳴り響く。花火の打ち上がる音や風鈴の音と共にドラマチックな演出が夏を感じさせた。

「夏休み」や「おまけ」といったナンバーは、路上ライブではなかなか聴くことのできないもの。ライブ映えという意味ではアップチューンの楽曲にはフルバンドならではの躍動感が漲るなど楽曲の幅広さも堪能できる。そして次にきゃないのギター＆ボーカルから演奏されたのは「私の半分」だ。たった人の演奏でもバンドに劣らない力強さを感じさせたのは、路上で培ってきたものなのだろう。


「誰にも傷ついた日々があって、不幸だから音楽に共感して僕らは出会えた。そんな今が幸せです」──きゃない

というMCから、新曲「ネガティブフライ」を披露し、“何にも縛られず生きていたいよ”と力強く歌い上げた。今回初の試みとして、ハンドマイクでの歌唱を準備してきたという「ネコ」を軽快に、続けて、リリースされたばかりのピアノの旋律が印象的な楽曲「バニラ」へ。幸福感に満ちた楽曲に会場が一体となり手を左右に揺らした。

「この場所に来てくれて本当にありがとう。自然と手を振ってくれた今の「バニラ」はとても幸せでした」──きゃない

MCする予定ではないところで、思わずファンへの感謝が溢れるほど、エモーショナルな雰囲気に溢れる瞬間となった。そして本編最後を飾ったのは、ポップでアップテンポな「サイダー。きゃないの「ワンツー！」の掛け声で演奏がスタートし、会場はこの日一番の盛り上がりを見せて本編の幕を閉じた。



アンコールで再びステージに現れたきゃないは、“全員死ねよ君以外は”という歌詞で始まる「人間」を生き生きと奏で、「本当の意味で越えることができない曲なのかもしれない」と人気曲「コインランドリー」を最後に披露した。

「今日はとても良い日でした！ またライブに来てください！」──きゃない

と伝えてステージを去ったきゃない。路上ライブを主戦場としてきた彼にとって、ライブハウスというイレギュラーな場所でも全力疾走ができたのは、路上で培った対応力と持ち前の明るさやパワフルさがあったからに違いない。