【インタビュー】SKY-HI、その思考の根元

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SKY-HIが初のエッセイ『晴れるまで踊ろう』を発売する。

◆書影 ほか

自ら会社を設立し、一億円以上を出資して開催されたオーディション『THE FIRST』が大きな話題を呼び、そこから生まれたグループBE:FIRSTが音楽シーンを席巻。『THE FIRST』で語られる音楽シーンへの俯瞰的な目線や、若い才能との接し方から、「次世代のリーダー」と目されるようになったSKY-HIのこれまでと現在、クリエイティブの源泉について たっぷりと語られているのが、このエッセイだ。



AAAでの活動とSKY-HI名義でのラッパーとしての活動を並行して行い、メジャーとアンダーグラウンドをボーダーレスに駆け抜けたからこその葛藤と、そこから生まれた視点を基にした自身の会社「BMSG」の設立、そして、プロデュース業。ここに記されているのは、誰もたどったことのないSKY-HIだけの濃密なストーリーであると同時に、晴れ間の見えにくい2022年という時代を過ごす、全ての人に響くメッセージでもあるはずだ。

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■人間は結局生まれてから死ぬまで何かしらの不安とか悩みがあって
■でもそこから目を背けてるとヤバいことになる


──エッセイ興味深く読ませていただきました。SKY-HIさんがこうやって日頃から考え続け、言語化を続けているんだなということが伝わってきたし、SKY-HIさんのストーリーであると同時に、もっと広く社会の動きとリンクした内容であるとも感じました。

SKY-HI:僕は、物事をミクロにして行ったら、マクロになると思っているんです。結局人間は朝起きて、食事をして、息を吸い、息を吐き、眠りにつくっていう点では誰しも一緒だし、「褒められると嬉しい」とか「怒られると悲しい」とか、大枠の感情のスイッチっていうのは基本的に同じように配置されてると思うから、自分が感じるような悩みというのは、紐解いていけばいくほど、誰しものものでもあるっていうのはすごく思いますね。

──だから、このエッセイは何かを表現している人じゃなくても、誰にでも響くエッセイになっているなと。

SKY-HI:もともと自分の職業がそういうもののような気がするしね。形容し難い感情とか、そういうものに名前をつけて書いていくのがラッパーの仕事だったりすると思うので、それを音楽じゃない形でやっただけのような気がします。20歳くらいのときにNASやJAY-Zのアルバムを聴いて、ゲットーの子どもたちの話とかを知って、自分はそれを経験したわけじゃないけど、でも自分の葛藤と繋がったし、自分の「頑張ろう」にも繋がったりしたので、そういう力を信じているというよりは、そういう言葉の力を実感してるっていうのが大きいです。

──『晴れるまで踊ろう』というタイトルは、いつ頃どのように決まったのでしょうか?

SKY-HI:『晴れるまで踊ろう』は結構時間かかりましたね。まあ待たせました(笑)。

──最後の最後につけたわけですか?

SKY-HI:最後の最後でした。自分である意味は必要だけど、「SKY-HI」と入れてしまうのは何か違うなと思って、空や天候だったりを使い、いまの自分の心情であったり、これまでの道のりだったりを書くときに……これまでたくさんあった不安とか苦労って、いま振り返ると楽しく思えるんだけど、実は当時から楽しかった気もするんですよね。苦悩や葛藤は文字になるとどうしても「痛い、辛い」になるんだけど、でもそれだけだったらとっくにやめてるはずで、それ以上に楽しいと思っていたからこそ、続けてこれたわけで。そういった心情を言葉にするならどうすればいいかを考えたときに、やっぱりそのときは晴れていない何かしらがあるんだけど、でも「晴れるまで待つ」じゃないし、「いつかきっと晴れるさ」みたいな無責任な生き方はしてきてない気がするから、「晴れるまで踊ろう」が正しい気がしました。「晴れるまで踊る」でも「晴れるまで踊れ」でもなく、自分も「踊ろう」と思ってたし、人に何か言うなら「踊ろう」って言いたい気がしたので。

──自分の意思表明にも、他者への呼びかけにも聞こえますよね。

SKY-HI:あとは、常日頃から「いまの日本にはダンスが足りない」と思ってたんです。「オーディエンスが踊らない国」って、昔からよく言われるじゃないですか? 「和をもって尊しとなす」は本当に素晴らしい、世界最高の言葉なんじゃないかとも思うんだけど、それが方向によっては、「フィジカルで感情が出づらい」という国民性にも繋がっていて、インターネットを通したコミュニケーションが増えていく時代の中では、さらに感情が迷子になりやすい気がするんですよね。自分自身の感情を発露する場所がただでさえ少なくなってるこの時代に、輪をかけて危うさをすごく感じるから、フィジカルで感情を出すことはすごく気にするし、音楽はそういった高揚感を与えられるじゃないですか? 子どもってすごく踊るし、「あの感じってマジでいいよ」というのは言い続けたいですね。



──今日の取材もリモートだったりして、便利ではあるんだけど、ちょっとした目線のコミュニケーションができなかったり、いろんな場面で身体性が削がれてる感じはしますよね。だからこそ、ダンスのフィジカルをもう一度見つめ直すのは重要かもしれない。

SKY-HI:ひょっとしたら、タイトルにもう一行、「ぴょんぴょん跳ねたら毎日ハッピー」って入れればよかったかも(笑)。

──急に「対象年齢5歳」みたいになりそうだけど(笑)。

SKY-HI:でもそれって大事だなって。BMSGの社訓に入れようかな。いまちょうど社訓を作っていて、「Live For Music,Live With Music」とか「Be The Minority」とか、いろいろあるんですけど、そこに「ぴょんぴょん跳ねたら毎日ハッピー」もあるといいかも(笑)。

──『晴れるまで踊ろう』というタイトルは、このエッセイが2022年に出る意味も感じさせるタイトルだと思いました。やはり、どうしたって晴れ間が見えにくい世の中ですけど、そのなかでいかに踊り続けるかという姿勢は、この時代に響くものがあるなと。

SKY-HI:そうですね。「この陰鬱としたコロナ禍を」とかさ、「先の見えない不安のなかで」とかが共通のテーマになっちゃったと思うんですけど、自分は十何年間、陰鬱や鬱屈とずっと向き合ってきたから、その分ちょっとだけ人よりも知見があると思っていて。「曇り空だなあ」とか「どしゃ降りだなあ」っていうときに、これまでいろいろ試してきた結果、晴れるまで何をすれば一番いいかは「踊ろう」だなって、そういう本な気がする。俺が最初に将来への不安みたいなものを感じたのって、たぶん小学生のときで。

──だいぶ早いですね。

SKY-HI:こう言うと「早い」って思われると思うけど、でもよくよく思い返してみると、みんな多かれ少なかれ不安はあった気がするんですよね。大人になると、子どもは明るく楽しく、悩みもなく過ごしてきたってどこかで感じちゃう気がするけど、でも小学生には小学生の感じる悩みがあって、それってその子にとってはめちゃくちゃデカかったりすると思う。人間は結局生まれてから死ぬまで何かしらの不安とか悩みがあって、でもそこから目を背けてるとヤバいことになると思うんですよね。傷口が治ってないのに、上から包帯をしてごまかしちゃったり、長袖を着て他の人からは見えなくしたりとか、それをすると最終的には膿んだり跡が残ったりしちゃうわけで。やっぱりその傷口をちゃんと見ないといけないし、人に見せなきゃいけないかもしれないし、そういうことは絶対やった方がいいと思う。そういうことを言いたい本でもあると思います。

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