【ライブレポート】半崎美子、5周年を冠した新歌舞伎座での特別コンサート

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半崎美子が4月15日に大阪・新歌舞伎座で特別コンサートを開催した。

◆ライブ写真

4月5日にメジャーデビュー5周年を迎えた半崎。5周年を冠した公演は今回が初となり、来場した1000人を超えるファンを魅了した。

幕開き前、長いインディーズ時代から続けている半崎ならではとも言える自身による生カゲナレからスタートすると、姿を見せる前から割れんばかりの拍手が起こっていた。


緞帳が上がり、せり上がりで登場すると、1曲目は開催地にちなんで「大阪恋時雨」でスタート。同作品は笑福亭鶴瓶の勧めで2019年に天童よしみがカバーし、シングルリリース、そして同年の紅白歌合戦でも歌唱した作品である。よほど緊張していたのだろう、1曲歌い終えてすぐに水分補給をすると2017年のメジャーデビューミニアルバム『うた弁』から「夏花火」「稲穂」と続けた。

最初のMCでは「由緒あるこのステージで、しかも人生初のせり上がり、なによりもこんなにたくさんのお客さまにお越しいただき、本当にありがとうございます!」と語ると、『うた弁』の中から、2017年の4月~5月のNHK『みんなのうた』で放送され大きな反響を呼んだ「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~」、2019年4月~5月のNHK『ラジオ深夜便』の深夜便のうたに書き下ろした「心の活路」そして「深層」と半崎ならではの、心に染み渡る至極のバラードを2曲続けた。

そして昨今のコロナ禍で制限もあり、なかなか各地へ行けない分、街のうたで全国を巡るシリーズとして自身のYouTubeチャンネルにアップしている大阪のご当地ソング「大阪の女」(オリジナル:ザ・ピーナッツ)を自身の想いや5周年であることに触れるような歌詞も創作して披露した。半崎は常々「自分の思いではなく、誰かの思いを歌にするということ。私自身は器となって声なき声を受け取り、出会った大切な方々に託された言葉を歌にしていきたい」と語っており、根本に先人たちの楽曲へのリスペクトと技術、そして誤魔化すことなく発揮できる確かな歌唱力を持ち合わせているからこそ、カバー曲にも一層深みを感じる。

バンドメンバーが一度袖に帰っていくと、半崎はピアノの前に座り、NHKBSプレミアム『玉置浩二ショー』で玉置浩二が「これぞ歌だ!」と絶賛し、一緒に歌うことが叶った「母へ」を自身の弾き語りで披露した。するとこれまでの様子から少し変わり、おもむろに「スタッフさん、ごめんなさい」と切り出し「リハーサルもしてないけれど、急にこの曲を歌いたくなりました。栃木のショッピングモールで出会ったご家族へ書いた歌です。私がその人たちから受け取ったのは、明日へ向かって立ちあがろうとする力、明日へ向かって生きようとする力でした。」と続け「ショッピングモールの歌姫」と称されるようになった代表的な曲となった「明日へ向かう人」を、涙を堪えながら語るように歌った。


衣装チェンジから中央階段から降り、再びステージに戻ると各地方に訪れた時に披露してきたシリーズの「浪速の国からこんにちは」そして「天国3丁目」とポップな楽曲で会場を盛り上げた。終盤には「私のこれまでの作品をたくさん聴いてくれた上で、導かれるように書いた、と言ってくれました。」というメッセージを添え、尊敬する森山直太朗から提供され、デビュー記念日翌日の4月6日にリリースされた5周年記念曲「蜉蝣のうた」、さらに第50回日本有線大賞新人賞を受賞し、自身の代表曲とも言える「サクラ~卒業できなかった君へ~」を歌い上げた。

そして最後は「地球の単位は1つ、そして命の単位も1つです」という語りから歌い始めた「地球へ」で締めくくられた。この歌は、急性骨髄性白血病のために亡くなった歌手、本田美奈子.の思いを引き継ぎ、命の尊さを伝えていく活動「LIVE FOR LIFE」のオフィシャルソングとして、自然との共生を願う本田美奈子.の散文からメッセージを受け取り、半崎が書き下ろしたハートフルなバラードで、今回「蜉蝣のうた」のカップリングにも収録された。1階から3階まで万雷の拍手が響き渡る中、本編が終了。

アンコールで再登場すると、「蜉蝣のうた」のカップリング曲として書き下ろし、レコーディング時には弾き語り一発録りで収録した「私に託して」を自身のピアノ弾き語りで披露。

そして最後に歌った「鮮やかな前途」について、半崎は「この歌はこれからの前途が鮮やかであるように、という願いを込めてデビューの時に書いた歌でした。けれど未来だけではなく、過去をも明るく照らしてくれました。私の生きがいや喜びはこの道のりにこそあると、今まで出会ってくれた方達の顔を見るたびに感じます。決まった道でも決まった速度でもないけど、自分の歩幅で皆さんと共に歩んでいきたい」と語り、いつも聴く人の心に寄り添い続けてきた半崎らしく「鮮やかな前途」で締めくくり、バンドメンバー全員とラインナップして幕を下ろす……かに思われたが、半崎は名残惜しそうになかなかステージを離れず、最後に「本当にありがとうございました、生きる糧になります!」という言葉を残して終演となった。


半崎の5周年は始まったばかり。無邪気に笑う少女の顔と全てを包み込む聖母のような微笑み、そして広い会場であっても1人1人に歌を届けるその姿勢は、コロナ禍以前のショッピングモールをひたすら回り続けていた頃と何も変わらず、作詞・作曲者、そして“歌い手”として自身の楽曲が教科書に載るという夢を果たせる日も、そう遠くはないのかもしれない。


■公演情報

<半﨑美子~5周年記念特別コンサート2022~>
2022年4月15日(金)大阪・新歌舞伎座
[セットリスト]
大阪恋時雨
夏花火
稲穂
お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~
心の活路
深層
大阪の女 ※カバー
母へ
明日へ向かう人 
浪速の国からこんにちは
天国3丁目
蜉蝣のうた
サクラ~卒業できなかった君へ~
地球へ
私に託して
鮮やかな前途

◆半崎美子 オフィシャルサイト
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