【考察コラム】ODDLORE、3rdシングル「The Revelation」に隠されたリーダー・KOYAの秘密

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ODDLOREが3rdシングル「The Revelation」を4月15日にリリースした。公式YouTubeチャンネルでは同時にミュージックビデオも公開された。

◆ミュージックビデオ

同曲はODDLOREのリーダー・KOYAにフォーカスした楽曲で、ミュージックビデオでもKOYAを軸としたストーリーが描かれている。ODDLOREは「見た目、性格、家庭環境、学歴、出自、性など異なるコンプレックスを抱えた6人がスカウトによって集められた」という背景を持つグループだが、その全体像はまだ明らかになっていない。もちろん、メンバーそれぞれがどんなコンプレックスを抱えているか、もだ。しかし「The Revelation」の楽曲とミュージックビデオを噛み砕くと、KOYAの心の内が見えてくるような内容になっている。



楽曲やミュージックビデオで示唆されるKOYAの心の内を知るための背景となる映像が4月8日にYouTubeにアップされた。ODDLOREのドキュメンタリーシリーズ、「LABYRINTH OF THE MIND」episode01だ。このドキュメンタリーではKOYA自身の口から、いじめや親の離婚という過去を抱えつつ、「だれかに評価されたい」という欲求があることが語られている。
この欲求が「The Revelation」ではどのようにリンクしてくるのか。楽曲とミュージックビデオではKOYAの人物像を紐解くティップスが散りばめられている。本稿ではその考察をしていきたい。



ミュージックビデオの出だしは暗闇の中、スポットライトが当たるマイクのもとへKOYAが現れ、モノクロのシチュエーションでラップをするシーンから始まる。それはまるで暗く狭い世界から、明るい世界に向かって進んでいることを象徴しているかのようである。明るい世界とは、デビュー曲「Lucid Dream」で描かれたような、コンプレックスにとらわれない「夢」の世界とも通じるのだろうか。しかしスポットライトに照らされたこの明るい世界が夢であったことは「夢から覚めれば見慣れた豆電球」という歌詞からもみてとれる。夢から覚めた後はKOYAがどこか施設のような閉鎖的空間で淡々と日常を送る姿がストーリー仕立てで展開していく。

ストーリーシーンの途中に挟まれる、各メンバーのリップシーンに注目してみよう。それぞれのパフォーマンスが冒頭のKOYAのシーンと同様、全てモノクロで表現されている。ミュージックビデオではKOYAを軸としたストーリーが展開しているということを鑑みると、ストーリーを描くカラーのシーンと、メンバーがパフォーマンスを行うモノクロのリップシーンは異なる別世界という意味合いがあると考えられる。だが、曲の後半からは色がついたKOYAのリップシーンが登場する。そこで異なる世界が交錯していることが示唆されていそうだ。

次に注目するシーンは、歌詞の“優雅な熱帯魚”ともリンクしている、熱帯魚・ベタのシーン。ミュージックビデオの中でも印象深いシーンゆえに、重要なメッセージが込められると推測される。ベタは「綺麗な見た目に反して攻撃性が高い」とされている熱帯魚だ。ストーリーから見るとこのベタはKOYAにとって大切な存在でもあるが、KOYA自身を表してもいそうだ。小さな金魚鉢にいるベタは閉鎖的な施設にいるKOYAともリンクする。また、フックでは女性コーラスが歌唱する“A revelation from the moon.”(和訳:月からの啓示)という歌詞が登場するが、ミュージックビデオに登場するベタの種類はハーフムーン。このベタは月の比喩とも考えられる。


その後に続くのは、横一列に並んだ施設の住人が食事をとる最後の晩餐的な構図のシーン。食卓には全く彩りがなく、質素な肉が1枚のみで、本来あるべき食事の楽しみなど一切ない様子だ。このシーンでは背景、衣装、さらにKOYA自身も全て白を基調としていることにも気が付く。これはKOYAにとって施設での毎日は味気のない、何もない世界であることの表れだろう。そして“チャンスがないだけ運が悪いだけ 誰よりfly away想像中”という歌詞にもあるように味気のない毎日を他責にして、「本当の自分は周りとは違う」と鬱屈とした気持ちを抱いているのではないか。


そしてストーリーは、ベタが死んでしまうシーンへと続く。大切な存在を失った悲しみもあるだろうが、「ベタ=KOYA」でもある。女性コーラスが “The revelation from the moon.”と歌い、窓からは月光が差し込んでいる。つまり、月からの啓示を受けたことでこれまでのKOYAが死に、新しいKOYAに生まれ変るきっかけのシーンだと解釈できるのではないだろうか。実際、このシーン以降、真っ白だった世界に「赤」という色が印象的に差し込まれてくる。何もなかった世界に血が通い出したこと、そしてKOYAの中に「現状から抜け出したい」という内なる闘志が灯ったことの表れだろう。


その内なる闘志が顕在化するのが、施設職員をガラス片で切りつける場面だ。これまで真っ白だった髪が、「ここを飛び立つ」という歌詞のシーンでは赤髪に変化している。これまでの日常から抜け出すために職員から鍵を奪い、施設からの逃走が始まる。

何かに追いかけられながらも施設を抜け出し、ラストではついに外の世界へ踏み出す。閉鎖的な施設から抜け出し、曲が終了しても広大な白銀の世界へ歩みを進め続けるKOYAは一体どこに向かっているのだろうか。また、「The Revelation」から始まるODDLOREのストーリーは今後どのように展開していくのだろうか。次作以降にも何らかの繋がる部分があるのかもしれない。

ちなみに、ミュージックビデオ全体を通してKOYAが見せた迫真の演技も素晴らしい。デビューまもない新人とは思えない迫力ある演技はもちろん、「The Revelation」は歌詞、ラップ、映像全てが楽しめる作品である。YouTubeにはKOYAにフォーカスした「ODDLORE DOCUMENTARY『LABYRINTH OF THE MIND』KOYA -The Revelation-」も公開されている。楽曲、映像、ドキュメンタリーを通じて、ODDLORE 3rdシングル「The Revelation」を存分に味わってみてほしい。

文◎高橋梓



3rd Single「The Revelation」

4月15日(金)0時配信リリース
作詞:Ma-Nu
作曲:Mori Zentaro・Ma-Nu 
編曲:Mori Zentaro
各種音楽配信サービスで配信中:https://oddlore.lnk.to/TRVN


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