【俺の楽器・私の愛機】820「再起」

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【Gibson Les Paul Junior ('56)】(京都府 魂で弾く 43歳)


「もう人生終わりかな…」地元北海道から離れ、本州で仕事を始めた頃。沢山の挫折、悔しさ、苦しみ、狭い選択の数々を社会で経験し、情緒不安定だった時期。あるタイミングでそれを思い浮かべ、良くない方向に進む人がどの位いる事か。私もその1人だったんだろうと振り返っています。

「どうにかなってしまうのなら、いっその事一生ものに値する何かを買ってしまおうか」ということで、半ばヤケクソの気持ちで何かを購入する事に決めました。対象となっていたのは、当時ドハマりしていたThe Libertinesのカールが使用していたであろうMelody Makerです。

早速大阪へ探しに行ったのですが、1件目でショーケースに入っているこのLes Paul Juniorが目に入りました。いや入ったというより、止まったのかもしれません。それはこの時期感じていた「一生もの」の条件が全て詰まっていました。感じた理由を言うのは野暮だが、一言で表現すると絶対的な「存在感」。

PU1基とボリュームとトーンのみで潔いシンプルなルックスは最高に好みだが、1番の決め手はチェリーサンバースト。このパワーとキレは、今でもアン直がベストだと思っている。orangeに繋げば、The Raconteursの「Steady, as She Goes」のギター音をそのまま再現出来た様に感じて驚いたのを覚えている。(Libertinesの再現も相当凄い)

値段の比較をしても、恐らくMelody Makerの4倍近い位の差があったかと思います。当然予定外だ。普段では届かない物に手を伸ばす行為はしないが、この時ばかりは目の前にある透明の壁を開けなければならない気がした。

この魅せられ方と感動は後にも先にも無いと感じ、僅か15分位で決意。そしてこの時、目的のそれはこいつの隣にありましたが未練無く見送った。

1~2年近くギターを弾く気力も無かった私ですが、こいつが家に来てからは夢中で弾き、音色に感動し、疲れては眺め、眺めてはほころび、気付いたらそのまま次の日の朝を迎える事もしばしば。

そう過ごして行く内に、生半可な事を考えていたのが余りにも馬鹿馬鹿しく、勿体ない事だと思い知らされました。

一生「もの」を探していたつもりがこの時厄年だった私を「支えてくれた」一本となりました。

※今後何かあったとしても大丈夫。The Libertines Japan tourの札幌でピートが暴れ回りアンプを引っくり返し、ステージ上でマネージャーに激怒されていた時とこの経験を思い出します。その静まり返った状況で1人だけ笑っていたあの頃の私は、もっと未来に期待を持っていたはず。「楽しい事はこれからもある」と。

この素晴らしい楽器達とこれからも旅をしていきます。





   ◆   ◆   ◆

人には人のいろいろなストーリーがあります。それは本人じゃないととても分かり得ないもので、であるからこそ、何か誰か大切な支えを糧に自分自身で立ち上がり一歩を踏み出していかなくちゃいけないものなのだとも思います。このレスポールJr.にも「魂で弾く」さんの音霊が音符となって、未来を照らすエネルギーがひとつひとつ注ぎ込まれてきたのでしょう。レスポールJr.が持つパワーもあるけれど、それを引き出す根源は、オーナーであるその人の生きる活力です。再起のためには寄り添ってそっと理解してくれる愛機が必要なことを、おそらく本能で分かっていたのでしょうね。まさに生涯の相棒です。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
 ※最大5枚まで

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