レチエレス・レイチ、自身のビッグバンド“オルケストラ・フンピレズ”で生前最後に録音した名盤『Coisas』カバー集公開

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巨匠レチエレス・レイチ率いるアフロ・ブラジリアン・ラージアンサンブル「オルケストラ・フンピレズ」が残した、モアシール・サントスによるジャズボサ聖典『Coisas』カバー集がリリースされる。ゲストでカエターノ・ヴェローゾも参加した逸品だ。

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ブラジル北東部にあるバイーア州生まれの作編曲家/サキソフォニスト、レチエレス・レイチ。自身のアフロ・ブラジリアン・オーケストラ=フンピレズで2000年代後半以降のブラジル音楽シーンに大きなインパクトを与えると、カエターノ・ヴェローゾやマリア・ベターニアといった大御所を支えるアレンジャーとしても活躍。またロウレンソ・ヘベッチスなど後進のミュージシャンも多く育てるなど、2021年に他界するまで「マエストロ」として慕われた人物である。そんなレチエレスがライフワークとして位置付けていたオルケストラ・フンピレズとともに生前最後に残したアルバムが本作だ。

タイトルからもわかる通り、内容はモアシール・サントスが名門FORMAレーベルに残した1965年の伝説的アルバム『Coisas』のカバー。オリジナル盤レコードはUSD5000オーバーで取引されるなどアフロ・ブラジリアン・ジャズ/ジャズボサの聖典として知られる作品だが、レチエレス自身はブラジルのWEBメディア「el Cabong」におけるインタビューで、モアシールの音楽、そして本作についてこう語っている。

「モアシールの作品はアフロ・ブラジル文化から影響を受けていますが、多くの人々の認識に反し、リズムではなくメロディーやハーモニーといった側面での影響なのです。それだけにフンピレズでモアシールをカバーするとなると、リズム面で表現の幅が広がります。つまり彼が残したものに対し、別のタッチでアプローチしたのです。メロディーを維持し、音楽の美学を維持しながら新たな作品にしましたが、まるでサルヴァドールにモアシールを連れてきて、私たちのフォームのなかで散歩しているような感じです。なぜなら我々の文化はバラエティに富んでいるからです。ここには少なくとも異なるルーツを持つ3つのカンドンブレの流派があり、それぞれが壮大なリズムのコラボレーションを展開している。そこで今一度メロディーを観察し、読み直しました。そうやって深化させたのです」。

レチエレスにとってモアシール曲集は何年も取り組みたいと考えていたプロジェクトだった。それを実現へと導いたのが気鋭プロダクションのROCINANTEで、彼らのスタジオが2インチテープのアナログ録音用の卓を所有していたことが決め手になったのだという。昨年話題となった同じアフロ・ブラジル系ビッグバンドであるオルケストラ・アフロシンフォニカと比しても、金管楽器と打楽器で編成されるフンピレズの音楽はより無骨だが、レチエレスの理想とするサウンドが実現した結果、パワフルでありながらしなやか、エレガントでありながらどこかエキゾチックな『Coisas』特有のオーラを維持しつつ、現代的な解釈を施すことに成功。これから何十年と聴き継がれるであろう新たなマスターピースが誕生した。


『MOACIR DE TODOS OS SANTOS』

2022年6月22日(水)
THINK! RECORDS THCD605 2,530円(税込)

■Track List
1. Coisa nº 4 feat. Raul de Souza
2. Coisa nº 8 feat. Joander Cruz
3. Coisa nº 9 feat. Marcelo Martins
4. Coisa nº 1
5. Coisa nº 5 – Nanã feat. Caetano Veloso
6. Coisa nº 7
7. Coisa nº 2

◆レチエレス・レイチ オフィシャルサイト
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