【ライブレポート】倖田來未の新しい挑戦。クール&セクシーな初のフルオーケストラ コンサート

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倖田來未が5月19〜20日にわたって東京・渋谷Bunkamuraオーチャードホールにて<billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022>を開催した。
この公演の初日となった19日のレポートをお届けする。

◆コンサート画像

倖田來未がフルオーケストラと共演する<billboard classics KODA KUMI Premiam Symphonic Concert 2022>がついに幕を開けた。彼女がシンフォニックコンサートを行なうのは今回が初めて。これまでクラシック音楽の新しい魅力を打ち出すために、クラシックと異分野の音楽がクロスオーバーする公演を数々仕掛けてきた<billboard classics>。そのなかでも、倖田のようにバキバキに歌って踊る女性アーティストとの共演は今回が初となる。


彼女のステージを1度でも観たことがある人であれば“倖田來未×フルオーケストラ”という方程式を見ただけで、どんなものになるのだろうと想像するだけでドキドキがとまらないはず。さらに、本公演はロックにR&B、ヒップホップ、ポップスと様々なジャンルを行き交う彼女のサウンドに合わせて、ポップスとクラシックを融合させたオーケストレーションを得意とし、ピアニスト、指揮者、作編曲家としても活動している藤原いくろうがオーケストラアレンジを手がけ、彼がポップスエグゼクティブプロデューサーをつとめるパシフィックフィルハーモニー東京が演奏を担当。そこに、倖田組からピアノ・櫻井大介、コーラス・TIGERの2人、ゲストミュージシャンとしてラテンパーカッションの小野かほりが加わるというゴージャスな公演となった。

オフィシャルサイトを通じて「ドレスコードなし」、「公式グッズ持ち込みOK」というアナウンスがあったお陰か、会場にはグッズのタオルとペンライトを持ったファンが集まり、いつもの倖田のライブとさほど変わらない光景が広がっていた。違うのは、客電が落ちた後も観客が着席していること。


オーチャードホールのステージに総勢60名からなる演奏者、ゲストミュージシャンがスタンバイすると、大きな拍手が起こる。続いてマエストロ、藤原いくろうが登場し、タクトを振り下ろしたところから第1部がスタート。1音目はティンパニーの音だった。遠くから響いてきたその音の連打で、観客の期待感が最高潮に高まった瞬間、真っ黒いシックなロングドレスをまとった倖田が登壇。観客がいっせいにペンライトを振る。コンサートは予想外のナンバーで幕を開けた。

第1部で披露した「Bow Wow」。このチョイスは、藤原からのリクエストだったことを後のMCで告白。「驚くじゃない? こんな始まり。でも、エキゾチックに編曲していただいて」と本人は感想を述べていた。倖田が着ていたドレスには際どいところまでサイドスリットが入っていて、ある曲ではスリットがあるほうを客席に向けて舞台にしゃがみこんで見せたり、またある曲ではオーケストラが紡ぎ出す音と戯れるように体をくねらせるなど、大勢のオーケストラ陣にも負けないインパクトあるパフォーマンスで観客を魅了。オーケストラをこんな風に激しく妖艶な匂いを漂わせながらも、クールに、エロカッコよく乗りこなせるのは、いまの倖田だからこそできるアクトだ。


そして、オーケストラと行なう本公演に挑んだ理由について「30代のラスト、新しい倖田來未を聴かせたかった」と伝えたあとはムードが一転。「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」からバラード4曲を続けて、しっとりとした声を響かせていった場面は間違いなく前半のハイライト。管楽器、フルート、カルテットと曲ごとにスポットが当たる楽器を変え、情感を胸に染み込ませていくオーケストラアレンジ。そのなかで、いつも以上にはっきりとした輪郭で立ち上がっていく倖田の歌声とメッセージ性のある言葉たち。聴いていると、曲が次々とひとつの愛の物語として連動していき、それが「NO ME WITHOUT YOU」へと結ばれていったときの感動たるや。ここでは、オーケストラの演奏も照明もどんどん倖田の歌が際立つものになっていって、その最後。気がつけば倖田を含め、会場が一体となって涙を流すほど感情が込み上げていた光景は、まさに圧巻だった。


この後は20分間の休憩をはさみ、第2部が開幕。倖田は1部でアップにしていた髪をおろし、衣装もチェンジ。スカート部分が大きく広がったシルエットのドレスに着替えて姿を現した。冒頭からニコニコの笑顔だ。シックで大人セクシーだった1部とは対照的に、こちらは明るいプリンセスのような雰囲気。よく見たら、ドレスの色に合わせてマイクの色も変えていた。関西弁をフィーチャーしたガーリーなナンバーが始まると、客席にも笑顔が広がっていく。その笑顔をめがけ、1階、2階、バルコニーまで全員に手を振ってるんじゃないかと思うほど丁寧にファンサービスを届ける倖田。その倖田のテンション感とぴったり息を合わせ、指揮をする藤原。アップテンポの曲では、巧みなオーケストレーションで客席のハンドクラップを呼び込むと、倖田も体でリズムをとりながら軽やかな歌声を響かせていった。


この後のMCでは、今回の公演について、コンサートが2部構成になっていたり、間に休憩があるなど「いつもと違う」とコメント。そして、このあとは「すいません、結構しゃべるんです。私」といいながら「オーケストラ初めての人拍手してください!(大半の人が拍手をすると)気持ちよくて寝ちゃった人いません(笑)?」といつもの気さくなトークが勢いよく炸裂。ファンは慣れたものだが、オーケストラ団員たちはそんな倖田に驚きつつ、顔を伏せて笑いをこらえていたのが印象的だった。

これでいっきに場内を和せていったあとが凄かった。次の曲が始まると、これぞシンフォニーといいたくなるようなオーケストラならではの重厚感あるドラマチックなサウンドが場内いっぱいに広がり、ハープの美しい音色が曲をさらにファンタジックに仕立てるバラードを、倖田は感情をたっぷり込めて歌い上げてみせた。


そうして、倖田の代名詞の1つでもある「Butterfly」が始まると、客席ではペンライトが激しく揺れ動き、会場のボルテージはいっきに急上昇。場内は、ライブならではの熱い一体感に包まれていった。会場の熱気を受け「幸せすぎて(感極まって泣き出してしまい)…ありがとうございます」と今の気持ちを素直に言葉にして伝えたあとは、これまでコンサートで1度も歌ったことがない曲をオーケストラバージョンで初披露し、ファンを喜ばせた。

そうして、最後に演奏が始まったのは懐かしい冬のバラードだった。当時はラブバラードだったこの曲が、いまは“夢のつづきを見ていたいんだ” “希望の光と共に行こう” “君が居るその場所へと”というワードが倖田とファンをつなぐ歌となっている。この曲を客席の一人ひとりに手を差し出しながら、泣くのを必死にこらえて歌う彼女の姿も、それを涙をこぼしながら受け取るファンの姿も愛おしくて、場内にはなんともいえないハートウォーミングな空気が広がっていった。そうして、最後に「音楽をやってきてよかったなと思う1日でした」といったあと、頭を下げてファンに挨拶をした彼女は、温かい感動の余韻を残したまま、場内の盛大な拍手に見送られながら舞台を後にした。


このあと、倖田は6月27、28日に大阪・フェスティバルホールでこちらの最終公演を行なう。オーケストラと出逢い、いま幕を開けたばかりの新しい倖田來未のステージ。期待はさらに高まるばかり。

取材・文◎東條祥恵
写真◎釘野孝宏

<billboard classics KODA KUMI Premium Symphonic Concert 2022>

2022年5月19日(木)、20日(金) 東京・Bunkamuraオーチャードホール
2022年6月27日(月)、28日(火) 大阪・フェスティバルホール
全公演 OPEN 17:30 / START 18:30

出演:倖田來未
指揮:藤原いくろう
管弦楽:パシフィック フィルハーモニア東京(東京)、 日本センチュリー交響楽団(大阪)

チケット:12,000円(全席指定・税込)
※特典付き
※未就学児入場可(販売制限:3歳以上チケット必要、 3歳未満もお座席が必要な場合はチケット必要)

※収容率は政府の方針、 感染状況等により判断いたします。 なお収容率100%で実施する場合、 前後左右を空けずにお座りいただくことになりますので予めご了承ください。
※チケット購入の際は必ず、 下記ページに掲載している注意事項をご確認の上、 チケットをお求め下さい。
<お客様へのお願いと感染予防対策について: https://billboard-cc.com/classics/200924notice/ >

主催・企画制作:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)
後援:米国ビルボード

公演に関するお問合せ
(東京)キョードー東京 0570-550-799(平日:11:00~18:00 / 土日祝:10:00~18:00)
(大阪)YUMEBANCHI 06-6341-3525(平日12:00~18:00)

◆公演公式サイト
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