【連載】ピックアップ手巻き職人のロック徒然草001「サウンドメイキング編」

ツイート

ピックアップ手巻き職人のロック徒然草001「サウンドメイキング編」

文◎超筋具

今回よりスタートするこのコラム。第一回目はピックアップセッティングによるサウンドメイキング編となります。

サウンドメイキングと言うと、大袈裟に聞こえるかも知れませんが、私の経験上によるその効果を織り交ぜながらお話をさせて頂きたいと思います。リプレイスメントピックアップ花盛りの昨今ですが、DIY精神で読者の皆様にも簡単に出来、そして、効果絶大なセットアップとその方法をご紹介いたしましょう。用意するものはドライバー(+と-)のみです。

それでは、早速まいりましょう。

(1)ピックアップの高さを変えてみよう

磁性体である弦の振動を、電磁誘導により電気信号に変えてアンプから音を出す為のパーツが、ピックアップです。ですので、弦とピックアップ自体の隙間(距離)がとても重要です。普段何気なく弾いている貴方のギターやベースもこの方法で、今までとは全く違った音色になるに違いありません。

先ずは、現在の高さよりドライバーを用いて1~2ミリ程高さを上げてみて下さい。又、逆に下げてみたりもしてそれぞれの、高さによる音色の違いを耳で確かめてみましょう。この時のポイントはあまり弦に近づけないで尚且つ、ピッキングの邪魔にならない高さを探し出す事にあります。出来ればなるべく大きな音でアンプからの音が、空気中に放射される環境でのチェックを心掛けて下さい。シングルコイルの場合、高音源側を少し高めに。

ハムバッキングなら、その高さ及びポールピースを各弦ごとにアジャストしてみるのも良いでしょう。余談になりますが、工場出荷時のフェンダーの場合、1弦側が少し高め。又ギブソンなどでは、ポールピースがほぼ、フラットにセッティングされている様です。(例外もあります)




(2)ヴォリュームとトーンをもっと活用しよう

エレキギターやベースに必ずついているのが、ヴォリュームとトーンコントロールです。これをフルに活用しましょう。先ず、ヴォリュームコントロールですが、フルテンでは無くて例えば5とか、8位のセッティングでも良い音色が得られる事を体験してみて下さい。その理由はバンドアンサンブルの中でのギターやベースの持つ音色の色艶や、所謂、ヌケると表現される音と密接に関係してくるからです。ピックアップが、車のエンジンだとすればヴォリュームとトーンは謂わば、アクセルやブレーキに値するからです。レーシングカーでもフルスロットルばかりでは、コーナーに突っ込んでしまうのと同様に、ギターならそのフレージングや聴かせたいソロ等に、適切なアクセルワークやシフトチェンジが必要なのです。

個人的ですが、私が参考にしていたギタリストはゲイリー・ムーア氏や、カルロス・サンタナ氏ですがYouTube等でフィンガリングやアクションばかりに目をやるのではなくお気に入りのミュージシャンのヴォリュームやトーンコントロールにも着目してみて下さい。他にも沢山のお手本となるミュージシャンは数多いらっしゃいますが、お気に入りをどうか見つけて研究してみて下さい。


(3)ピックアップセレクターをいじり倒そう

前述のエンジンとアクセルと並び、シフトノブに値するのが、ピックアップセレクターになります。ピックアップから出た電気信号に最終的に色艶や余韻の変化をつけるスイッチなのです。そこで、具体的なチェック方法をご紹介しましょう。


ストラトキャスターの場合、先ずミドルピックアップ(真ん中)のみで、好きな音を作ってみて下さい。そうする事で、フロント或いはリアポジションでもバランスの取れたサウンドが得られます。良くある落とし穴ですが、フロント、リアばかり又、ハーフトーンのみでセッティングを決めてしまうと必ずヌケないポジションが出来てしまいます。こちらも焦らずにじっくりとポイントを聴き当てて下さい。

参考までになりますが、トミー・ボーリン氏やチャー氏はミドルピックアップオンリーでイカした音を出していらっしゃいますので要チェックですが、レスポールタイプで私が参考としていたのが、ジェフ・ベックです。ジェフ・ベック・グループやBB&A時代の頃ですが、トグルスイッチをミドル(真ん中)にした状態でヴォリュームを実にうまくコントロールしています。セッティング次第ではシングルコイルに負けない位のシャープな音色から、ジャジーなトーンまで変幻自在のシフトワークです。


(4)補足 自分の耳を信じて鍛えましょう!

今回、ご紹介した方法はほんの一例に過ぎません。他にも居心地の良い貴方にとっての良い音を探す為の方法は沢山あります。様々なファクターが混ざり合って楽器の音は確立されていますが、それを解明して自分の音として楽しむ為には、それなりの工夫や努力も必要だと思います。私自身、様々な機材を扱い、組み立ててはバラし悔し涙も100リットルは流したかも知れません。たとえ知識がなくとも、ギターとロックが好きならきっと貴方にとってオリジナルのグッドなサウンドが見つかる事を願いながら、このコラムが少しでもお役に立てれば何よりです。次回は、半田やそれに付随するケーブル、コンデンサー等についての体験談をお話してみようと思います。

楽しみましょう!ギターは弾かなきゃ音が出ない(寺内タケシ氏)。

超 筋具

1962年生まれ、魚座
11歳の頃、ラヂオから流れて来た学生街の喫茶店と、神田川に魅せられギターを始める。例によりFバレーコードで一旦挫折するも、中学2年の給食時間、校内放送の四角いスピーカーから飛び出して来たハイウェイスターに脳髄をヤラれ、エレキギターにスイッチする。高校中退後、アルバイトをしながらプロの道を志し、某レコード会社のオーディションでグランプリを受賞するが、断念し楽器販売と制作の道へと進む。
改造ブームやアナログ楽器全盛時代から、数々の試行錯誤や失敗を繰り返しながら現在に至る。好きな食べ物は、蕎麦と饂飩。カリオストロの城と猫を愛する、少し違いの解る60歳である

◆【連載】ピックアップ手巻き職人のロック徒然草まとめページ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス