【インタビュー】観月ありさ、「音楽活動は自分探しをする場所」

ツイート

1991年5月にリリースされたシングル「伝説の少女」で鮮烈なデビューを果たした観月ありさが、アーティスト活動30周年を記念する11年ぶりのオリジナルアルバム『Ali30』をリリースした。

◆撮り下ろし画像

2021年12月には主演ドラマ『奪い愛、高校教師』で自身が持つ“連続ドラマ主演”記録を30年に更新。通算7枚目のアルバムには、同ドラマの主題歌として、オリジナルのプロデューサーである小室哲哉がリアレンジした代表曲「TOO SHY SHY BOY!(TK SONG MAFIA MIX)」がボーナストラックとして収録されているが、リード曲「サジタリウス」は、五人組ロックバンドのNovelbrightの沖聡次郎が、射手座(サジタリウス)である彼女に想いを込めて書き下ろしたロックチューンとなっている。

“絆”をテーマに、それまでの20年間で深く関わってきたアーティストと製作した前作『SpeciAlisa』から一転し、新たな出会いを求めた彼女の“今、現在”のモードを訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■その時々の時代を象徴するような楽曲を
■歌ってこれたことは幸せだなと思います


──昨年5月にアーティストデビュー30周年を迎えた心境から聞かせてください。

観月ありさ:20周年、25周年の時も思ったんですけど、またもや30周年を無事に迎えられてよかったなって思いました。特に、この何年かはコロナがあって、世間の情勢もいろいろと変わって。純粋に、音楽を作れるという状況にまた戻ってきたというのが、何よりも嬉しいなと思います。また、30周年というアニバーサリーイヤーにアルバムという形が残せることも、非常に嬉しいことだなと思っています。

──ひと言では言えないかと思いますが、観月さんにとってはどんな30年でしたか。

観月ありさ:長かったようで短かったような、短かったようで長かったような……(笑)。でも、あっという間はあっという間でしたね。30周年を迎えることで、過去の映像を見る機会が増えたんですけど、「あ、私、こんなふうにやっていたんだな」って、改めて自分の活動を振り返る機会にも恵まれて。10代の時の私、20代、30代の時の私。音楽活動をすると。自分を定期的に振り返る機会が増えるので、その度にまた改めて、自分の歴史みたいなものが再構築されていくなっていうふうに思ってますね。

──10代の観月ありさを見て、ご自身ではどう感じましたか?

観月ありさ:ライブの映像を見返すと、当時のことが蘇ってくるし、鮮明に覚えてることばかりだったんですけど、今の私からするとすごく頑張ってるなって感じましたね(笑)。ソロだから一人だし、デビューした年はまだ14歳ですからね。10代の頃の映像を見ると、「よくぞ一人で頑張ってたな、私」って、ちょっと褒めたくなりました(笑)。

──20代に入ってからは音楽活動の距離感も変わりましたよね。

観月ありさ:10代の時は時代性もあって、3ヶ月に一回はシングルをリリースしてて。割と頻繁にリリースしていたし、ライブももっとやっていた。それと比べると、20代は……。

──15歳だった1992年のドラマ『放課後』から連ドラ主演記録はスタートしましたが、観月さんが二十歳になった1996年からドラマ『ナースのお仕事』がスタートしてます。

観月ありさ:そうなんです。ドラマも忙しくなってきて、歌番組には出ていたけどライブが頻繁にできなくなって。20代の時にもっとやっておけばよかったなって、いま、後悔していることではあるんです。でもドラマの主題歌をやらせていただいて、いろんな楽曲を歌わせていただいて、その時々の著名な作家陣の方々に描いていただいてきたし、その時々の時代を象徴するような楽曲を歌ってこれたことは幸せだなと思います。

──30代に入って、主演ドラマは続きつつ、舞台やミュージカルの出演もありました。

観月ありさ:10代や20代とはモチベーションが変わったんです。10代や20代の時には来なかった役柄のオファーが来るようになったんですよね。歌詞の内容もそうですけど、もうちょっと幅広い役柄や設定、楽曲のオファーを受ける機会に恵まれて。30代は楽しかったし、新しいチャレンジもできて。すごく経験値が上がった10年間でしたね。


──その後、歌手デビュー25周年を迎えた2016年にはコンプリートベストをリリースしつつ、「リーディングコンサート」を開催してます。1部はコンサート、2部はリーディング形式のライブになってました。

観月ありさ:自分にしかできないことはなんだろう?って考えた時に、やっぱり歌も唄ってきたし、お芝居もやってきた。その両方の経験があるのが自分の中での最大の特徴だなと思ってて。お芝居と歌を融合した世界観を作れるのが私の強みなんじゃないかなっていうふうに思った結果、リーディングの舞台をやってみたたんですね。もちろん、歌だけのライブも大好きなんですけど、ちょっと新しいことにチャレンジしたいなという思いはあって。でも、リーディングは見せ方がなかなか難しかったですね。いわゆる朗読劇とは違うものにしたかったし、音楽を融合させることでエンタータインメント性のある舞台にできないかって考えて。どうしたら飽きさせないかっていうことも考えたし、学びが多いコンサートでしたね。

──ミュージカル「シェイクスピア物語」で共演したA.B.C-Zの五関さんや元宝塚の湖月わたるさんがゲストで参加してました。

観月ありさ:当時、フォーメーションも自分で考えたりしたんですよね。どこに、どう立った方が綺麗に見えるか、とか。30歳の時に初めて舞台をやったので、その時はちんぷんかんぷんで。「私はどこに立ったらいいの?  」「そもそもお芝居どうやっていたんだっけ?」っていうくらいわからなかったんですけど(笑)、経験を重ねて、自分の舞台をやることで、それまではあんまり考えなかったような演出面も考えられるようになってきた。だから、ちゃんと経験を積みつつ、自分の活動の幅を広げられてるんじゃないかなと思ってますね。


──映画、ドラマ、舞台、ミュージカルと活動の場が広がっていく中で、音楽活動についてはどう捉えてますか。

観月ありさ:お芝居もそうなんですけど、すごく難しさを感じてますね。何年やっても、完璧にはならないし、自分の理想には近づけない。理想を越すことができないんですよね。だからこそ、努力をしたり、次はもっとうまくやろうっていう向上心がなくならないんだと思う。でも、音楽はお芝居と違って、1つのキャラクターというフィルターを通さなくていいので、素の自分、観月ありさが「今、伝えたいこと」や「今、歌いたい曲」、「今のファッションの気分」がダイレクトに表に出せる。そこは、音楽の楽しさだなと思うんですよね。逆に、「今、私は何が好きなんだろう?」っていう自分探しをする場所にもなってる、私が今、好きなものってなんだろう。今の気分はどんな感じだろう。自分についてすごく考える機会にもなるんですね。だから、こうして定期的に音楽活動をすると、節目節目でちゃんと自分を振り返りつつ、これからの自分のこともちゃんと考えながらアップデートしていける。音楽をやっているからこそ、そういう機会が与えられるというところもあるので、音楽活動は定期的にやりたいですね。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス