【インタビュー】終活クラブ、悔いを残さず音楽を純粋に楽しむ気持ちが伝わる1st AL『終活のススメ』

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「音楽を終わらせるための音楽」。2020年の夏に結成された終活クラブは、最高の仲間と最高の音楽をやり切るというコンセプトで活動を始めたバンドだ。6月22日にリリースされた1stフルアルバム『終活のススメ』からは、自分の人生に悔いを残したくないというまっすぐな思いとともに、自分たちが鳴らすこの音楽を純粋に楽しんでほしいという気持ちが伝わってくる。聴けば一瞬で脳内がライブ空間へと変換されそうな楽曲ばかりだが、現在は「その5倍くらい楽しい(笑)」(少年あああああ)というリリースツアーもスタート。ここからさらなる勢いでその名を浸透させていくであろう“オバケ”たちに話を聞いた。

■終活というのは基本的に人生を語る時に使う言葉ですが
■僕にとっては音楽が人生なのでこの言葉を使うことにしました


──1stフルアルバム『終活のススメ』が完成しました。リリースを待つ今の気持ちを聞かせてください。(※取材時)

ファイヤー・バード :運動会の前日のようなワクワク感というか、初めてのことなので単純に楽しみです。

石栗:ここまでバタバタだったので、アルバムを出そうという話をしたのがついこの前のような感じです。あまり実感はなかったんですが、周りの人から「いよいよだね」と言われてやっと「いよいよなんだな」っていう感じ。1リスナーとして自分自身も楽しみです。

羽茂さん:1曲目から最後の曲まで、自分たちに今出せる全ての力で作り上げたので、いろんな人が聴いてくれていろんなところに広まればなっていう期待と、これからへの楽しみが入り混じっている感じ。ワクワクしています。


──バンドは2020年8月に結成されたそうですが、「終活クラブ」ってずいぶんインパクトのある名前ですね。

少年あああああ:終活はまさに<終わらせるための活動>ということなんですが、すごく簡単に言えば、最高の仲間と最高の音楽をやり切ろうというコンセプトで始めたバンドです。人生で後悔を残さないように、音楽をちゃんと最後までやり切る。終活というのは基本的に人生を語る時に使う言葉ですが、僕にとっては音楽が人生なので、終活という言葉を使うことにしました。

石栗:最初に少年あああああから「終活」って言葉を使いたいって聞いた時は「重いな」という感じでしたけど、そのコンセプトを聞いて納得でした。

ファイヤー・バード :僕も、なるほどと。まさにこれだって思いましたね。

羽茂さん:最初はイメージできなかったんですが、少年あああああから色々聞いて、確かになと。出来なかったことが悔いとして残ったら間違いなく後悔するだろうし、納得してから人生を終えたいという思いがベースになっているということを聞いて納得でした。

──結成前は、別々に音楽活動をしていたんですか?

少年あああああ:はい。石栗以外のメンバーはよく遊ぶ友達みたいな感じで。よく言う「俺、お前と一生のうちに1回はバンドしたいんだよね」みたいな会話をしていたやつらを誘ったら、もれなく参加してくれたんです。コロナ禍でそれぞれの音楽活動が下火になって、ちょうどレーベルの方ともバンドを作ろうという話になっていたので、これは今しかないだろうと。コロナ禍だからこそ、ライブだけじゃなくSNSもがんばらなきゃねとかそういう考え方も一緒に持ちつつ始められたので、逆によかったなと思っています。このメンバーが集まれたことは運命みたいなものなので、大事にしなきゃなって思います。

──ライブ以外で顔出しをされていないのはどういう理由からですか?

少年あああああ:例えば僕らの音楽が好きで、顔も知りたいという方はきっとライブに来てくれるじゃないですか。それ以外で顔から音楽に入ってもらう必要が全くなかったので、顔がわからなくてもいいというのがひとつあります。あと、SNSは基本的にキャラクターというか僕達を絵に起こしたもので活動しているんですが、ここではある意味現実じゃない部分を作りたくて。自分がヒネくれているからかもしれませんが、芸術みたいなものって、基本架空であるべきだと思うんです。わからない部分があって、それを想像するとかそういう余地があってようやく芸術だなと思うので、それをSNSでやっているという感じなんですよね。

──皆さんのキャラクター、可愛いですよね。あれはオバケがモチーフなんですか?

少年あああああ:そうです。基本的には僕達5体のキャラクターがいて、それともう1体「やさしいおばけ」っていうのがいるんですね。あの5体は、その「やさしいおばけ」になりたいと思っている人たち。後悔しない状態で亡くなったら、悪霊や地縛霊じゃなくやさしいおばけになれるんじゃないかって僕は考えているので「やさしいおばけ」を模した格好をしているんです。どうせ取り憑かれるならやさしいおばけに取り憑かれたいしっていう、これはもともと僕が持っている人生論みたいなものなんですけど(笑)。

──人生論でなぜオバケの例えに(笑)!?

少年あああああ:(笑)。僕、昔から霊感が欲しいなって思っていて。それでホラーとかも好きでよく見るんですが、ああいうのって基本的に悪いオバケにしか取り憑かれないじゃないですか。でも、やさしいおばけだって絶対いるだろうって思って見ているんですよ。守護霊とかそうじゃないですか。

──なるほど、物事の見方や解釈はひとつじゃないという考え方でもあるわけですね。でもその考えを、こうして音楽で仲間と表現出来るのは幸せなことですね。

少年あああああ:本当に。メンバーが一番理解してくれて一緒にやってくれているので、もう感謝しかないです。

石栗:基本的に少年あああああが道筋を作ってくれて、そこからみんなブレないように同じ方向を向いて行くことが出来てるので、今も楽曲の制作とかライブの方向性とかで揉めるようなことはあまりないですね。

──ちなみに、好きな音楽の方向性は5人バラバラだったりするんですか?

石栗:そうですね。僕はもともとビジュアル系が好きで、X JAPANやLUNA SEAとか、世代ではないですけどそのあたりを聴いてギターを始めました。

少年あああああ:僕はJ-ポップ、J-ロックが好きで。それも2000年代くらいのJ-ロックがすごく好きで、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとかELLEGARDENとか藍坊主とか、あのあたりがめちゃめちゃ好きです。

羽茂さん:最初はアニメの「けいおん!」を見てギターがいいなと思ったんですが、その後UVERworldを聴いて音楽をやろうと思いベースを始めました。少年あああああが以前やっていたバンドをめちゃくちゃ好きになって、そこからマジでギターをやり始めたんです。キーボードは、このバンドに誘われてから。未知なる世界でした(笑)。

──今日は欠席ですが、ベースのイシダヒロキさんは?

少年あああああ:邦楽のパンクです。青春パンクとかも好きだよね。

ファイヤー・バード:そうだね。ちなみに僕のルーツは童謡です。「犬のおまわりさん」とかを聴いて育ったんですよ。

少年あああああ:人間、だいたいそうだよ(笑)。

石栗:だいたいみんな聴いて育ってるよ(笑)。

ファイヤー・バード:あれです、インディーズロックです(笑)。当時だとstack44とかそっち界隈。メロコアとかも聴いていました。

──音楽的なルーツの部分は、今の自分のプレイなどに反映しているなと思いますか?

少年あああああ:石栗はモロだよね。

石栗:モロだね(笑)。

少年あああああ:でも僕もそうです。2000年代のJ-ロックって、歌詞が良くて曲が良ければ、歌や演奏があまり上手くなくてもいいみたいな時代だったと僕は思っていて。そういうのが好きなんですよ。センスだけで音楽やるみたいなのがすごく好きだったので、今も歌詞にはとにかくこだわっていますし、単純に歌詞カードだけ読んで面白いなと思ってもらえるバンドでありたいと思っています。それは、2000年代のJ-ロックから受けた影響ですね。

◆インタビュー(2)へ
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