【速レポ】<京都大作戦2022>10-FEET、3日目に熱い思い「一緒に共有したい。一緒にムチャクチャになりたい」

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「最後まで油断するな」──先週の<京都大作戦>でSiMのMAHの発した注意が、改めて思い返される。なにしろ、さっきまでおとなしくなっていた雨が、10-FEETのライブ直前になって、再び激しさを増したからだ。そんな中、鳴り響くSEと共にステージに現れたKOUICHI(Dr, Cho)、NAOKI(B, Vo)、TAKUMA(Vo, G)。

◆10-FEET ライブ写真

「よっしゃ、やるで! よっしゃ、いこ!!」──TAKUMA


TAKUMAの合図でSEは途中でカットアウト、3人は呼吸を合わせてバンドサウンドをかき鳴らした。

「オーライ、1曲目。10-FEETの曲」──そう紹介して始まったのは「STONE COLD BREAK」。土砂降りだろうが、腕を上げて、ジャンプして、10-FEETを思う存分に楽しみ尽くす勢いのオーディエンス。10-FEETの3人もそれに応えてハジける勢いで音を鳴らし、太陽が丘の向こうまでパワーを飛ばしてゆく。




間髪をいれず曲は「goes on」へ。と思ったらイントロの数秒で演奏は中断。NAOKIが「ちょ、待って。先週やったやん」と笑う。KOUICHIも「デジャヴ?」と突っ込む。先週の7月3日、<京都大作戦>で起こった一幕のことをNAOKIとKOUICHIは指している。大阪籠球会を呼んで「goes on」をやる予定だったが、TAKUMAがそのことをすっかり忘れ、演奏を止めて仕切り直しをした、あの珍事だ。

「その再現です」と笑って答えるTAKUMA。こんな流れから曲はもちろん大阪籠球会の華麗なバスケ技と決める「goes on」だ。曲の中盤では「ちょっとだけしゃがめ」からの「飛べ!」という、ライブならではの楽しみ方も。直後には笑顔のコンタクトも10-FEETとオーディエンスの間で繰り返された。


そんなオーディエンスに対してキリッとした表情を浮かべながらTAKUMAは言う。「みんなに一言だけ言いたいことあんねん。HA, HA, GO!」──その一言だけでわかってしまうのは、さすが<京都大作戦>のオーディエンス。初期の疾走ナンバー「SHOES」で、間奏ではNAOKIのベースソロも飛び出す。そこから今度は「ハローフィクサー」という比較的新しめの曲へとつなげ、バンドアンサンブルのうま味をどこまでも見せつけていった。

「先週、SiMからもらったてるてる坊主、全く効かなかったです。全然、効果がない。うち500円で、あれは1500円でしょ。うちも効果ないし、あれも効果ない。まだ、うちのほうが損害が少ない」と、土砂降りの雨を恨めしそうに見ながら語るのはTAKUMA。「SiMからは気持ちだけ受け取っておこう。SiMのも、10-FEETのも、買ってくださ〜い」とフォローするのはNAOKI。むしろ雨ごいにはお薦めのグッズと言えるかもしれない。それはともかく、ライブは最新曲「aRIVAL」へ突入。赤いストロボ・ライトが点滅する中、邪悪なムード全開で決める前半があって、曲展開で切り込んでくるのは斬新でありながら耳を引き付けるフックもある3人のハーモニーメロディ。メインの歌では、自ら声を歪ませながら歌うTAKUMAのアプローチも新しい。間違いなく新章へ入った10-FEETの姿を映し出している。




ステージにドクター長谷川を呼んで「ライオン」、そこからこのステージで何度となく鳴らしてきた「RIVER」へと続くライブ。後者ではDragon Ashのkjも加わり、スマホの光が作る美しい世界の中で一緒に歌う4人。盟友と呼べる仲間とのコラボレーションは、<京都大作戦>ならでは。というか今日の10-FEETのセットリストこそ、<京都大作戦>ならではだと思う。

今年で結成から25年の10-FEETであり、<京都大作戦>は今年で15周年。それを凝縮するには時間は短いが、初期から最新曲まで、ライブのキラーチューンや忘れてはならない曲で選び抜いているように感じる。威勢のいい初期があり、人生経験を重ねながら言葉に深みを増していった歌詞があり、色気あるフレーズやプレイも身につけたことで形になった曲もある。いわばガキからの成長記録とも呼べそうなセットリストかもしれない。しかしメンバー自身は、その成長ぶりを見せようとしているわけではなかった。それら楽曲をこの<京都大作戦>のステージで歌うことで、まるで身を引き締めているような感じだ。



「経験するとアホになるね、人間は。満足したら、また次から次へと、もっともっともっと…。俺らみんな、人間麻痺。幸福、幸運、どこにある。ずっと探してる。オマエらと探したい。人間麻痺溶かすバーナーみたいなもの一緒に探したいって、ずっと思ってる。アホはアホなりに、一緒に幸せになりたいし。落ち込むことも、鬱になることも、死にたいと思うことあったら、一緒に共有したい。それぐらいオマエらと一緒にムチャクチャになりたいよ。ここなら大丈夫と思えるもんが、きっと、正しいええライブしたらあんねん。ああ、もっと頑張らな。アアー、アアーッ!」──TAKUMA

コードを鳴らしながら、一言ずつ、自分に言い聞かせるTAKUMA。最後は、もう、絶叫になっていた。ひたすらもがいていた。そこから始まったのは「ヒトリセカイ」。メロディよりも思いの強さが勝った歌がそこにあった。



さらにアンコールではこんなことも語るTAKUMAがいた。

「あの場面の一言とかで、人ってどこまでも頑張れると思うねん。そういう一言をここぞってときに言えるヤツでいたいなと思ってます。それが本音でも、無理して演技でも、嘘でもいいなと思っていて。それを言うべきときやと思ったら、一番言うべき心の形と表情で、言えたらと思ってます。逆に、ひとつの言葉がトラウマになって頑張れないっていうこともあると思います。そういうことを言ってしまったなら、恥ずかしさを乗り越えて、“あんときはゴメンな”って言える、その男前さ、女前さを一緒に持ちたいなみたいなことを、ずっと思ってライブやってんねん。ごめんな、堅苦しくて。でも音楽を鳴らしながらやったら、堅苦しくなく伝えられるんじゃないかなと思って。偏った意見でも、そこには熱い思いも細かいこともいっぱいいっぱいあって。でもそれを単刀直入に言っても、音楽と曲があれば伝わると思ってて。そこにずっと挑戦してて」──TAKUMA

さらに言葉は続いていくが、とにかく音楽に込める気持ちを正直に告白するTAKUMA。そこから続いたアンコールの2曲は、歌というより魂が叫び、訴えている。さらに何度も何度も“一緒に、一緒に”と歌う。その一言には、もちろん熱い思いがとんでもなく詰まっている。


「これからも挑戦していこうぜ」──TAKUMA

初心の全てを取り戻したような10-FEETのステージでもあった。そして明日7月10日、<京都大作戦>は最終日を迎える。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎HayachiN/瀧本 JON...行秀/青木カズロー

セットリスト

1. STONE COLD BREAK
2. goes on
3. SHOES
4. ハローフィクサー
5. aRIVAL
6. ライオン
7. RIVER
8. ヒトリセカイ
encore
en1. 蜃気楼
en2. その向こうへ

■10-FEET主催<京都大作戦2022 〜今年こそ全フェス開祭!〜>MISSION IMPOSSIBLE-KYOTO 2022 ~Hope for whole day festivals this year!~

2022年7月02日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2022年7月03日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2022年7月09日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2022年7月10日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
open9:30/start11:00

■出演アーティスト ※50音順■
▼7月02日(土)
【源氏ノ舞台】打首獄門同好会 / ウルフルズ / SHISHAMO / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / HEY-SMITH / ROTTENGRAFFTY
【牛若ノ舞台】Unblock / Suspended 4th / NAMBA69 / HERO COMPLEX / 夜の本気ダンス / LABRET
▼7月03日(日)
【源氏ノ舞台】Creepy Nuts / G-FREAK FACTORY / SiM / 四星球 / 10-FEET / ヤバイTシャツ屋さん / WANIMA
【牛若ノ舞台】Age Factory / THE冠 / SHADOWS / SHANK / Hakubi / LONGMAN
▼7月09日(土)
【源氏ノ舞台】ACIDMAN(出演キャンセル) / The BONEZ / サンボマスター / 10-FEET / Dragon Ash / Vaundy / My Hair is Bad / ROTTENGRAFFTY
【牛若ノ舞台】上江洌.清作&The BK Sounds!! / go!go!vanillas / SHE'll SLEEP / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / Dizzy Sunfist / NOISEMAKER
▼7月10日(日)
【源氏ノ舞台】クリープハイプ(出演キャンセル) / Ken Yokoyama / 湘南乃風 / 四星球 / SUPER BEAVER / dustbox / 10-FEET / マキシマム ザ ホルモン
【牛若ノ舞台】KOTORI / Saucy Dog / SHIMA / TETORA / Paledusk / HOTSQUALL
※アーティストは都合により変更になる場合がございます。その際チケット代金の払戻しは行いませんので、予めご了承下さい。

▼チケット料金
1日券 8,778円(税込) /前2日券 17,556円(税込) /後2日券 17,556円(税込)

▼チケットに関するお問い合わせ
(問)インフォメーションセンター(平日のみ)
https://ticket.kyoto-daisakusen.kyoto/contact

▼公演に関するお問い合わせ
(問)サウンドクリエーター https://www.sound-c.co.jp/contact/
電話でのお問い合わせ:06-6357-4400 (月・金12:00~15:00 ※祝日を除く)

【京都大作戦2022 新型コロナウイルス感染症対策について】
「京都大作戦2022」では、新型コロナウイルス感染症の予防と感染拡大防止及び、お客様・出演者・スタッフの安全を確保するべく、感染症対策ガイドラインを定め、対応に最善を尽くして参ります。チケットのご購入ならびにご来場に際しましては、必ずご確認いただき、ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。(オフィシャルサイト掲載文言抜粋)
京都大作戦2022 新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン:https://kyoto-daisakusen.kyoto/22/guideline/

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