【ライブレポート】ジュリアナの祟り、浅草公会堂から未来を見つめたツアーファイナル「これからも前に進んでいこうね!」

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ジュリアナの祟りが6月27日に<July and 夏をやり直そうか!ビヨンド~第二フライデー襲撃事件!向かえ!殿の故郷~>のファイナル公演を浅草公会堂にて開催した。公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆ライブ写真(22枚)


「ジュリアナの祟り」の名付け親であるビートたけしの、芸人としての原点でもある浅草でのライブ開催を目指し、2022年2月11日に渋谷GUILTYにてスタートしたツアーのファイナルでもあり、同時にこの日は蕪木蓮(Vo.)の“97歳”の誕生祭でもある。蕪木の誕生日付近には大きなホールでの公演が定番となっており、2022年は浅草公会堂でのバースデーライブとなった。

まだまだ油断できないコロナ禍ということもあり、注意事項として「大声での声援禁止」が挙げられ、さらには会場ルールとして「着席観覧必須」といった制限のある中、事前の問診票提出や検温・消毒・マスク着用含めしっかりとコロナ対策を施したうえでファイナルは開催された。

   ◆   ◆   ◆

開演時間を過ぎ、ステージ後方に設置されたスクリーンに、メンバーアナウンスによるライブの楽しみ方ガイダンスが流れた後でSEとして「フタリで、、、」の曲がかかる。

そしてステージの「セリ」が上がり、「奈落」から5人のメンバーが登場するという派手なオープニング。そこから改めて「フタリで、、、」が始まり、メインボーカルを務める江夏亜祐(Dr.)を中心にフォーメーションが組まれ、ライブスタート。


江夏、そして蕪木のツインボーカルに対して“ケチャ”をして盛り上げていく矢島銀太郎(Ba.)、翌桧ダンク冬雪(Pf.)、佐川ネル秋吉(Dj.)3人。


「今日一日楽しんでいこうか!」という江夏の号令で曲を終えると、ネルによるマイクパフォーマンスと共に各メンバー、さらにはサポートギターで参加しているノブ(Gt.)の紹介を挟み、バンド編成となったジュリアナの祟りによる「薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪文はAYATRA~」が披露される。

ステージには新たにサポートパフォーマーとしてHITOMIも加わり、総勢7人が激しいアクションを展開していく。蕪木はお立ち台で歌い、江夏はステージ上手でドラミング、矢島とノブは下手で弦を操り、ダンクとHITOMIは両サイドでダンス。右端に設置されたDJブースで煽りを入れるのは、ネルだ。


「今日は浅草公会堂に来てくれてホントにありがとう! もっともっと拍手して盛り上がっていけるだろう~!?」と蕪木は叫び、“パン パパン”と弾ける手拍子で場内一体となる盛り上がりを見せる。


続く「結論」では江夏以外の全員がダンスを披露。楽器隊も演奏をしながら踊るという離れ業を見せつける。パフォーマーふたりに矢島とネルも加わった4人が横一列となり、蕪木と4人がそれぞれステージ両サイドに分かれてダイナミックなライブを展開。

ジュリアナの祟りの魅力のひとつでもある、様々なフォーメーションでの構成は観る者の視線を捉えて離さない。

ネルの「ドル!ユーロ!ポンド!ペソ!ウォン円元!バブリー!」MIXを合図に4曲目「しゅわわ。なシャララ。」へと突入。哀愁を感じさせるメロディに乗る蕪木の見事な歌唱と、パフォーマーたちによる軽やかなステップを刻むダンスの対比も面白い一曲だ。そしてノブの、パンチのあるギターソロがさらに楽曲を引き締める。

MCでダンクは、ビートたけしによる「ジュリアナの祟り」命名7周年を迎えたことに触れつつ、これまで蕪木の誕生祝いは東京国際フォーラムや渋谷公会堂など大きなホールでワンマン公演を行ってきたと話し、もうやり尽くしたのでは?と蕪木に問う。

すると蕪木は、浅草公会堂に堂々鎮座する花道を使ったり、バックダンサーによる演出をしたりと、もっとやりたいことがあると主張。これを受け、ネルが「ここからは蕪木さんの夢、みんなで一緒に叶えてもらっていいですか!」と煽りを入れて、流れるように次のブロックへと進んでいく。

「ギリギリ勝負な僕たちは」ではさっそく蕪木の夢が実現。バックダンサーとして“小蕪木”と称された「そのまんま祟り」(※楽曲もコンセプトもそのまんま同じで活動しているジュリアナの祟りの一番弟子ユニット)の天人琴乃と麻布美佳子が登場し、ダンクとネル、HITOMIも加わった5人によるダンスの中で蕪木が歌う。


鮮やかな照明を浴び、バックダンサーを従えてお立ち台でド派手なギターソロを繰り出すノブの雄姿も輝いていた。ジュリアナの祟りはステージに立つ者すべてが主役と言わんばかりに、メンバーだけでなくサポートメンバーにも見せ場があるのだ。

歌謡曲テイスト強めの「トーチライトカモガワ」では、オレンジの光を背に9人が圧巻のステージングを繰り広げていく。蕪木がその圧倒的歌唱力で観客の心を惹きつければ、江夏はダンサーたちの振付に合わせて、左右に手を上げながらの“踊るドラム”で楽しませる。


ノブによる、曲を引き立たせる鮮やかなギターソロも挟みながら、蕪木を中心に立ち位置固定のノブと江夏を両翼とした、9人全員での扇形ともいえるフォーメーションも見事に決めるなど、彼らのライブはとにかく注目ポイントが多く、オーディエンスにとっては目も耳も忙しい。

7曲目の「夏のyou」は初期平成サウンドを感じさせるギターリフからスタート。8人を背負い、センターに立ち続けながら歌と踊りでバンドを牽引する蕪木の凛々しさが美しく映える。

合いの手を入れて盛り上げていくネル。低音でリズムを作りながら、なおかつ踊りにも参加するというマルチなベースプレイの矢島。一人ひとりが役割をしっかりと担い、ライブを作り上げるチームプレイも素晴らしい。落ちサビで聴かせる、少しジャズ味のする伴奏もまたオツだ。


2度目のMCではダンクが「いましたね、“小蕪木”」と切り出し、蕪木もダンサーの登場に大興奮。江夏も「7年かかりました」とコメントする。さらにダンクが、まだ花道を使っていないことに触れ、「せっかくたくさんの方が蕪木さんの誕生日を祝いに来てくれたので、もっと近くでみんなの顔見たいでしょ?」と、この後の演出に期待の膨らむコメントも。

大きなホール公演では毎回、ビートたけしに招待の手紙を書いているというジュリアナの祟り。普段は撮影禁止だが、ホールワンマンに限り一部の曲では撮影OKとしている「SNS拡散コーナー」を利用し、SNSでのアピールを通じて、まだこの場に来ていないビートたけしに来場を促そうと画策する一幕も。

このブロックからはバンド編成によるライブも終盤へと向かう。「さあ、ここからみんなで一緒に“祟り”広めてもらっていいですか!!」とネルのハイトーンな煽りから一転、琴の音色が優しく響くオープニングが印象的な「SAQRA」が始まる。

迫力を伴う低音パートに加え、美しいファルセットも織り交ぜて観客の耳を虜にする蕪木は、予告通り花道もしっかりと使いながら、しっとり、そして艶やかに和の歌を歌い上げていく。

蕪木&小蕪木の3人はバブルの象徴「ジュリ扇」を持ち、一緒にステージを移動しながら抜群のコンビネーションでステージに華やかさをもたらしていた。

「だーりん」では江夏とノブを除く全員が、真赤に彩られた花道にてダンスを踊り、浅草公会堂という場所を最大限活かした演出を展開。さらにはセンターにあるお立ち台で、ダンクがタンバリンを、そしてネルがけん玉パフォーマンスを披露する。


出し惜しみせずこれでもかと自分たちのあらゆる武器を放ち続けるなかで、その軸に蕪木の歌を中心としたバンドとしての魅力があるからこそ成立する、これぞジュリアナの祟りと言わんばかりの、エンタテインメントの洪水のようなライブだ。

ここで蕪木と楽器隊を残し、これまで様々なプランで楽しませてくれたパフォーマーたちはステージを去る。純粋なバンド編成のみで披露されたのは「New Scene」。


派手なパフォーマンスは抑えつつ、歌と演奏というシンプルなバンドとしてのジュリアナの祟りで魅せていくスタイル。ノブの伸びやかなギターがサウンドにスケール感をもたらし、蕪木はステージを広く使って一人ひとりの観客に届けるように、丁寧に歌う。こぶしも駆使しながら、楽曲を豊かに表現していく素晴らしいボーカリストだ。


引き続き同じメンツでの「キミリウム」は、ステージ両サイドからスモークが出てムードたっぷり。まるで雲海の中で歌っているような、幻想的な演出が施されていた。照明に照らされて色を変える雲海に見惚れていると、やがて雲の流れは客席へとなだれ込んでいき、ステージと一体化。それはまるで今日のライブそのものを表しているかのようだった。

歌詞に強弱をつけて歌の世界に広がりを持たせる蕪木の歌唱にも惹きつけられるなか、「キミリウム」は終わりを迎えてバンド編成中心のライブ前半が終了。蕪木もせり下がりでステージから消えていった。

そしてここからはネルによるDJタイムがスタート。舞台の上にはネルひとり。DJブースでオーディエンスを煽りながら、ドン・ドン・ドン・ドンと響く四つ打ち系ユーロビートナンバーを次々に投下する。客席からは、来場者に無料配布された「ジュリアナの祟りハリセン」を叩く音が加速していく。


と、ここで、ダンクが小蕪木を引き連れ登場。「あんちゃん華がないね」とビートたけしのモノマネまで挟み込み、3人によるタップダンスタイムが始まった。

3人のタップダンスとDJネルによるスクラッチのコンビネーションが炸裂し、ラスト、ネルも加わった4人のタップダンスは、“コマネチ”のポーズで綺麗にフィナーレを迎えた。


ネル&ダンクのパフォーマンスタイムが終わると奥にあるステージが、2m近い高さまでせり上がる。そのステージ前面の壁には蕪木のイラストと「97」の数字が添えられており、蕪木誕生祭ムードがさらに色濃く会場全体へと広がるさらに矢島、江夏、そしてセリから蕪木も登場し、ライブ後半戦となる“ハッスルトランスタイム”へと突入する。


前半戦は蕪木がメインボーカルを務めていたが、ここからは江夏がお立ち台で堂々メインを張り、ダンクやネルはもちろん、矢島もベーシストからパフォーマーへとジョブチェンジしてライブを盛り上げる。同期音源を使いながら「泡沫の罪な夏」「キラキラ☆hero」とたて続けに投入。


途中、メンバーがステージモニターを倒してしまうほどの激しいアクションとフォーメーションも飛び出し、ライブはさらに加速。パラパラをベースにしたダンスでバブル度も急上昇だ。

前半では江夏と蕪木のふたりに向かって行われた“ケチャ”も、“ハッスルトランスタイム”を担うのはこの人だとばかりに、ここでは江夏ひとりに向けられる。

「【事勿れ主義】SNSメッセンジャー【痛い人】」はSNS風にビジュアル化された歌詞がスクリーンに表示される演出や、前半では美しい歌声を披露していた蕪木の、怒涛のハイトーンボイスな合いの手によってより楽曲の個性が引き立っていた。

「パンティーナイト♂」ではお立ち台や大ゼリ、さらには花道も活用し、縦横無尽のフォーメーションと共にライブを立体的に見せていく。そして一瞬の隙をついて矢島が舞台から消えると、衣装を脱ぎパンティー一枚の姿となって花道に再登場。お立ち台に移動して《ダンソン フィーザキー》で始まるお笑い芸人・バンビーノのネタ「ダンスィングフィッソン族」のステップを模した「パンティモッシュ」を披露する場面も


力強い“うりゃ!おい!”コールも印象的な「紫陽花モードで責めてくれ!」は、お立ち台を下りた江夏がダンクとの絡みを見せて会場を沸かす。続く「無敵シュプレヒコール~このSを、聴け~」では大ゼリと通常ステージ、それぞれに分かれた蕪木と江夏による迫力のツインボーカルがオーディエンスを魅了し、さらに矢島がセンターで踊るという緩急たっぷりな構成で畳みかける。


“ハッスルトランスタイム”もラストとなる「あーもー!アモーレ!!~アイツのタタリ~」での、CO2を使った派手な特効がさらに熱量アップさせる。ステージ前でライブ撮影をするカメラに向かい、江夏とダンクは何度も拳を突き出し猛アピール。さらに江夏とネルは花道に移動して歌い踊り、その後全員が横一線に並んでダンスするなど、ステージ側と客席側、共に一瞬の油断もできないほど様々なアクトが詰め込まれた時間が刻まれていった。

“ハッスルトランスタイム”の軸となるトランスやユーロビート。これらのサウンドに乗るボーカルはそのグルーヴ感も含めて“音”としての役割が強い印象もあるが、江夏特有の情感溢れるエモーショナルな歌声は、これらサウンドの中で歌詞にも注意を引き、楽曲が持つ世界観の幅を広げる効果を持っているのではないだろうか。

「もうちょっとだけいこうか、拳上げて!」と江夏がさらにオーディエンスを煽ると、本編の最後を飾るナンバー「リグレット~君を想い返している~」へ。ここで“小蕪木”のふたりは退場。再びサポートギターでノブが加わり、江夏もドラムに戻ってバンド編成でのライブとなる。

「ラスト1曲盛り上がっていけるか~!?」と気合いの叫びを響かせた蕪木は、その言葉を自ら背負い、全力でその歌声を会場全体に届けていく。パフォーマーたちは矢島をぐるっと囲い、餅つきの要領でその頭をエアで叩くという演出で楽しいエンタテインメントショウの要素を担う。一方で蕪木は曲ラスト、転調によるギアチェンジを見せ、シンガーとしての力量をオーディエンスの耳に焼き付けた。


ここまで全19曲を披露し終えると「ラスト10回ジャンプして終わりにしたいと思います!」という蕪木の言葉をきっかけに、ジュリアナの祟りのライブ恒例ともなった、メンバー全員による10回ジャンプで本編は幕を閉じた。

場内は暗いまま、スクリーンにはtvkのTV番組『ジュリアナの祟りのバブリー革命TV』シーズン2放送決定とこれを記念した4ヵ月無料ワンマンライブ開催の告知映像が流れる。その後、客席から起こったアンコールの手拍子に応えて、メンバーがステージに戻ってきた。

アンコールの前に、今回の公演を行うにあたって抱いた思いを自分の言葉でファンに届けようと、江夏が言葉を繋ぐ。

コロナになる前、みんなで肩組んで汗だくになるようなライブをやってきたジュリアナの祟りにとって、コロナ禍で声出しNGといった制限もある状況でどうやって楽しませていこうか考えていたという。

今回の浅草公会堂公演では立ち見禁止という制限もあり、最初は迷ったという江夏。しかしいろいろと制限されていたとしても、そのなかでどれだけ観客を楽しませられるか。それが自分たちの力量なんじゃないかと思い、挑戦することに決めたと話す。

「ルールを破るのが必ずしもロックではない。守っていくのも大事」と続け、今回発表となった無料ライブについても「少しでもあの頃に戻していこうという我々の気持ちを込めた、4回無料招待ワンマンに遊びに来てください」と語りかける。

そして「我々もいろんな注意を払いながら、みんなで楽しく安全に遊べる場を作っていきたいと思います」と改めて決意を述べると、「いろんな制限が今日ラストになるように、全力でみなさん一緒に盛り上がってくれますか!?」と声を上げ、そこからはネルが引き継いでオーディエンスを煽り、アンコールへと突入する。

今日出演のすべてのメンバーが、衣装チェンジしてバンドグッズのTシャツを身にまとい、ステージに集結。ノブもギターを手放してパフォーマーとしての参加となる。キュートなダンスでライブを盛り上げた“小蕪木”も再登場して「キミクロニクル」スタート。

ネルによる「コマネチ!」の言葉を合図に全メンバーが“コマネチ”のポーズを披露するなど、息の合ったプレイで本編までの熱を落とすことなく引き継ぐと、「バブリー革命~ばんばんバブル~」ではきらびやかな色とりどりの光が浅草公会堂を染め上げていく。円安悲嘆を吹き飛ばす令和バブルの世界がここに再現。江夏と蕪木がかわるがわるお立ち台でその歌声を轟かせる。

さらにステージ上手、そして花道と場所を移しながら臨場感たっぷりなライブを繰り広げると、江夏のレクチャーで会場を巻き込んでのタップダンスタイムへ。着席スタイルのため、オーディエンスは足だけでの参加だ。

「まだまだ足りない! 足が足りない! 床が抜けるくらい!」と、江夏のスパルタ要求に応え、皆は座ったままでタップダンスにトライ。ライブ終盤、新しい形でメンバーとオーディエンスが一体となってライブを楽しんだ瞬間だった。

最後は会場全体に無数の手拍子が広がり、その間にメンバーはバンド編成へとチェンジする。「これからも一緒に前に進んでいけたらと思います」という江夏のメッセージから、本日ラストとなる一曲、「アクシデント」が始まる…はずだったのだが、まさかのいきなりアウトロ部分のオケが流れ始め、そのまま曲が終わってしまうという、まさに“アクシデント”が発生。

ここまでの盛り上がりと終幕に向けた緊張感が一時停止し、「ひと言もまだ歌ってない!」と蕪木もメンバーも声を上げ、もはや笑うしかない状態に。しかし、あえてもう一度空気を作り直すことはせず、わちゃわちゃしたこの流れでやり直そうとするところが、いかにもジュリアナの祟りらしい。


このトラブルにひとしきり盛り上がった後、改めて蕪木が「アクシデント」とクールに曲タイトルを発すると、一瞬にして会場の空気が張りつめ、仕切り直しで曲スタート。一度は緩んでしまったものの、楽曲が持つパワーとメンバーによる歌、そして演奏が作り出す世界観は、ちょっとやそっとのアクシデントで消えることはなかった。

蕪木の歌声は2時間のライブを経ても色褪せるどころかますます輝きを放ち、耳に、そして胸に響いてくる。

《運命的に君が大好きだ》の歌詞を《運命的にみんなが大好きなんだ!》とアレンジし、自身の気持ちを込めて伝えていく蕪木。そんな、感情が盛り上がる絶妙なタイミングで破裂音とともに銀テープが浅草公会堂を舞い、まさにライブは最高潮に達する。

曲も終わりに近づき、《いつかまたきっと逢えるよね》と歌ったところで一切の音が消え、しばしの静寂の後で蕪木の語りが入る。

「今日は私たちのためにここに6月27日、集まってくれてありがとうございます!」

拍手が彼女を包み込むと、《『灼熱』は》と歌い、再びの静寂。そして蕪木の思いが言葉となってオーディエンスに届けられた。

「私は、みんなの生きる意味であり、私の生きる意味であってほしいと思っています、お互いに。いろんなことがあるかもしれないけど、一緒に、一生懸命頑張りましょう!」

大きなは拍手の後、《恋の》と歌に戻り、江夏のシンバルカウントから楽器隊も合流して《セオリー》と歌い繋ぎ、「アクシデント」は再加速。エンディングへと駆け抜けていった。


「ジュリアナの祟り」命名から7周年ということで、〆のジャンプを7回決めてライブは終演。

すべての曲が終わり、締めくくりとなるMCで江夏は最後に言葉を紡ぐ。

「ド平日、月曜日にも関わらず、暑いなか浅草まで足を運んでいただきありがとうございました。こんなことは、7年前の僕らには考えられないこと」

「(「アクシデント」時)俺がぐちゃぐちゃにした空気をすげえいい空気にしてくれて、すげえ蕪木成長したなって思いました」

江夏の言葉に感激した様子の蕪木は、抑えきれずに溢れてしまう感情と一緒に、丁寧に自分の思いを伝えていく。

「みんながいないと生きていくのしんどいです。私はみんながいないとすごいしんどいけど。みんなの中にも同じことを思う人がいるかもしれないけど…。私もみんなの支えになりたいし、みんなは、みんなは、みんなは…私の、ホントに支えになってます。生きていく意味を与えてくれてホントにありがとう。これからも頑張ります。お誕生日お祝いしてくれてホントにありがとう!」

そんな蕪木を見守りながら、江夏は「うちのメンバー、みんなダメなやつばっかりなんです。でもこの1年成長が著しい」と語り、そして(「アクシデント」でのぐちゃぐちゃからのリカバリーについて)「すごくない?」と興奮を抑えきれない。

「毎年楽しみに来てくれる人がいるからなんです、我々が成長できるのは。みんなが見に来てくれなかったらバンドやめてます」とドキッとするような言葉も挟みながら「みんなと楽しいことができるから、少しずつ成長していける。みんなのおかげです、ありがとうございます」と続ける。

「まだ明けてはいないですけど、明ける兆しはありますので、みんなで少しずつあの頃に戻って、ぐちゃぐちゃになれるライブもやっていけたら。制限があった日もあったね、あれはあれで楽しかったよねって笑える日が来るように」

こうして江夏は“タタラー”と呼ばれるファンへの感謝と、きっと訪れるであろう、コロナ前と同じライブハウスの景色に想いを馳せると、最後は「コロナの明けた未来に向けて」万歳三唱を提案する。

そして、声は出せないオーディエンスと共に「浅草今日は一日ありがとうございました。これからも前に進んでいこうね!」という江夏のメッセージに合わせて「万歳」を3回叫び、<July and 夏をやり直そうか!ビヨンド~第二フライデー襲撃事件!向かえ!殿の故郷~FINAL>は終幕となった。

バンド命名の恩人・ビートたけしの原点と言える浅草。そして40年以上の歴史を持つ浅草公会堂という場所で、バブルの時代を象徴するコンセプトで活動を続けるジュリアナの祟りが記念すべきワンマンライブを成功させた。

まだまだコロナ禍の世は続くも、苦難の終わりが見えつつある今、これから先の希望を提示しながら共に頑張っていこうと皆に送ったエールは、自分たち自身に向けての言葉のようでもある。

一緒に傷つき、歯を食いしばりながらこの時代を生き抜いた者たちの絆は強い。これからのジュリアナの祟り、そして“タタラー”たちが作り出す快進撃を楽しみにしたい。

取材・文◎ほしのん(https://twitter.com/hoshino2009)
写真◎つなかん


セットリスト<July and 夏をやり直そうか!ビヨンド~第二フライデー襲撃事件!向かえ!殿の故郷~>ファイナル公演

2022年6月27日 浅草公会堂

01.フタリで、、、
02.薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪文はAYATRA~
03.結論
04.しゅわわ。なシャララ。
05.ギリギリ勝負な僕たちは
06.トーチライトカモガワ
07.夏のyou
08.SAQRA
09.だーりん
10.New Scene
11.キミリウム
12.泡沫の罪な夏
13.キラキラ☆hero
14.【事勿れ主義】SNSメッセンジャー【痛い人】
15.パンティーナイト♂
16.紫陽花モードで責めてくれ!
17.無敵シュプレヒコール~このSを、聴け!~
18.あーもー!アモーレ!!~アイツのタタリ~
19.リグレット~君を想い返している~

EN
20.キミクロニクル
21.バブリー革命~ばんばんバブル~
22.アクシデント

ライブ情報

tvk『ジュリアナの祟りのバブリー革命TV』シーズン2放送記念!
4ヶ月無料ワンマン<ジュリアナの祟りのバブリー革命RAVE>
#1 7/28(木)渋谷CRAWL
#2 9/9(金)新宿MARZ
#3 10/7(金)新宿club SCIENCE
#4 11/1(火)渋谷REX…重大発表あり

▼チケット
各入場無料+ドリンク代別途¥600

▼受付URL
https://tatari.tokyo/contents/537073
7/28(木)二次抽選受付中

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