【インタビュー】ドラマストア、珠玉の楽曲群がイマジネーションを刺激する2ndアルバム『LAST DAY(S) LAST』

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■解釈に齟齬が生まれるのって、やっぱりすごく嬉しいことなんですよ。
■それだけ曲を聴いてくれているっていうことなので。


──「桜の咲かない春」は、職業作家が歌手のために書き下ろした歌謡曲的なテイストを感じます。《消えないように 忘れないように 在りし日を確かめてる》と歌っていますが、別れた恋人との日々を反芻している曲という解釈で合っていますか?

長谷川:全然違います(笑)。でも、そういう捉え方が僕にとって超快感なんです。読み込んでくれないと齟齬って生まれないので、ありがたいです。

──どんな物語をイメージしてこの歌詞を書いたんですか?

長谷川:今はコロナ禍が始まってから3回目の春が通り過ぎたところですよね。僕の家の近くに桜が咲く公園があるんですけど、コロナ以降、めっきり子連れの家族を見かけなくなってしまって。「これは桜が咲いていないのと同義やな」って思いました。そういう悲しさを綴ってみたのが「桜の咲かない春」です。でも、今おっしゃったような解釈を聞くと、そういう心情も込めてライブで歌えるので、解釈を聞けるのは嬉しいです。

──では、誤解を恐れずにさらに解釈を申し上げます。「アリストテレスは斯く語りき」は、儚く消えてしまう宿命を負った「愛」というものの皮肉を描いた曲として受け止めました。

長谷川:なるほど。この曲は「哲学的なことを描きたいなあ」っていうのがあったんです。こういうのはアルバムだからこそできる曲で、作る側としてもめっちゃ楽しかったです。

──「アリストテレスは斯く語りき」と「桜の咲かない春」のサウンドは、特に歌謡曲的なテイストを感じました。

長谷川:その2曲はそうかもしれないですね。「アリストテレスは斯く語りき」というタイトルは、ニーチェにアリストテレスを足しています。

──ニーチェの要素が「斯く語りき」?

長谷川:はい。『ツァラトゥストラは斯く語りき』です。タイトルでそういうことをしつつ、「好奇心」とか「知を愛す」ということを自分なりに分解しました。アリストテレスがこういうことを本当に言ったのかはわからないですけど、自分なりに解釈をしながら書いていったのが、この歌詞です。

──今のお話からも伺えますけど、やはりご自身の中でいろいろイメージを膨らませながら物語を構築していくのが好きなようですね。

長谷川:はい。自分が自分であることもめっちゃ好きなんですけど、自分が自分以外になれることもすごく好きなんです。だからこそ作詞で自分の色を出すのが楽しくて、それを認めてくれる人がいるから、より楽しいんです。

──「花風」も、物語がとてもイメージできる曲です。

長谷川:ほんまはアルバムに入らない予定やったんですけど、「やっぱ入れたいよな?」ってなった曲です。これは僕もめちゃくちゃ好きですね。2、3月辺りの「春を待つ」っていう感じの曲を書きたいと思って作ったんです。僕は春は出会いよりも別れにフィーチャーするタイプなので、春が来たら何をするのか決まっている人に対して「まだ何も変われていないな」と見送る立場を描いています。

鳥山:この曲はセクション毎でも全体でも、「開いていく」みたいなイメージの音を入れていきました。ピアノのリヴァースを特に使っているんですけど、その結果「桜が舞った」っていう感じがしています。

──演奏しながら、みなさんの中でも風景がすごく見えているんでしょうね。

髙橋:そうですね。

松本:見えてる?

髙橋:うん。レコーディングのどの段階だったかは覚えていないですけど、僕の中でもそういうものは見えていました。

松本:曲を聴くと絵が見えるというのはあると思います。みんなが頑張ってくれていますね。「想像することで解釈に齟齬が生まれるのが嬉しい」というのは海くんも普段から発信していることなので、聴いてくれるみなさんの間でも「見つけたろ!」じゃないけど、考察が盛り上がっています。

▲『LAST DAY(S) LAST』通常盤

──サウンドのアプローチも幅広いアルバムですが、「夕立の唄」のバイオリンはBIGMAMA の東出真緒さんが演奏しているんですね。今年の3月の主催イベント<DRAMA FESTA 2022>がご縁だったんですか?

長谷川:はい。この曲のバイオリンをお願いしたら、快諾していただけました。

──あのイベントは、出演バンドが豪華でしたね。「ドラマストアは、バンドマンに愛されているんだな」と思いました。

長谷川:アーティストの友達が、あんまりいないんですけど(笑)。

──(笑)。この曲にもアレンジ力の高さが表れていると思います。

長谷川:ありがとうございます。基本的にアレンジは周りのみんなに任せています。大体、和也が取り仕切ってくれるんですけど。

松本:「この前、こういうのをやったから、今回は別のことをしないといけないよね? どうしようか?」って流れに毎回なっています。それが結果的にバンドの幅を広げているのかもしれないですね。


──ストリングスが入っていて壮大な響きがある「夏の幻」、軽やかな仕上がりの「ピクトグラム」、ホーンとピアノのサウンドが心地よい「knock you , knock me」とか、様々なアプローチが楽しいです。

長谷川:曲を作っていて「中途半端な仕上がりになるな」と感じると、どんなに完成に近づいていたとしても和也くんが止めてくれるんですよ。そういう優しさを感じています。


──「ピクトグラム」は、《はいチーズ》というフレーズが印象的です。

長谷川:《はいチーズ》って、もう死語なんですかね?

──あまり言わなくなっていますよね。

長谷川:「いくで! いくで!」って言って、自分が一番かわいい表情の瞬間にシャッターを切る感じですからね。

──「ピクトグラム」もタイトルにインパクトがある曲です。

長谷川:恋人や友達と写真を撮っても、今はSNSに上げて終わりというか。「自分が大事にしているものを見せびらかす」と言うとちょっと語弊がありますけど、恋愛や友情が形骸化していっている感じがするんですよね。恋愛っぽいけど無機質っぽい感じを表したくて、このタイトルを選びました。恋愛、彼氏彼女の関係ってわかりにくいものなのに、それを簡単なものに収めてSNSに上げる意識は本質から離れているように思うんです。そういう皮肉も込めています。

──ドラマストアの曲は明るい印象に聞こえるのに、込められているものは逆であることが結構多いですよね?

長谷川:僕、明るいだけの曲を書いたことがないのかもしれないです。毒を毒として描く「ALONE」みたいなのも好きですけど、「かわいい曲ですね」って言われて「そんな曲ではないけど」と思いつつ「ありがとう」って言っている自分も好き(笑)。解釈に齟齬が生まれるのって、やっぱりすごく嬉しいことなんですよ。考察が生まれるって、それだけ曲を聴いてくれているっていうことなので。

──「knock you , knock me」も、恋愛の曲として聴く人が多いと思いますけど……。

長谷川:そういう風に聞こえたら嬉しくて作っています。先日、アタック25(朝日放送テレビ『パネルクイズ アタック25』)で優勝したんですけど、クイズや勉強に向かう姿勢が恋に似ていると思ったんです。僕は「この問題を絶対に解きたい」とか「本質を理解したい」ってワクワクするタイプで、それを恋の歌っぽく描いてみたのが「knock you , knock me」です。

──このアルバムは「むすんで、ひらいて」で締めくくられますが、良い出来事も悪い出来事も積み重ねながら生きていく姿が集約されている曲として受け止めました。

長谷川:そうですね。「人間関係や人生は、切れた縁をまた繋ぎ直したりしていくものなんだ」と、大人になった今だからこそわかりますけど、実は小っちゃい頃からやっていたことなんですよね。だからこそ童謡をモチーフとして、歌詞のサビを全部ひらがなで書きました。「小さい頃からこういうことやってきたよね?」っていうのを込めたかったので。

──やっぱり考察が捗るバンドですね。

長谷川:そう言っていただけるとありがたいです。

──このアルバムを引っ提げて、9月から全国ライブツアーをすることになりますが、どんなことを思っていますか?

松本:前のツアーはコロナの影響でキャンセルになったりがあったんですけど、ようやくちゃんと全国を回れるのが嬉しいです。

髙橋:お客さんに楽しんでいただきたい一心ですし、じっくり伝えられる場面ではしっかり伝えていきたいです。

長谷川:言ってること、一心ちゃうやん?

髙橋:楽しんでもらうのが半分、伝えるのが半分だから半心?(笑)。

鳥山:各地に行けるのが嬉しいですね。僕、いろんなところに行くのが好きなので。

長谷川:僕はお客さんを見ながら「どういう気持ちになってるんやろう?」ってリアルタイムで感じるのが好きなんですよね。次のツアーでも、そういうことをじっくり感じたいです。

──アルバムやツアーに関して、他に何か付け加えておきたいことは?

松本:アルバムの初回限定盤CDには初のBlu-rayが付きます!

長谷川:いきなり販促(笑)。

松本:ライブ映像、MV、MVのメイキングとかが収録されています。

──「カフェトーク」って何ですか?

松本:カフェでおしゃべりしている映像です。過去にもやっていて、多分好評なんですよね?

長谷川:はい。

松本:今回はBlu-rayなので収録時間がDVDと較べて大幅に延びて、全体的に盛りだくさんです。ワンマンの映像も収録されているので、観て、聴いて楽しんでください!

取材・文◎田中大


■2nd Full Album『LAST DAY(S) LAST』

2022年7月27日(水)発売

【初回限定盤】CD+Blu-ray
¥4,500(税抜)/¥4,950(税込)
[DISC1]CD
全12曲収録
[DISC2]Blu-ray
2022/4/21『DRAMA FESTA EXTRA ~感“無料”ワンマン~』ライブ+特典映像収録

【通常盤】CD
¥3,000(税抜)/¥3,300(税込)
限定動画アップロードカード付

[収録楽曲]
1.無色透明
2.ダ・ヴィンチ・ブルー
3.ピクトグラム
4.ALONE
5.桜の咲かない春
6.アリストテレスは斯く語りし
7.花風(ノエビアCMソング「2021年 春篇」)
8.夕立の唄
9.夏の幻
10.月と旅人
11.knock you , knock me(ノエビアCMソング「2021年 夏篇」)
12.むすんで、ひらいて

【特別特典情報】
予約特典:DRAMA STORE RADIO(CD-R)
早期購入特典:ドラマストアライブSE「-opening-(SE)」(CD-R)
※特別特典の詳細は、後日発表致します。詳細解禁までしばらくお待ちください。

【購入者特典】
・タワーレコード:タワーレコード限定 セルフライナーノーツ
店舗一覧:https://tower.jp/store
タワーレコードオンライン:https://tower.jp/artist/2461727

・HMV:HMV限定 初回盤ジャケット柄クリアファイル
店舗一覧:https://www.hmv.co.jp/store/list/ 
HMV ONLINE:https://www.hmv.co.jp/music/

・TSUTAYA:TSUTAYA限定 通常盤ジャケット柄クリアファイル
店舗一覧:https://store-tsutaya.tsite.jp/storelocator.html
オンラインショップURL:
https://shop.tsutaya.co.jp/cd/product/4988004166136/ 
https://shop.tsutaya.co.jp/cd/product/4988004166143/ 

・新星堂:新星堂限定 初回盤ジャケット柄缶バッヂ
店舗一覧:http://shinseido.co.jp/shop/list/ 

・山野楽器:TSUTAYA限定 通常盤ジャケット柄缶バッヂ
店舗一覧:https://www.yamano-music.co.jp/shops/ 
山野楽器 オンラインショップ:https://www.yamano-music.co.jp/online/soft/ 

・その他対象店舗:初回盤ジャケット柄ステッカー
※対象店舗は随時アップさせて頂きます。

・indiesmusic.com:B2直筆サイン入りポスター
https://www.indiesmusic.com/artist/?id=22871 

・セブンネット:セブンネット限定 モバイルスタンドキーホルダー
https://7net.omni7.jp/top 

・楽天ブックス:楽天ブックス限定 アーティスト写真ポストカード
https://books.rakuten.co.jp/artist/100000000786948/?l-id=search-c-author-01-01

・Amazon:通常盤ジャケット柄ステッカー
http://www.amazon.co.jp/shop 

※Amazon.co.jp、楽天ブックス、セブンネットでは、特典付き商品のカートがアップされます。特典をご要望のお客様は特典付き商品をお買い求め下さい。
※特典には数に限りがございます。お早めにご予約下さい。
※対象店舗は順次追加となることがございます。
※一部、特典の取扱いが無い店舗もございます。予めご了承下さい。
※特典の内容・デザインは予告なく変更する場合がございます。
※確実に入手をご希望の方は、事前に各店舗様へご確認いただくことをお奨めいたします。

■「ピクトグラム」先行配信

2022年7月13日(水)
主要配信サイトにて配信リリース
http://dramastore.lnk.to/pictogram

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