【ライブレポート】V系の宴・番組『ヴィジュアル系主義』発の有観客イベント。WOWOWで放送・配信

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BREAKERZのDAIGOがナビゲーターを務め、人気ヴィジュアル系バンド1組を1時間かけて特集していくWOWOWの音楽番組『ヴィジュアル系主義』が6月11日(土)、神奈川・KT Zepp Yokohamaにアリス九號.、Versailles、己龍、PENICILLIN、SHIN(オープニングアクト)という豪華アーティストを集め、番組初となる有観客ライヴイベント<「ヴィジュアル系主義」フェス>を開催。

◆ライブ写真

その模様が、いよいよ8月21日(日)午後5:30から3時間を超えるボリュームで放送・配信されることが決まった。BARKSでは、同イベントの放送・配信に先駆けて、レポートをお届けしたいと思う。

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ヴィジュアル系の豪華人気バンドが一堂に会し、白熱のライヴを繰り広げるということで、会場には各バンドのファンであるバンギャ、ギャ男が大集結。この日ステージ上でMCを担当する予定だったDAIGOは、新型コロナウイルス感染のため残念ながら欠席。ロビーにはそのDAIGOから届いたスタンド花が飾られていた。そこに「行けなくてすいません。僕の分まで皆さん楽しんでください!」というメッセージを添える心遣いからは、DAIGOの温かい人柄が感じられた。


舞台後方にはドレープが美しいビロードの真紅の幕、ステージを照らしているのはクリスタルのシャンデリア。ヴィジュアル系にぴったりな世界観が目の前に広がる中、いよいよ場内が暗転。サポートメンバーがオンステージしたあと、オープニングアクトをつとめるSHINが登場。開口一番「オッケーZepp! ぶち上げていこうぜ。拳を上げろ!」と叫び、始まったのは「jack the ripper」だった。ViViD解散後に充電期間を経て、SHINがソロとしてスタートしたとき、強い決意を込めて作ったこの曲で、激しめのヴォーカリング、ソリッドなギターリフで軽快にドライブしていくロックチューンを披露。まずはViViD時代とは違う今のSHINを見せつける。

ナポレオンコートの裾をひるがえしながら「踊ろうぜ!」といって、次に彼がもってきたのはJanne Da Arcの人気曲「ヴァンパイア」のカヴァー。YouTubeチャンネル『SHIN LOID』で数々の曲をカヴァーし、人気を集める彼にとってはお手の物。オープニングアクトとしてヴィジュアル系ファンに認知度の高いこの曲のチョイスに、会場はSHINの狙い通り沸き立つ。SHINならではの色気をたっぷり撒き散らしていく「ヴァンパイア」で観客を大興奮させたあとは「アダマント」へ。降り注ぐギターリフに合わせて場内にクラップが広がるなか、中性的なファルセットに男くさいラップ、エモな歌い上げなどパートごとに多様に変化していくSHINの歌唱が冴え渡る。最後は大切に歌ってきたバラード「WEAKEND」を届け、「言いたいことはこの曲に込めました」と言ってステージを去った。


続いて、三味線をフィーチャーした和なSEに合わせて場内にクラップが広がると、今年から(ステージ上では)4人体制となった己龍が登場。彼らはこのシーンのなかでいわば、和ビジュアルを牽引する存在。冒頭から、いきなり新曲「蠱毒」の衣装を初お披露目するサプライズに、ファンがざわめきたつ。酒井参輝(G)のアンプの上には、彼らのマスコットである日本人形の沙都子が今日も健在。そうして、ライヴは己龍のなかでも暗鬱とした「朧月夜」で激しく幕開け。“和製ホラー”と“痛絶ノスタルジック”をコンセプトに掲げている彼らのサウンドは、ハードでヘヴィだ。

拳とヘドバンが炸裂する「曼珠沙華」も、高速チューン「野箆坊」も酒井、一色日和(B)、遠海准司(Dr)、ステージにいない九条武政(G)が変幻自在に繰り出す緻密に構築されたサウンドの上に、黒崎眞弥(Vo)が日本人の琴線に触れる絶妙な歌メロを乗せ、華を添えていく。黒崎の「ヴィジュアル系主義フェス、存分に楽しんで参りましょう」という和風なMCに続いて、未発表の新曲「蠱毒」のパフォーマンスで、ファンをアッと驚かせていった彼ら。おなじみの「閃光」のイントロが鳴り響くと、オーディエンスは一斉に扇子を取り出し、黒崎とともに扇子をクルクル回し、艶やかな振り付けを展開。そこに楽器隊のソロ回しも加わり、場内はいっきに華やかなムードに包まれていく。その華やかな雰囲気を「情ノ華」の明るいメロディーがさらに押し広げていったところで、最後に勢いよく「是空是色」をぶちかまし、己龍のライヴは終了。


これまで表記やバンド名が変わりながらも、同じメンバーでポップな曲からプログレのような組曲、ときには楽器を置いて踊ったりとチャレンジングな活動を続けてきたアリス九號.は、バンド名にちなんでベートーヴェンの「交響曲第9番 合唱」をバックに登場。ファンが各々推しのカラーブレードを振り、その美しい光景の中、この日はKen(L’Arc-en-Ciel)プロデュースによる「UNREAL」をプレイし、揺らめくダークなサウンドで異国へとトリップ。エスニックな曲調、途中に出てくる沙我(B)のラップなどキラキラしたポップなバンドイメージとはかけ離れた、未知なるアリスの世界へと観客を誘ったあとは「MEMENTO」でヒロト(G)、虎(G)がハードなギターリフをかき鳴らし将(Vo)が激しくシャウト。Nao(Dr)のバスドラがドコドコ襲いかかる「九龍 -NINE HEADS RODEO SHOW-」まで一気に畳み掛ける。

そして、将が「横浜にお集まりいただいた皆さん。アリス九號.です」と丁寧な言葉遣いで、エレガントな挨拶を届けたあとは「RAINBOWS」へ。お決まりの“Aジャンプ”が決まるとライヴは加速度を増し、「ヴェルヴェット」でフロアを揺さぶる。将が「最高だよ」とつぶやいたあと「Heart of Gold」が始まると、パンキッシュなリズムに合わせてポップなメロディーが一気に躍動。Naoの前に4人が1列に並んだ瞬間、ステージが光り輝いて見えた。そこからスケール感たっぷりに光を広げる「すべてへ」を演奏。会場全体を明るく温かい愛で包み込んだあと5人は舞台を後にした。


次に登場したのはPENICILLIN。90年代、ヴィジュアル系をどメジャーへと送り込み、ジャンルの幅を広げ続けた彼ら。いまも変わらずベレー帽とベストがトレードマークのO-JIRO(Dr) 、ハットにパンキッシュな衣装を合わせた千聖(G)、サポートのCHIYU(B/ex.SuG)に続いて、アイパッチが近年定番化しつつあるHAKUEI(Vo)がオンステージ後、この日は威勢良く「NEW FUTURE」からスタート。千聖がロックンロールリフをギターヒーロー然とした豪快なポージングで弾くと、続けて最近の暴れ曲から「Just a kiss on your 3rd eye」をO-JIROがスピーディーに打ち鳴らし、会場を扇動。日本人とは思えない妖艶さを纏って歌うHAKUEIの存在感は、いまなお圧倒的。

千聖が「我々久々のイベントなので、わくわく和久井映見でいきたいと思います」とお得意のギャグトークを披露。和んだ場内に向けて、次はHAKUEIが歌う昭和歌謡を感じさせる哀愁メロがたまらない初期の代表的な暴れ曲、「CRASH」を投下。連続してさらにハードコアな「快感∞フィクション」で攻め込むと、間奏では千聖の華麗なフィンガータッピングも炸裂。そうして最大の見せ場はこの後やってきた。演奏後に拍手が巻き起こった「イナズマ」、一瞬にしてキタコレ!感が場内に充満した「ロマンス」の連打は圧巻の一言。場内には張り裂けんばかりの興奮が広がり、その余韻を残しながらライヴはクロージング。


そうして、この日大トリを飾ったのはVersailles。“薔薇の末裔”をコンセプトに、海外勢にも劣らないメロスピ、シンフォニックパワーメタルで世界中にファンをもつ彼ら。バンドとして活動するのは実に4年半ぶり。時計の音に続いて、今年結成15周年を迎えた彼らの過去曲がダイジェストで流れるというスペシャルなSEに、ファンは狂乱。18世紀のフランスを意識した高貴な衣装をまとい、YUKI(Dr)、MASASHI(B)、TERU(G), HIZAKI(G)、最後にKAMIJO(Vo)が優雅に登場し、クラシカルな「The Revenant Choir」を演奏しだすと、ファンはローズライトの光を灯す。

KAMIJOが早速「We are Versailles、ボンジュール! ライヴという名の舞踏会へようこそ」と語りかけ、観客全員をVersaillesの世界観へ見事にエスコートしたあとは、メジャーデビュー曲「ASCENDEAD MASTER」へと連れ出す。YUKIのテクニカルなドラミング、ツインギターの超絶プレイなど見応え満載のこの曲に続いて「嫌なもの全部吸い出してやる」というKAMIJOの曲フリがきたら、次は「Shout & Bites」。アグレッシブなヘドバン、拳で呼応する観客たちに容赦なく「Aristocrat’s Symphony」を送り込み、場内の熱量を高めていく彼ら。

KAMIJOが「知らないバンドでも“ヴィジュアル系”というだけで昔から応援してた気持ちになる。そこがヴィジュアル系の素敵なところ。こんなシーンが今後も続けばいいなと思います」と伝え、最後にYUKI以外のメンバーが曲中、華麗なターンで魅了する「MASQUERADE」で、フェスのクライマックスを華やかに締めくくった。

これで終わりかと思いきや、このあとKAMIJOの呼び込みで、SHIN、将、HAKUEIがステージに集結。Versaillesのメンバーの演奏に、KAMIJO、SHIN、将、HAKUEIが加わった豪華メンバーで、この日限りのセッションがスタート。まずはヴィジュアル系サウンドと親和性の高いLiSAの「紅蓮華」を代わる代わる歌い、観客を大いに沸かせた。そして、最後に先日、闘病の末に旅立ってしまったLa'cryma Christiのギタリスト・KOJIに同じシーンを一緒に生きた仲間として哀悼の意を込め、La'cryma Christiの楽曲「未来航路」をみんなで歌い、大団円に相応しい美しい光景を作り上げ、フェスは幕を閉じた。

WOWOWでは、ライブはもちろん、出演者インタビューやドキュメントも交え、3時間を超える大ボリュームで8月21日(日)午後5:30から放送・配信する。

この『ヴィジュアル系主義』フェスの放送・配信前の7月31日(日)には、『ヴィジュアル系主義』第10弾として、11月15日(火)にバンド初の日本武道館公演も決定している“-真天地開闢集団-ジグザグ”を放送・配信する。こちらも、ぜひとも注目して欲しい。

取材・文◎東條祥恵

番組情報

「ヴィジュアル系主義」フェス ~アリス九號./Versailles/己龍/PENICILLIN/SHIN~
8月21日(日)午後5:30 <WOWOWライブ><WOWOWオンデマンド>

※WOWOWオンデマンドでは、放送終了後からアーカイブ配信あり
※こちらは、WOWOWオンデマンドでの無料トライアル対象外番組

【関連番組】
・ヴィジュアル系主義 -真天地開闢集団-ジグザグ
 7月31日(日) 午後4:00 <WOWOWライブ><WOWOWオンデマンド>

※WOWOWオンデマンドでは、放送終了後からアーカイブ配信あり

・ヴィジュアル系主義 4バンド分一挙放送・配信!
8月19日(金)午前0:00~ 
<WOWOWライブ><WOWOWオンデマンド><WOWOW 4K>
己龍/Versailles/PENICILLIN/アリス九號.

・「ヴィジュアル系主義」 「ヴィジュアル系主義 -Member's ver.-」
9バンド分アーカイブ配信中!各回豪華声優陣がナレーション!<WOWOWオンデマンド>
アリス九號.(ナレーション:鈴木達央)/lynch.(ナレーション:梅原裕一郎)/PENICILLIN(ナレーション:置鮎龍太郎)/Angelo(ナレーション:緑川光)/シド(ナレーション:小野大輔)/Versailles(ナレーション:小西克幸)/己龍(ナレーション:谷山紀章)/NIGHTMARE(ナレーション:細谷佳正)/DIAURA(ナレーション:石川界人)

※スマホやPCでも見られるWOWOWオンデマンドでは、無料トライアル実施中

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