【インタビュー】MOSHIMO、外向きのエネルギーをぶっ放すナマのバンドサウンドに価値がある

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心が内向きになりがちな世情だからこそ、外向きのエネルギーをぶっ放すナマのバンドサウンドに価値がある。MOSHIMOの新作ミニアルバム『GENKI!!』は、タイトル通りに元気でパワフルなバンドサウンドで貫かれ、波乱万丈の人生をまっすぐに生きるボーカル・岩淵紗貴の本音を高らかに歌い上げるスーパーエネルギッシュな作品だ。人気ユーチューバー・加藤純一に贈った結婚式ソング「Jun Bride」など話題曲も含む6曲に加え、DISC2には最新ライブバージョン5曲も加えた充実の1枚。耳で聴き、体で感じる栄養ドリンクの効果は抜群だ。

■僕らがお客さんに求められるもの届けられるものって
■やっぱり岩淵の元気なキャラクターじゃないかと思った


――今年はフェスもやったし、ラジオやYouTubeでも活発に活動しているし。すごく良い感じじゃないですか。

岩淵紗貴(以下、岩淵):ありがたいです。活動の幅が増えたというか、視野が広がる1年になっています。今まで音楽しかやってなかったんですけど、ある時期から「ピザラジオ」(オーイシ×加藤のピザラジオ)というYouTubeの番組に出させてもらって、今年の1月からは「イワラジ」という自分の番組を始めて。そしたらNACK5さんからオーディションのお話があって、「ラジアナ」(「ラジオのアナ~ラジアナ」)という番組のパーソナリティをやらせてもらうことになって。深夜帯だし、4時間ぶっとおしだし、喉の負担にもなるからすごく考えたんですけど、YouTubeを始めたのも何か新しいことをやれという予兆なのかな?と思って、やらせもらうことになりました。最初はけっこう緊張したんですけど、だんだんしゃべることに対して抵抗がなくなって、すごく楽しいし、最近は4時間でもしゃべり足りないんじゃないか?と思うぐらいで。

――いいですね。新たな才能に目覚めている。

岩淵:あと良かったのは、「新人発掘部」という若いアーティストを紹介するコーナーがあるんですけど、そのおかげで「このバンド来そうだな」とか、いち早くチェックできて、一緒にライブしようって話したりできる。私事ですけど、私と一瀬はバンドのマネージメントもやってるから、うちの若い子たちと対バンしたらいいんじゃないか?とか、そういうことも考えるようになって、めちゃくちゃ勉強になるし、ありがたいです。

――その話も聞きたかったんですよね。2020年に「Noisy」という会社を立ち上げて、ほかのバンドのマネージメントもするようになったのは、あらためて、どういう経緯だったのか。

一瀬貴之(以下、一瀬):流れ的にそうなったんですよ。最初はMOSHIMOだけマネージメントしようと思って、前の所属事務所を飛び出して。そのあともスタッフには助けてもらいつつやってはいたんですけど、その中で若手のバンドと関わることが増えてきて、手伝うようになって。

岩淵:いっちーは、若手のことを話してる時はすごいニコニコしてるんですよ。決して外面がいいタイプではないんですけど、しっかり身内を守るタイプで、私のほうが外面はいいので、そこは役割分担ができています。会社化して良かったなと思うことの一つは、一瀬の笑顔が増えたことですね。自分の人生を自分で責任取れるし、みんなと一緒に新しいものを作ってる感じがあって、純粋な赤ちゃんみたいに笑顔がかわいい時があるから、良かったなーと思う時があります。

一瀬:頑張ります(笑)。

――あと、3月にZepp DiverCityで開催した<MOSHIFES.2022>についてもひとこと。3年前に地元・福岡で第一回を開催して、今回は東京での2回目。手応えは?

一瀬:僕らの中では続けて行くことが大事だと思っていて、毎年開催できるかはわからないですけど、コロナの中でもようやく形にできたのかなと思っています。前回に引き続きKEYTALKも出てくれて、新しいところではオーイシマサヨシさんや、最近のフレッシュなバンドとしてThis is LASTが出てくれたり、うちの所属の若手バンドも二組、オープニングアクトにぶち込ませてもらったり(笑)。僕らの周りでできることを、ひとつ形にできたのかなと思います。今年は大人数で東京から出かけていくことが難しかったんですけど、ゆくゆくはまた福岡でも開催したいし、定期的に続けていきたいなと思っていますね。


――そんな上昇気流の中でリリースされるのが、今回のミニアルバム『GENKI!!』。作る前に思っていた方向性は?

一瀬:MOSHIMOもどんどん進化してきていて、時代もコロナで混沌としていて、僕らがお客さんに求められるもの、届けられるものって何だろう?と思った時に、やっぱり岩淵の元気なキャラクターじゃないか?と。バンドとしても元気だし、ライブも元気な感じでやっているし、最近は女性ボーカルで「元気です!」みたいな人も少ないから、だったら僕らが届けたいなという気持ちがありました。それと、その前にユーチューバーの加藤純一さんという方の結婚式の配信があって、MOSHIMOがオープニングの曲を書かせていただいて、「Jun Bride」という曲を演奏したんですけど、みんなからすごく喜ばれたんですね。僕らは自分たちの考えを届けるバンドでもあるんですけど、人を喜ばせるバンドになることを追求していったほうがいいのかな?と思うので、今回は全曲人を喜ばせる、元気づけるということにテーマを置いて作った曲ばかりです。



――「Jun Bride」は、MOSHIMOらしくてすごく良かったですね。ヘヴィ&ハードなところと、ポップ&キャッチーなところがちょうどよく混ざり合ってる。

岩淵:あの曲を作る時に最初に思ったのは、「これは加藤さんの曲にしよう」ということだったんです。加藤さんとの付き合いはもう5年とか6年で、ずっと近くで見ていて思ったのは、今みたいな数字(チャンネル登録112万人/7月末現在)を急に生んだわけではなくて、何年もはいつくばって頑張ってきたことも知っていたんで。当時の少ないお客さんも、今もお客さんも、みんなの気持ちを一つにするような曲を作らなきゃいけないと思ったんです。それと、最初に「ディスってくれていい」と言われたんですね。ほめられるより叩かれたほうがいいし、叩いたあとに良い感じにしてくれるのを信頼してるからって。スタッフさんとも仲が良くて、MOSHIMOならぴったりだからお願いしますと言われて、それがすごく良かったなと思います。

――良い信頼関係ですね。

岩淵:特定の誰かに向けて曲を書いたのは初めてだから、書けて良かったなと思います。加藤さんもお客さんもすごい喜んでくれたし、いっぱい聴いてもらえてめちゃくちゃうれしかったです。

――そしてベースの真也くんとドラムの一航くんは、MOSHIMOのメンバーになってこれで3作目のアルバム(+ミニアルバム)になりますね。

汐碇真也(以下、汐碇):そうですね。『噛む』の時はサポートだったんですけど、3作目ですね。

――やっぱりアルバムごとに一体感とか、進化は感じていますか。

汐碇:最初は手探りだったんですけど、ベースに関しては「MOSHIMOってこういう感じだよね」というものがある程度できあがって。今作はすんなりベースラインも考えられたので、慣れてきたなというのはあります。

高島一航(以下、高島):真也さんと同様に、演奏する上での「MOSHIMOのスタイル」みたいなのを読み込むスピードは上がりました。音作りもほぼ迷うことは無くなりましたし。


▲(L to R) Ba:汐碇真也 Vo&Gt:岩淵紗貴 Dr:高島一航 Gt:一瀬貴之

――今回の『GENKI!!』という作品については、どんな手応えがありますか。

汐碇:毎回入ってるバラードが今回は入ってなくて、ひたすら突き進む感じでやりましたね。全体的に元気な曲が多いから、それを手伝うようなベースを弾きたいなと思って、フレーズを考えました。

高島:突き進む、はそうですね。実際のレコーディングも3テイクぐらいしか録ってなかったりするので。仮歌がクリックに合ってなくてもとにかくポチのボーカルに合わせて前に、前に叩いていく、みたいなところは面白かったですね。

――個人的なお気に入りソングってあります?

汐碇:「クリームソーダ」ですね。ヘヴィな曲が好きなので。こういうリフものは、弾いて楽しいです。

高島:僕は「ひと夏の王子サマー」かな。こういうハネている感じのビートは演奏していて面白いんで、ライブで化けそうな印象です。

――いっちーのお気に入りは?

一瀬:「Jun Bride」はやっぱり好きですね。あと僕も「クリームソーダ」が好きです。ヘヴィなリフのあと、サビでいきなりキャッチーになるんで、夏っぽいし、最近こういうストレートな曲が世の中にもないと思うので。一世代古い感じはちょっとするんですけど、そこも良さかなと思います。

岩淵:私はリード曲の「祭りだワッショイ」です。一番早く書けたんですよ。MOSHIMOの曲はいつも言葉を詰めていて説明っぽいんですけど、「祭りだワッショイ」は歌詞の量が少なめで歌いやすいし、声も伸びやすいし。前は言葉を詰めて、間奏も極力短くして、そうしないと飽きられて飛ばされちゃうと思っていたので息継ぎポイントが本当になかったんですけど、この曲は自分の歌の良いところをたっぷり聴かせられる曲だなと思うし、ようやくこういうことがちゃんとやれるようになってきたかなと思います。



――なるほど。確かに。

岩淵:逆に「心願成就」とかは、ブレスの場所がみつからなくて、休憩ポイントが一切ない(笑)。ライブで歌うとへとへとになるんですけど、「祭りだワッショイ」は歌いやすいし、もっと成長したら、ミドルテンポの曲もちゃんとMOSHIMOっぽく調理できたらいいなと思います。

――この曲、後半に楽器隊のソロパートというか、見せ場があるじゃないですか。あそこ、弾いていてすごく気持ち良いんじゃないですか。

汐碇:そうですね。それぞれが輝くようなポイントを作ってくれてありがとうございます、という感じです(笑)。

高島:ライブでは音源とぜんぜん違うことをやってやろう、とは思っていますけど(笑)。

一瀬:あそこはライブを意識して、照明で抜きやすいかな?とか思いますね。

――ああー、ピンスポットで一人ずつ。かっこいいかも。

汐碇:それはちょっと恥ずかしいです(笑)。

一瀬:視点が変わってきたんですよ。最近は「この曲の照明はこうしたほうがいいかな」とか、マネージメントサイドの気持ちになることが多くて、それをエッセンスとして曲に入れちゃうということがよくあります。良いことなのかどうなのかはわからないですけど。

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