【インタビュー】20th Century、「頑張んのやめようねって決めた」

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20th Centuryが、新曲「風に預けて」を8月1日に配信リリースする。

本作は動画配信サービス「SPOOX」で配信、CSチャンネル「フジテレビTWO」で放送している20th Century(以下、トニセン)のレギュラー番組『トニセンロード~とりあえず行ってみよ~』のテーマソングで、“ネオ風街系”と称されるバンド・グソクムズ楽曲提供による1曲だ。

『トニセンロード~とりあえず行ってみよ~』は、トニセンのメンバーが自身でやりたいことを実現していくバラエティで、自然体の3人の姿が楽しめる番組。テーマソングとなった本楽曲も、まさに“気ままに進んでいく”イメージのフォーク調の楽曲に仕上がっている。

今回BARKSは、楽曲の配信を機に行われた合同取材に参加。楽曲について感じたことや『トニセンロード』についてはもちろん、2022年に開始したばかりのTwitterについての意外な裏話も飛び出した。そして、長い年月アイドルとして活動してきた経験を経て“今のトニセン”が行き着いたスタイルについての話も。彼らの語った言葉とこの「風に預けて」という楽曲は、忙しない時代を生きる現代人にとって、“頑張りすぎなくていい”という、息抜きのような温かさを届けてくれるものだった。

   ◆   ◆   ◆

──最初に曲を聴いた時の印象を教えてください。

井ノ原快彦:もともとテーマソングのために作ってもらったわけではないんです。色々曲をいただいていて、『トニセンロード』をやればやるほど、「あれ、この曲かも」「これが一番ハマるね」ってなって。なんか、僕らが辿ってきた道がそのまんま映像として浮かんでくるような曲だなと思いました。

坂本昌行:この番組にこの曲が当たり前に寄り添っているような感じがありました。どんな印象だったかと言われるとすごく説明が難しいんですが、この楽曲の中に僕らがポンと置かれても何の違和感もないと思いましたし、僕らのスタンス、キャパシティ、歩幅とこの曲がイコール的な感じで。自然な感じでした。

長野博:曲をいろいろ書いていただいていた中で、ほんとにいい曲がいろいろあって。この番組のテーマソングを決めることになってから、詞も合うし、本当に番組のために書いてもらったのかなというくらい、どんどんイメージが浮き出るというか、フィットしていくような感覚がありました。

──『トニセンロード~とりあえず行ってみよ~』EPISODE8「ちみは素敵だ」では、グソクムズさんとのレコーディングの様子が配信されました。いきなりスタジオに走りこんで歌い始めるなど、ドッキリ的な要素もあって。

長野:緊張感あってよかったんじゃないですかね。扉から歌う場所までの距離感もわからないままだったので、小走りみたいな感じで始まっちゃったのでリアル感もあったのかな(笑)。

井ノ原:あっという間に着いちゃったんだよね(笑)。そもそも初対面でレコーディングってわかってたのに、その前にビール飲んじゃったんだよね。

坂本:ご挨拶させていただいてから普通にレコーディングに入るより、僕ららしい方法もいいんじゃないかということでああいうやり方をやってみたんですが(笑)。

井ノ原:向こうも真剣にやらなきゃいけないからね。

坂本:初めてだったので、やっぱり挨拶からいった方がよかったなと。

井ノ原:でも番組的には面白い感じになったし、打ち解けていくとどんどん音楽も丸みを帯びてくるというか、あったかい感じになって。作家さんに作ってもらいました、僕らは歌いますっていうだけじゃない、一緒に作っていく感じができたんで、これからああいうスタイルも僕らの中に取り入れたいなと思っています。しかも若い人たちと一緒にやるっていうのは、とてもいい結果になったんじゃないかなと思います。



──実際にスタジオでセッションしながら曲を完成させていく過程が、見ていても面白かったです。

井ノ原:そう、カメラ回ってなかったらもっとじっくりやりたかったくらい。でも、その後にアレンジし直して、また撮り直してっていう作業もあったから……。僕らも今までいっぱい曲をやってきてるけど、レコーディング大変だったとか、詞がなかなかできなかったとか、曲を聴くと思い出がよみがえってくるんです。今回の楽曲は、「楽しかったな」というイメージの曲として、永遠に残るなという感じがしますね。

──グソクムズさんは皆さんよりも若い世代で、それこそトニセンをずっと見てきたそうですね。セッションしてみての感想は?

坂本:音楽に若いとか年齢は関係ないんだなと感じました。初めてなのに音楽という共通項があるだけで会話がスムーズに進むし、初対面でここまで曲を作れたので、やっぱり音楽の力はすごいなと思いました。

長野:出会いですからね、曲は。昔からみてくださっていたというグソクムズさんが僕らをイメージして書いてくださった曲なので、こういう風に見てくれてたんだなとか、こういうのを歌って欲しいんだなというものが伝わってきて嬉しかったですし、すごくいい出会いができたなと思います。

井ノ原:グソクムズさんは音楽的に完成された人たちで、向こうは向こうの信じた音楽をずっとやっている。僕らも長いことやらせてもらってるから、そこらへんのぶつかり合いが面白かったです。収録の後もトニセンで会うことがあったんですけど、「こうやって音楽のことでやり合える仲間みたいになれて嬉しかった」って言ってくれて。飄々としてる4人が音楽をどんな風に作ってるのかなって不思議だったんですけど、ちゃんと一つにまとまったグループだったので、僕らとの相性もすごく良かったと思います。年齢関係なく、「どうします?」って僕らに頼ってくれる部分があったり、僕らが「こうしたらどうだろう」と提案したことにすぐ対応してくれたりして。すごい柔軟な若者でいいなと思いました。歌割りを作るのが新鮮だって言ってもらって、そういうこと言ってもらうことも新鮮だった。

──この曲はサウンドもですが、歌詞もすごく良いですよね。それぞれ気に入ってる部分を教えてください。

井ノ原:僕らがよく話しているのは、「無理すんのやめようぜ」ということ。頑張るんだけど、本当に楽しいことを頑張っていきたいという話をしていたので、“君だけの輝きだから 誰にも内緒でいいのさ”という部分は結構刺さりましたね。

坂本:“急がなくたっていい いつだってここがゴール”という2つのフレーズが好きですね。6人でグループ組んでる時もそうだったんですけど、目標を決めない、ゴールを決めないっていうスタンスでずっとやってきたんです。気づいたらここがゴールだった、そして次に行ったらまた次のゴールがある……ほんとに行き着いた先がゴールだと思います。

長野:“君にしか見えないものが 一番大切なのさ”という歌詞は、その人それぞれの価値観だったり自分に見えてるものを信じていいんだよ、と背中をポンと押してくれるような感覚があって好きですね。

──井ノ原さんの「無理すんのやめようぜ」という言葉もありましたが、今のトニセンは、いい意味のマイペースという言葉がしっくりくるような気がします。いつ頃からそのスタンスになったのでしょう。

長野:年齢とともに自然に、ですかね。年齢を重ねると仕事の内容も変わってきますし、そのひとつひとつに課せられる幅が変わってくるじゃないですか。そうなるとそこに対しての自分の感覚も変わってくるので、自分の求めることも変わってくる。それとともに自然にマイペースというか、頑張っててもそう見えないような感じ、それが自然に出せるようになってきたのかもしれません。

井ノ原:今まではV6という戻るところがあったんで、ずっとトニセンだけをやってるわけじゃなくて6人に戻ったり1人でやることもあるし、3年に一回くらい3人で何かやっていく、みたいなスタンスだったんですけど。また3人でやろうと決めたときに「どういう感じでやってく?」と話をして、「頑張んのやめようね」って。これ頑張んなきゃダメそうだなと思ったら、やらないようにしてる(笑)。もう充分、頑張ったから。もちろん頑張ってないわけじゃないですし、やることはやるけど、あくせくしちゃわないような感じでやっていきたいなと。そしたら余裕も持てるし。

坂本:“頑張らない”って何もやらないってことじゃなくて、頑張るってキラキラになるか無理するかどっちかだと思うんですよ。僕らが何かをやろうとしても無理がたたるような気がして。そういう頑張りではなく、僕らの中にあるペースというか、今まで経験してやってきたものを、自分たちなりに咀嚼して新しいものを作り出す。それに対しての“頑張る”はあります。

──これまでの経験があってこその、自分たちのペースということですね。

坂本:いろんなものに触ってきて、自分たちで「あ、これは触って持てるな」とか「これは持っちゃいけないな」がなんとなく自分たちでわかってきて、それが自分たちの引き出しとなって今があるという感じ。自分たちの引き出し以上のことはできない。昔はいろんなことをがむしゃらにやってましたけど、全部100%の力でやるんだって言っても実現できる人間なんていないんで。自分たちのできるもの、やりたいことが明確になってきて、それを自分たちの言葉で発して形になっていく……これがトニセンのベースになってきましたね。

──V6の解散でトニセンに変化はありましたか?

井ノ原:あんま変わんないかな。

長野:ラジオも27年毎週ずっとやってて常に会ってるしね。普段のこともそこで話しますし、感覚としては変わってないですね。

坂本:変わってないです。

井ノ原:でも、V6があると、トニセンの活動も何かV6に持って帰るものを探す活動になっていたけど、今はトニセンでしかないからそんなに気を張らなくても良くなりましたね。関わってくれる人たちはみんな幸せであってほしいと思って活動しています。あとは、大それたことは言えないですけど、楽しんで音楽をやっていて、自分一人の仕事もしっかり持っていて、という活動の仕方は後輩たちにも見てもらえたらいいなと。後輩に恥じないようにとかそんな堅苦しいことではなくて、ゆるくやっていくんで「こういうのもあるよ」って感じで。


──「ゆるく」とはいえ、新しいことにもどんどんチャレンジしていますよね。楽曲を配信でリリースすることであったり、Twitterを始めたことであったり。

井ノ原:配信については、「やってないことをやろう」という考えでした。もちろん僕らもレコード、カセット、CD世代だから、何か物がないと安心できないという気持ちはわかるんですけど、ジャニーズのファンの方は配信のダウンロードの仕方とか知らない方も多いんですよ。それを一緒におじさんたちと覚えていこうよ、っていうチャレンジです。その上で、形として安心できるものをいつか物として残したいと思ってる。配信でリリースするのは、手軽に短いスパンでできることを探したいと思った結果ですね。

長野:僕らにとって新しいことですし、初めてといえばある意味話題にもなるだろうし、今までやったことないことを体感してみるという意味でもいいねという話になりました。それでいて、打ち出し方もいろんな方法ができる。やり方が色々見えるなという意味でも面白いと思っています。

坂本:配信は手元に届けやすいいいツールですよね。形に残らないっていう寂しさもあるかもしれませんが、言い換えれば配信するタイミングが常にあるってこと。僕らのスタンスとしても楽だし、待ってくださる皆さんも期待感を持って待っていてくれたら嬉しいなと思います。

──Twitterも新しい試みですよね。

長野:遅ればせながらですけど、新鮮ですよ、SNS(笑)。マネージャーに「これどうやって見るの?」とか教えてもらいながらやっています。

井ノ原:まだよくわかってないもんね(笑)。

長野:自分のツイートが見れなくて、「あれ?」て言ってたら「スレッドを押すと見れますよ」って教えてもらって「ああ〜!出てきた!」みたいな。

坂本:それ俺知らない!

長野:俺もちゃんと説明できないけど。

坂本:わかりづらいよね〜。

長野:もうちょっとわかりやすくなんないですかね(笑)。

井ノ原:「ファンの人が反応してますよ」って言われても、「どこで反応してるんだ! 反応見たいよ!」ってなったりして。そして「ここ押せばいいんですよ」「ほんとだ……!」って驚く、みたいな。

坂本:それがスレッド? スレッドじゃなくて「反応」とか書いといてほしいよね。

長野:……っていう人たちが、やってます。

──(笑)。直でファンに声が届くのはやっぱり嬉しいですか?

井ノ原:届いてるのかどうかわかってないからね(笑)。ただ、僕らがTwitterやってることを知らない人たちもいっぱいいると思うから、届いた気にならないようにしてますよ。ファンの方の反応とかも、いいものも悪いものも浮かれないようにしています。悪いの見たことないけどね、あんのかな?

坂本:スレッド?で見れば?

井ノ原:スレッド言いたくて仕方なくなってるじゃん(笑)。

──三宅さんも最近ソロ活動を発表しましたし、SNSも運用されていますね。

井ノ原: Twitterは、お互い絶対フォローしないからな!っていってます。

──ファンの人は絡みも見たいのでは。

井ノ原:そんな形だけのフォローなんてしないですよ。

長野:いまいいこと言いましたよ〜。

坂本:「いいね」だけの関係じゃないんだよってことね。

井ノ原:わざわざそこで繋がらなくてもね。

──SNSでも無理をしない、と。

長野:だって、最近スレッドって言葉を覚えたくらいですよ(笑)。

井ノ原:そうだよ、長野くん最先端だよ。フォロワーを増やそうって話、一回もしたことないよね。

長野:ないない。

井ノ原:もちろんフォローしてくれているというのはありがたく受け止めてるけど、それ以上になっちゃっても、自分たちがついていけなくなっちゃうから。今いる人たちを楽しませることが一番かな。

文◎服部容子(BARKS)

◆20th Century オフィシャルサイト
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