【インタビュー】FUNLETTERS、聴けば聴くほど伝わる音や声に込められた体温や肌触り

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あっこゴリラやOHTORAなどの楽曲も手がけ、Charisma.comのいつかを中心とする新プロジェクト・ダダダ!としても活動しているプロデューサー/コンポーザーのNew Kと、今年新ボーカルとして加入したルー・イサミヤ。この2人によるエレクトロポップ・ユニットFUNLETTERSが、6月に「hikari」、7月には「Okinawa」と立て続けに新曲を発表している。FUNLETTERSとはそもそもどんなユニットなのか。また、聴けば聴くほど音や声に込められた体温や肌触りまでもが伝わってくるようで、思わず口ずさみたくなるような魅力に満ちた2曲について話を聞いた。

■日常的な中にキラキラしたものを見出せるかなっていうのを模索していて
■だから必然的にちょっと生活感みたいなものが出ちゃうのかなと思うんです


──FUNLETTERSというユニット名、イギリスのインディーロックみたいなムードがありますね。何か由来があるんですか?

New K:あまりかっこ良い話ではないんですが(笑)、グループっぽさというかバンドっぽさみたいなものに対しての憧れがあったので、そういう雰囲気が出したくて<シンプルな英単語+S>にしたいなと思ったんですね。ファンレターという響きがすごくよかったのでファンレターズにしようと思ったんですが、そのままの綴りで<FANLETTERS>にすると検索で全然出てこないだろうなと思い、エゴサというかSEO対策というか(笑)、そのために綴りを<FUNLETTERS>にしたらすごくしっくり来たのでこの名前に決めました。

──現在はNew Kさんが山梨、ルー・イサミヤさんは東京を拠点に制作をされているそうですね。

New K:はい。レコーディングも大体遠隔なんですが、環境さえ整っていれば全然支障なく出来ちゃうので。山梨の地元のシーンで活動して行くとなると、ちょっと不自由かなと思うんです。でも、東京で活動しているそれこそルーさんみたいな人と一緒に、結構気軽に遠隔で出来るっていうのは良い時代になったなと感じています。

ルー・イサミヤ:直接会って話したり一緒にスタジオに入ったりっていうのは気軽に出来ないかもしれないですが、時代に添ってるんじゃないかなと思っています。遠隔でレコーディングややりとりをするのはもっと大変なのかなと思っていたけど、そんなことはないですね。2人のライフスタイルに合わせながら出来るのも良いと思います。楽しくやっています。

──今回FUNLETTERSの音楽に触れてまず思ったのは、ちゃんと生活の中から音楽が生まれていて、いろいろな人の生活の中に溶け込んでいるんだろうなということでした。

New K:ルーさんが加入する前から、FUNLETTERSというプロジェクト自体、表現として生活感をしっかり盛り込むというのがもともとあったんです。僕は壮絶な人生を送って来たようなタイプの人間ではないのでそういう表現のネタは全然持ってないんですが(笑)、自分が普段見ているものが日常的なものだったりするからこそ、その中にどれだけ表現としてキラキラしたものを見出せるかなっていうのを模索していて。だから、必然的にちょっと生活感みたいなものが出ちゃうのかなと思うんですよね。ある種、僕の人としての凡庸さみたいなものが出ているのかもしれないですけど。

──ルーさんご自身の音楽と生活についてはいかがですか?

ルー・イサミヤ:昔は「楽しい!聴こう!」みたいな感じで音楽を聴いていたけど、最近は「どういう風に歌っているのかな?」みたいなことも多くなってきました。私自身は、普段生活をしていて、自分のメンタルが普通の状態から上がったり下がったりした時に、それを平常に戻すみたいな感じで聴いていますね。音楽を聴いたら、いつもフラットに戻れるみたいな聴き方。そういう風に、生活の中に音楽がある感じです。


▲New K

──では改めてFUNLETTERSのこれまでを伺ってみたいのですが、このユニットはどういう風に生まれたのでしょうか。

New K:2016年ぐらいに宅録で僕のソロプロジェクトとしてやり始めたんですが、インストしか作ったことがない状態で。そこから初めて歌がある音楽プロジェクトをやりたいなと思って始めたんですが、20代の頃から一緒にバンドをやったりしていたCHAMiというボーカリストを正式に誘って、2017年から本格的に活動を始めました。

──初期の頃は、音楽の方向性などどんな風に考えていたんですか?

New K:全然考えていなかったですね(笑)。やりたいものをやって、その自分たちの作り上げたものに感覚がフィットする人が深く聴いてくれたらいいなっていうのはありましたけど。もちろんたくさんの人、最大限多くの人に聴いて欲しいんですが、こういうシーンにアプローチしようとか、そういう感覚はあまり持っていなかったですね。持っていたほうが良かったのかもしれないですけど(笑)。

──CHAMiさんが脱退されたことで、プロジェクトに対する意識や作る音楽に変化などはありましたか?

New K:コロナの影響もありましたが、CHAMiが抜けたことでライブが一切できなくなったので、かなり久しぶりにライブを全く意識せず曲を作りました。そこまで振り切って考えたのはたぶん初めてだったし、歌に重きを置いたものを作ったことは、その後の意識にも結構影響している感じはします。

──その後、ルー・イサミヤさんがボーカルとして加入されたわけですね。

New K:ルーさんの歌の特徴として、歌声とか歌い方とかがカラッと明るいというより、どこか愁いを帯びた感じがあると思っていて。それを上手く推進力に変えるというか、それを生かした曲作りをしようと心がけています。

──ルーさんはこれまでどんな音楽を聴いてこられたんですか?

ルー・イサミヤ:小学生の時に、ピアノと児童合唱団をやっていて。合唱団のレッスンの後はすごく機嫌が良かったのを覚えています。カラオケも身近にあったので、天童よしみさんとかよく歌っていましたね。PUFFYを振り付きで歌ったりもしていたし、広末涼子さんの「MajiでKoiする5秒前」とか。母親が世代だったので、(山口)百恵ちゃんとか昔の歌謡曲みたいなのも好きで歌っていました。中学生ぐらいからはELLEGARDENとかRed Hot Chili Peppersをよく聴いていて、ライブハウスにも遊びに行くようになって。高校生になったらバンド組むぞ!って思っていたんですが、高校の軽音楽部部があまりイケてなかったから(笑)、個人でドラムのレッスンに通っていました。


▲ルー・イサミヤ

──なんだか経歴が賑やかで楽しいですね(笑)。

ルー・イサミヤ:(笑)。その後は専門学校に行きながら友達のバンド活動のお手伝いをしていたんですが、いろんなライブを見ていて、ライブハウスによくいるようになって、自分もやりたいなと思ったんです。そこまでは自分が人前に出るとか全く頭になかったけど、私そういえば歌が好きだった、バンドやりたかったんだって気持ちになって。それからバンドメンバーを見つけて活動を始めたんですが、その中でNew Kさんとも知り合いました。それまでは楽しくやれたらいいみたいに思っていたんですけど、New Kさんと一緒にやるようになってからは、もっといろんな人に知って欲しいとか、ふわっとしてますけど売れたいみたいな気持ちも芽生えてきて(笑)、今は頑張ろうっていう気持ちです。

──New KさんはLinkin Parkなどがお好きだったそうですが、邦楽はあまり聴いてこられなかったですか?

New K:5つ上の兄がJ-POP好きだったので、小学3年生くらいからCDで音楽聴いていました。最初に買ったのはSMAPの「$10」で、アルバムで言うとTHE虎舞竜ですね。

ルー・イサミヤ:THE虎舞竜!?

New K:そう。「ロード」が入っているアルバムをめっちゃ聴いていました。アーティストとして好きになったのはスピッツが最初ですね。中学に入ってからは洋楽も聴くようになるんですが、最初はマライア・キャリーとか。MTVで見ていた90年代後期のゴージャスなMVとか、キラキラした世界に憧れて洋楽を聴き始め、だんだんヘヴィメタルとかラウドなものとか、思春期っぽいものを聴くようになりました。

──お2人とも歌ものがベースにあるみたいですね。

ルー・イサミヤ:そうですね。歌もの、大好きです。

New K:ルーさんはカラオケ育ちだから、ガッツリ歌ものですよね。

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