KinKi Kids、東京ドームでデビュー25周年公演「今日しかかけられない虹を一緒に」

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KinKi Kidsが、CDデビュー25周年を記念したイベント<24451 ~君と僕の声~>を大阪と東京で開催した。以下、最終日となった8月7日の東京ドーム公演のオフィシャルレポートをお届けする。

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2022年7月21日にCDデビュー25周年を迎えたKinKi Kids。周年を記念したイベント<24451 ~君と僕の声~>が、7月16日と17日に京セラドーム大阪で、そして今月6日と7日に東京ドームで開催された。今回は最終日である7日の公演についてレポートする。

開演前から場内に響き渡っていたのは、これまでに彼らがリリースしたシングル曲。カップリングも含めさまざまな曲が流れる中、開演2分前には拍手が沸き起こり、ふたりの登場今か今かと待つファンの熱気で包まれていた。開演時間ちょうどを迎え客電が落ちると、モニターに映し出されたのは最新作「Amazing Love」からデビュー曲「硝子の少年」までのミュージックビデオと、レッドカーペットの上を歩く剛と光一の足元。そして、これまでのCD作品のジャケ写、数々の思い出が蘇ってくるライブ映像、初々しい雑誌のグラビアなど、“あの時の彼ら”がコラージュされた映像が流れる。その後、モニターの中のふたりが辿り着いたのは、一枚の絵画の前だった。そこに描かれていたのは「硝子の少年」のジャケ写。そして光に照らされたステージに目を向けると、これまで彼らが着用してきた衣装がズラリと並んでいる。カメラが順に衣装を映していくと、衣装と衣装の間に佇む光一と剛の姿が。やがてふたりがステージの両橋から歩み出し、センターで合流した瞬間ハイタッチを交わす。

1曲目に披露されたのは「FRIENDS」。この曲は彼らのファーストアルバム『A album』収録曲であり、彼らが主演を務めたTBS系ドラマ『若葉のころ』のエンディングテーマだ。CDデビュー前からコンサートで歌われてきた楽曲であり、つまりデビュー前からふたりが温めてきた楽曲でもあるのだ。美しいユニゾンで場内を包み込むと、モニターに映し出されている大木のイラストが相乗効果となって、彼らの曲は時を経ても色褪せないエバーグリーンな輝きがあることをことを実感させてくれる。

「こんばんは。なにわ男……いや、KinKi Kidsです。いやぁ、なかなかグループ名が覚えられなくて」と、光一が後輩のグループ名を言うボケを挟みつつ自己紹介。すかさず「なかなかグループ名を覚えられないんですね」とツッコむ剛。そして「こんな状況の中でも、皆さんのおかげで確信しました。KinKiのライブは安心して開催できるなと」と、昨日ここで行ったライブを振り返る光一。ふたりの登場に気持ちが湧き上がっても、声を出さずにペンライトや拍手で応えるファンに寄り添った温かい言葉だった。続けてふたりは「FRIENDS」の歌詞の奥深さを改めて語り合った。

その後、話題は山下達郎の提供曲について。「達郎さんの曲は歌うのが難しい」と口々に語るふたり。剛が「皆さん、達郎さんに曲を書いてもらうことがないでしょう。なので、お父さん、お母さん、お爺ちゃん、お婆ちゃんに書いてみてもらってください。それで家族の前で披露してもらうと僕らの気持ちがわかると思います。髪の長い人に書いてもらう方が、よりわかってもらえるかも。それでは聴いてください」と唐突な曲フリで次の曲に進めようとするも、「いやいやそれじゃ曲に行けない」と笑いながらツッコむ光一。そして、デビュー前に山下達郎から提供された「Kissからはじまるミステリー」を筆頭に、「硝子の少年」「ジェットコースター・ロマンス」が続けて披露された。

再びMCに入ると、「Amazing Love」に収録されている「Midnight Rain」の話題へ。この曲は竹内まりやの提供曲であることから、「これも難しい」と語り出すふたり。剛が「でも昨日ご本人がいらっしゃったので、それを思い出してまりや100%で歌います」と宣言すると、「じゃあ僕はまりや1000%で歌います」と光一も続けて宣言。難易度の高い曲であっても、宣言通り情感のこもった歌声によって美しく、切なく、楽曲が彩られていった。

「一つ一つの出会いが奇跡の瞬間です」と光一が語り出したのち、「ジャニーさんから初めて渡された曲」という「たよりにしてまっせ」の話題へ。この曲を聞いた時の衝撃や、「《ゴチャゴチャ言わんと任しとき》とか言わんもんな」と関西人であるがゆえの歌詞に対するこそばゆさをぶっちゃけるふたり。いざ曲が披露されると、先ほどのトークを思い出したのか、笑顔を携えながらも、当時のような全力のダンスで(時折フリを忘れつつも)披露した。

「今日会場に来ることを断念された方々もいると思います。そんな方達ともこの空間を共有できたらと思い、今からYouTube用の曲を収録します」と剛が語りかけると、会場からは大きな拍手が。そのままふたりが観客にクラップを促すと、「Hey! みんな元気かい?」を披露。アップテンポでありながらも切なさを宿した楽曲が、会場をクラップの渦に巻き込んでいく。この粋な計らいからは、来られなかったファンに対しても寄り添う、温かくて誠実なふたりの姿勢が垣間見えた。

その後は民族楽器とふたりの歌声の親和性の高さを実感し、彼らにとって新たなターニングポイントとなった曲「ボクの背中には羽根がある」へ。続けて「薄荷キャンディー」が披露されると、その後のMCは「薄荷キャンディー」の歌詞について議論。《白い歯 舌見せて/微笑(わら)う》ってどういう顔?」と光一が振ると、なんとも言えない複雑な表情を浮かべる剛。「そこまで引っ張る話題じゃない」と言いながらも議論は白熱し、「今度事務所で遭遇した人に《白い歯 舌見せて/微笑(わら)う》の表情を突撃で作ってもらう企画をYouTubeでやるのもいいかもね」と新たな企画が提案される一幕も。

そして、剛がギターを演奏、光一がダンスという一人一人が異なるパフォーマンスに徹する魅せ方も提示した、THE YELLOW MONKEYの吉井和哉による提供曲「薔薇と太陽」を披露。さらに、吉田拓郎による提供曲「全部だきしめて」、ふたりが初めて作詩作曲に挑戦した「好きになってく 愛してく」、そしてふたりの合作曲「恋涙」「愛のかたまり」といった、彼らにとってターニングポイントであり、ふたりの音楽への探究心の強さ、そしてアーティストとしての才能の豊かさが窺える楽曲たちが披露された。

終盤に差し掛かり、ピアノ一台で「このまま手をつないで」「Anniversary」の2曲が披露された。「少しでも皆さんの近くに行きたい」という思いから、フロートに乗ったふたりが外周を回るが、観客は声を発しない。ふたりの優しい歌声に呼応するように、ペンライトを振るだけ。まるでKinKi Kidsとファンの信頼関係を如実に体感するような、とても尊いものだった。

ラストに披露されたのは「Amazing Love」。「この曲は25周年をイメージして達郎さんに書いていただいた曲で、ふたりで詩を乗せました。達郎さんはKinKiがドームで歌うことを想定して書いてくれたそうですが、僕らも同じことをイメージして書いたんです。なので達郎さんによって導かれた曲なのかな」と、この曲の制作背景を語る光一。そして剛が「今日しかかけられない虹を一緒にかけましょう」とファンに語りかけると、会場はサイリウムによって、一瞬にして祝祭感が溢れる空間へと変身。虹色で彩られた空間の中で歌うふたりの表情は、この日で最も晴れやかだった。

「皆さんが僕らにこういう形でイベントが実現できることを提示してくれました。なので、僕らからも皆さんに拍手を」と光一が語ると、会場には温かな拍手が響き渡る。そして剛が「大変な時に僕らに会いに来てくださった方、ここに来られなかった方、皆さんと僕らの人生が繋がっていることを実感した4日間でした。これだけ大変な中でもこうして会いに来てくださる人がいる喜びを感じましたし、一人一人の愛や思いを痛いくらいに感じることができました。また次の新しいステージを作っていきたいという思いも生まれましたし、こんなにたくさんの方々を愛してると思える幸せを感じました」と真っ直ぐに思いを語る剛。「皆さん、また冬にここで会いましょう!」と毎年恒例の冬のドームライブの開催を力強く予告した光一。そして手を振りながらふたりが捌けていくと、去り際の直前、光一が人差し指を立て、そこに剛が人差し指と中指を重ね、“K”の指文字がモニターに映し出された。ラストのサプライズに胸が熱くなりながら、再びモニターに目を向けると「see you again. for the magic time at the in this winter」の文字が。数ヶ月後のふたりとの再会を約束し、記念すべきイベントは幕を下ろした。

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