Lead、デビュー記念日に20周年ライブ「俺達がみんなの導標に」

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Leadが7月31日、東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで<Lead 20th Anniversary Live ~感今導祭~>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

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2022年7月31日。谷内伸也、古屋敬多、鍵本輝は、Leadという20年の歴史を背負い、<Lead 20th Anniversary Live ~感今導祭~>の初日であったTACHIKAWA STAGE GARDENのステージに立った。

言葉で20年と言うのはたった一言で、とても簡単なことであるが、中学生だった彼らが全員30歳を越したという時の経過と、デビュー日であるこの日にリリースされた、20年間で彼らがこの世に送り出してきた全シングル37曲を網羅した『Lead the Best “導標”』を聴きながら彼らの歩んで来た歴史を辿ると、改めて“20年”の重みがどれほど長い道のりだったか、どれほど尊いものだったかを思い知らされる。

2002年7月31日。Leadは中土居宏宜、谷内伸也、古屋敬多、鍵本輝の4人からスタートした。福岡出身だった敬多を除くメンバーは全員関西出身ということもあり、彼らは大阪を活動の中心とし、大阪城ホール付近の路上、通称“城天”でフリーライブを繰り返し、デビュー前にもかかわらず7,000人を超える人達を集める存在になっていた。

私が彼らと初めて会ったのもその頃。彼らに初めてインタビューしたのは、事務所の先輩に当たるw-inds.の初の全国ツアー<w-inds.1st Live Tour “1st message”>にオープニングアクトとして参加が決まったときのことだった。2002年7月7日大阪城ホールの前日。7月31日にリリースされるデビューシングル「真夏のMagic」への想いと、この先の目標を目を輝かせながら無邪気に語ってくれたことは今も鮮明に脳裏に焼き付いていて、20年も経過していることが嘘みたいに、はっきりと思い出すことができる。

彼らが初めて大きなステージに立つこととなった2002年7月7日大阪城ホールのステージは、彼らLeadを語る上で忘れられない光景の1つとして挙げられる。初めての全国ツアーをやっと手にしたw-inds.の前向きな想いと、デビュー曲「真夏のMagic」を引っ提げ、ここから大きく羽ばたこうとする希望に満ち溢れた4人の想いがぶつかり合った最高の始まりを、集まったオーディエンスの誰もが目に焼き付けたはずである。もはや、w-inds.とLeadは先輩後輩の域を超えた、戦友と言えるだろう。

Leadとして歩む人生が始まった20年前の夏。「真夏のMagic」というデビュー曲は、そんなLeadの始まりをいつも鮮明に蘇らせてくれる大切な1曲となったのだ。


20年という節目であった<Lead 20th Anniversary Live ~感今導祭~>の1曲目に彼らが選んでいたのは「真夏のMagic」だった。

リーダーであった中土居宏宜が2013年の3月に脱退していることから、20年前のLeadとは異なる景色ではあったが、当時の流行のロックダンスがふんだんに取り入れられた力強く勢いのあるパフォーマンスと、初々しい歌詞の乗った懐かしいメロディが会場に響き渡ると、オーディエンスはタイムトリップしたかの様に体を弾ませ、ペンライトを高く掲げて彼らに応えた。

「そうそう! ファミレスで1つしか注文してないのに居座って、ずっとLeadについて熱く語り合ったよね(笑)。懐かしい! 2002年はワールドカップだったから、Leadもサムライブルーのユニフォーム着てストリートしてて、私達もブルーのユニフォームをお揃いで買って着たよね。青春だよね〜」

会場に向かう道のりで、ファン達が友達同士でしている会話を耳にした。そう。20年という歴史は、彼らLeadだけのものではなく、彼らと共に過ごしてきたファン達にとっても、もはや自らの人生そのものなのだ。

ジャストサイズよりも3サイズ程大きな服が流行っていた当時。服の中で体が遊ぶ程にブカブカなストリート系の衣装に身を包み、体の隅々まで目一杯伸ばした大きな振りで力一杯歌い、届けていた「真夏のMagic」は、20年という時を経て、しなやかで軽やかな余裕と成長を魅せた、現時点での等身大のLeadを感じさせる「真夏のMagic」へと変化していたのも、とても感慨深い瞬間だった。まさしく、20年の歴史の節目の始まりには、この曲しかなかったと言っても過言ではないオープニングだった。

3人はここで挨拶がわりの短いMCを客席のファン達に投げかけ、そこから音を止めることなく懐かしいナンバーをメドレーで届けていった。

「Summer Madness」「ファンキーデイズ!」「GREEN DAYS」「Sunnyday」「バージンブルー」「"Show me the way"」と目まぐるしく変化していく3人のパフォーマンスに、共に歩いて来た景色を重ねる様に、オーディエンスは曲の変化に合わせてノリを変え、ペンライトの光で3人のパフォーマンスを盛り上げていたのだった。きっと3人とオーディエンスの脳裏には、“今見ている同じ景色”と“昔一緒に見た同じ景色”が走馬灯の様に鮮やかな光を放っていたに違いない。


メドレー明けに届けられた「果てしなく広いこの世界の中で」のイントロが流れた瞬間もこの日のライブでは忘れられない光景となって記憶に残った。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、まだまだ規制が緩和されることのない中で、“歓声禁止”で行われた今回の公演であったが、この曲のイントロが流れた瞬間、抑えきれなかったと思われる歓喜の声がザワッとした空気感を会場内に生み出していたのである。それもそのはず。シングル曲ではないこの曲は、『Lead the Best “導標”』の「Special Disc “Leaders Choice”」に収録されていた人気曲なのだ。そんなオーディエンスの生み出した空気を3人も感じ取ったのか、とても嬉しそうな表情を浮かべながらこの曲を真っ直ぐオーディエンスの気持ちに返していたのだった。

このときに感じた、双方の空気感を肌で感じたとき、彼らが常に口にし続けて来た“Leadはずっと一緒に歩いてくれているみんなと共に在る”という言葉を思い出した。出逢い方は個々に差はあれど、一度彼らを知り、好きになったら、もうそこから心は一つになる。そんな力を彼らは持っている。デビュー当時から同じレコード会社で、同じチームで彼らを支えて来たスタッフ達も、きっと同じことを感じていることだろう。Leadは、それほどまでに愛されるグループなのである。

自身の声をコンプレックスに感じていたという敬多がメインボーカルとなり、歌い出しをリードした「TOKIO NIGHT」。この曲で3人は個々の声質を存分に活かしたハーモニーを届け、下手の階段に座り歌詞の世界を見事な歌い分けのリレーションでリアルに魅せてくれたのもとても印象的だった。

“歌”という側面では、バラードなどで成長が見えることが多いのだが、この日Leadという個性の“歌”の幅広さと成長を感じたのは「トワイライト」だった。ダンス&ボーカルグループとしては少し珍しい、バンドサウンド寄りのこの曲では、3人がスタンドマイクの前に立ち、“歌”に集中したパフォーマンスを魅せたのだ。下手に伸也、中央に敬多、上手に輝という立ち位置で“主役が君と僕の脇役のいないストーリー”を届けたのだった。

3人はここで少し長めのMCを設け、上京したての20年前の出来事を話題に上げ、“10周年のときは、「まだ10年か〜」って思ったけど、そこからの10年がめっちゃ早かったよね!”と口を合わせ、この日のセットリストは、共に歩んでくれたファン達からの投票を元に作られたものであったことも告げた。

「本当に会いたかったです」(伸也)「本当に感謝してます」(輝)と改まった言葉で挨拶した2人に対し、「やっぱ、みんながおらんといかんちゃね!」(敬多)と、今だに方言が抜けきらない茶目っ気たっぷりな言葉で締めくくった敬多。そんな敬多の嬉しそうな姿を柔らかな笑顔で見守る伸也と輝の表情からも、3人のあたたかな関係性が伝わり、オーディエンスは、その変わらない3人の姿を愛しそうな表情で見つめ、彼らから届けられる愛情の数々に拍手で応え、受け取った愛情以上に大きな愛情を彼らに返していたのだった。

ライブ後半戦では、“これも大切な曲の1つです”という曲紹介から始まった「FLY AWAY」を始まりとした「LOVE RAIN」「Still」へと続けられたメドレーを届け、“道なき道を行くんじゃない 歩いてきた道の続きを行くんだ”というLeadという人生そのものを歌っているかの様な「Upturn」へと繋げた。

“あなたにとって譲れない夢はありますか?”と問いかけられる歌い出しと、背中をそっと推してくれる20年間走り続けて来た3人からのメッセージにオーディエンスは大きな拍手を贈っていた。

決して順風満杯の20年ではなかった彼らの歩んで来た道のりを、知っているからこそのあたたかい拍手だったと感じた。それは、この後に届けられた「I Believe」も同じ。“時に夢追うこと 窮屈に感じてしまうよ やさしさ忘れてしまった 大人への道の途中綺麗なモノに憧れ 胸の高鳴りを押さえきれなくて 心に嘘はつけず不意に流れてる涙” まさしく彼らの歴史そのものだと感じさせる歌詞が乗った哀愁をおびたメロディを、感情たっぷりに歌って届けた3人。この曲のサビに乗る“I believe 光と陰の中でたとえ 動けなくなってもいつか 笑える日が来るだろう”という言葉通り乗り越えて来たのだろう。20年という歴史を積み重ねてきた先にあった、笑い合えている未来でこの曲が会場に響いていたことに、喜びが込み上げてきた。きっと、誰もが同じ思いであると確信できたのは、彼らの歌の説得力にあったのだと思う。


2回目の長めのMCでは、ライブへのこだわりや、昔レギュラーを務めていたテレビ番組『ピカピカプリンス』(2003年10月〜2004年3月にテレビ東京で放送されていたレギュラー番組)について触れ、オーディエンスと共に盛り上がった。同じ時代を生きてきた“同士”にも似た結束力を強く感じたのも、20周年のライブならではの光景だったと言えるだろう。

ラスト3曲は“新しいLead”と紹介された2019年以降にリリースされた、まさしく未来に続く新たな展開を予感させる3曲で締めくくられていた。

柔らかな歌モノやキャッチーなメロディが多かったLeadの印象を変化させた2019年にリリースされた今までにないリズミックさや力強いパフォーマンスを用いた「Summer Vacation」や、2021年にリリースされた現段階での最新シングル曲であるアタック感の強い楽曲とダンスで届けられる「Sonic Boom」、そして本編ラストはディープでエキゾチックな世界を演出するクールなLeadを見せ付けた「Be the NAKED」が選ばれていたのだった。

20年という歴史を持ちながらも、まだまだ30代前半。グループとしての振り幅を存分に広げていける年齢だ。いや、ここからの変化が面白いと言っても過言ではないだろう。積み上げてきた20年を糧に、人間としての中身の成長が歌やパフォーマンスに自然と滲み出ていく、ここからが本番と言っても言い過ぎではない。ラストの3曲にはそんな勢いと、まだ見ぬ彼らの秘めた強さがあった。

アンコールでは4人時代からの人気曲「Night Deluxe」(2004年6月にリリースされたシングル曲)で、フロアをディスコなノリで染め上げ、改めて成長したLeadを見せ付け、最後のMCへと繋げた。

と、そのとき。予定にはなかったインストが流れ、3人は素で戸惑う姿を見せたのだ。互いに無言のまま目を合わせ、キョロキョロと周りを見渡す3人。そこへダンサーがスタッフ一同からのお祝いのケーキを持って登場したのだ。喜びを隠せない様子の3人は素直に驚きを言葉にすると、ケーキと共にオーディエンスをバックに記念撮影をしたのだった。

「絶対に忘れません。この瞬間。みなさんのおかげで僕たちが居ます。本当にありがとう!」──敬多

「Leadの周りって、中学生の頃からお世話になってる人が本当に多いんです。共に歩んでくれたからこその20年だと思っています。本当にありがとうございます!」──伸也

「夢を語らなくなったら終わると思うんです。この歳になると夢を語るのってだんだん恥ずかしくなっていくんですけど、もっともっと上を目指していくたために夢を持って頑張ります。高みを目指して、ここからの10年頑張っていきたいと思っています。俺達がみんなの導標(みちしるべ )になれる様に──」──輝

3人の言葉から繋がれたのは、輝と伸也の共作で書かれた、歴代のシングルタイトルが歌詞に用いられたミディアムチューンの「導標」だった。Leadの歩みを綴ったストーリーに、不思議に思ったほど無理なく全タイトルがピッタリとハマったという見事な歌詞には、偶然ではない必然を感じずにはいられなかった。シングルのタイトルだけではなく、上京前に彼ら自身と彼らの夢を乗せて東京と大阪を結んでくれていた新幹線での思い出も“望み”と“木霊”という文字で構成された大切な想いが詰まった1曲なのだ。

語りかけるように歌われた20年の歴史(「導標」)は、“夢をなぞり未だなお木霊する大志 手を取ってくれた人の分も懲りずにSonic Boom引くわけにはいかない絶対に”と結ばれていた。締めくくりではない新たなるLeadの始まりを見た気がした。

“まだまだ通過点”と語った3人は、最後、横一列に並び、硬く手を結ぶと、マイクレスで「これからもよろしくねーーー!」と叫び、足が浮き上がるほど高く手を掲げ、大きく手を振ってステージを後にしたのだった。


3人はこの日のライブの手応えを6日の大阪・大阪国際交流センター大ホールでの公演へと繋げるはずだった。しかし。8月3日の午後19時。無情にも敬多の新型コロナウイルス感染症の陽性が告知され、大阪での2公演中止が決まったことが正式に発表されることとなったのだ。

スタッフから連絡が入ったのは、まさに、この原稿を書き終わったタイミングでもあった。

Leadが生まれた故郷でもある大阪でも、特別な想いを胸に20年分の感謝と成長を伝え、ファン達と共に最高の時間を過ごすことになるのだろうと、思いっきり背中を押す想いを込めて原稿を締めくくろうと思っていた矢先だっただけに、悔しかった。ライブ中のMCでも、“敬多がとにかくうるさいくらいに「手洗った? 消毒した?」って言ってるから、俺達、本当に手洗いと消毒は如何なるときも欠かさないからね!”と伸也と輝に言われていた程に、3人がどれほどまでに万全の注意を払い大阪の2公演に備えていたことか。それ故に、このツアーにかけた本人達やファン達の熱い特別な気持ちを想うと悔しくてたまらない。

2020年の4月に行う予定だったファンクラブライブが新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止となってしまった経緯もあるだけに、どれだけこの日を待ちわびていたであろうと想像すると、いたたまれない。しかし、神様は乗り越えられない試練は与えないと聞いたことがある。このアクシデントを前向きに、より最高の未来を創るための試練と考えるなら、きっと彼らはこの悔しさと無念をファン達と共に跳ね除け、プラスに変えた未来につなげ、必ずや最高の未来を魅せてくれるに違いない。あまりにも大切な節目に果たせなかった想いは、“いつか絶対に果たす約束”として、彼らとファンをより強い絆で結びつける結果になると信じている。

ツアーのファイナルである9月17日の東京・中野サンプラザでの記念公演が、更に最高な未来へと続く第一歩になってくれることを切に願う。


取材・文◎武市尚子
撮影◎山下 未来、青木 早霞

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■<Lead 20th Anniversary Live ~感今導祭~>2022年7月31日(日)@東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN セットリスト
1. 真夏のMagic
2. Summer Madness / ファンキーデイズ / GREEN DAYS / Sunnyday / バージンブルー / “Show me the way”(メドレー)
3. 果てしなく広いこの世界の中で
4. TOKIO NIGHT
5. トワイライト
6. 約束
7. FLY AWAY / LOVE RAIN / Still(メドレー)
8. Upturn
9. I Believe
10. Dear
11. Summer Vacation
12. Sonic Boom
13. Be the NAKED

En1. Night Deluxe
En2. 導標

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<Lead 20th Anniversary Live ~導標~>

2022年9月17日(土)東京・中野サンプラザ
昼公演 14:00 /15:00
夜公演 17:30 /18:30

チケット料金:
6,500円(税込)
※3歳未満入場不可、3歳以上要チケット
※全席指定
※1公演につき1名義で4枚まで

チケット受付:
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/lead-20th/
受付期間:7月16日(土)10:00~

ローソンチケット https://l-tike.com/lead/
受付期間:7月16日(土)10:00~8月31日(水)23:00

イープラス https://eplus.jp/lead-20th/
受付期間:7月16日(土)10:00~9月13日(火)18:00

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