Hakubi、<京都藝劇 2022>開催「京都のバンドとして新しい道を作っていきたい」

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Hakubiが8月11日、京都・KBSホールでライブイベント<京都藝劇 2022>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆<京都藝劇 2022>画像

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■Hakubi主催<京都藝劇 2022>、盟友と鳴らした覚悟と溢れる思い「この日を一緒に作り上げたことを誇りに思えるように」

京都発のスリーピースバンド・Hakubiが、8月11日(木)に京都・KBSホールで主催ライブイベント<京都藝劇 2022>を開催した。

同イベントは、2019年に京都・KYOTO MUSEで初開催され、翌2020年はコロナ禍で開催が見送られたものの、2021年は舞台をKBSホールへとスケールアップ。2022年も引き続き同会場に、コロナウイルス感染により惜しくも出演辞退となったユアネスを除いた、映秀。、黒子首、TETORA、hananashiの4組を迎え、Hakubiの夏の大一番を彩った。

昨年の悪天候がうそのような晴天に恵まれた当日、フロアには前回同様手書きのイラスト入りで立ち位置指定がされ、開演前にはHakubiのメンバー自ら前説を実施。片桐(Vo,G)はライブ前のルーティンというミット打ちまで披露し、「<京都藝劇>を京都の一大イベントにしていきたい」と意気込んだ。

その意志を受け継ぎこの日の幕開けを飾ったのは、「<京都藝劇 2022>、俺らから始めます! フロム京都hananashi、よろしく!! 精一杯やります」(木村健人/Vo,G、以下同)と口火を切ったhananashi。「僕ら」「セイタカアワダチソウ」と冒頭からしっかりとライブを積み上げてきたのが明白な熱量の高いバンドサウンドで、与えられたチャンスに存分に応えていく。

「俺らも待ちわびてたけど、みんなも待ちわびてた感じがしますね。Hakubiとは同い年で対バンするのは初めてなんですけど、同じ京都を大事にするバンドとしていつか一緒にやらなあかんなと思っていたら、この大一番に誘ってくれました、ありがとう!」と思いを述べた後は、「ato」「ナイトクルージング」「焦がれ」と、歌詞の世界観がビシビシ伝わるメロウでエモーショナルなミドルナンバー群でも魅了。確かなソングライティング力を感じさせ、「譲れないものがあるから、俺らも京都を背負って、命燃やして歌ってます!」と絶叫し、「徒然」「少し先から」と畳み掛けたhananashiの、トップバッターにふさわしい起爆剤的ライブだった。


リハの段階からすさまじいボーカル力で度肝を抜いた映秀。は、バックバンドの強靭なアンサンブルに導かれステージへ。「脱せ」からマイクを片手に華麗にステップし、初見のオーディエンスにすらネクストブレイクを確信させるような圧倒的存在感で、ポエトリーリーディング調のオープニングから引き込まれた流麗な「東京散歩」でも、モノの違いを見せつける。

「Hakubiは高校生のときに聴いていて、そんなバンドに招待してもらえるなんて震えちゃいますね。コロナで生活が変わってしまって悲しくなっちゃう気持ちもあるけど、その反面、そうじゃないと出会えなかったものもあったりして。そこで出会えた一つ一つの苦しみも幸せも全部愛して、音楽にしていけたらなと思います」

そんな音楽家としての決意を胸に躍動した「星の国から」、壮大なスケールと包容力で歌い上げたバラード「縁」、自ずとクラップが沸き立った「My Friend」と一気に駆け抜け、「もう最後になっちゃった。早い〜! むちゃくちゃ楽しいです」との言葉には大いに共感。「踊れるか京都!」とブチ上げた狂乱の「喝采」まで、溢れんばかりの才能をこれでもかと感じさせた20歳、末恐るべし!


転換中のBGMにユアネスの楽曲が流れるなど、Hakubiのホストとしての志が選曲からも漂う中、波打ち際のようなSEを背に現れた三番手の黒子首(ほくろっくび)は、耳に残るコーラスワークが特徴的な「かくれん坊」からスタート。あいさつがてら、田中そい光(Dr)が「Hakubiに呼んでいただけたおかげで、初めて京都に来ることができました。会えてうれしいです〜」と収録済みの音声を流すまさかのエアMCでも大いに沸かせ、その後も、「トビウオ愛記(あいしる)」「やさしい怪物」とひとクセあるポップソングの応酬で、ずぶずぶと黒子首の世界に引きずり込んでいく。「Champon」では、堀胃あげは(Vo,G)がアンニュイな歌声でナイトクラブ感を醸し出し、こう語る。

「私がコロナにかかってキャンセルしなきゃいけないライブがあったとき、Hakubiの片桐ちゃんが“Champon”をカバーしてくださったんです。私の手元に届いたその動画を見て号泣して……この気持ちを記しておかないと、と思って作り始めた曲がきっかけとなって、ニューEP『ぼやぁ〜じゅ』が完成しました。Hakubiとの出会いがなかったらこの形でEPが完成することはなかったし、初京都でこんな素晴らしい場所に立てる可能性も少なかった。奇跡みたいなことが今、起こっていると思っています。今日という日を選び取れたことを、とっても誇りに思います!」

「水面下の太陽」「前日譚」と、切実に訴えかけるように歌う姿には、問答無用の説得力とピュアネスがある。初出演にして鮮烈な印象を残した黒子首だった。


2年連続の出演となったTETORAは、1曲目の「本音」から人懐っこくもハスキーな歌声に、一瞬にしてとりこに。「もっとドキドキしたいわ! TETORAの最新版で今日は戦います!!」(上野羽有音/Vo,G、以下同)とぶちまけ、重量感と疾走感溢れる「バカ」、「Hakubiが覚悟を持って作ってくれた一日、TETORAも倍返しの覚悟を持ってライブをやります!」と情熱ほとばしるパフォーマンスで魅せた「言葉のレントゲン」と、7月にリリースされたばかりのアルバム『こんな時にかぎって満月か』の収録曲を次々と届けていく。

MCでは、Hakubiの結成5周年を称えながら自らも同期であることを告げ、ライブで判断してくださいと言わんばかりにそのまま「ずるくない人」を放射。胸にずっしりと残るミドルバラードに、思わず誰もが息を飲む。さらに、おのずと見る者の肩が揺れた「今さらわかるな」を経由し、「今年もトリ前に選んでくれてありがとうございます! 音楽に勝ち負けはなくても、いつもお互いに悔しい顔をして、夢中になってバンドをやってる。Hakubiに負けたくないと思ってる。こういうときだってそう。だって、友達以上にライバルやから。戦友やから。今日がどういう日になる? それは誰かが決めるんじゃなくて、気持ちで決まるんです!」と熱い咆哮を上げ、「わざわざ」「Loser for the future」を一心不乱に突き付ける。昨年と一切かぶりなしのセットリストで、予告通り最新で最強のバンド像を見せつけた盟友TETORAが、最後にガチンコの挑戦状とも言えるバトンを叩きつけた。


大きな拍手で迎えられた大トリのHakubiは、紫の光に照らされながら同期を駆使した巧みなサウンドデザインで「Twilight」を聴かせ、KBSホールをブチ抜くような片桐のボーカルしかり、まずは言葉ではなく音楽で、主催者としての覚悟を知らしめる。「辿る」の曲間では過去の<京都藝劇>を走馬灯のように振り返り、ここにいる誰一人置いていかないというまなざしで熱唱する。

「京都のhananashiから始まって、映秀。くん、黒子首、TETORA。そして、今日は残念ながら出演がキャンセルになったユアネス。今日一日、目撃してよかったと思えるような時間を作ります」(片桐、以下同)との宣言の後、「Friday」でも洗練されたビートと叙情が共存する、これぞHakubiなサウンドスケープを構築。出演者たちの熱のこもったバトンリレーを受け、一心に己の音を鳴らしていく。

「あなたがいるこの景色、目が合わせられる距離、とてもうれしいです。<京都藝劇>は、私たちが全国で出会ってきた本当に素晴らしいなと思うアーティストを年に一度呼んで、一日を作り上げるイベントなんですけど、今回はちょっと挑戦というか……また去年とも初年度とも違った形になってるんじゃないかな。あなたとアーティストの出会いの場になってくれたらうれしいし、あなたとHakubi、あなたと<京都藝劇>の始まりに、続きになってくれたらと思っています。ずっとずっとこの日を続けていく、そんな決意の一日です。この一年の集大成、京都Hakubiの音楽を鳴らしていきます」

新曲「あいたがい」は、andropの内澤崇仁(Vo,G)によるプロデュースで、Hakubiの繊細な心情描写がラブソングとして昇華したドラマチックな一曲。じっと聴き入る観客に向かって片桐は、2017年8月10日の初ライブから着実にステップアップを遂げてきたが、今年は憧れのバンドとの念願のツーマンで感じた大きな背中に、まだまだ未熟さを感じたと告白。だが、「私たちだって譲れないものがある。音楽をやり続ける、この京都で」と結成5周年にして今一度、原点に立ち返り、「Intro」〜「夢の続き」の初期衝動を三位一体となって響かせる。そして、「ここに全部、本音を置いていく。だってあなたがいるから、私たちは本当の自分でステージに立ててる。あなたがいれば何も怖くない」となだれ込んだ「mirror」に、共鳴するように再び手が上がる。その美しい光景に、「きっと今日出てたみんなも、あなたに支えられて、動かされて、こうやってライブをしてるんだな、もらってばっかりだなと今でも思ってる。だからこそ、この<京都藝劇>をもっと大きくする。あなたが今日そこにいたこと、目撃したこと、出ていたアーティストがこの日を一緒に作り上げたことを誇りに思えるように。これが一つの感謝の返し方だと思ってます」と片桐。

「開催できてうれしく思ってます。信じてくれてありがとう。今日を楽しみに、今日があるから今まで頑張ってこれたよと言ってくれる人がたくさんいました。音楽にすがったって、人にすがったっていい。生き延びてまた会いましょう。<京都藝劇 2022>、本当に幸せな時間でした」

どれだけ感情を言葉にしても足りないという様相の片桐が、ついに最後の「光芒」を走らせる。マツイユウキ(Dr)のドラムが、ヤスカワアル(B)のベースが、片桐のギターが、その歌声が、<京都藝劇>のクライマックスを目撃者たちの拳と心のシンガロングで作り上げていく。




アンコールでは、マツイ考案のドリンクの売れ行きを嘆くヤスカワとのやりとりでも和ませ、片桐が改めて各出演者への感謝を語り、いよいよ<京都藝劇 2022>はフィナーレへ。

「京都って特殊で、こんなにバンド主催の大きなイベントがあるところってなかなかないんじゃないかな。私たちの目の前には大きなわだちがあって、同じように歩いていけばもしかしたら簡単なのかもしれないけど、私たちは京都のバンドとして、新しい道を<京都藝劇>でちゃんと作っていきたい。今日は来てくれて本当にありがとう!」

ラストは「Sommeil」、そして「悲しいほどに毎日は」へ。昨年までの<京都迎撃>から、今年は<京都藝劇>へ。京都で迎え撃つのではなく、京都でアートを共に作り上げる。KBSホールの美しいステンドグラスをバックに、今年も最高の一日を締めくくったHakubiだった。


なお、今後のHakubiは、11月3日(木・祝)に東京・ザ・ガーデンホール、17日(木)に大阪・BIGCATでワンマンライブ<Noise From Here>を開催。初のホール公演とバンドのルーツであるライブハウス公演の両サイドで、Hakubiのネクストフェイズを提示する。

取材・文◎奥“ボウイ”昌史
撮影◎翼、

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<京都藝劇 2022>

2022年8月11日(木・祝)京都・KBSホール
出演:Hakubi、映秀。、TETORA、hananashi、黒子首

<Noise From Here>

<Noise From Here - HALL edition>
2022年11月3日(木・祝)東京・ザ・ガーデンホール
16:00開場 / 17:00開演
前売り ¥4,400(税込・ドリンク代別)

<Noise From Here - LIVEHOUSE edition>
2022年11月17日(木)大阪・BIGCAT
18:00開場 / 19:00開演
前売り ¥3,800(税込・ドリンク代別)

チケット最速オフィシャル先行予約(抽選)
受付期間:8月11日(木・祝) 19:30〜8月21日(日) 23:59
受付URL:https://w.pia.jp/t/hakubi/

『Hakubi Music+Talk #1』

https://open.spotify.com/episode/0MBWry7EiJHUG1H4YOchYT

配信シングル「あいたがい」

2022年7月29日(金)配信開始
https://lnk.to/aitagai

◆Hakubi オフィシャルサイト
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