【ライヴレポート】KAMIJO、<SHADOW OF OSCAR>に物語の片鱗「理想の世界なのか、それとも新たな困難か」

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Versaillesを再始動させたKAMIJOが、かねてから制作を進めてきたアルバム『OSCAR』を軸にした国内ツアー<OSCAR TOUR 2022-2023>をスタートさせた。同ツアーより7月19日に実施された<OSCAR TOUR 2022-2023 -SCENE II- SHADOW OF OSCAR>Zepp DiverCity公演のレポートをお届けしたい。

◆KAMIJO 画像

ファンクラブ会員限定で5月に行われた<-SCENE I- INTRODUCTION>に続き、この日は東京と大阪での<-SCENE II- SHADOW OF OSCAR>の初日。アルバムそのものは当初の予定からリリーススケジュールが延期され、10月19日に発売日が設定されたが、年明けの<-SCENE V- OSCAR>まで続く一連のライヴの内容については、一切の変更はなされていないという。5回のタームに分けながら、『OSCAR』の全体像を具体的に提示していく構想だ。


その狙いは序盤から明らかだった。時を告げる鐘の音に始まる耳慣れないオープニングSEが流れ、左右に幕が開くと、すでにメンバーはステージに。KAMIJOは後方上段の玉座に座り、そのまま「Heart」が始まった。8分を超える長編をこの位置に据えたことは、劇的なライヴを繰り広げていくことの宣言である。加えて見逃せないのが、これが2014年に発表された1stフルアルバムのタイトルトラックであり、KAMIJOが綴ってきたルイ17世にまつわる物語の重要な場面を描く楽曲であるということだ。ここに続いたのが、サンジェルマン伯爵の証言をテーマにした「証言」であるのも合点がいく。

存分に世界観に浸らせる一方で、実演の場ならではの熱さを求めることも忘れない。一体感を生み出す「Vampire Rock Star」「情熱的な熱い夜にしよう」と始まった「HEEL」へという流れも一つの主張だった。KAMIJOの言う“Epic Rock”はシンフォニックメタルに通じるものだが、荘厳さを演出しながら、演者と観客の双方向のやりとりもストーリーを立体化させる要素として機能させていく。コロナ禍で歓声が制限されているゆえに、従来以上にオーディエンス側を煽るような振る舞いも逆説的に興味深く映る。

すかさず叙情曲「mademoiselle」のポップかつジャジーなテイストで展開した後は、新曲「fairytale」を初披露。爽快感のあるサウンドは、聴き取れる限り歌詞にも同調している。主人公に対して、“少女”とはどのような存在なのか。『OSCAR』における場面の一つを、“童話”なるタイトルも含めて様々に想起させる。


ここで一転してダーク&ヘヴィな「闇夜のライオン」へ。リズムに合わせて拳を突き上げる観客たち。初期から幾度となく演奏されてきたお馴染みの楽曲だが、やはりコーラスパートのメロディと開け方はKAMIJOならではのものだろう。聴けばすぐに彼のそれとわかる個性は貴重だ。そして中盤のクライマックスとなったのが「Sang」だった。アルバム『Sang』(2018年発表)では3篇からなる20分近い組曲だが、ここでは「I」と「II」のみとした意向も深読みしたくなるが、特に歌を丁寧に伝えようと向き合うKAMIJOの姿が印象に残る。無意識的なものかもしれないが、『OSCAR』につながる物語の核心部分と対峙しているとの解釈も成り立つはずだ。

ファルセットを交えながらドラマティックに歌い上げた「Eye of Providence」も『OSCAR』につながる前段と考えていい。そこに続いたのがショートヴァージョンのMVが先行公開されていた「SHADOW OF OSCAR」であり、さらに「Castrato」に結びつけていく。コンテンツとしての関連性は今後明らかにされるが、昨今の欧州パワーメタル勢にも見られるエピックな構築美と古き良き日本的旋律美を融合させて形にするという、KAMIJOの音楽面での試みを集約したパートでもあった。


「音楽と同じように愛も瞳には映りません。でも、ちゃんと感じることができるものだよね。今、この瞬間も、みんなからの大きな愛情を深く感じています。どうもありがとう。そんな瞳に映らないものをテーマに曲を書きました。みんなの仲間、恋人、家族……あなたにとって大切な人を思い浮かべながら、この曲を聴いて欲しい」──KAMIJO

こう語って歌い始めた新曲「Avec toi 〜君と共に〜」は、いわゆるバラードの範疇にあるものだ。もちろん、『OSCAR』を構成する一つであるのは間違いないが、聴こえてくる言葉からは、これまでにはないほど素直で純粋な感情が表現されているように感じられる。盛大な拍手が贈られる中、本編はファストなSE「Epilogue」が流れて締め括られたが、これが次の展開を予感させるものと受け止めた人も少なくなかっただろう。明らかに何かを示唆したエンディングだった。


アンコールでは改めてファンに謝意を述べつつ、2021年7月リリースのシングル曲「Behind The Mask」、2013年8月のソロデビュー曲「Louis 〜艶血のラヴィアンローズ〜」、『Sang』からの「Nosferatu」が演奏された。この並びは象徴的だが、振り返ってみれば、新旧のマテリアルを織り交ぜた最新型のセットリストに見えてくるのは、やはりKAMIJOのアーティストとしてのパーソナリティの強さだ。様式美を貫く姿勢と言い換えてもいいだろう。しかし、それは特定の型にとらわれることでもない。

その意味でも、『OSCAR』には大いに期待したくなる。そこに明示されるのは「Nosferatu」でも歌われているような“理想の世界”なのか、それとも新たな困難なのか。間もなく始まるツアー<-SCENE IV- AGENDA>は、アルバムのリリースと前後して行われるだけに、より具体的なプロットが描かれるのは確かだろう。前作から約4年。KAMIJOの一挙一動が注目される。

取材・文◎土屋京輔
撮影◎Lestat C&M Project

■<OSCAR TOUR 2022-2023 -SCENE II- SHADOW OF OSCAR>2022年7月19日@Zepp DiverCity SETLIST

01. Prologue
02. Heart
03. 証言
04. Vampire Rock Star
05. HEEL
06. mademoiselle
07. fairytale
08. 闇夜のライオン
09. Ambition
10. Sang I
11. Sang II
12. Eye of Providence
13. SHADOW OF OSCAR
14. Delta
15. Castrato
16. Avec toi 〜君と共に〜
17. Epilogue
encore
en1. Behind The Mask
en2. Louis 〜艶血のラヴィアンローズ〜
en3. Nosferatu


【OSCAR TOUR 2022-2023 -SCENE II- SHADOW OF OSCAR】SCHEDULE
7月19日(火) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
7月21日(木) 大阪・BIG CAT
▼BAND MEMBER
Guitar : RENO(ex.ViViD)
Guitar : YOSHI(ex.CROSS VEIN)
Bass : MASASHI(Versailles)
Drums : YUKI(Versailles)

■3rdフルアルバム『OSCAR』

2022年10月19日(水)発売
【完全生産限定盤(CD+特典CD)】SASCD-113〜114 ¥4,950 (tax in)
※豪華バッケージ仕様
【通常盤(CDのみ)】SASCD-115 ¥3,300 (tax in)


■<OSCAR TOUR 2022-2022 -SCENE IV- AGENDA>

08月21日(日) 埼玉・HRさいたま新都心VJ-3
open17:30 / start18:00
(問)HRさいたま新都心VJ-3 048-858-7251
08月28日(日) 千葉・柏PALOOZA
open17:30 / start18:00
(問)PALOOZA 04-7136-2111
09月24日(土) 愛知・名古屋ell.FITS ALL
open18:30 / start19:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
09月25日(日) 静岡・静岡Sunash
open16:30 / start17:00
(問)Sunash 054-288-0880
10月1日(土) 神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!
open18:30 / start19:00
(問)NEW SIDE BEACH!! 045-474-2144
10月2日(日) 神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!
open17:00 / start17:30
(問)NEW SIDE BEACH!! 045-474-2144
11月23日(水・祝) 宮城・仙台space Zero
open16:30 / start17:00
(問)space Zero 022-266-0516
12月3日(土) 福岡・福岡DRUM SON
open16:30 / start17:00
(問)DRUM SON 092-737-5777
12月10日(土) 北海道・札幌Crazy Monkey
open17:30 / start18:00
(問)Crazy Monkey 011-211-4480
12月11日(日) 北海道・札幌Crazy Monkey
open15:30 / start16:00
(問)Crazy Monkey 011-211-4480
※通常時より、入場者数を制限しての公演となります。
▼BAND MEMBER
Guitar : RENO
Guitar : YOSHI
Bass : MASASHI
Drums : YUKI
▼チケット
一般発売:7月30日(土)より
ローソンチケット:https://l-tike.com/kamijo/
Lコード(共通):71717

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