ヤバイTシャツ屋さん、日本武道館で<ぶどうかん>ツアーファイナル。特別ゲストも登場

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ヤバイTシャツ屋さんのライブツアー<ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” TOUR 2022>が8月25日、東京・日本武道館でツアーファイナルを迎えた。以下、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆ヤバイTシャツ屋さん 画像

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各地の“ぶどうかん”をアコースティック編成ライブ+トークイベントで盛り上げた<ヤバイTシャツ屋さん "ぶどうかん" TOUR 2022>も、いよいよ3会場目の“ぶどうかん”でファイナル公演。7月30日・北海道 はこだてわいん葡萄館(ぶどうかん)本店前駐車場、8月5日・愛知 葡萄観(ぶどうかん)光農園 小林農園の2公演を経たヤバイTシャツ屋さんは、初の日本武道館公演でどんな姿を見せてくれるのだろうか? チケットはソールドアウトとなり、アリーナ席はもちろん、1階席、2階席の隅々まで顧客(ヤバTファンの呼称)で埋め尽くされた会場内は、ウキウキとしたムードで満たされていた。

開演に先立って、ステージに現れたのは、自称“大人気マスコットキャラクター”のタンクトップくん。声出しNG、拍手、手拍子、その場で飛び跳ねたり、周りに迷惑にならないように踊ったりするのはOK──という注意喚起のアナウンスを聞いて、「ルールを守るよ」という意思を示す顧客の拍手が温かい。そして場内は暗転。大型スクリーンに映像が流れ始めたのだが、“Buyer Client(バイヤークライアント)”という文字に驚かされた。タンクトップで顔を隠したあの謎の3人組がやって来るのか? Buyer Clientのインタビュー映像が流れた後、武道館のステージに立ったJun、Rumi、$atoshi。披露してくれたのは「dabscription」。オシャレなサウンドがとても気持ちよかったのだが、パンキッシュなサウンドに転じた瞬間、意表を突かれる出来事が起こった。タンクトップの覆面を外し、演奏しながら歌っていたのは、こやまたくや(G,Vo)、しばたありぼぼ(B,Vo)、もりもりもと(Dr,Cho)。Buyer Clientの正体が、まさかヤバTだったとはビックリ!……という変化球から武道館公演はスタートした。



2曲目「Tank-top of the world」が始まると、顧客の激しい手拍子が合流。強力なサウンドを放つステージ上の3人が実に活き活きとしている。続いて「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」「KOKYAKU満足度1位」「あつまれ!パーティーピーポー」も披露された頃には、武道館は熱いエネルギーで満たされていた。最初の小休止で「すごい景色だ!」と嬉しそうな声を上げたこやま。そして、「海行きたい」というしばたの希望に応えて、“わかめウェイヴ”という耳慣れない行為をすることになってしまった顧客。“わかめウェイヴ”とは彼女曰く“客席最後列の人から順番に立ち上がることによって、海中で揺らめくわかめのような風景を作り上げるウェイヴ”とのことだった。わかめウェイヴを経て、「行けるのか、武道館?」とギターを掻き鳴らして煽ったこやま。しかし、突然音をピタリと止めて我に返った。彼が抱いた「バンドマンは行けんのか?って言うけど、どこに行くんやろな?」という疑問に対してしばたが「びっくりドンキーちゃう?」と答えたのを合図に始まったのは、もちろんあの曲「まじで2分で作った曲」。びっくりドンキーでおいしそうなご飯を食べて、お店の前で踊るもりもとの映像がスクリーンに流れる中、パワフルなサウンドが轟きまくっていた。

タオルの代わりに手首を顧客が一斉に回転させながら盛り上がっていた「L・O・V・E タオル」。ヘヴィなサウンドがとにかく痛快だった「くそ現代っ子ごみかす20代」。気持ちいいダンスビートを躍動させた「DANCE ON TANSU」の後は、またしても意外な展開が待っていた。「前においでよ」としばたに言われて、ドラムセットから離れてステージ前にやって来たもりもと。「ゲスト呼ぶのやりたくないですか?」と彼が話し始めたのでゲストが現れるのは予想できていたが……。“もりもとにとって家族同然の人”として登場したのは、もりもとの父と姉であった。彼らをコーラスに迎え、もりもとがトランペットを吹き鳴らす特別編成で届けられた「大人の事情」は、顧客をほのぼのとさせていた。続いて「私のルーツとなったアーティストの方々です」としばたがステージに招き入れたゲストは、彼女の父と母。父(津軽三味線)、母(琴)による雅な演奏を経てスタートした「どすえ 〜おこしやす京都〜」は、和楽器の音がバンドサウンドに素敵な色を添えていた。意外なゲスト2連発の後、スポットライトを浴びながらギターを奏でて「眠いオブザイヤー受賞」を歌い始めたこやま。「ゲストコーナーはもう終わりなのかな」と思った人もいたかもしれないが、「ピアノ、お母さん!」という呼び込みで彼の母が現れて仰天! ピアノが加わり、一際奥行きを増したサウンドが心地よかった。そして「コーラス、お父さん!」と、こやま父もマイクを手にしながら登場。《今年度最高のミルフィーユ》という部分を歌った渋い声が、顧客を大喜びさせていた。



「Tank-top in your heart」によって再び熱気で満たされた武道館であったが、突然ブザー音が鳴り響いた。「ただ今よりヤバイTシャツ屋さんファミリーコンサートが始まります。皆様ご着席ください」というアナウンスの後、ステージに現れたタンクトップくんは、Tシャツが全部乾いていなくて、ヤバTが時々販売する「くそデザインTシャツ」を着るのが悲しくて泣き続ける5年3組の少年・マサヒロくんに「僕を着てみるかい?」と優しく話しかけて、好感度アップを狙い始めた。「え、いいの?」と、マサヒロくんが着替え始めると、ステージに戻ってきたヤバTの3人。「今の一連の流れを曲にして、みんなに広めてよ」とタンクトップくんに言われて嫌がっていたこやまであったが……現金を手渡されると、あっさりと快諾。こうして書き下ろされた「タンクトップくんのキャラソン」は、タンクトップくん、タンクトップに着替えたマサヒロくんがダンサーで参加。続いて、アニメ『もっと!まじめにふまじめ かいけつゾロリ』のエンディングテーマ「ZORORI ROCK!!!」も届けられて、ファミリーコンサートのコーナーは終了した。

「泡 Our Music」と「癒着☆NIGHT」を演奏した後、<ヤバイTシャツ屋さん"ぶどうかん" TOUR 2022>の北海道公演、愛知公演について振り返ったメンバーたち。「ツアーを回ってきて、一皮むけました」(しばた)。「俺、不安なわけ。ヤバイTシャツ屋さんが日本武道館にふさ(房)わしいかどうか」(もりもと)。「今日は8月25日。きょほうは(今日≒巨峰)は盛り上がっていこうな!」(こやま)──3人各々の葡萄にちなんだ言葉遊びを経て、ライブは後半へと突入していった。コンプレックスについて狂おしく歌い上げるメッセージソング「肩 have a good day -2018 ver.-」。もりもとのドラムセットが高くせり上がり、大量のスモークがドラマチックな空間を作り上げた「げんきもりもり!モーリーファンタジー」。顧客を猛烈にジャンプさせた「Beats Per Minute 220」。1stアルバムの曲を武道館で聴けるのは感慨深いものがあった「ウェイウェイ大学生」。顧客が全力で腕を振り上げながら盛り上がっていた「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」。最高の夏の思い出になりそうな風景を作り上げていた「ちらばれ!サマーピーポー」……怒涛の展開であった。

熱いナンバーを連発した後、コロナ禍で悩みを抱える人がたくさんいる状況について語ったこやま。「話を聞いてあげたら良かったなとか後悔してるので、みんなも周りにそういう人がいたら話を聞いてあげたり、ご飯一緒に行ったりしてあげてほしい。今日はせっかくいっぱい来てくれてるんで、それを伝えたいなと。いろんな人に届いたらいいなと思って作った曲があるので」という言葉が添えられた「寿命で死ぬまで」は、胸に深く迫るものがあった。歌い終えた直後、「みんないっぱい生きて、ライブハウスでたくさん会えればいいなと思ってます。今日みんなに会えてほんまに嬉しい。生きててくれてほんまにありがとう」と語ったこやま。ヤバTの遊び心に溢れた活動の源にある気持ちが伝わってきた。





「Give me the Tank-top」「ヤバみ」「かわE」「NO MONEY DANCE」が一気に披露されて締め括られた本編。アンコールを求める顧客の手拍子に応えてステージに戻ってきた3人は、客席を背景に記念撮影。「無線LANばり便利」を披露した後、メジャーデビュー前から出場を目標としている『NHK紅白歌合戦』についてこやまが語った。NHKの楽曲を作ったり、NHKのラジオのレギュラー番組を持つようになったり、NHKのアニメの曲を担当したり……度々巡ってきた「紅白に出られるかも?」というチャンス。「まだ全然諦めてないんですけど! この景色、NHKの人、見てくれてへんかな? 口コミだけで武道館まで来ましたよ!」と叫んでからスタートした「案外わるないNHK」は、武道館公演の先にあるヤバTの目標を力強く示してくれた。

顧客による猛烈な手拍子が加わった「ハッピーウェディング前ソング」がラストの曲なのかと思いきや……「もう31曲やって限界がきているんですが、限界を超えてみませんか?」とこやまが言い、「喜志駅周辺なんもない(コール&レスポンスなしver.)」が追加で披露された。インディーズ時代から演奏しているこの曲は、途中でコール&レスポンスを交わすのが恒例だが、現在の状況下ではそれはできない。元気いっぱいな声が返ってくるはずの箇所で客席から何の音も聴こえてこないのがシュール極まりなかったが、何とも言えない楽しさが生まれていた。“コール&レスポンスなしver.”は、制約のある状況でも面白さを諦めないヤバTと声出しNGを厳守する顧客の美しい共同作業だと言えるだろう。

しばたが“撮影可”と書かれた手持ち看板を掲げたので、顧客はスマホを取り出してステージを撮影。パシャパシャという音が鳴り響いた後、メンバーたちは改めて想いを語ってくれた。

「みなさん、本当にありがとう! ヤバイTシャツ屋さんは“国民的バンドになりたい”っていう想いから紅白歌合戦を目標にしてきた部分があるんですけど、なかなか遠い目標で大変な想いをしてきました。今日、ぐっと近づけた気がしています」──もりもと

「手拍子や拍手をいっぱいしてくれて、ルールを守って楽しんでくれるみんなが、ほんまに一番かっこいいと思いました。私たちはライブハウスで育ってきた人間で、ライブハウスで育てられたバンドなんです。次はライブハウスでみんなと楽しめたらいいなあって思っています。ライブハウスを守っていきます!」──しばた

「ライブハウスにこだわってきて、こういう状況にならへんかったら椅子がある会場での公演とかするつもりもなかったので。でも、こうやってできるようになったのは成長なのかなと。でも、何かにつけ昔から武道館武道館言ってたんですよね。“〇〇は武道館をやるから葡萄観光農園でやりたい”とか6、7年前から言ってたし、“武道館やるくらいやったらZepp Tokyo 5 Daysやる”って言ってたし。だけどZepp Tokyo 5 Days、もうやっちゃったんですよね(笑)。だからどこかに“武道館でやりたい”っていうのが昔からあったんやと思います。またヤバTのライブ、ライブハウスに遊びに来てください!」──こやま

2023年に結成10周年を迎えるヤバT。アニバーサリーイヤーに向けて準備が着々と進んでいる近況に触れつつ、こやまが1つの宣言をした。「勝手な挑戦と言うか……これまでテレビで歌うのを禁止にしてたんですよ。今年紅白出られへんかったら、来年、解禁しようかなと思ってる。別にオファー来てない。ヤバイTシャツ屋さんが旬やった3、4年前やったら来てたんですけど、調子に乗って全部断ってたんです。断ってたらこのあり様(笑)。来年、もしそういうオファーをいただけたら、ゴリ受けしていこうかなと思ってます。ライブハウスにいながらも、ちゃんと国民的になるために、次のステップに行くためにやらせていただきたいなと。オファーは何も来てないですけどね(笑)。僕らもポリシーを持ちながらやってますんで、安心してついてきてください。ちゃんとライブハウスでやっていきますんで。これからも応援をよろしくお願いします!」。このような言葉が届けられてから終演を迎えた<ヤバイTシャツ屋さん "ぶどうかん" TOUR 2022 FINAL -日本武道館->。特別な演出の数々、ボリューム満点のセットリスト、スペシャルゲストなどで楽しませてくれたのと同時に、彼らが大切にしているものとじっくりと向き合うこともできたライブであった。

なお、この模様はWOWOWプラスにて10月30日22時〜テレビ初独占放送が決定している。ソールドアウトした日本武道館公演に行けた顧客も行けなかった顧客も、是非この機会をお見逃しなく。


文◎田中大
撮影◎田中聖太郎

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■<ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” TOUR 2022 FINAL -日本武道館->2022年8月25日(木)@東京・日本武道館 セットリスト
1. dabscription
2. Tank-top of the world
3. メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
4. KOKYAKU満足度1位
5. あつまれ!パーティーピーポー
6. まじで2分で作った曲
7. L・O・V・E タオル
8. くそ現代っ子ごみかす20代
9. DANCE ON TANSU
10. 大人の事情 feat.森本家
11. どすえ 〜おこしやす京都〜 feat.柴田家
12. 眠いオブザイヤー受賞 feat.小山家
13. Tank-top in your heart
14. タンクトップくんのキャラソン
15. ZORORI ROCK!!!
16. 泡 Our Music
17. 癒着☆NIGHT
18. 肩 have a good day -2018 ver.-
19. げんきもりもり!モーリーファンタジー
20. Beats Per Minute 220
21. ウェイウェイ大学生
22. 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
23. ちらばれ!サマーピーポー
24. 寿命で死ぬまで
25. Give me the Tank-top
26. ヤバみ
27. かわE
28. NO MONEY DANCE

En1. 無線LANばり便利
En2. 案外わるないNHK
En3. ハッピーウェディング前ソング

W En1. 喜志駅周辺なんもない(コール&レスポンスなし ver.)

プレイリスト:https://yabat.lnk.to/BudokanTOURFINAL0825

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『ヤバイTシャツ屋さん "ぶどうかん" TOUR 2022 FINAL -日本武道館-』

2022年10月30日(日)22:00〜 [WOWOWプラス]
詳細:https://bit.ly/3Ceb06R
視聴方法:https://www.wowowplus.jp/howto/
※「WOWOW」への加入で「WOWOWプラス」を視聴することはできません。

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