【インタビュー】The choppers revolution、鳴瀬喜博×IKUO×村田隆行からなる豪華ベースユニットの10周年記念アルバム完成「ファンク!ファンク!ファンク!」

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鳴瀬喜博、IKUO、村田隆行からなる凄腕トリプルベースユニットがThe choppers revolution(通称・チョパレボ)だ。活動10周年記念にして、通算3枚目のフルアルバム『FAN×K』が、8月12日にリリースされた。同作品のテーマは、自身の原点でもある“FUNK”。オールオリジナルによる新曲10曲は、バラエティに飛んで彩り豊か。しかし、いずれも躍動的なファンキーミュージックという点で共通している。ちなみに、『FAN×K』というアルバムタイトルには、今作のテーマである“FUNK”はもとより、“FANの10年間のサポートへの感謝” “千倍の意味を持つK” “音楽→ベース→チョッパー→ファンク”など複合的な意味が込められているという。

◆The choppers revolution 画像 / 動画

もちろんトリプルベースなる予め既成概念をぶっ壊した形態は、個々の技量の高さに裏付けられたものであり、3人ならではのテクニカルなベースプレイの応酬が圧巻だ。しかし、チョパレボの真価は、それぞれが主役をはれる実力を持ちながら、楽曲としての旋律の美しさや綿密に構築されたアンサンブルが描く聴きやすさや音楽的な豊かさにある。超一級ベーシストの押し引き、三位一体のユニットとしての完成度の高さこそ注目に値する。

また、マサ小浜(G)、宮崎裕介(key)、白井アキト(key)、FUYU(Dr)、坂東慧(Dr)、川口千里(Dr)、中沢剛(Per)、NoB(Vo)、gb(Rap)、Chloe(Vo)、吉田仁美(Voice)といったゲスト陣も豪華。さらには、上岡まこと&ザ・チョッパーズアイレス名義の楽曲「追いかけて関東」は、トリプルベースというユニットのさらに向こう側をいく、ムード歌謡だった。公開されたミュージックビデオを観れば、3人が生粋のエンターティナーであることがわかる仕上がりだ。BARKSは鳴瀬喜博、IKUO、村田隆行の3人にアルバム『FAN×K』に込められたチョパレボ流ファンクについて、じっくりと話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■Takaは本当にうるさかったよ
■ファンク!ファンク!って(笑)

──3rdアルバム『FAN×K』の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

村田:THE CHOPPERS REVOLUTION(以下、チョパレボ)が2022年に10周年を迎えることは、8年目くらいから意識していたんですね。そのさらに数年前から僕らは、ファンクやダンスミュージックのパフォーマンスをライブに採り入れていたんです。1stアルバム『チョパレボ!!!』(2012年10月発表)は今振り返ってみると、鳴瀬師匠のフュージョンとIKUOさんのメタルっぽさ、僕のセッション遍歴を融合させたアプローチに加えて、3人のベースアンサンブルをわかりやすく聴かせることがテーマだった。2ndアルバム『3B』(2016年4月)では、そこから5年くらいの活動歴の中でいろいろとやれることが見えてきて。普通のベースソングではやらないようなこと──たとえば一般的にはピアノが弾くようなメロディーをあえてベースで弾いたり。アルバム2枚を経て、10周年にリリースする3枚目は“チョッパーをフィーチュアしたい”という気持ちがあって。チョッパーとファンクは切り離せないものですし、ライブパフォーマンスとしてずっとファンクをやってきていたので、今回はファンクとかディスコを前面に押し出したアルバムを作りたいと思っていました。


──たしかにファンクやディスコを軸にしていますが、作品として一辺倒でも平坦でもなく、いろいろな曲調が入っていますね。そのアルバムタイトルが『FAN×K』。

村田:タイトルはわかりやすいものがいいなと思って、ストレートに“ファンク”でいくことにしたんです。でも、ただ単に“FUNK”というタイトルだとおもしろくない。それにチョパレボはファンの人達からすごくかわいがってもらっているグループなので、応援してくださっている方への感謝の気持ちを込めて、“FUNK”と“FAN”を融合させた“FAN×K”というタイトルにしました。最後の“K”に込めたのは、たとえば1000という単位を“K”で表すじゃないですか。1100リツイートだったら、1.1Kみたいに。今、僕たちのお客さんが数百人だったとして、それを数千人単位にしたいという思いも込めています。

IKUO:正直に言うね(笑)。

村田:はい(笑)。

──『FAN×K』は幅広い層のリスナーが楽しめる内容ですので、ファンの方がより増えていくであろう予感がします。では、楽曲を作るにあたって意識したことはありますか?

村田:僕が作った曲についてざっくり言えば、1曲目の「Pop Up Da Funk」はアルバム制作にあたって真っ先に作った曲なんです。先ほどお話ししたようにチョパレボをもっとファンクやディスコに寄せたいという強い気持ちがあって、そのすべてが「Pop Up Da Funk」に入っているので、もうわかりやすい曲ですね。いわゆる往年のチョッパーパターンが真ん中のセクションで出てきて、同じフレーズを3人がユニゾンするという。意外にも今までの僕らにはなかったことだし、そういうシーンを作りたいんです。

──村田さんは「Pop Up Da Funk」ほか、「Trifold in G」「Cat's Power 〜Pileup Effect〜」「The Wind of Heaven」「Chop-Chop」とアルバムの半数の曲を書いてますね。

村田:「Trifold in G」はタイトル通り、3人が違うフレーズを弾いているんですけど、それがひとつのグルーヴになっている。以前からそういう曲を作りたいと思っていたんですよ。「Chop-Chop」は、僕の好きなモダンソウルを形にしたもので。この曲で歌ってくれたChloeさんはテイク6のメンバーの娘さんなんです。仕事で日本に来たんじゃなくて、好きで日本に住んでいる親日家で、ソニーのCMモデルとかもやっていたり。いわゆる黒人のソウルシンガーな感じではなくて、フワッとした感じというか、そういうところがいいなと思ってフィーチュアしました。今回のアルバムには、今までチョパレボには入れてなかった自分の好きなタイプの曲だったり、ファンクやディスコをベースにしたものを収録できたと思いますね。「The Wind of Heaven」もそう。これはワルツのバラードで、今までもチョパレボにバラードはあったけど、僕は作っていなかったんですね。今回は、僕の身近な人が結構亡くなっていたり。そういう気持ちが入っているバラードです。



▲<チョパレボ 10th Anniversary 3rd Album Release Tour 2022>8.18@Billboard Live OSAKA

──鳴瀬さんは「Funk On」と「PINK PUNK FUNK 2022」。

鳴瀬:俺はファンクの曲が好きでやってきたし、ファンクベースが好きだからね、昔からずっと。アルバムを作るにあたってTaka(村田隆行)が「ファンクだ!ファンクだ!」ってずっと言ってたから、「俺、ファンクはもういいよ」って話したんだけど、「ダメです!」って強く言うんだよ(笑)。そういう感じで始まっちゃったんだよね、今回。だからファンクとディスコを一緒にしたように明るい「Funk On」を作ったという。この曲でラップと作詞を担当したgbは、クール&ザ・ギャングのドラムの息子さんでさ。gbは小さい頃から日本に居るんだよ。お母さんが日本人なんだ。もちろんダンナとは別れているけど。

村田:「もちろん」ってどういう意味ですか(笑)!?

鳴瀬:いや、そういうこと多いから(笑)。クール&ザ・ギャングはまだ3人くらい生き残っててさ。

IKUO:「生き残ってて」って(笑)。

鳴瀬:そういう年齢っていうかね(笑)、gbのお父さんは俺と同い年なんだ。今、クール&ザ・ギャングはドラムを若いやつに任せて、gbのお父さんはキーボードの前に座って、弾く真似をしてるらしい(笑)。俺もそろそろそういう年だから、今後のチョパレボでは椅子に座って身体を揺らしたり腕を振ってるだけで、ベースは弾かないつもり(笑)。ただ、オリジナルメンバーだからギャラは3等分してもらって、当然だよね。そういう感じでやらせていただく前例として作ったのが「Funk On」で、それが“Funk On”の本当の意味です(笑)。

──な、なるほど(笑)。「Funk On」と「PINK PUNK FUNK 2022」を聴いて、鳴瀬さんが書かれる曲はオシャレだなとあらためて思いました。

鳴瀬:アーバンってこと(笑)?

──アーバンでスタイリッシュです。

鳴瀬:うん、それはこのコロナ禍、Apple Musicとかサブスクが支えになったことが大きい。緊急事態宣言で活動が止まってしまったとき、サブスクで昔の名盤をずっと聴いていたわけ。コロナ前は聴きたくてもゆっくりアルバム1枚聴く時間なんてなかったしさ。サブスクには全部入っているからね、本当にお世話になった。ウィルバー・バスコム(ベーシスト)が好きで、全作聴いたりしてたし、やっぱり最終的にはファンク/ディスコにいくんだよ。同時に、インターFMの番組『RADIO DISCO』で明るいファンク/ディスコ、たとえばTHE B.B. & Q.BANDとかをいっぱい聴いたんだよね。だから今回のアルバムは、すごくいいタイミングだった。ただ、Takaは本当にうるさかったよ、「ファンク!ファンク!」って(笑)。



▲<チョパレボ 10th Anniversary 3rd Album Release Tour 2022>8.18@Billboard Live OSAKA

村田:いやいや(笑)。3人の中でも一番最初に曲を持ってきたのがナルチョ(鳴瀬喜博)師匠で、それが「Funk On」だったじゃないですか。

鳴瀬:それ、違うんだよ。早かったのには別の理由があって。俺のもうひとつのバンドにカシオペアとかいうの、あるでしょ。そこのリーダー(野呂一生)の曲作りがすごく早いわけ。次から次へと新曲のデモを送ってきて、「ナルチョも1曲作っておいてね」とか言うんだよ。だから、「わかった」って1曲作ったんだけど、“そういえばチョパレボもあるなー”って、ついでに作ったのが「Funk On」(笑)。

村田:ついでか(笑)!?

鳴瀬:いや、ついでというのは、そのままの意味じゃなくてさ。俺は曲を作るときにQY(ヤマハのシーケンサー)を使ってるじゃない? QYをセッティングするのに結構手間がかかるんだよ、お前らみたいに最新鋭の機材を使っているわけじゃないから。だからカシオペアの曲を作ったときに、続けてチョパレボも作っちゃったってことだよ。

村田:たしかに僕はPro Toolsを使っているから、すぐに作業できる環境ですね。だけど、気持ちをそこにもっていくまでには相当時間がかかる(笑)。ベッドに寝転がったままNetflixで映画を観ながら、“そろそろやらないとなー”と思いつつ、“ま、2時間あればできるか”と思っちゃうから、なかなか取りかからないという(笑)。

鳴瀬:要するに心がけが違うわけよ(笑)。俺はディスコという言葉が目の前に浮かべば、“ディスコ、ファンク、ベース…よしわかった。今すぐ作ろう”って人間だからさ。2時間あればできるからいいや”という人間とはまるで違う(一同笑)。

IKUO:さすがです(笑)。

鳴瀬:「PINK PUNK FUNK 2022」のほうは、’80年代に書いた曲で以前からライブで演ってるよね。今回レコーディングすることになって、“歌い手さんをどうしようかな”と。メロディーがある曲じゃないから、いい感じで歌える人は少ないんじゃないかなというのがあってね。そうしたらTakaが「NoB(山田信夫)さんはどうですか?」と提案してくれたんだ。今は、アニメ界隈のヴォーカルをやってるの?

村田:そうですね。『聖闘士星矢』のテーマ曲「ペガサス幻想-PEGASUS FANTASY-」とかスーパー戦隊シリーズの主題歌を歌われているので。

IKUO:僕の中ではメタルバンド・MAKE-UPの山田信夫さんです。

鳴瀬:URUGOME(うるさくてごめんねBAND)だろ(笑)?

村田:ナルチョ師匠のバンド・URUGOMEのメインボーカリストなのはもちろん知っていますよ(笑)。ただ、僕の中では「PINK PUNK FUNK 2022」の“♪チャーッ! チャーッ!”というところが「ペガサス幻想-PEGASUS FANTASY-」の“♪セイントセイヤァー”とリンクしてて。NoBさんが歌ったら絶対カッコいいと思ってたんですけど、本当にイメージどおりでした。なので、やっぱりアニソンのイメージなんですよね。

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