【速レポ】＜JOIN ALIVE 2022＞ADAM at、「踊りの天才しかいねえよ。JOIN ALIVE最高」

「楽しむ準備はできてるか。今日ここを日本一暑い場所にしようぜ」と1曲目の「OUTLAST」からトップスピードで、NEO WALTZステージに瀟洒にして野生的なサウンドの咆哮を響かせたのはADAM at。

◆ADAM at ライブ写真

キーボーディスト・ADAM atによるインストゥルメンタルバンドで、この日はツインギター、ベース、ドラムによる編成。メンバーそれぞれテクニカルに、躍動的に音を掛け合わせていくそのアンサンブルに、観客が吸い寄せられるように集まってきて、瞬く間にジャンプをしたり、体を揺らしたりという最高の空間になっていく。


「ありがとう！」加速度的に熱を帯びていった演奏が終わるや、会場が破裂するような大きな拍手が起こった。興奮冷めやらぬなか連投したのはピアノインストとヘヴィロックが衝突した「Syoi syoi」。細やかなピアノのタッチから一転して、ヘヴィな重低音と高速ドラムが轟いて、豪快に観客を踊らせ、ジャンプを巻き起こしていく曲だ。ADAMatもまた、コブシを掲げ、掛け声をあげて、もっともっとと熱量を上げていく。このハイカロリーな2曲での熱をクールダウンするように、流麗なグルーヴを聴かせる「Silent Hill」も爽快だ。


「初めての方も、見たことあるけど忘れちゃった人も、ひとりでADAM atと申します」と3年ぶりの＜JOIN ALIVE＞出演に自己紹介をすると、今日も素敵なパートタイマーの方よろしくお願いしますとメンバーを紹介。クールで、ラテンから歌謡からヘヴィロックも飲み込んだ饒舌なインストゥルメンタルを奏でるが、MCでの漫談のような軽妙洒脱なトークもまた一興。メンバーにツッコミを入れられながらも観客を巻き込んでいって、遠慮がちな人にも「前おいで。おじさんたち怪しいもんじゃないから」と声をかけて、いつの間にか手拍子をさせている。


「Install」で気持ちよくステップを踏んだ後は、エフェクティヴなスラップベースが冴える「Karakusa Trick」「Echo Night」でさらに会場をダンスホールと化す。鍵盤に華麗に指を走らせ、バンドメンバーとの呼吸はもちろん、観客の呼吸もとらえていくようなステージは、ライブバンド、セッションバンドとして数々のステージを鳴らしてきた者ならではの鋭敏な感覚があればこそだろう。

「踊りの天才しかいねえよ」「JOIN ALIVE最高」と叫び、「ごめんね、歌がないのよ。他のバンドは歌心があるけれど、俺ら下心だけはあるから」など冗談も飛ばしながら宴は佳境へ。


「歌ってないのにも関わらず、踊ってくれてありがとう。今日、開催できたのはみんなのおかげでしょ。3年ぶりの開催、3年分我慢をして、それでも音楽が好きだからここにきてくれた」そんな話から、今日来れなかった人にも私をここに連れて行ってという曲だと言って披露したのは、瑞々しく高揚感に溢れる「Take Me there」。そのサウンドとグルーヴは、たくさんの人を風に乗せてさらりと運んでいくようだ。


「また皆さまとライブで、フェスでお会いしましょう」とあいさつをしての終盤は、再びボリューム感たっぷりのアンサンブルでドカンドカンと会場の温度をあげる。『NHKプロ野球』のテーマ曲である「六三四」では、ギターのSYUが“うちとれ”と書かれたのぼりを掲げ、ADAM atは歌がないが、この曲にはこの4文字だけ歌詞があると、“うちとれ”のシャウトを決める。観客は一緒には声を上げられないが、その分胸の内で渾身の声をあげる。

ラストの「MONOLITH」では「今日イチのジャンプをするよ」という声で、両手を掲げて高く飛び跳ねて終始休みなしのライブだ。しかしそれがいかに最高だったかは、ステージ前から戻ってくる観客がみんな、顔を真っ赤に、そして笑顔で、いいものを見たとここにきたことを讃えあっている様子からもわかった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎石井亜希