【速レポ】<JOIN ALIVE 2022>優里、ロックな歪みから澄んだ歌声まで自在「次は必ず皆さんと一緒に歌いたい」

ツイート

<JOIN ALIVE>2日目のROSE STAGE、そのオープニングを飾ったのは、今や6曲のストリーミング累計1億回再生突破を誇るシンガーソングライター、優里。

◆優里 ライブ写真

先にステージへ飛び出てきたバンドメンバーの演奏をバックに、アコースティックギターを弾きながら登場すると、メジャーデビュー曲である「ピーターパン」を力強く歌う。次ぐ「花鳥風月」ではアコギを置いてハンドマイクで下手から上手へとステージを隅々まで移動し、高々と掲げた手を動かし観客全体を揺らした。その後は、夏の終わりを惜しむようにバラードの「夏音」、そして彼の代表曲のひとつである「ドライフラワー」へと続き、パワフルな歌声と透き通るようなファルセットを緑に囲まれたこのステージの隅々へと響き渡らせた。


こうした優里の歌をSNSやYouTubeを通して知った人は多いだろう。実際、彼を一躍全国区に広めたのは動画サイトでの発信によるとことが大きい。ただ、だからと言って彼の実力は“ネット系アーティスト”の枠で片づけられるものではない。むしろ、動画での印象的なきれいな歌声ばかりでなく、ライブだからこそ感じ取れるロック的な歪んだ声色や、魂を揺さぶるようなエモーショナルな歌唱まで、実に幅広い表現力を持っている点こそが、優里のリアルな魅力と言って過言ではないだろう。

そんな彼の歌心は、「インフィニティ」や「うぉ」、そして「皆さん、一緒にロックンロールしようぜ!」とエレキを手に叫んだ「告白直前酸欠状態」(※音源未発表新曲/この夏フェスシーズンに3回目の披露)と、まさに変幻自在に観客を楽しませていく。優里というシンガーソングライターが、この時代にたまたま注目を集めたのではなく、なるべくしてメジャーシーンに名を刻む存在になったことを、このステージで存分に証明してみせてくれた。



ここで初めて、優里はしっかりとしたMCを挟んだ。彼が語ったのは苦悩の告白だった。2~3年前まで東京の路上でずっと歌っていたこと。どうしたら音楽で生活していけるのかずっと考えていたこと。でもお客さんが全然集まらず、大好きな音楽を何度も嫌いになりそうになったこと。しかしここから、ひときわ声を大きくし、「(だけど)歌った! 毎日歌った! そして今日、<JOIN ALIVE>のステージに立てた! 残り2曲、みなさんの背中を押せるように心を込めて歌います。聴いてください」と語ると、まさに全身全霊を込めた熱量で「飛行船」を歌い上げる。

その高ぶった感情を一旦落ち着かせるかのように、そして高鳴る鼓動を鎮めるかのように彼はマイクスタンドの前に静かにたたずみ、目線を下に落とし、一点を見つめる。その目線を正面に上げると、静かに歌い始めたのは最後の曲「ベテルギウス」だ。この曲は、星座になぞらえて人と人との関係性を歌ったもの。そのつながりは、必ずしも男女間の恋愛だけでなく、友情だったり、あるいは大切な人との絆をも感じさせるものであり、その大切さやかけがえのなさを“君が教えてくれた”という最後のワンフレーズだけ、ボーカルのエコーが消され、まるで耳元で歌っているかのように彼の心の声が観客に届けられた。



「音楽を始めて10年、皆さんに知ってもらえるようになったのは、最近の、ここ2年のことです。まだ、皆さんと大きな声を出して一緒に歌うライブを経験したことがありません。次に北海道に来た時は、必ず皆さんと一緒に歌いたいなと思っています。<JOIN ALIVE>トップバッター、本当に楽しかったです!」──優里

そして何度も「ありがとうございました」と感謝の気持ちを口にした優里は、笑顔でステージを後にした。

取材・文◎布施雄一郎
撮影◎岸田哲平

<JOIN ALIVE 2022>

日程:2022年9月3日(土)、4日(日)
時間:開場 9:00 / 開演 11:00 / 終演 20:30予定 ※雨天決行
会場:北海道・いわみざわ公園〈野外音楽堂キタオン&北海道グリーンランド遊園地〉(北海道岩見沢市志文町794番地)

この記事をツイート

この記事の関連情報