【速レポ】<JOIN ALIVE 2022>MANNISH BOYS、原点を見つめなおした編成で楽しむ贅沢な“音の会話”

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開演時間の5分前、中村達也がステージに姿を現すと場内からは大きな拍手が沸き上がる。でも、まだ本番前。ドラムのサウンド・チェックだ。するとそれから遅れること2分、今度は斉藤和義もステージに出てきて、ギターのチェックを始める。ところが、2人のサウンド・チェックはそのままセッションとなり、早めに会場に集まった観客は大喜び。しかし中村は、ユーモアたっぷりに「まだやんねーぞ!」と生声で叫び笑いを誘うが、斉藤はもう始めてもいいんじゃないかと言いたげにギターを下すことなく、そのままジワッと、ややフライング気味に「MANNISH BOYSのテーマ」へと雪崩れ込み、斉藤と中村のロックンロールユニット、MANNISH BOYSのステージが幕を開けた。

◆MANNISH BOYS ライブ写真


このユニットが結成されたのは、2011年。斉藤曰く、「MANNISH BOYSとして初めて(ライブを)やったのは、たぶんここだよ」と、最初のライブが同年の<JOIN ALIVE>だったことを観客に告げる。そんな2人は今年、10周年アニバーサリー・ツアー<MANNISH BOYS Anniversary LIVE TOUR 2022 ~GO! GO! MANNISH BOYS! 叫び足りないロクデナシ~>を開催。その追加公演となった札幌・cube garden公演を2日前の9月2日に追えたばかりだ。その延長戦とも言うべきライブが、7年ぶりの<JOIN ALIVE>のVELVET CIRCUSで実現することとなったのだ。



そのステージにセッティングされたのは、斉藤の2台のギター・アンプとエフェクター、ルーのギブソン・レスポールと、中村のドラム・セットのみ。しかもそのドラムは、小口径のキックにスネア、1タム、1フロアという構成にハイハットとライド・シンバル1枚のみというミニマム・スタイル。2人はこれまで、サポート・プレイヤーを入れるなど様々なスタイルでライブを行ってきたが、この10周年アニバーサリー・ツアーでは、MANNISH BOYSの根幹を成すギターとドラム、そして歌(声)だけという、このユニットの原点を見つめなおすような編成でのセッションに挑み、<JOIN ALIVE>でも同様のパフォーマンスを展開してくれた。

だがしかし、会場となったVELVET CIRCUSにこだましたサウンドは、たった2人だけ、そしてギターとドラムだけという編成からは信じられないような、実に豊かな彩りと表現力に満ち溢れたロック・サウンド。斉藤のギターからは、歪み具合からリバーブの響きの量までが繊細に伝わり、一方の中村が叩き出すドラムは、スネアを叩く位置による音色の差や、グラデーションのように強弱をコントロールする様がダイレクトに聴こえてくる。その様は、2人のトップ・ミュージシャンが楽器を通してミュージシャン同士の会話しているようでもあり、観客は、その輪の中に混ぜてもらったような、何とも贅沢なひと時を楽しむことができた。



だが、楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていくもの。「Sweet Hitch Hike」や「ボンクラゲ」「天使とサボテン」「裸の逃亡者」「GO! GO! Cherry Boy!」などが演奏されると、中村が「移動中のみなさん! もう1曲だけ聴いていって!」とユーモアたっぷりに語り、最後の「LOVE&LOVE」が始まった。そこで気が付く。ああ、この場を一番楽しんでいるのはきっと、ステージ上にいる2人なんだな、と。圧巻の迫力と高い音楽性。そして、楽器を奏でて、歌を歌うことの楽しさ。それを存分に味合わせてくれた、2人から最高の音楽のプレゼントであった。

取材・文◎布施雄一郎
撮影◎柴田恵理

<JOIN ALIVE 2022>

日程:2022年9月3日(土)、4日(日)
時間:開場 9:00 / 開演 11:00 / 終演 20:30予定 ※雨天決行
会場:北海道・いわみざわ公園〈野外音楽堂キタオン&北海道グリーンランド遊園地〉(北海道岩見沢市志文町794番地)

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