【インタビュー】甲田まひる、ファッションアイコン、ジャズピアニスト、そしてシンガーという多様性に漲る想い「言葉で伝えるって難しい。だからこそ表現している」

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小学6年生でInstagramをはじめ、独自の審美眼でティーンのファッションアイコンに。また幼少期からジャズに親しんでジャズピアニストとしても活動をするなど、多彩な顔を持つ表現者が2001年生まれの甲田まひるだ。16歳のときにはトリオ編成によるジャズアルバム『PLANKTON』(2018年発表)をリリースし、ビバップとともにのちにつながる片鱗をのぞかせるヒップホップやR&Bエッセンスを若きエネルギーでバンドサウンドへと消化する作品を作り上げた。

◆甲田まひる 画像 / 動画

そうしたコアな音楽の探求を重ねてきた甲田まひるが、昨年2021年、シンガーソングライターとしてデビュー。1st EP『California』ではアンニュイな香りのするエレクトロサウンドで、気だるくポエティックな、またグルーヴィなラップや歌を聴かせ、新たな一面を見せた。そして今回リリースとなる2nd EP『夢うらら』では、よりポップな歌心を聴かせている。培ってきたジャズという自由度の高さや、ミクスチャー感覚、小技をそのサウンドに利かせつつも、キャッチーな歌を軽やかに響かせる甲田まひるならではのJ-POPを作り上げた。今回はBARKS初登場ということで、作品はもちろんそのルーツや嗜好性など甲田まひるをか形作るものについて話を聞いた。

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■音楽でもファッションでも昔のものに惹かれたり
■小綺麗にまとめるのは違うなってなるんです

──ジャズピアニストとして音楽活動をスタートした甲田さんですが、昨年シンガーソングライターとしては初めてのEP『California』がリリースされて、反響などありましたか?

甲田:そうですね。“歌”というものを出したのが初めてだったので、周りはそれが新鮮だったと思うんです。なので、具体的な感想というよりは、「曲、聴いたよ」「新しいことを始めたんだね」という言葉を、まずいただきました。ファンの子からは「カラオケで歌ったよ」とか言ってもらえたりもして、嬉しかったですね。


──それまではジャズピアニストとしてのイメージがあったと思いますが、作品を聴くとラップをはじめ、いろんなジャンルが混じり合ったものになっていて、多彩な音楽性が伺えます。根っこにあるのはジャズだと思いますが、そこからはどんなふうに音楽が派生しているんでしょう。

甲田:ジャズの次が、ヒップホップだったんです。ジャズは8歳くらいから聴いていて、唯一ちゃんと勉強をしたジャンルでもあるので自分の基礎になっているんですね。ヒップホップに出会ったのは、ここ3〜4年のことで。それまではジャズしか聴いていなかったんですけど、周りでロバート・グラスパーが人気で、自分も聴くようになりました。彼はジャズピアニストですけど、ジャズとヒップホップを融合した人でもありますよね。それもJ・ディラとかがやってたことを生バンドでやっているというのが面白かったんです。自分もジャズだけじゃなくてヒップホップの要素を取り入れて弾いてもいいんだな、やってみようって。それで最初にジャズアルバム『PLANKTON』(2018年発表)をリリースしたんです。同時期にローリン・ヒルやア・トライブ・コールド・クエストに出会って、ローリン・ヒルを聴いて“歌をやりたい”って思ったという。そこからより広がっていった感じでしたね。

──8歳くらいからジャズを聴き始めたということですが、その魅力はなんだったんですか?

甲田:最初は、ヤマハの音楽教室でクラシックを中心にやっていたんですけど。そのときの先生がジャズが好きな方で、発表会のときに先生がジャズアレンジした曲を弾かせてくれたり、テキストのなかにもロックとかジャズとかいろんな世界の音楽が入っていたり。結構、ジャズに触れる機会が多かったんです。クラシックと比べたときに、サウンドがちょっとおしゃれじゃないですか。そこに惹かれましたね。なんでこんな響きなんだろう?って感じになって、そこから本格的に勉強をしたいなって思うようになりました。

──そこからはジャズ浸けですか?

甲田:そうでしたね(笑)。クラシックの“正確に弾く”みたいなのが本当にできなくて。手が小さいので厳しいところがあったし、楽譜どおりに弾くっていう行為が難しかったので。やっぱり自分のなかで昔から、尖ってるものとか、渋いものに惹かれていたのもあったから、ジャズをやりたいなと思ったんです。クラシックは10年くらいやっていたんですけど、途中から並行して、ジャズを別の先生に教えてもらうようになりました。

──面白さに開眼したんですね。尖ったものとか自分の“好き”を追求するっていうのは、ファッションにも通じますよね。小学生の頃からInstagramを始めて、ファッションアイコンとしても注目されていましたが、同年代の子たちと比べても渋好みというか、ツウ好みなところがありましたよね。

甲田:そうですね(笑)。そのときから変わらないです。今日の服も全部古着なんですけど、以前から古着が好きだったので。古着にハマったきっかけが、人とかぶらないっていうところと、サイズが見つかりやすいというところ、あと値段も手に取りやすいんですね。新しく作られた服もいいんですけど、ちょっと歴史があるもののほうがワクワクするというか。音楽でもファッションでも少し昔のものに惹かれたり、“小綺麗にまとめるのは違うな”ってなるんですよね。


──ジャズだったりファッションだったり、そうやって自分を形作ってきたものから、今度はシンガーソングライターとして曲を書いていくという上では、どういったアプローチや試行錯誤がありましたか?

甲田:ピアノを始めた頃は“ピアニストになりたい”と思っていたので、後に自分がこうして歌を出すことになるとはまったく思っていたなかったんですけど、段々と、“今のままだと自分が表現したいところまでいけないな”って思ったんですよね。それプラス、音楽と同じくらいファッションが好きだったので、“ステージ上でファッションを見せるときにも、歌のほうが自分のしたいファッションができるし、表現に近いな”っていうのがあって。あとは、歌詞があることでより広がると思ったんです。

──歌詞は、以前から書いていたんですか?

甲田:“歌いたい”と思ってから、歌詞も書き始めました。

──話を聞いている限り、いわゆるポップスやJ-POPというものはそこまで通ってきていない感じですよね。どうメロディを紡いで、どう言葉を乗せていく、みたいなことはどのように?

甲田:逆にやってこなかったので、初めての挑戦というか。作曲は昔からしていて、ピアノでジャズの曲を作ったりはしていたんですけど、やっぱり全然違うものなので。思いついたままに始めてみるという感じでした。

──ピアノを弾き語りながら曲を作っていく感じですか?

甲田:最初はそうでした。パソコンがなかったので、それしか方法を知らなくて。でも、自分がやりたい音楽がヒップホップだったり、電子音楽だったので、弾き語りではダメだなと思って。ただ、知り合いにそういう音楽を作ってくれる人もいないし、何から始めていいのかわからなくて。自分で調べたりしながら、“DTMで作ればいいんだ”と知って、パソコンを買ったという感じでした。DTMを始めたのが2年前で、そこから独学で適当にいじってみて、歌入れてみてっていう感じでスタートしたんです。

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