【インタビュー】ベリーグッドマン、あたたかいユーモアや大人の余裕の中に燃え盛る若い情熱をしのばせた『すごいかもしれん』

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■「すごいかもしれん」って答えは誰にもわからない
■本当にすごいのかあまりすごくないのかという思いを込めています。


――アルバムのリード曲「すごいかもしれん」。これはどのタイミングでできた曲ですか。

Rover:「すごいかもしれん」は、アルバムタイトルを決めないといけないというタイムリミットがあって、その前から僕とMOCAはアルバムタイトルを探ってたんですけど、9周年だから9という数字にかけるとか。

MOCA:「雑草」にかけて「ザ・ソウル」とか。下手したらすべるかも、みたいな感じ。で、「すごいかもしれん」は、楽屋でよく使っていて。

HiDEX:その言葉にハマってた。

Rover:去年は『必ず何かの天才』と言い切りましたけど、『すごいかもしれん』はもっと抽象的で。

MOCA:何が「すごいかもしれん」かわからない。答えは僕たちも持ってないかもしれんし、でも聴いてくれた人が「確かに」ってなってくれるのが一番いいから。

Rover:英語にもできないし、日本人の、大阪の、「知らんけど」に近いような感じが、ちょうど今の僕たちにハマったので。「すごいかもしれん」って言えば言うほど、おもろい言葉になっていくんですよね。でも答えは誰にもわからない。本当にすごいかもしれないし、あまりすごくないかもしれない。そういう思いを込めています。


▲『すごいかもしれん』【初回限定盤】


▲『すごいかもしれん』【通常盤】

――どっちに転んでもいいし、ニヤリと笑えるユーモアもある。

Rover:そうです。だからタイトル曲も、たいしたことは言ってないです。「すごいかもしれん」と言っているだけ。

MOCA:でも「雑草」という曲があるから。これが「雑草」がなくて「すごいかもしれん」だけだったら、真面目に行き過ぎたかもしれない。良い意味で気を抜ける曲だと思います。

――「雑草」があるから「すごいかもしれん」が生きて来て、「花束」があるから「雑草」が生きてくる。すごく良いバランス。今回の先行曲とリード曲の4曲は、全部が有機的に絡み合っていると思います。強力4トップ。

Rover:確かに。アルバム全体は、ベリグイレブンですね。



――うまい! 11曲ですからね。ヒデさん、あらためて、アルバムができあがって、どんな手ごたえを感じていますか。

HiDEX:ほんとうにタイトル通りかなと思います。僕らが音楽を始めてすぐの頃に作った「流レ星」とか「Together」とかも入っていて。

Rover:「流レ星」は12,3年前で、「Together」もそれぐらい。僕とHiDEXが二人でやっていた時の曲です。

HiDEX:だから懐かしさもあるし、「すごいかもしれん」「Amazing」みたいに新しさもあるし。古いところから新しいところまで入れられて、マスタリングが終わって届いた時に、「タイトル通りの作品ができたな」と思いました。

――そんな昔の曲が入ってたとは、初めて知りました。なぜ今、その頃の曲を?

Rover:1曲目の「Intro~すごいかもしれん」で、“エブリバディクラップユアハンズ、すごいかもしれん~”っていうのがあるじゃないですか。あれはもともと僕ら二人がやっていた時にライブで使っていた“エブリバディクラップユアハンズ、ドントストップティルジエンド”というフレーズなんです。それが終わって2曲目に「Together」を繋げてライブしていた時期があって、「これはやるしかない」ということで。

――当時のファンが聴いたら号泣案件じゃないですか。わかる人、いますかね。

MOCA:あべちゃんと、かおりんと、あと一人おるぐらい?

Rover:それぐらいやな。きっと。

MOCA:「Together」を入れたいと言って、探して、見つかったんですよ。ただ、二人(Rover&HiDEX)とも曲名を忘れているんですよ。あべちゃんに連絡して、曲名わかる?って聞いたら「わからへんけど当時の映像はあるよ」と言って、ヒデがすごいジャンプしている映像が届いたんです。

Rover:前に出てすごいジャンプしてる(笑)。当時はヒデがリーダーで、MCもやっていた時期ですね。

MOCA:それぐらい前から応援してくれてる人は、家族みたいな存在です。そういう人たちは、失神するかもしれないですね。

Rover:確かに、タイトルは忘れてたな。

HiDEX:「流レ星」に至っては歌詞が見つからなくて、Roverが書き起こした。

Rover:なぜ昔の曲を掘り起こしたくなったのか、理由がまだはっきりわからないですけど、何かいいかなと思ったんですよね。「流レ星」はHiDEXのお兄ちゃんのプロデュースで作った曲なんで、お兄ちゃんのNAOくんにも連絡して。

HiDEX:ファンよりも兄貴が喜ぶやろな。

MOCA:僕、お兄さんのNAOさんとは関係値で言うと一番浅いんですけど、なぜか僕がマネージャーみたいに連絡を取り合うという。「使っていいかどうか、MOCAちょっと聞いといて」「OK」って言ったんですけど、なんで俺なのか、今でもまだ解明できてないです。普通、弟が連絡取るでしょ。

HiDEX:あのー、仲良くないんですよね(笑)。


――あはは。そうですか。

HiDEX:「ミックス、こんな感じで上がったよ」というのは送ったんですよ。ただ、返って来た言葉は、こっ恥ずかしくて見たくないんで、既読スルーしました。未だに見てないです。

Rover:当時はめっちゃ怖い先輩だったんですよ。僕はぺこぺこするタイプだったんで、そんなでもなかったですけど、めちゃくちゃ怒られる後輩を見てきたんで、今でも怖いんです(笑)。で、ヒデからすると、兄貴はめんどくさい人みたいで。

HiDEX:お互いに近いところにいたんで、負けへんぞという気持ちがバチバチだったんで。

Rover:一個だけ昔のエピソードを言うと、東京から大阪へ帰る途中で、今日は頑張ったしステーキ食べよかって、NAOさん、ヒデ、僕、もう一人DJ ROVERさんという人がおって、みんな同じステーキを頼んで、まず店員さんがNAOくんの前にステーキを置いたんですよ。

HiDEX:一番年上に見えたから。

Rover:そしたら「うちのぼんぼんに先渡すやろ、普通」って、怒ったんですよ。ぼんぼんって、ヒデのことなんですけど。「え? 待ってください」と。そんな流れ、今まで一個もなかったのに。

HiDEX:急に怒り出した。「先に弟に出せや」みたいな。そんなの店員さんは知らんがなって。

MOCA:めちゃめちゃ怖いな。

HiDEX:優しさと厳しさが、よくわからないことになっているんですよ。

MOCA:ちなみに、その時一緒にいたDJ ROVERさんが、「Amazing」という曲のトラックを作ってくれています。

――なんなんですか。その壮大な繋がりは。

MOCA:今回、曲を聴いただけでは伝わらないかもしれない、僕たちなりの「すごいかもしれん」はいっぱいあります。

Rover:Nagachoさん、NAOさん、DJ ROVERさん、あとは大志というトラックメイカーもそう。楽しい感じになったかなと思います。ただ「Mic」という曲が、僕は一番怖いです。MOCAが“蝶のように舞い”みたいなラップを2ヴァース、最初に入れてきたんですよ。「俺、それ持ち合わせてないで」と思って、歌ものにしようと思ったけど間に合わず、僕ら二人も一生懸命ラップすることになって。

HiDEX:「Mic」に関しては、僕も言いたいことがある。「Mic」と「いい気分」は僕の担当がBメロで、コードが変わっているんですよ。むちゃくちゃムズイ場所を2か所もやらされたんです。

Rover:バレたか(笑)。

HiDEX:「いい気分」は、「二番は、俺が先に行こうかな~」って提案したんですけど、却下された。

Rover:起承転結でいう転なんで、難しいんですよね。でもヒデさんのヴァースはナイスプレーでしたよ。

HIDEX:頑張りましたよ。


――これはぐっとくる曲ですよ。自分の音楽人生を振り返って、言葉をかみしめるようにラップして、3人とも説得力がすごい。

Rover:ベリーグッドマンというよりは、自分のことを一回歌ってみようかと思ってやりました。

HiDEX:HAND DRIPっていう後輩のグループがいるんですけど、ギターの堀次一輝は、「Mic」が一番好きと言っていました。

Rover:変やな(笑)。僕は、ミックスデータが届いた時、運転中だったんですけど、「Mic」を聴いて道を間違えました。めちゃめちゃ毎日通る道なのに。

MOCA:入ってくるよな。

Rover:そう、入り込みすぎて。

HiDEX:俺も、ミックスが届いて一番何が気になったって、「Mic」が気になった。

Rover:身の丈に合ってないと言えば合ってないけど、リアルはリアル、という感じでやりましたね。次はもう、僕はラップは遠慮しておきます。

――そう言わずに、ライブで聴けることを楽しみにしてます。<ベリーグッドマン“すごいかもしれん”TOUR 2022-2023>は10月29日の神戸から、来年1月21日、TOKYO DOME CITY HALLまで。がっつり回ります。

Rover:ありがたいことに、年またぎのホールツアーは定番になりつつあって、毎回いろいろな発見がありますし、楽しいこととか、苦しい部分もありますけど、一つのツアーを終えると成長している自分らがいるので、ド本気で歌っていこうと思います。行ったことのないホールもあって、愛知の一宮市とか、愛媛の松山市とか、そういうところも楽しみですし、年が明けて1月7日の仙台も楽しみですね。年があけてすぐにライブがあるのは、僕らにとってけっこう大事なので。

HiDEX:確かに、パキっとするよな。正月で気を抜きすぎたら、戻られへんから。

Rover:今回、アルバムに入れてる曲はミドルテンポが多いんですけど、それをしっかりと聴かせれるような歌が必要なので、そこも狙っていこうと思います。アッパーに逃げるんじゃなく、しっかり聴かせるところも聴かせたいという感じですね。

取材・文:宮本英夫

リリース情報

New Album『すごいかもしれん』
9月28日(水) Release
通常盤[CD] \3,000(税込) CRCP-40649
初回限定盤[CD+M-CARD] \4,000(税込) CRCP-40648
◆CD(初回限定盤・通常盤 共通)
01. Intro ~すごいかもしれん~
02. Together
03. いい気分
04. 雑草
05. すごいかもしれん
06. トリトマ
07. 君がいない帰り道は
08. 流レ星
09. Amazing
10. 花束
11. Mic

ライブ・イベント情報

<ベリーグッドマン“すごいかもしれん”TOUR 2022-2023>
2022年
10月29日(土)神戸文化ホール 大ホール 17:00/18:00
11月12日(土)岡山市民会館 17:00/18:00
11月13日(日)なら100年会館 大ホール 17:00/18:00
11月25日(金)札幌市教育文化会館 18:00/19:00
12月10日(土)文化パルク城陽プラムホール 17:00/18:00
12月11日(日)大津市民会館 大ホール 17:00/18:00
12月23日(金)福岡国際会議場 メインホール 18:00/19:00
12月25日(日)愛知県・一宮市民会館 17:00/18:00

2023年
1月7日(土)トークネットホール仙台(仙台市民会館)大ホール 17:00/18:00
1月9日(月・祝)大阪国際会議場 メインホール 17:00/18:00
1月14日(土)松山市総合コミュニティセンター  17:00/18:00
1月15日(日)広島上野学園ホール 17:00/18:00
1月21日(土)TOKYO DOME CITY HALL 17:00/18:00

チケット一般発売日:
2022年公演/2022年9月4日(日)10:00
2023年公演/2022年10月29日(土)10:00

チケット料金:一般7000円(税込)
中学生以下学割チケット5000円(税込) ※紙チケットのみ
特設ページ:https://berrygoodman.com/contents/531395

<『すごいかもしれん』リリースイベント>
2022年9月28日(水)19:00 大阪・タワーレコード梅田NU茶屋町店 店内イベントスペース
2022年10月1日(土)(1) 13:00 (2) 16:00 東京・カメイドクロック カメクロステージ
2022年10月2日(日)18:30 大阪・セブンパーク天美AMAMI STADIUM

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