【インタビュー】エクリプス「僕たちにとっては今がベスト」

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2000年以降に頭角を現した北欧メロディックバンドの勢いは未だ止まる事なく、シーンを活性化し続けている。その代表的なバンドのひとつであるスウェーデンのエクリプスがコロナ禍による2度の延期を経て、4年ぶり3度目の来日公演を果たした。

バンドの中心人物であるエリック・モーテンソン(Vo、G)は、エクリプス以外にも多くの楽曲提供やプロデューサーとしても名高く、最近ではロニー・ロメロ(レインボー、マイケル・シェンカー・グループetc)が歌うサンストームやロニー・アトキンス(プリティ・メイズ)のサイドプロジェクトであるノルディック・ユニオンでも手腕を発揮している才能溢れるマルチプレイヤーだ。自身のバンド、エクリプスのステージでは常にアグレッシブに、ホワイトファルコンを手に歌う姿もすっかりトレードマークとなっている。


今回から加入した新ベーシストのヴィクター・クルスナーは、ドラムのフィリップ・クルスナーの兄弟であり、「ヤング・ブラザーズ」と紹介されるだけあってとにかく終始動きが止まらない。長年、エリックと共にバンドを支えてきたマグナス・ヘンリクソン(G)はジェイク・E・リーも彷彿させてくれるし、時折ギターを高く持ち上げてのプレイはマイケル・シェンカーにも見える。






未だ日本ではマスク着用の歌声禁止という中で、シンガロング不可欠な楽曲ばかりのライブは相当なフラストレーションではあるが、声ではなく拍手を促すエリックの気遣いもライブ終盤では笑いを誘う一面になるというポジティブムード。レア曲も挟みながらのニューアルバム『Wired』を中心とした100分のステージは、詰めかけた満員の観客を存分に楽しませ、満ち足りた一夜となった。


2度の延期からも決して中止にはせず、2年間を耐えてくれたバンドと主催者へは心から感謝を伝えたい。タイトなスケジュールの中、取材時間も非常に短時間ではあったが、東京公演前にエリック・モーテンソン(Vo、G)とマグナス・ヘンリクソン(G)がインタビューに応えてくれた。



──4年ぶりとなってしまいました、またお会いできてとても嬉しいです。お元気でしたか?

マグナス:僕たちも嬉しいよ。もうライブができなかった2年間は落ち込んだよね。でも責められないし、今は元気さ。

エリック:ヨーロッパはもう普通に戻っているからこれからガンガンやって行くよ。2018年の前回の来日から考えるとアルバムも『Paradigm』と『Wired』の2枚が出ているしね。それが作れたし今は本当にハッピーだよ。



──昨夜の大阪公演、反響はいかがでした?

マグナス:凄く良かったよ。ただ、シンガロングができないのが残念だった。でも拍手はたくさんもらったし、お客さんの顔を見て待っていてくれたんだなとわかったよ。

エリック:みんな凄く歌いたい顔をしていたんだよ(笑)。

── スウェーデンもコロナ対策や規制は厳しかったですが、そんな中での楽しみは何かありました?



マグナス:ほぼいつも通りだったけど、レストランやバーが20時には閉まっていたから出歩く事はできなかったね。でも友達とは会えたんだよ、だから友達と会ったりテレビを観たりね。

エリック:僕は自宅のスタジオでプロデュースやエンジニアの仕事をしていたよ。それがフルタイムの仕事になっていたから、それはそれで良かったよ。

──その間にバンドは20周年も迎えましたね、振り返ってみてこの20年はいかがでした?

マグナス:あっという間に過ぎたよ、早かった。唯一の後悔は、初期の頃はまだ僕たちのような音楽は流行っていなかったからツアーをする事が難しかったんだ。思うようにできなくてね。2006年以降はわりと上手く進むようになったよ。

エリック:僕たちにとっては今がベストなんだ。

──今がベスト、まさにそう思います。

エリック、マグナス:そうでしょ!




──最新アルバム『Wired』は、これまでの歩みが凝縮された、これがエクリプスのアイデンティティといえる内容ではないでしょうか。

マグナス:同感だよ。エクリプスを形成している要素であるロック・メタル・ポップ・フォークなんかが全部合わさってエクリプスになっている事がよくわかるよね。

エリック:どれも楽しくて速くて、ライブ向きの曲になったよ。

──特にマイナーコードの使い方に個性を感じます。

マグナス:それはスウェーデン独特のフォークミュージックから来ているのかもしれないな。物悲しいメランコリックな感じだよね。

エリック:やっぱりそれが好きだから、よく使っているのかなと思う。

──最近はサブスク時代なので、シングルヒット曲を作ろうとか考えたりはしませんか?

エリック:子供の頃からアルバムで聴いていたから、曲を書く時にはやっぱりアルバム単位を考えてしまうよね。シングルも書くけれど、いずれはそれもフルアルバムに繋がるもので考えてしまうね。

マグナス:アルバムってその時々で違うから、日記みたくその時のバンドの様を表しているじゃない?まるでタイムカプセルのようにさ。

エリック:うん、10年前の僕たちと今の僕たちでは違うわけだしね。その変遷がわかるのがアルバムだね。だからどうしてもアルバムで考えてしまうかな。

マグナス:何がヒットするかもわからないよね。それがわかったらいいんだけど(笑)。



エリック:「Viva La Victoria」は、ヨーロッパで大ヒットして、ドイツのラジオ局でもかかりまくってバンドの最大のヒットになったよ。でも書いた時は良い曲とは思ったけれど他にも良い曲あったしさ。まさかこんなにヒットするなんてね?ニューアルバムにも良い曲がたくさんあるからどうなるかな?

──ご自身ではストリーミングで音楽を聴く事もあるんですか?

マグナス:うん、移動中なんかはストリーミングでいつも音楽を聴いているよ。

エリック:僕もストリーミングも使うけれど、今は中古のCDがとても安価で手に入るんだ。週末になるとまるで蚤の市にでも行ったかのようにたくさん購入して来て、CDを聴いているよ。

──イントロやギターソロが長いと聴いて貰えないと言われていますが、それについてはどう思われていますか?

エリック:最近はグッと興味を惹きつけないとすぐに飽きられてしまうし、曲を聴かずに飛ばされてしまうよね。CDやアナログ盤は全曲を聴く前提だけど、僕でさえストリーミングだと簡単に曲を替えられるから1曲でも通しで聴かないものもあったりするね。

マグナス:でも、それって悲しいよね。アートが失われてしまう気がするよ。

エリック:時にはじっくりと聴く事をしないとね。マーケティングとの関係もあって音楽も消耗品のように聴かれてしまうようになってしまったね。



──やっぱりエクリプスはCDで聴いて欲しいですよね。

エリック:もちろんだよ(笑)。

──今後の目標や、まだやりたいと思う事は?

エリック:今すでにやりたい事がやれているから、あとはひたすら続けて行く事かな。

マグナス:ミュージシャンはゴールがあるわけじゃないもんね、続けて行く事だね。

エリック:最高のエクリプスのアルバムはまだ作れていないよ。常にこれから作られるものだと考えているんだ。

──まだ最高はこれから。今後も期待しています。東京公演、後ほど楽しみにしています。

エリック、マグナス:僕たちも楽しみだよ。


写真◎Takumi Nakajima
取材・文◎Sweeet Rock / Aki

<Eclipse~REWIRED Tour 2022>

2022.9.12@Shibuya WWW
1.Roses on Your Grave
2.Saturday Night(Hallelujah)
3.Run for Cover
4.The Storm
5.Runaways
6.Things We Love
7.Blood Wants Blood
8.Bleed & Scream
9.Hurt
10.Jaded
Drum Solo
11.Battlegrounds
12.The Downfall of Eden
13.Bite the Bullet
14.Mary Leigh
15.Black Rain
16.Never Look Back
Encore
17.I Don't Wanna Say I'm Sorry
18.Twilight
19.Viva La Victoria

◆エクリプス・オフィシャルサイト
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