【インタビュー】逹瑯(MUCC)、ソロプロジェクト第二弾を語る「“ふざけんじゃねえよ”から入りたかった」

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結成25周年を迎えたMUCCのフロントマン・逹瑯がソロプロジェクト第二弾を起動。MAN WITH A MISSIONや西川貴教らを手掛ける大島こうすけをサウンドプロデューサーに迎え、MUCCとは全く異なる制作プロセスを経た1stシングル「エンドロール」が完成、9月21日にリリースする。

◆逹瑯 画像 / 動画

表題曲は、逹瑯の嗜好性の根幹にある歌謡曲の歌心を、ヘヴィやラウドといった形容詞とはまた違ったサウンドで磨き上げて構築したハイブリッドな快作だ。4月下旬に大島と初のミーティングを行ない、6月まで作業は続行。MUCCのツアーと期間が重なる中、大島のアレンジに刺激を受けながらメロディーや歌詞を変え、練り上げていったという。

ソロ1stアルバムとして『= (equal)』『非科学方程式』を2022年2月2日に2枚同時リリースした逹瑯に、ソロ始動の経緯を改めて振り返るところから、シングルリリース翌日の9月22日からスタートするツーマンツアー<Imagination from the other side>への想いまで、じっくりと話を訊いた。

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■クオリティーの高いものを出したかった
■よりシングルっぽいというか歌謡曲っぽい曲

──逹瑯ソロ名義でのインタビューはBARKS初となります。改めて、ソロ始動に至った理由と、実際に動き出してから気付いたことなど、まずは訊かせていただけますか?

逹瑯:やっぱりSATOちの脱退が大きくて。“MUCCというバンドの誰々”もいいけど、 “この人がやっているバンドがMUCCなんだ”という感じにしたかった。そのためには、メンバーひとりひとりの個性をより伸ばしていきたいな、と思ったんです。だから、最初は自分のスキルアップを目的にしていたんですけど、実際にやってみるといろいろ面白くて。よりMUCCを軸にした考え方をすると、MUCCでは“試しにやってみたけど失敗した”って、あまり良くないんですよね。しっかり考えてみんなでいろいろ検証して、“やりましょう”と決まって動いていく感じなので。まぁ、それでも他のバンドに比べればMUCCってだいぶフットワーク軽いほうだとは思うんですけど。

──失敗を恐れず自由に試しているバンド、というイメージがあります。

逹瑯:でもソロだったら、さらにもっと軽く、自分一人のジャッジで決められるので。失敗しても困るのは自分だけだし、“こういうのやってみようかな”って試しにやってみて良かったらMUCCに持ち帰ろう、というのができるんですよね。今回のシングルで言うと、一緒に仕事したいなぁとずっと思っていた大島(こうすけ)さんにお願いして、実際にサウンドプロデューサーとして参加してもらうことができた。ソロは“試しにやってみたいこと”をたくさんできる実験の場にはなってるかな?という気がするので、動き出したら、当初の目的からもっと広がってきた感じはしますね。


──“MUCCではやりたいことができないから、自分一人だけのお城をつくりたい”という想いは、最初から全然無かったということですか?

逹瑯:全然ない。MUCCでやりたいことができないからこっちでやろうって言うほど、そもそもやりたいことがないです(笑)。

──押さえ付けられていたエゴみたいなものもない?

逹瑯:別にないかな。基本的に、何もしなくていいんだったら一生ずっと何もしたくない人なんで、俺(笑)。どうせ動くなら楽しいほうがいいかな?って。MUCCにフィードバックできるものをやってみたほうが、効率良いじゃないですか? 

──それはたしかにそうですね。2月にはアルバムを2枚同時リリースされました。自作曲でパーソナルな部分を掘り下げた『= (equal)』と、様々なアーティストから楽曲提供を受けた『非科学方程式』。逹瑯さんが思う自分像と、人から見られている像、そのギャップを感じたりはしましたか?

逹瑯:『非科学方程式』では、「“逹瑯に歌わせるならこんな感じがいいんじゃない? 似合いそうだけど?”という曲をください」という、ザックリとしたオーダーしか出してなかったんですよ。MUCCではいろいろな曲調をやってはいるけど、やっぱり激しめのラウドなイメージが強いバンドだな、と自分では思ってたんです。でも、実際に来た曲はミディアムテンポで、歌が際立つようなものが多くて。シャウト系とか、MUCCのイメージにある激しい感じの曲が全然なかったので、それは面白いなと思いました。

──あの2作を経て、ソロ第2弾としての活動となるのが今作「エンドロール」であり、初のシングルになりますね。

逹瑯:あの2枚で、現状の自分のレベルで、セルフで出来ることはもう目一杯やったかな?という感じだったので。シングルはまだリリースしてなかったから、今回はちゃんとシングルを切りたいな、と。どうせだったらしっかりとクオリティーの高いものを出したかったから、よりシングルっぽい、J-POP……というか歌謡曲っぽい曲をやりたい、ということで大島さんにオファーしたんです。

──なるほど。曲の原型ができたのはいつぐらいだったんですか?

逹瑯:大島さんにオファーした後ですね。大島さんが受けてくれると分かってから、足立(房文/制作やマネージメントも務める逹瑯ソロプロジェクトのパートナー)と一緒に、「大島さんとやるんだったらこういう感じの曲がいいかな」という感じで、超シンプルな形でデモをつくっていって。これを大島さんに持っていったらどう料理してくれるんだろう?という、変化を楽しみたくて、あえてつくり込まずに。

──原曲の候補はその段階で複数あったのですか? それとも決め打ちで?

逹瑯:もう決め打ちで、この1曲だけです。

──シンプルというのはどの程度ですか? 歌とコードだけみたいな?

逹瑯:はい。歌とコードと、あとは軽いリズムとぐらい。大島さんには「歌謡曲をやりたいです」というイメージだけ伝える形でオーダーして、そこから「こんな感じの曲だったら、こういうアレンジがいいかな?」みたいに組み立てていってもらったんですよ。それを受けて「こういう感じのアレンジになるんだったら、メロディーがちょっとシンプル過ぎたので、もう一回構築してきますね」と返したり。そういうやり取りを重ねていきましたね。


▲「エンドロール」通常盤

──大島さんとのやり取りには実際、どのくらい時間が掛かりましたか?

逹瑯:トータル時間はそれほどでもないですけど、日にちが結構掛かりましたね。

──J-POP、歌謡曲というジャンルを選んだのは、“シングルとして、この曲を世に広めたい”という想いもあったからでしょうか?

逹瑯:というよりも、“せっかくソロをやってMUCCとの違いを出すんだったら、何がいいんだろう?”みたいなことですかね。違うことをやりたいからやるわけじゃないんだけど、どうせだったら違うことやったほうがいいから。その振り幅の中で自分の好きなもの、かつMUCCと違うことと言ったら、歌謡曲なんですよね。懐メロとか昔の歌謡曲のようなメロディーの曲をしっかりやっていきたいなって。MUCCの匂いを一切考えずにやっていいのかな、と思ったのが結構大きいかもしれない。

──疾走感に溢れる幕開けから、様々に場面が切り替わっていく多彩なアレンジが素晴らしいです。2分30秒を越えた辺りから突如ジャジーなムードが漂うなど、自由な構成だなと。逹瑯さんからリクエストなさった部分もあるんでしょうか?

逹瑯:なーんにも(笑)。俺はこの曲で、“男っぽいんだけど女々しい、ちょっと男臭い歌詞を書きたいな”と漠然と思っていたんですね。で、横で大島さんの作業を見ていて、あのパートが付いた時は最初、もうちょっと派手だったんです。アレンジで世界観がパッと変わって曲調としてはカッコいいんだけど、いきなりラスベガスに連れていかれちゃった感じだったんですよ(笑)。

──煌びやかでゴージャスだったんでしょうか。

逹瑯:なので、「そこはもうちょっとトーン落としてもらえますか?」ってお願いして。作業してもらったら、いい感じに昔の映画の劇中音楽みたいなイメージになってきた。逆に言うと、そこのアレンジが決まってから、男臭いだけだった歌詞にちょっと色を付けていったところもあります。

──曲全体の世界観を左右するような、鍵を握るアレンジだったわけですね。

逹瑯:“なんという言葉でそのセクションに入っていこう?”となった時、映画のエンドロールが流れているような画が見えて。そう聴こえてきたので、“ここは「エンドロール」という言葉で繋げたらいい感じかもな”って。ここでエンドロールという言葉を使うんだったら、映画とかお芝居とかにまつわる言葉を散りばめながら物語を構築していったほうが面白いかもなと思って、歌詞もグッと変わったんですよね。あのアレンジを受けて、歌詞のほうの素材も、俺の中でアレンジされていった感じですかね。あの間奏のアレンジがなかったらエンドロールという言葉は歌詞に出て来てないし、タイトルにもなっていないと思います。

──アレンジからそういう影響を受けることは、以前はあまりなかったことですか?

逹瑯:MUCCとかだとやっぱりそうですね。歌詞はデモやプリプロで曲が出来上がった後で、「じゃあ俺、これ書くね」って誰が書くのかを割り振って、そこからイメージやテーマを決めて書き始めるので。今回は“こういう感じの歌詞がいいな”って漠然と頭にあった上でアレンジがどんどん変わっていったから、そこに俺のイメージも足していったり、変化させていったり、という反応が増えていった感じかな。ちょっと珍しかったですね。

──その珍しいやり方を楽しめましたか?

逹瑯:楽しかったですね。大島さんがつくってくれたアレンジを、俺は俺でどう活かそうか?みたいな。

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