【インタビュー】梶原岳人、「僕の人生の一部のようなアルバム」

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2017年に声優デビューを果たして以降、アニメ『ブラッククローバー』や『炎炎ノ消防隊』などの有名作品に出演し、活躍を続けている梶原岳人。一方で、2021年にはアーティストとしても活動をスタートさせ、その包み込むような柔らかな歌声で様々な楽曲を届けている。

◆撮り下ろし画像

そんな彼が9月28日に2ndミニアルバム『ロードムービー』をリリースした。BARKS初登場となる今回のインタビューでは、同作についてはもちろん、梶原自身についてもたっぷり話を聞いた。

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■僕が生きてきた道筋に沿っていることがわかるタイトルがいいなと思った

──『ロードムービー』は約1年ぶりのミニアルバムです。どんな作品に仕上がっていますか?

梶原:前作はカバー曲も収録していたのですが、今回は全てオリジナル曲で制作をしました。自分からかけ離れた空想の楽曲ではなく、自分の人生の中の場面を切り取ってみたり、今感じていることを落とし込んだ楽曲で構成されています。『ロードムービー』というタイトルのとおり自分の人生に寄り添った曲ばかりで、僕の人生の一部のようなアルバムになっています。

──『ロードムービー』というタイトルは、どのようにして生まれたのでしょうか。

梶原:このタイトルは曲が全部出来上がってから考えました。どうしようかなっていろいろと考えていたんですが、収録されている曲のことも考えて、僕が生きてきた道筋に沿っていることがわかるタイトルがいいなと思ったんです。それで、いろんな単語を考えた結果が『ロードムービー』でした。ロードムービーって人生の奇跡をたどっているような作品を指しますし、意味も合っているなって。それに僕、Mr.Childrenがすごく好きなんですけど、「ロードムービー」って曲があるんですよ。僕の人生のようなアルバムを作る上で、好きなものをタイトルに込められたらいいんじゃないかと思って『ロードムービー』に決めました。

──人生をたどる、となると曲順にも意味が込められていそうです。

梶原:そうですね。曲順もすごく考えました。でも、割とこの流れしかないと思っています。


──どういう意図でこの流れになったのでしょうか。

梶原:まず1曲めの「海のエンドロール」。これは“エンドロール”なのに一番最初の曲なんですよね(笑)。でもその感じが僕はすごく好きです。歌詞の内容的にも自分っぽい。僕は白黒ハッキリつけるタイプじゃなくて、色んなものを引きずってしまうタイプなんです。そんな僕が共感できる歌詞ですけど、曲調は爽やか。「スッキリ先まで見通せるわけじゃないけど、ワクワクさせられる」っていう爽やかさがある感じです。「終わりだけど終わりじゃない」みたいなイメージで、タイトルとギャップがあっていいですよね。そういう部分も1曲めにふさわしいのかなと思っています。

──2曲めの「otona」はリード曲という位置づけですよね?

梶原:どうなんですかね。ミュージックビデオは撮ったんですけど、どの曲も等しく聴いてほしいので難しいところです(笑)。でもミュージックビデオを撮っているので、この中では目立っている曲になるのかな。「otona」は、自分の中で新しいチャレンジだったと思います。これまでリリースした1stミニアルバム『何処かの君に』と、シングルで「A Walk」、「色違いの糸束」とは違ったジャンルで、歌詞は「大人になりたいけどなりたくない」っていう僕の思いが反映されています。僕、今年で28歳になるんです。声優として活動しようと行動し始めたのは21歳くらいでしたから、まだまだペーペーですけどだいぶ年も重ねました。でも、なんなら自分の中ではまだ17、18歳くらいのイメージだし、実際にそれくらいの年齢でありたいって思っている自分もいるんです。一方で大人にならなきゃいけないこともあるし、逆に大人になった方がいいこともある。大人の面も子どもの面も持っていたいけど、時は経っていくから自分に変わっていかなきゃいけない。そういうどっちつかずの葛藤が楽曲に表れています。ワクワクする1曲めのから繋がることで、その葛藤がより引き立って表現されてると思います。

──ミュージックビデオもすでに撮影されたとうかがっています。注目ポイントはありますか?

梶原:今回大部分がロケ撮影なんです。それが僕にとっては新鮮でした。電話ボックスが現れるシーンがあるんですけど、実は映画館の屋上で組まれたセットなんですよ。電柱もセットとして持ってきたりして。画像で切り取っちゃうとなかなか伝わりづらいんですけど、異物感がすごかったです。新鮮な気持ちで撮影できたので、楽しかったですね。



──メロディや歌詞とともに、そのセットにも注目ですね。そして3曲めの「ぼくらのメロディ」は、梶原さんの作詞作曲です。

梶原:ここから僕のゾーンに入っていきます(笑)。この曲は今、自分のやりたいことや感じているものを詰め込んだんですが、作るのに一番時間がかかりました。まずアコギで作ってからアレンジャーの方とLINEでやり取りしながら詰めていって。アレンジをしないでアコギでストレートにいくのか、全く違うアレンジにするのか、すごく悩みました。今自分が好きな楽曲の方向性がこういうテイストというのもあって、最終的には音楽として聴いた時に面白さを感じられるアレンジにすることにしました。皆さんがどう評価してくれるんだろうってドキドキしています。

──特に苦戦されたのはどの部分でしたか?

梶原:メロディはわりとすぐ出てきたんですけど、自分で作詞作曲している分細かなところにこだわりすぎてしまって。聴いていただくとわかるんですけど、1番と2番でメロディが変わったり、歌詞のハメ方が全然違ったりしているんです。単純な繰り返しにしたくなかったんですよ。構成を変えて面白くしようと思って、オクターブで音を重ねてみたり、雨の音を入れてみたり。これもやってみたい、あれもやってみたいってすごく時間がかかってしまいました。

──イチから作られているからこそ、ですね。

梶原:そうなんです。アレンジ一つとっても無限にできるので、どの方向性に持っていくべきか固めるのが大変でしたね。でも、「otona」からの流れを考えてると今の形がベストかなって。

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