【速レポ】<中津川ソーラー>DAY2、the band apart「このフェスの姿勢が好きです」

雨が降り続いた<中津川ソーラー>初日から一転、快晴の2日目。RESPECT STAGEのトップバッターとして登場したのがthe band apartだ。
◆the band apart 画像
いいものを作るためには、いいライブをするためには、決して妥協しない彼ららしく、スタート時間ギリギリまで入念なサウンドチェック。そのままステージに残り、荒井岳史(Vo/ G)、川崎亘一(G)、原昌和(B)、木暮栄一(Dr)の4人は板付きで「ZION TOWN」を鳴らした。心地好すぎる浮遊感、4人のスタリッシュなアンサンブル、照りつける日差しもあって、まだ夏でいたいという気持ちと重なるような冒頭の“蝉時雨”という歌詞、どれもが秀逸だ。客席エリアに吹くそよ風に音が乗ってどこまでも広がっていく。




木暮の叩くリズムに合わせてオーディエンスもクラップし、ギターのカッティングの響きに思わず声が漏れそうになった「higher」は荒井の舞うような歌声と原の寄り添うコーラスが混じり合い、とろけそうになるサビがたまらない。川崎もギターを振り回さんばかりにアグレッシヴにプレイ。細やかで的確なところに目がいきがちだが、身体全体で踏み込む姿もいい。
そうは言っても、過剰な無理をすることはなく、ただただ曲と一体となり、感じたモノをそのまま重ねていく。それが包み込むようであったり、情熱的であったりするだけ。だからこそ、彼らはミュージシャンズミュージシャンとして尊敬を集め続けているのだ。


迷ったとしてもその状態を肯定して前を向く「ピルグリム」では原と木暮がアイコンタクトの後に顔をほころばせる場面もあり、ステージ上にもいい空気が流れ、それが演奏にも反映されているのだろう。ひと呼吸おいてから荒井が歌いだした「photograph」は思わず頬が緩み、無意識のうちに自らを縛り付けていた鎖が解かれるような感覚すらあった。
そして、“遂に完成”という表現がふさわしい新作『Ninja of Four』から続けて2曲を披露。AOR的アプローチで淡々としながらも各楽器の音ひとつひとつが際立つ「酩酊花火」、四つ打ちに乗せてステージ袖のスタッフがシェイカーを振ったり、タンバリンを叩いたりと彩りを加え、川崎と木暮のプレイも鮮烈だった「The Ninja」と、今の充実ぶりを見せつけてくれる。



また、木暮のバスドラに合わせて大きなクラップが鳴り響き、川崎が奏でるフレーズで高揚感が一気に増したのが「Eric. W」。サビの瞬発力はいつ聴いても素晴らしく、色褪せない名曲だ。そこから荒井のカッティングのキレに驚いた「夜の向こうへ」。風景にも日常にも溶け込みながら、いつまでも胸に残るサウンドだ。オーディエンスも大きく手を振り、曲と一体となっていく。
「このフェスはいろんな問題を提起してくれつつ、こうやって、まずは楽しんでキッカケにしましょう、と。この姿勢が好きです。取っ掛かりとして楽しく心に残るものがないと始まっていかないこともある」──荒井岳史
と<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>への気持ちを荒井が語り、最後は「DEKU NO BOY」。ノスタルジックな曲の雰囲気が青い芝生と青空広がるRESPECT STAGEと重なり、最高なシチュエーションを何倍にもふくらませる。好天に恵まれ、今日もいい日になりそうだという予感が現実のものとして表れたライヴだった。

取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎俵 和彦
【RESPECT STAGE】セットリスト
02. higher
03. ピルグリム
04. photograph
05. 酩酊花火
06. The Ninja
07. Eric.W
08. 夜の向こうへ
09. DEKU NO BOY
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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