【速レポ】<中津川ソーラー>DAY3、Omoinotake「こんなに主催の気概が見えるフェスも他にない」

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眩しい太陽が照りつける真昼のRESPECT STAGEに登場したのは、昨年のオンライン開催も含め今回で4回目の出演となるピアノトリオ、Omoinotake。RESPECT STAGEは初の登場だ。

◆Omoinotake 画像

緑が鮮やかな丘に向かって、「Everybody clap your hands! 中津川!」と藤井怜央(Vo/Key)が声をあげて、手拍子が起こる中でスタートしたのは「By My Side」。藤井、福島智朗(B)、冨田洋之進(Dr)のメンバーに加えて、柳橋玲奈(Sax)、ぬましょう(Per)を迎えた編成で、ど頭からグルーヴィーでダンサブルなサウンドで観客の体をとらえていく。


そこに続いた「プリクエル」はメロウな歌が響くミディアムなナンバーで、会場にそよぐ風に溶け込んでいく藤井の柔らかで甘いファルセットとキラキラとした光沢を放つサウンドとのハーモニーが美しい。どちらかといえば、夜や夕暮れ時の切ない時間帯が似合いそうなOmoinotakeの音楽だが、爽快な青い空の下で紡がれていくのもまたいいものだ。

「この夏の新しい曲です」(藤井)と言って演奏した「空蝉」。映像的で、そのシーンに流れる温度や手触り、香り、思いを切り出せないままでいる登場人物の鼓動や呼吸までも感じられるOmoinotakeの叙情性が色濃く出ている曲だ。タイトなビートによる前半から、サビで熱っぽいラテンビートへと駆け上がっていって、歌のドキドキ感や青い甘酸っぱさに共振する感覚。じっくりとその歌を味わった会場が、拍手で包まれていく。




「初日は雨で。昨日、今日はこんなに晴れて。これほど晴れが望まれるフェスもない」──藤井怜央

と藤井は言う。Omoinotakeとしては初めて出演した野外フェスがこの<THE SOLAR BUDOKAN>だったこともあり、思い入れが深いようだ。前2回はREALIZE STAGEに出演し、今回が初めてのRESPECT STAGE。ステージから目の前に伸びていく丘を見ながら、「前はあのあたりでいろんなバンドを観たな」と藤井と福島は思い出を語る。今、このステージに立って見える景色は、また格別だろう。そして力を込めて「何より、太陽光のパワーはマジで音がいい。演奏していていちばんいい音なのは、このフェスなんじゃないかなって思う。存分にこのいい音を楽しんでほしい」と藤井は言う。

「この丘でまったりと聴く曲も、ガッツリと熱い曲も用意してきた」と言って、まず演奏したのは「So Far So Good」。ゆったりとしたビートで、ソウルやゴスペルの多幸感を感じるサウンド、ボーカルのレンジや、奥行き、魅力をこれでもかと味わえる曲で、観客のハンドクラップも大きく響く。心地よいノリを生み出す冨田のドラムと、エモーショナルなプレイで魅せる福島のベースにも視線が集まる。




「産声」「Never Let You Go」とグルーヴの密度を上げて、よりダンサブルに。「Never Let You Go」の冒頭では、“♪気持ち良すぎて歌詞が飛んだよ〜”とメロディの節回しで歌う藤井。結成から多くのストリートライブを重ね、コロナ禍の今は“#NoBuskNoLife”と題して無観客オンラインストリートライブも行なっており、バンドのアイデンティとなっているのがストリートライブだ。ストリートという何が起こるか予測不可能な場所を舞台としてきたことは、アンサンブルでの互いの呼吸やリカバリーの仕方、空気感の作り方に表れる。「みんなでグルーヴを作ろう!」(藤井)と声を上げて、明るく、フレンドリーなバンドのムードを広げていくように、一体感のある空間を作り上げていくのはとてもOmoinotakeらしい。

「本当に、歌詞が飛んじゃうくらい気持ちがいいんですよ」とステージを満喫する藤井は、改めてこのフェスの楽しさを語る。「オーガナイザーであるタイジさんのカッコよさであり、こんなに主催の気概が見えるフェスも他にない」という。



名残惜しげに突入した後半は、上昇していくメロディがエモーショナルな「心音」、そしてスピードを上げてパーカッシヴなピアノとスラップベースに感情をほとばしらせる「EVERBLUE」の爽快感が、まばゆいブルーの空に突き抜けていく。

「今の日々をいつか自分の一部と思い出せるように」──藤井怜央

藤井の一言からラスト曲「トニカ」へ。観客の手拍子もバンドのリズムとして飲み込んで、また観客の様々な思いをものせていくタフなサウンドが、祝祭的に響く。ソウルフルなステージで、RESPECT STAGEがいちだんと明るくなったようだった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎俵 和彦

【RESPECT STAGE】セットリスト

1. By My Side
2. プリクエル
3. 空蝉
4. So Far So Good
5. 産声
6. Never Let You Go
7. 心音
8. EVERBLUE
9. トニカ

■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>

日程:2022年9月23日(金・祝) 、24日(土)、25日(日)
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ

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