【インタビュー】THE BEAT GARDEN、『六本木クラス』挿入歌にメンバーの絆「10年一緒に歩んできた僕らの歌でもある」

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テレビ朝日系木曜ドラマ『六本木クラス』挿入歌に起用されているTHE BEAT GARDENの新曲「Start Over」がストリーミング総再生回数1000万回を突破、YouTube再生数は公開2週間で100万回を超えるなど大盛況だ。『六本木クラス』は、韓国ドラマ『梨泰院クラス』を日韓共同プロジェクトとしてリメイクした日本版オリジナル。新曲「Start Over」は『梨泰院クラス』主題歌であるGahoの「はじまり/START」の日本語カバーであり、作詞をTHE BEAT GARDENのUが手掛けたものだ。8月4日に配信スタートし、配信チャート22冠を獲得している。

◆THE BEAT GARDEN 画像 / 動画

ドラマ『六本木クラス』タイアップと本家ドラマ主題歌の日本語カバーという側面が同曲のヒットを後押ししたことは間違いないが、細部にまでこだわりをみせた譜割や発声をはじめ、THE BEAT GARDEN本来の持ち味が存分に発揮されているという意味で、「Start Over」は活動10周年を迎えた3人の集大成でもある。BARKSはTHE BEAT GARDENの3人に、現在の心境と「Start Over」制作秘話はもとより、この10年を振り返って、メンバーそれぞれのターニングポイントについてじっくりと語ってもらった。

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■Gahoさんのライブ映像を3人で観たり
■ブレスや語尾をいつも以上に意識した

──8月4日にリリースされた最新シングル「Start Over」は韓国ドラマ『梨泰院クラス』テーマソングのカバーで、『梨泰院クラス』を元に制作されたドラマ『六本木クラス』の挿入歌に起用されています。原曲を聴いたときは、それぞれどんなことを感じましたか?

U:僕は専門学校時代に東方神起さんとかもカバーしていたくらいK-POPが好きで。ドラマ『梨泰院クラス』自体も、Gahoさんが歌うテーマ曲の「START」も大好きだったんです。今回「START」をカバーさせていただくことになって、リスナー視点ではなく、シンガー目線で聴いたところ、シンプルな感想なんですが、やっぱりGahoさんはとにかく歌が上手いなって。たとえば発声の仕方ひとつとっても韓国語は日本語と違うんですけど。


▲U

──韓国語は子音の種類が多いと聞きます。

U:そういう意味では洋楽寄りなんですよね。それに、「START」はキーが結構高いんですけど、Gahoさんの声質ってそう感じさせないというか。僕らも原曲と同じキーでカバーすることに決まって、どう表現すればいいかなという課題が僕の中にはあったんです。

REI:トラックに熱量があるのにGahoさんはすごく真っすぐに伸びやかに歌っているんですよね。それって一見、トラックと歌が乖離してしまいそうなんですけど、逆にすごくマッチして独自の華やかさを生んでいる。すごい曲だなということを改めて実感しました。それに、カバーさせていただくにあたって、自分達の色もプラスしながら、原作や原曲のファンの皆さんにも理解してもらえる作品になったらいいなという気持ちがあって。そのために歌い方だったり歌詞だったり、いろいろなことを考えながらレコーディングに臨みました。

MASATO:僕も『梨泰院クラス』のファンで、もうドハマりしました。もちろん主題歌の「START」も何度も何度もサブスクで聴きましたし、それをまさか自分達が歌うことになるとは、まったく想像すらしていなかったことで。それだけに、カバーというお話をいただいたときは嬉しさと同時に大きなプレッシャーも感じました。REIが今言ったように、『梨泰院クラス』や「START」が好きな人が聴いたときにガッカリしないようなものにしたいなと思いましたね。


──歌唱面のみならず、トラックと歌の在り方も分析できる辺りは、作詞作曲もご自身で手掛けるTHE BEAT GARDENならではだと思います。日本語詞は新たに書かれたわけですが、直訳というわけではないですよね。

U:原曲の直訳から始めたんですけど、好きで原曲を繰り返し聴いていたこともあって、言葉とメロディーの譜割が合っていないと気持ち悪く感じたんです。『梨泰院クラス』や『六本木クラス』のファンの皆さんも原曲は知っているはずなので、その感覚は同じだと思うんですね。聴感上の違和感をなくすことも必要でした。

──原曲の譜割を活かしつつの作詞作業だったと。

U:はい。最初は直訳の歌詞で譜割をどんどん変えていったりしたんですけど、そういう中で、歌としてもっと素敵なものにしたいという気持ちになったんです。そのためには日本語流の比喩を入れたほうがいいけど、そうすると原曲から離れていってしまう。どうしようかなと悩んで、ちょっと歌詞が書けなくなってしまった時期もありました。

──なかなか高いハードルですから。

U:そうなったときに、「Gahoさんの韓国語のオリジナル曲を3人で完コピしない?」という提案をしたんです。試しに一回やってみたんですけど、そのときは直訳の歌詞も頭に入っている状態じゃないですか。そうしたら、歌詞の“絆”とかは言葉が違っても伝わることを感じて。だったら日本語らしい日本語を詰め込んで書こうと思って「Start Over」という歌詞が完成したんです。

──「Start Over」を形にするにあたって皆さんが真摯に、そして深く原曲を掘り下げられたことがわかります。それに、「Start Over」はラブソングでありつつ、“自分らしく生きていこう”というメッセージソングでもあると思うんです。

U:『梨泰院クラス』にはラブソングを想起させる要素があるんですよね。僕が歌詞を書くことになったときは、『六本木クラス』の脚本をいただく前で、ドラマは原作をリメイクしつつオリジナリティーも入れていくということをうかがっていたんです。であれば、自分達もオリジナルの要素を入れたくて、10年一緒に歩んできた仲間としての僕らの歌でもあり、僕らがずっと伝えてきている“そのままの貴方でいてほしい”という思いを込めた歌でもあるという形にしたいと思いました。


▲REI

──TVドラマ『六本木クラス』の挿入歌で、カバーでありながらも自分達のメッセージを込められたというのは素晴らしいことです。「Start Over」レコーディングの前にはどんな準備をしましたか?

REI:原曲を聴き込むだけではなくて、Gahoさんのライブ映像を3人で観たりしたんです。Gahoさんは語尾のブレスの感じだったり、息の吐き方といった呼吸の使い方がすごく上手なんですよね。

U:セクシーだよね。

REI:すごく色気があるよね。

──では、実際のレコーディングでは?

REI:Gahoさんからブレスの大切さみたいなことを改めて学んだので、そういうところや語尾の切り方だったりを、いつも以上に意識して歌いました。今後に繋がる良い機会を与えてもらえたと思っています。

MASATO:とにかく世界的に知られている曲ですし、ただ単にカバーするということではなく、しっかりと重圧を受け止めて、本当にリスペクトの気持ちを込めつつ責任感を持って、レコーディングに臨みました。僕らの「Start Over」も『六本木クラス』の挿入歌として、ドラマという総合芸術の要素のひとつとして受け止めてもらえるものにしたいという気持ちが強くありましたから。先ほども言いましたけど、言語によって母音と子音の長さとかが異なるので、譜割が変わってくるんです。韓国語は母音が少ないので、子音の長さとかをすごく意識して歌いましたね。原曲からあまりイメージが遠ざからないように。

U:僕はもともと中学校の頃にバンドを組んでいて。ロックバンドを聴くことがすごく多い状態でTHE BEAT GARDENを結成したんです。だから、THE BEAT GARDENはロック感のあるエレクトロから始まりましたし、発音が強かったり、高いところがキンキンするようなボーカルもありなんです。だけど、今回の「Start Over」に関しては、それは違うなと。なので、いつもとは違うところから声を出すようなイメージというか(笑)。REIとMASATOは僕にはない要素を持っているんですけど、それが「Start Over」にはハマると思ったので、どちらかというと2人に歩み寄った歌になっているんです。それはGahoさんの歌のニュアンスを再現するためのものでもあるし、3人で歌っているのに1人で歌っているかのようなボーカルを成立させるということでもあって。そうしたらこの間SNSで、「原曲を歌っている韓国の人が日本語で歌っているのかな?」って書いてくれている人もいて、すごく嬉しかったです。

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