DEZERT、ファンクラブ発足記念ツアー開幕「今日はサービス精神旺盛に」

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DEZERTが9月24日、ファンクラブ発足を記念したライヴツアー<“ひまわり会”発足記念OFFICIAL FANCLUB TOUR 「ひまわり超会議(^з^)-☆2022」>の初日公演を東京・新宿BLAZEで開催した。以下、そのオフィシャルレポートをお届けする。

◆DEZERT画像

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ひまわりをモチーフとした現行バンドロゴをDEZERTが提示し始めたのは、2019年夏のことだったろうか。当時リリースされたシングル「血液がない! / Call of Rescue」のカップリングとして収録されていた楽曲「Stranger」のリリックビデオにおいても、ひまわりのイラストが印象的に使われていたのだが、なんと今年に入って発足したDEZERTのファンクラブには、これまた「ひまわり会」という名が冠されることに。

そして、このたびファンクラブの発足を受け初開催されたのが東名阪での<“ひまわり会”発足記念OFFICIAL FANCLUB TOUR 「ひまわり超会議(^з^)-☆2022」>となったのである。ここではその初日となった新宿BLAZEでの公演の模様をお届けしたい。

「DEZERT初のFC限定イヴェントということで、今日はサービス精神旺盛に今までやったことないこともしようかなと思ってます。さっきの1曲目と2曲目なんかは久しぶりにやってんけど、あらためてやってみると“バケモノ”とかカッコよくない? いいよね。(中略)というわけで、次も久しぶりの曲をやります。以前<千秋を救うツアー2>の時に1曲目でやってた曲です」──千秋

FC限定ライヴならではの大きなアドバンテージというのは、結局こうしたレア曲をふんだんに取り揃えたプレミアムなセトリを楽しめるところにあるような気がする。事実、これまで観てきたDEZERTのワンマンにおいて「ヘドロママ」からいきなり始まるというケースは記憶になく、それに次いでの「バケモノ」も2019年にアルバム『black hole』がリリースされた頃に披露されて以降は、半ば封印されたかのように聴く機会が少なくなっていたほか、この夜の3曲目として演奏された「胃潰瘍とルソーの錯覚」や、前述のMCから続けられた「幸福のメロディー」も現状ではレギュラーメンバーとは言い難い。しかし、どの曲も存在感やポテンシャルには富んでいるため、このような“機会”さえあればそれぞれに輝きを放ち始めるのはあたりまえのこと。

ちなみに、このツアーに向けては事前にFC会員からリクエスト曲を募っていたそうで、今回のセトリはランキング順などではないにせよ、その集計結果を反映させたものとなっていたそう。故に、昨今のライヴでは聴く機会の少なくなった楽曲や、初期の曲たちがかなりエントリーされていた傾向はみられたものの、それでいて「カメレオン」や「ミザリィレインボウ」といった近年に生まれファンに愛されるようになった曲たちや、「ラプソディ・イン・マイ・ヘッド」「Thirsty?」といったライヴの場でバンド側とファンがこの数年をかけ共に育ててきた曲たちなども、何時も以上に観衆とのコミュニケーションをはかりながら今宵のライヴでは楽しい雰囲気の中、あれこれと演奏されていくことになったのだった。





また、本編中盤では2016年11月に発売されたアルバム『完売音源集-暫定的オカルト週刊誌(2)-』に収録されていた「Ghost」がじっくりと丁寧に奏でられる一幕もあったのだが、このあとアンコールでのMCによって実はこれが今回のファン投票で1位を獲得したということが明かされ、この曲の隠れた名曲ぶりを証明することにもなっていたのも大変興味深いところであったと言える。(なんでも、この日のMCで話されていた内容を簡潔にまとめるとリクエストの集計結果は、3位が「白痴」、2位が「幸福のメロディー」、1位が「Ghost」であったとのこと)

そのうえ、今回のライヴで堪能できたのは何も曲の良さだけではない。本編後半に入ったところでプレイされた「白痴」のイントロダクション部分では、千秋もギターを肩にかけたうえでジャムセッション的な遊びがしばし展開され、そこからショッキングピンクの派手な衣装に負けないダイナミックなスティックさばきが冴えたSORAによるドラムソロ、花柄セットアップの似合う王子系男子とは思えないほど渋いフレーズを迸らせたMiyakoのギターソロ、このところソロを振られると何故かダンスなどの別技を見せがちだったSacchanの本領が感じられた粋なベースソロと、各人のミュージシャンとしての個性が発揮されていくさまからはDEZERTというバンドの持つ土壌がいかに豊沃なものであるか、ということも十二分に感じられたはず。

なお、ここから本編終盤に向けてもいよいよFC限定ならではのコアファン向けな選曲ぶりはその度合いを増してゆき、ワンマンではリリース当時のホールツアー以来で聴けた気がする「血液がない!」、病みの雰囲気をまとった曲とイタイタシイ歌詞に往年のDEZERTの姿が集約されている「肋骨少女」、2015年の1月に開催されたO-WESTでのワンマンにて音源が無料配布された「変」、2012年にリリースされたミニアルバム『眩暈に死んだ部屋』に収録されていた「「眩暈」」と「遮光事実」の連打を経て、本編をしめくくったのは「TODAY」。

「コロナとかそんなことは関係なく。俺はこの世の中、まだまだクソだと思ってますが。でも、この9月24日はあんたらにとって、俺らにとって素晴らしい日になったと信じています。さぁ、俺たちの“今日”を始めようぜ!」(千秋)

このあと、アンコールでは12月14日にLIVE Blu-ray&DVD『DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The Walkers”』が発売されることや、来年1月に行われる<DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」>についての告知がされたのだが、どういうわけか最も直近での重要事項となるシングル「The Walker」が10月12日に発売されることに関しての言及は全くなく、結果的にこれが今回のステージ上で演奏される場面もなかった。おそらく、DEZERTの面々としては“ひまわり会”の民たちに対しもはや執拗なプロモーションはしなくとも大丈夫という信頼感があるのだろう。

「今日のアンコールでは3曲やります。1曲目の“I'm sorry”はリクエストのけっこう上位に入った曲でね。これは僕、嬉しかったですよ」──千秋

MiyakoとSacchanがアコギを弾き、SORAが自席でオーディエンスと化している中、千秋が歌いあげた優しく温かい「I'm sorry」は、珠玉のバラードとして場内に響きわたり、DEZERTというバンドの懐の深さを聴衆にひしひしと感じさせる美しい1曲となっていたように感じた。

ただし、DEZERTのライヴがこのまま穏やかな空気感のままで終わるわけはない。最後はSacchanのリコーダーソロが利いていた「大塚ヘッドロック」、ここぞの「「切断」」でメンバーとオーディエンスのアタマが揃って勢い良くブン回り、そのまま見事に大団円を迎えると思いきや……

「(「「切断」」の)大事なとこ、歌詞飛んだ! こんなんで帰れるかいな。ラストもう1曲やります。ベタですが、君の子宮を触ってもらいます!!」──千秋

かくして、急遽追加となった「「君の子宮を触る」」で場内の盛り上がりぶりはより増すことになったのだが、どうしたわけかこの時の千秋には何か憑いてでもいたのか不思議とまた途中で歌詞を間違えてしまうという事態が勃発。普段から千秋が意図的に歌詞を変えて歌うことはよくあるが、これは随分と珍しいケースかも。

「俺、今の絶対に歌詞間違えたよな? 俺は間違えへんまでやるで! こんな時のためのウルトラCがあるんですよ。“doze.”やって帰るから!!」──千秋

3度目の正直とも言うべき激アグレッシヴチューン「doze.」をダメ押し的にブチあげることにより、徹底的ファンサービスに徹したDEZERTの初FC限定ライヴは、トゥーマッチなくらいに濃厚な内容をもって、ひとまずここで幕を閉じたわけだが。いずれまたこのような機会が設けられた場合にも、明らかに通常のワンマンとは一線を画するFC限定ならではの公演が繰り広げられることになるのはまず間違いない。

たとえ過酷な環境でも、しっかりと成育していくことができる花・ひまわりのように。DEZERTとDEZERTを愛する人々によって構成された「ひまわり会」が、将来ここからより大輪の花を咲かせていくことに心から期待したいものだ。


取材・文◎杉江由紀
撮影◎Taka"nekoze photo"

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■<“ひまわり会”発足記念OFFICIAL FANCLUB TOUR 「ひまわり超会議(^з^)-☆2022」>2022年9月24日(土)@新宿BLAZE セットリスト
01. ヘドロママ
02. バケモノ
03. 胃潰瘍とルソーの錯覚
04. 幸福のメロディー
05. カメレオン
06. ラプソディ・イン・マイ・ヘッド
07. ミザリィレインボウ
08. Thirsty?
09. Ghost
10. 白痴
11. 血液がない!
12. 肋骨少女
13. 変
14. 「眩暈」
15. 遮光事実
16. TODAY

En1. I'm sorry
En2. 大塚ヘッドロック
En3. 「切断」
En4. 「君の子宮を触る」
En5. doze.

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